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近年重要視されている「戦略人事」とは? その考え方と導入メリットを解説

公開日:2021.4.9

「戦略人事」と呼ばれる人事の新しい視点が近年では注目を集めています。戦略人事では、労務処理だけでなく、経営目標や計画に達するために「攻め」のスタンスで経営に関わることになります。その考え方やメリットについて焦点をあててみましょう。

なぜいま「戦略人事」が求められているのか

戦略人事(戦略的人的資源管理)とは、企業の経営戦略に根差しながら人的マネジメントを行っていくことです。1990年代に提唱された考え方で「「ヒト・モノ・カネ」という3つの経営資源のうち「ヒト」にフォーカスをあてた経営戦略の一部といえます。人的資源を最大限活用しながら成果を上げることが目的です。

国境を越えたM&Aも増加している中で、人事にはグローバルな視点も求められています。新たなスタイルの人材登用、国際交流や処遇の仕組みを再構築する必要性などがあるため、経営と人事が距離感を縮めることも、激動の時代を生き残るための方法だといえます。

戦略人事を実現させる場合、人事部が経営者のパートナーとなって、業務の効率化や生産性アップに貢献できるような人材マネジメントを行っていくことがポイントとなります。従来、管理的業務が中心だった人事部が経営戦略にマッチした人材開発計画を立案し、適正な人材配置やプロジェクトの管理、運用などの担い手になるため、経営層とのつながりより濃くなる点は把握しておきましょう。

また、役職として戦略人事のリーダーは、「CHRO(Chief Human Resource Officer)」「人事統括役員」などの役職、経営幹部として業績や株主への責任を負う立場となるケースが多くなっています。これは、人事部門の実務担当責任者としての人事部長とは異なる人物がその役割を担うのが理想的であるためです。

CHROは、経営者の良き理解者となり、また、各事業部や従業員の相談窓口となって、人材マネジメントを行っていく役割を担います。そのためには、課題把握・問題解決能力、コミュニケーション力、リーダーシップ、グリット(やり抜く力)などが重要となります。また、経営陣と同じ目線で語り合うためには、財務諸表を読む能力も必要です。

戦略人事を理解するための4つの機能・役割

戦略人事の担当者に求められるのは、以下ような働きです。

  • 経営計画にコミットした中長期計画を立てる
  • 各部署の実情が経営戦略と合致しているかを検証する
  • 現状に問題があれば施策を講じる
  • 新規事業にも積極的に関わる

それぞれの施策を戦略人事を構成する「HRBP」「OD&TD」「CoE」「OPs」という4つの役割を理解し、それぞれに力を発揮することが重要です。4つの役割を順番にみていきましょう。

1.HRBP(Human Resource Business Partner)
経営者、事業部門の責任者のパートナーとなり、人的資源の活用と組織づくりに関する様々なニーズに対応する役割です。各事業部のリーダーや従業員の相談窓口を務める、人事マネジメント全体のまとめ役でもあります。

2.OD&TD(Organization Development & Talent Development)
企業理念の浸透や組織文化の醸成を促し、目指すべき方向へと企業を導くべく組織開発を行うのが「OD」、組織の形成に必要な人材を育成し、タレント開発を担うのが「TD」です。どちらが欠けても成立しない、両輪のような関係にある役割といえるでしょう。

3.CoE(Center of Excellence)
人材マネジメントを具体化していく役割を担う、戦略人事の中心的な部門です。HRBPをサポートし、採用計画の立案や運用、評価制度や報酬制度などの構築、研修プログラムやトレーニングメニューの開発などを行っていきます。

4.OPs(Operations)
マネジメント上の細かなプロセス管理を行います。実務全般を扱い、給与計算、勤怠管理、労務処理、人事システム運用など、企業として欠かせない業務も担当です。

従来の人事部が有していたのは、CoEとOPsの機能だけでした。これにHRBP、OD&TDの機能が加わることで、高い次元の人材マネジメントと言える戦略人事を実践することが可能です。

「HRBP」「OD&TD」「CoE」「OPs」は、ミシガン大学のデイビッド・ウルリッチ教授が1997年に提唱したモデルで世界中に知られています。ワールドスタンダードとなった4つの役割を理解しましょう。

導入メリットと運用に必要なアプローチ

経営戦略と密接に結びついたマネジメントによって、「ヒト」を経営的成長に結びつけられることが、戦略人事の最大のメリットです。タレントマネジメントに適している点や経営状況に応じたスピーディーな人材配置が行いやすいこともメリットの1つです。

しかし様々な理由によって、導入に苦戦している企業も少なくありません導入が上手くいかない理由を探ると「経営陣の問題」「人事部門の問題」「従業員の問題」などにたどりつきます。その理由をみていきましょう。

・経営陣の問題:
ワンマン経営で人事部からの提言を受け入れない/経営戦略が不明確で一貫性がないため人材を生かす計画を練れない

・人事部門の問題:
戦略人事についての理解が進まない/「労務が人事部の仕事」という思い込みが根強い/従来の業務に追われて戦略人事に労力を割けない

・従業員の問題:
変化を嫌い非協力的/戦略人事は従業員にとって不利益という思い込みがある

人事部門と従業員の問題については、社内教育や情報の周知を徹底していくことで状況を改善して行く必要があります。経営陣の気質が硬化している企業では、経営トップが自身のスタンスを見つめ直すことやパートナー役のCHROの寄り添い方などが鍵となっていくでしょう。

導入を進めていく上では、戦略人事の担当者が各部署の現状を数字で把握することも重要です。数字によって実情をとらえ、改善策を打ち出すことが成果につながる人材マネジメントとなります。同時に、各部署の戦略が経営者の示す経営戦略に合致しているかを検証していきましょう。

社内のリソースだけで戦略人事を導入、運用するのが難しいと感じたら、外部コンサルタントやツールを活用するのも1つの方法です。従業員の現状を把握するためには、アセスメントを活用する方法も有効でしょう。業務適性や資質、ストレス耐性などをアセスメントによって把握して、得られたデータを人材マネジメントに役立てていきます。

まとめ

戦略人事の必要性を感じながら、うまく導入できていない企業が多いのが実情です。だからこそ、一歩ずつ着実に歩みを進めることが大きなアドバンテージとなります。抜本的な改革が必要になるケースもあるため、中長期的な視点に立って、急がば回れの精神でじっくりと取り組んでいきましょう。

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この記事を書いた人

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HR BLOG編集部

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