オンボーディング Onboarding 「新卒社員」や「中途社員」が辞めない仕組みづくり
『オンボーディング』とは、新入社員をスムーズに社内に溶け込ませ、パフォーマンスを上げさせるための一連の仕組みづくりを言います。この冊子ではHR先進国であるアメリカ企業の事例も踏まえ、人材育成のための最新のメソッドを解説。
オンボーディングの具体的な取り組み方をご紹介しています。
HRの基本
公開日:2020.10.19
現在、HR Techがとても注目されています。その注目される理由やその意味などを詳しくお伝えしましょう。
目次
HRとは「Human Resources」の頭文字で、人事を意味します。そして、Techとは「Technology」のことで、技術です。この2つを組み合わせた造語がHR Techであり、人事に関する技術のことを指します。
人事の業務において活用できる技術は多岐にわたり、AIやクラウド、SNS、モバイル、ビッグデータなどがあります。こういった技術の総称をHR Techと呼んでいるのです。また、HR Techサービスを提供している企業の総称を業界とも呼びます。
HR Techは人事評価や人材採用、人材育成など人事に関わるあらゆるジャンルと深く結びついています。それらは主にデジタル技術で、近年のインターネットや電子機器の発達によってさらに発展してきました。既存のツールや枠組みの限界を乗り越えて、まったく新しい技術が登場し、それが人事業務を劇的に進化させている時代なのです。
今は多様な働き方を認めるべきという時代になりました。従来のように正社員として企業に就職して、定年までずっと同じ労働形態で働き続けるのが普通ではなくなったのです。継続的にアルバイトや派遣などで働くのも一般的になりました。また、週に5日勤務して週末2日休むというパターンではなく、時短勤務や週3勤務といった異なる働き方を望む人も増えています。オフィスで仕事をするのではなく、リモートワークのように社外で仕事をする人も増えています。
このように働き方は多様化し、これまでと同じような人事のやり方では対応することが難しくなっています。そして同時に人事のスタッフの負担は大きくなっているのです。そこで、新しい働き方に対応するための技術としてHR Techが注目されています。HR Techの活用によって、多様な働き方を認めつつ、それぞれの労働状況を把握した管理が、負担なく実現しました。
また、多くの企業は人手不足に苦しんでいます。自社の求める条件と合致する人材を集めることに苦労しているのです。HR Techであれば、効率的に採用活動を進めることができ、データに基づいて自社の求める人材を簡単に選び出すことができます。人材採用の面においても、HR Techはとても役に立つため、注目されているのです。
実際にHR Tech導入している企業はたくさんあります。そこで、具体的な事例を紹介しましょう。
2017年からソフトバンクではワトソンというAIを活用しています。こちらはエントリーシートの自動判定を導入することができます。ソフトバンクは年間に3万件ものエントリーシートを確認しているため、人力で行うのにとてもコストがかかりました。そこで、AIを導入したところ、エントリーシートを確認する時間を75%削減することに成功したのです。
2012年から日立製作所では人材データベースの構築に着手しました。そして、2018年からは新しいシステムの本格導入を開始したのです。対象となっているのは従業員約5万人で、最終的にはグループ全体の25万人までを含む予定です。新しいシステムには従業員の基本情報だけではなく、人事評価やスキル、キャリアビジョンといったものが含まれています。閲覧できる範囲は権限に応じて限定されているのが特徴です。管理職になるとより詳細な情報をチェックすることができ、プロジェクトチームの人材選抜などにも役立ちます。
NTT東日本ではテレワークを推進するためにオリヒメという分身ロボットのテスト導入を実施しています。こちらは在宅勤務している社員と職場にいる社員がスムーズにコミュニケーションを取れるようにすることが目的です。在宅勤務している社員の代わりにオリヒメを設置。オリヒメを通じて音声を伝える、気持ちを伝えるといったことが可能です。これによって、在宅勤務していたとしても存在感を発揮することができます。
サイバーエージェントでは人材科学センターという部署を設置しています。こちらでは1万人もの従業員のデータを扱っています。全社員アンケートとしてGEPPOというツールを活用していて、ここから得られるデータを3つのパターンごとに分析しています。従業員のあらゆるデータを扱い、高速で調査して、経営に役立たせているのが特徴です。人材採用や適材適所の配置などに応用することを目指しています。
