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「同一労働同一賃金」で気を付けるべきポイントをわかりやすく解説!

公開日:2021.4.7

2020年4月1日より施行され、全国の大企業で導入された同一労働同一賃金。2021年4月1日からは、中小企業でもその徹底が求められます。「知らなかった」では済まされない同一労働同一賃金について、概要や運用時に気を付けるべきポイントを整理していきます。

最近よく聞く「同一労働同一賃金」とは? 考え方や対象者について解説

「同じ仕事をすれば同じ賃金が支払われるべき」という考え方が同一労働同一賃金です。正社員と非正規雇用労働者の不合理な待遇差を禁止の禁止がパートタイム・有期雇用労働法によって示されています。

一連の着想は、国際労働機関(ILO)が提唱する「同一価値の労働に対して、同一の報酬が支払われるべき」という考え方に基づいたものです。雇用形態はもちろん、人種や国籍、性別などに関係なく適用されます。

これまで、日本国内ではアルバイト、パート社員、派遣社員などよりも、正社員が社内で優遇されるのは当然だと考えられてきました。しかし、時代の変化によって、以下のような理由で雇用形態による不合理な差別は好ましいものではなくなってきました。

  • 少子化により働き手が減少するなかで企業が競争力を保つ
  • 多様な働き方が広まるなかで働き手の意欲を損なわないようにする

そうした背景のなかで叫ばれたのが、同一労働同一賃金です。契約社員や嘱託社員などの有期雇用労働者、パートタイム労働者・派遣労働者の非正規労働者が対象者となります。企業側は「いままで通りの対応で、いつのまにか同一労働同一賃金に反していた」という状況にならないように注意が必要です。

パートタイム・有期雇用労働法には、企業側が労働者の待遇について具体的に規定する決まりが設けられています。また、説明を求めた労働者に対して不利益が起こらないような規定を設定しなければなりません。事業者・労働者間で紛争があった場合は、裁判以外の方法で解決するための「裁判外紛争解決手続(行政ADR)」の規定を整備する必要もあります。

現在は、待遇格差が生じていることを見落としていても、現在ありません。しかしながら、不合理な待遇格差を理由に従業員から損害賠償を請求されるリスクはあります。裁判所が企業に対して損害賠償を命じる判決を下した事例もあるため「放っておいても大丈夫かな」という考えは禁物です。

「同一労働同一賃金」は企業側にどんなメリットとデメリットがある?

すでに同一労働同一賃金は全ての企業がいずれ対応する必要のあるものです。そのため、メリットとデメリットを理解して、前向きに取り組んでいくのが望ましいスタンスだといえます。

<メリット>
1:非正規雇用者の仕事に対するモチベーションがアップする
非正規雇用者の待遇が改善される場合、給与や評価に対する不満が減少します。結果としてモチベーションが高まり、生産性や業務効率、業績アップにもつながるといえます。

2:成果や実力を重視する評価制度が浸透する
「同じ仕事をすれば同じ賃金が支払われるべき」というルールとなるため、役職やキャリアに関わらず「仕事ができれば評価につながる」という体制が根付きやすくなるでしょう。また、従業員がキャリアプランを描きやすくなります。年功序列や終身雇用からの脱却を促進する効果も期待可能です。

3:採用活動、人材確保が有利になる
同一労働同一賃金ほルール化することで、「法律を遵守している意識の高い会社」「制度が整っている会社」というイメージにつながります。そのため、採用活動において自社を選んでもらえる可能性が高まります。また、子育てや介護といった理由から、さまざまな都合で正社員として働くことにためらいを感じていた人たちからの応募増加が見込めるようになり、人材不足の解消が期待できるでしょう。

<デメリット>
1:人件費がアップする
非正規雇用者の給与を正社員と同様の水準にするため、人件費の上昇が避けられません。結果として、非正規雇用者を削減し、正社員に仕事のしわ寄せが回るような事態も想定されるでしょう。

2:正社員のモチベーションが低下する可能性がある
正規社員と非正規雇用者の待遇を均一にすることで、正規社員の給与額を下げざるを得ない場合も考えられます。賃金以外のサポートが必要となるといえるでしょう。

3:制度の整備や社員への説明など新たな業務が増える
従業員の間で待遇格差が生じる場合、「どのような理由で待遇に違いがあるのか」を従業員に納得いくように説明する義務があります。そのためには入念に事実確認を行ったうえで、制度整備や説明会の開催などが必要となるため、担当者の負担が増加することが懸念されます。

企業側は何に気を付け、どう対応していくべきか?

待遇格差に納得できないままでは、非正規雇用者から不満が出たり、結果として給与が下がる正社員が出てしまったりと、同一労働同一賃金の導入は簡単ではありません。では、企業としてどのように対処すべきなのかみていきましょう。

最初に、厚生労働省による「同一労働同一賃金ガイドライン」のチェックから始めてみてください。ガイドラインには「基本給」「賞与」「各種手当」「福利厚生・教育訓練」の4点についての指針が記載されています。これら4項目について、自社の現状とガイドラインの内容を照らし合わせていきましょう。

「基本給」「賞与」は、仕事の質と量に違いがなければ同一、違いがあれば違いに応じた支給を行わなければなりません。雇用形態の違いを理由に不合理な設定をしないようにしましょう。

「各種手当」も同様です。正社員限定だった手当を廃止する場合は、実質的な賃金の切り下げとなってしまうケースがあります。その場合は、正社員が不利益を被らないような代替案を提示する、労働組合から同意を得るなどの対策も必要でしょう。

「福利厚生・教育訓練」も平等なものとしなければなりません。食堂や休憩室、更衣室といった福利厚生施設・転勤者用社宅だけでなく、慶弔休暇、健康診断に伴う勤務免除、有給保障など正社員と非正規雇用者の差異なく利用できるようにルールを整備します。

同一労働同一賃金を導入し、根付かせるためには以下のプロセスを意識しましょう。

(1)従業員の雇用形態を確認する
(2)待遇を確認し、他の従業員と違いがある場合はその理由を確認する
(3)不合理性があった場合は改善計画を立てて実行に移す
  ・不合理性がなかった場合は、そのことを説明できるように情報を整理する
  ・法違反が疑われる状況があれば脱却を目指す

また、各段階においては、厚生労働省による「パートタイム・有期雇用労働法対応のための取組手順書」「パートタイム・有期雇用労働法等対応状況チェックツール」「不合理な待遇差解消のための点検・検討マニュアル(業界別マニュアル)」といった、事業者支援ツールを活用するのも有効です。

まとめ

多くの経営者にとって同一労働同一賃金は、人件費アップや業務量の増加といったマイナス面に目が向いてしまいがちです。しかし、実際には非正規雇用者のパワーを最大化し、業績アップにつなげることができる施策の1つです。上手く活用できれば、優秀な人材を確保することも可能となります。

同一労働同一賃金のメリットに目を向け、自社にあったやり方で導入したうえで、企業の発展に役立てていきましょう。

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この記事を書いた人

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HR BLOG編集部

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