MotifyHR

オンボーディング

お互いへの理解を深めることが即戦力化の第一歩。「事業を通じて社会的課題を解決する」オムロンの人財戦略

公開日:2021.3.4

かつて日本では終身雇用制度が一般的で、社会人として初めて就職した会社に長く居続け、定年まで勤めあげることが美徳とされていました。「転職」や「中途入社」などは、言葉自体ネガティブなイメージを持ち、「前社で何か失敗をした」「こらえ性がない」などよくない心証を持たれることも多かったでしょう。

しかし時代は変わり、転職に対するイメージも変わりつつあります。人によってその理由はさまざまですが、「スキルをもっと活かせる職種に」「新たな場で挑戦したい」など、自身のキャリアアップのために転職を選ぶ人が増え、ある調査によると実際に転職した・転職活動をした人は6割以上という結果も出ています。それと同時に、高いスキルや経験の豊富な人材を求め、積極的に中途社員の採用を行う企業も増えつつあります。

そして2020年。突如世界を襲った新型コロナウイルスの感染拡大が、私たちの仕事・働き方に対する概念を大きく変え、ニューノーマル時代が訪れました。毎日の通勤はテレワークにシフトし、日々顔を合わせていた上司や同僚との会話はモニター越しになりました。こうした変化にいち早く対応していくために注目されているのがHRシステム。定着しつつある新常識に、新たな手法やシステムを導入することで対応し、業務を進めていく時代となったのです。

大きく変化したものの一つに人材育成があります。テレワークが増え、どの企業も社会人経験のない新入社員はもちろん、即戦力として期待している中途社員の人材育成に苦戦しているようです。そこで今回は、オムロン エキスパートリンク株式会社(以下、オムロン エキスパートリンク)の人財ソリューションセンタ 人財育成部の忍海辺 実子(おしんべ じつこ)氏、袴田 健紘(はかまだ たけひろ)氏に、同社が人材育成に活用しているHRシステムの導入経緯、オンボーディングの効果、そして今後の展望についてお話しいただきました。

人財育成に必要不可欠なプロセス、オンボーディング。徐々に増えてきた中途採用での課題に対処するためHRシステムを検討

私たちオムロン エキスパートリンクは、オムロングループ国内の人事や総務、理財機能に関する事業を担っています。オムロンでは、企業理念に「われわれの働きで われわれの生活を向上し よりよい社会をつくりましょう」と掲げており、この企業理念を実践する担い手として近年はAI(人工知能)の専門家など、高いスキルや豊富な経験、優れた才能を持つ中途社員が増えています。

中途社員の年齢や性別などの属性はもちろん、各個人が持つスキルや経験も多彩。創造性や革新性を高めイノベーションを創出し、事業を通じた社会的課題の解決を目指すオムロンでは、社内がダイバーシティとなることで、中途社員のポテンシャルを引き出し、その能力を発揮できる環境づくりに取り組んでいます。

その実現にあたり課題として浮上したのがコミュニケーション不足です。中途社員はもともと社会経験を持っているため、上司をはじめとして周囲のメンバーが中途社員のケアに目が向きにくく、どうしても新卒入社の従業員たちよりもコミュニケーションが手薄になってしまう場合があります。それは人事の私たちだけでなく、配属先の上司など現場も同じ意見を持ち、懸念していました。そこで、ある程度システマティックにコミュニケーションが取れるような仕組みを設けたいと検討しはじめたのが、HRシステムの導入です。

HRシステム導入成功の秘訣は「何を目的としてやるべきことを決めるか」と「社内への理解を深めること」

検討し始めた際、HRシステムにはさまざまなタイプがあることを知りました。その中で採用したのは自社に合わせてカスタムできるもの。デフォルトのままでも機能的には問題ないのですが、新たな試みということもあり、従業員のシステムに対する抵抗感や効果に対する疑心などの拒否反応も考慮して進める必要があったためです。

具体的には、中途社員とその上司に対して、あらかじめ設定しておいたナッジ(タスクやサーベイ)をメールで配信します。入社一週間前のリマインドや入社日など、中途社員に関係する内容を自動的に知らせてくれるメールが届きます。これを、弊社での活用に合わせて、通常よりも配信数を減らすなど、既存社員が負担を感じないようカスタマイズしてもらいました。