HR TECHを取り入れる企業が増えているのはさまざまなメリットがあるからです。具体的にどういったメリットがあるのか紹介しましょう。
人事業務に大きなコストをかけていて悩んでいる企業は多いようです。そういう企業はHR Techの採用で業務の効率化を図ることができ、コストカットにも成功できるでしょう。これまでよりも少ない人数で人事業務を回していくことが可能になります。テクノロジーを活用することで離職率を下げ、定着率の向上を図り、採用コストの削減も期待できます。さまざまな合理化に役立つのです。
HR Techのサービスを活用することで従業員の包括的なデータを一元管理することができます。従業員それぞれのデータをまとめて管理することができるのです。データを蓄積して分析することによって、さまざまな発見ができます。たとえば、離職しそうな従業員を見つける、従業員の適切な部署を見極めるなどです。
HR Techのサービスの中には従業員の満足度を調査する、組織診断をする、コミュニケーションを促す、エンゲージメントを向上させるといったものがあります。これらのサービスを用いることで可視化されていないものを数値化することができ、そのデータを分析することによって、課題を把握することが可能。より戦略的に人事管理を進められるようになるのです。
HR Techにはいろいろな種類が存在しています。それぞれのシステムごとにサービスを紹介しましょう。
採用管理システムを提供しているサービスはたくさんあります。
ジョブカン採用管理は、応募獲得や応募者の管理、採用決定、採用活動の効果の測定といった機能があります。募集から内定に至るまで一貫した管理ができるのが特徴です。
また、JobSuiteCAREERというサービスは、応募者の個人情報を入力すると同一人物の可能性がある候補者を自動で検知するという機能があります。他には、選考を実施した担当者ごとに合否傾向を確認したり、採用までにかかった日数を把握したりする機能も搭載されているのが特徴です。
HR Brainは人事評価システムでます。こちらは人事評価をさらに簡単でシンプルなものにできるシステムで、面談の記録や目標、評価などをクラウド管理でき、会社や従業員間でその情報を共有できます。公開範囲を設定することで閲覧制限をかけられるなど、プライバシーにも配慮しています。
スマレビというサービスは、社内アンケートツールとしていろいろな場面で利用可能です。多方面から評価することができ、対象者について複数の視点からの分析ができます。従業員の満足度調査にも有効です。
MFクラウド給与は法令や税制に自動で対応しているのが特徴です。給与計算の自動化と一元管理をすることができ業務の効率化を実現。給与計算のためのすべての業務をペーパーレス化することが可能で、オンライン上で一括管理できます。
フリーウェイ給与計算というソフトには、雇用保険料などの自動計算や法定調書などの自動作成といった機能があります。給与明細を従業員にメール配信する機能もあり、従業員はスマホなどから給与明細をすぐに確認できるのがメリットです。
これからHR Techを導入するうえで重要なポイントについて解説します。
HR Techの導入を検討している場合、目的や目標に合わせて最適なサービスを選べるよう、あらかじめ目的や目標を定めておくべきです。
会社はそれぞれ異なる課題を抱えているものです。そこで、会社の抱えている課題を解決できるようなサービスを選択することが大切です。人事における課題を浮き彫りにすることで、自然と導入するべきサービスが見えてきます。課題の解決に最適なサービスを選ぶことを心がけましょう。
HR Techのサービスを導入するにはある程度コストがかかります。どのくらいの予算を準備できるのか、その課題を解決するための重要性がどれくらいあるのか、といったことを考えましょう。全体のコストバランスが大切です。
HR Techには高性能な機能を持った多様なサービスがあります。それは有効活用すると会社に大きな価値をもたらしてくれるものです。しかし、そういった便利なシステムに使われることなく、きちんと使いこなすことが大切なのです。そのためには人事スタッフの意識改革を図り、人事に関するスキルを身につけさせることが重要です。まずは人事スタッフの教育を進めましょう。
今注目度の高いHR Techについてまとめました。HR Techを導入することで企業のさまざまな問題を解決できるでしょう。いろいろなサービスから自社に合った最適なものを選んでください。
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