オンボーディング Onboarding 「新卒社員」や「中途社員」が辞めない仕組みづくり
『オンボーディング』とは、新入社員をスムーズに社内に溶け込ませ、パフォーマンスを上げさせるための一連の仕組みづくりを言います。この冊子ではHR先進国であるアメリカ企業の事例も踏まえ、人材育成のための最新のメソッドを解説。
オンボーディングの具体的な取り組み方をご紹介しています。
オンボーディング
公開日:2020.8.21
新入社員が入社して半年~1年の間に行われることの多いフォローアップ研修。フォローアップ研修は、新入社員が導入研修を受けたうえで、実際にできたこと、できなかったことを振り返る絶好の機会です。そして、研修内容を実践の場で活かし、実務のスキルを身に着けるためにも必要です。ここではフォローアップ研修の基本である意義や目的、研修内容についてお伝えします。
目次
フォローアップ研修は、入社後半年~1年くらいに実施するのが一般的です。新人社員研修後に実務につき、少し落ち着いたときに行う企業が多いようです。その理由は、大きく分けて2つ考えられます。
まず1つ目は、その教育効果の高さ。入社直後に新入社員が受ける導入研修は、会社や仕事の実態がわからない状態で行なわれるために実感が持ちにくいものです。しかしフォローアップ研修は実務経験を積んだあとに受けるので、自らの体験と照らし合わせて考え学ぶことができ、導入研修の復習にもなるので教育効果が格段に高くなります。
2つ目は、実務に慣れてきたたからこそ新しく出てくる疑問点や不安点を確認できること。入社直後に受ける研修では、仕事への漠然とした不安や心配はあるものの、まだ実務が伴っていないゆえに夢や期待が高く、やる気もみなぎっているものです。しかしいざ現場に配属され実務に当たると、不安や心配、とまどいが一気に表面化し、自信がぐらつきだします。フォローアップ研修はそういった新入社員の悩みや迷いを解消し、自信を回復させるための機会にもなります。
また、入社直後には持っていた緊張感を、しばらくすると失い始めているかもしれません。ほどよい緊張感を思い出すためにも、フォローアップ研修は有効といえるでしょう。
実施する時期は会社によって異なりますが、入社して3カ月、半年、1年後を目安に行われることが多く、実施時期によって研修内容とその目的は異なります。
早い時期のフォローアップ研修では、新入社員研修の復習がメイン。新入社員研修とセットにしている企業も多いようです。そのため、あらかじめフォローアップ研修の実施を前提に業務を行い、その成果をこのタイミングで新入社員から発表させるというケースもあるようです。
新入社員研修で学んだこと以外に、実際に行った業務の見直しや改善点などについて振り返ります。自分の働き方の何が良かったのか、ダメだったのかをアウトプットすることで、どう今後に生かせばいいのかに焦点を当てられます。入社時の研修で学んだことを復習しつつ、新しいスキルを身につけたり、自律的に仕事をこなす能力を養ったりすることが目的になる場合も多いようです。
業務にも慣れ、後輩も入社してきます。もう新人とは言えなくなるこの時期に、これまでの総復習と今後のスキルアップを踏まえた研修を行います。
そもそも人事担当者および上司がフォローアップ研修の目的を正しく理解していなければ、たとえ実施しても新入社員にとって十分な効果を発揮できないかもしれません。まずはフォローアップ研修を行う目的をしっかりと理解、共有するようにしましょう。もちろん会社によって異なりますが、主な目的として下記のようなことがあげられます。
・自分の今の状況を確認し、問題点・課題点を見つける
・仕事をするうえでの基本姿勢を再確認
・社会人として必要なマナー、知識を再確認し、さらに幅を広げていく
・実務で抱えている不安や疑問を解消する
・上記をクリアしてステップアップしていく
以上を総括すると、「心のリセットと頭のリマインド」ということが目的と言えます。そうすることで新入社員は、今までのような指示され教えてもらうだけの立場ではなく、自らが考えて行動する自律性と、スキルをもった企業人として育っていけるのではないでしょうか。
フォローアップ研修は、社内で行う場合と外注する場合があります。それぞれの利点を理解しつつ、会社の規模や業務内容によって、より効果的な研修になるように検討しましょう。
自社の会議室を用い、人事担当者、上司、先輩社員等を講師にすることで、費用を抑えられることが最大のメリットと言えます。近い立場にいる先輩が行えば、新入社員のより深い悩みを聞き出せるかもしれません。また、全国各地に社員が散らばっているような企業でも、Web会議ツールやチャットツール等を用いれば、一律にフォローアップ研修を受けられます。
準備などの手間がかからないことが大きなメリットです。研修・セミナー専門の会社に依頼すれば、その会社で蓄積したノウハウを生かした、効率的な研修を受けることができるでしょう。公開研修であれば、他社社員と交流する機会にもなります。外部の人とコミュニケーションを取ることで、自社のことを客観視できたり、視野が広がったりすることも期待できます。
昨今のコロナ禍においては、フォローアップ研修の方法を変化させる必要がでてくる企業もあるでしょう。上記の点などを踏まえ、Withコロナ時代に適した方法を探りましょう。
フォローアップ研修は、新入社員の振り返りの場であり、スキルアップの場でもあります。新入社員の1年後、3年後、5年後、どのような人材に育成すべきかを明確にしたうえで、新入社員研修からフォローアップ研修、その後まで一貫した教育プログラムの構築を目指しましょう。
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