そして中途社員に対しては、システムから送られるアンケートに回答してもらいます。上司との関係やチーム内でのコミュニケーションはどうか、仕事内容について懸念点はないか、など。その返信から上司や配属先指導者は新たな課題を見つけ、随時対応していきます。こういった仕組みにすることで、中途社員が抱える不安や悩みをいち早く解決。職場適応に大きな効果を感じています。

導入前には、新しいシステムを導入することでどのような効果が得られるのかについて検討を重ねました。そこをまずクリアにしたうえで関係部署の上司に説明をしていくなどの準備を進めていきました。使い続けていくなかで、効果が少しずつ見え始めたことで、中途社員が配属されたチームの上司たちから徐々に理解を得られるようになりました。

現在、実際にHRシステムを使っている部門は、オムロングループ全体のうち3社で、すべての従業員を対象としているわけではなく、主に一般社員、配属部門のマネージャー、人事部、そして一部新入社員に導入しています。運用は入社後6ヵ月としています。

人だけでなく、会社の雰囲気も変わった。HRシステムのさまざまな効果

導入時は、狙っていた効果を得られるか不安もあったHRシステムですが、導入後に行ったアンケートでは、効果を実感しているという内容が多く見られました。具体的には、「入社してからの経過日数のなど、リマインドメールがあることで、節目を意識していくことができる」「1on1ミーティングの設定も知らせてくれるので、事前の準備ができる」などの声です。

また、中途社員が、周りとの信頼関係を構築することで、その人の能力を引き出し、即戦力として活躍してもらうことができたと思っています。相乗効果として会社の雰囲気もよりよくなり、他の社員のモチベーションの向上にもつながりました。

このようなオンボーディングを実践し、弊社ではこのシステムを導入時に「入社6ヵ月以内に中途社員に活躍実感を持ってもらう」という社内目標を立てました。この目標に対して、導入後のアンケート結果によると入社6ヵ月以内に活躍実感を持つ中途社員は30%アップしていました。入社者への活躍施策は色々と展開していますが、HRシステムの効果は見えつつあると感じています。

さらに多くの場でHRシステムを使いこなしていく ─今後の展望ー

今、社内のある部門で使用しているのが、HRシステム「MotifyHR」を使った体調管理です。もともとフィジカルだけでなくメンタルサポートも必要と考えて始めたのですが、始業時と終業時に社員一人ひとりの精神面での体調とモチベーションを報告してもらうことで、社員の状況を把握しようと試みています。

今は忙しいなかでテレワークが増え、自分自身の身体の調子や心の状態を俯瞰して確認するのが難しい場合もあるはずです。そういった際にも一見して様子がわかるように調子がよい時は笑顔のアイコン、あまりよくない時は落ち込んだ表情のアイコンで表現して、上司や同僚に伝えられることができます。互いに気にかけることで、物理的な距離をシステムが縮めてくれているような感じです。

これらはまだトライアルでの使用ですが、MotifyHRが持つ多様な機能も活用・検証しながら、弊社の人財戦略を進めていきたいと考えています。

まとめ

多くの企業がコロナ禍によって働き方に変化を強いられ、テレワークによる業務遂行、オンボーディングを含めた育成、コミュニケーションなどに悩んでいます。それら幅広い課題・問題を解決する手段のひとつが、HRシステムです。

オムロンでは、自社に合った内容にカスタマイズしたシステム、活用方法を取り入れることで、コミュニケーションの質を高め、中途社員だけではなく、社員全体のパフォーマンス向上にも繋げつつあります。

なかなか終息の兆しが見えず、対面での面談や研修が難しい今の時代ですが、HRシステムの活用で成果を上げつつある取り組みを、ぜひ多くの企業に参考にしていただければと思います。

オムロン エキスパートリンク株式会社
人財ソリューションセンタ 人財育成部
リーダ
忍海辺 実子 氏

オムロン エキスパートリンク株式会社
人財ソリューションセンタ 人財育成部
袴田 健紘 氏

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この記事を書いた人

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HR BLOG編集部

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