オンボーディング Onboarding 「新卒社員」や「中途社員」が辞めない仕組みづくり
『オンボーディング』とは、新入社員をスムーズに社内に溶け込ませ、パフォーマンスを上げさせるための一連の仕組みづくりを言います。この冊子ではHR先進国であるアメリカ企業の事例も踏まえ、人材育成のための最新のメソッドを解説。
オンボーディングの具体的な取り組み方をご紹介しています。
オンボーディング
公開日:2019.9.9
新入社員が十分なパフォーマンスを発揮できるようになるために、重要な期間は「入社後90日」といわれています。即戦力採用だとしても、会社のカルチャーになじむには時間が必要でしょう。また、近年は入社前後のギャップにより早期離職をしてしまう人も少なくありません。
採用した社員を定着させ、有力な戦力になってもらうために会社ができることが「オンボーディング」です。
目次
オンボーディングとは、新入社員を会社の一員として定着させるためのプロセスのことを指します。
会社のカルチャーにスムーズに慣れてもらうことで、早期離職を防ぎ、採用コストを引き下げる目的があります。
オンボーディングの対象には、新卒社員の他、内定者や中途採用者、出向者や若手社員など含まれます。
新入社員が早期離職してしまう理由としてあげられているものが、以下の「5つの壁」です。
それぞれの壁に直面する間には、3つの時期を経ます。これを「モチベーションカーブ」と呼びます。
ハネムーン期:モチベーションが高まる期間
カルチャーショック期:5つの壁によりモチベーションが徐々に下がる期間
学びの時期:会社に慣れはじめ、安定し始める期間
1つ目の壁は「準備の壁」です。Googleが社内で調査した結果によると、入社初日に新入社員の受け入れ態勢をしっかりと整えて準備しておくと、3カ月以内のパフォーマンスが30%上がることがわかったそうです。
チームやマネージャーなど、受け入れ側の準備がおざなりであることが、早期離職につながってしまうのです。
2つ目は「人間関係の壁」です。職場の人間関係は、会社に馴染めるかどうかを左右する大きな要因です。
新入社員には、誰がどの部署で、どういった仕事をしているのか、困ったときには誰に質問をすればいいのかがまったくわかりません。自己紹介の時間を設けるだけではなく、面談やランチのセッティングを通じ、会社側が歓迎するムードをつくることも大切です。
3つ目は「期待値の壁」です。会社が掲げているミッション、新入社員に求める業務内容や成果と、新入社員側の入社意図とのすり合わせを行っておきましょう。
ここのギャップが大きくなればなるほど、早期離職につながってしまいます。
4つ目の壁は「学びの壁」です。業務内容や、それに関係する知識やスキルを学ばなければならないのはもちろんですが、会社の仕組みや社風、カルチャーや価値観など、新入社員が把握しておくべきものは多くあります。
OJTやOFF-JTを取り入れながら、実地的に教えていきましょう。そのためには、受け入れるチームの事前準備も必要です。
5つ目の壁は「成果の壁」です。成果=アウトプットとしてもよいでしょう。入社から間もない時期は、まだ自分ができているところや改善すべきところ、改善方法が本人にはわからない部分があります。
そうしたとき、「仕事ができない人」だと決めつけてしまうのではなく、早い段階で小さな成功体験が積めるようにフィードバックできる環境を整えましょう。孤立させないことが大切です。
マサチューセッツ工科大学がつくっているオンボーディングのプロセスから、日本の企業が導入できる要素をチェックリストにしました。
※まとめておきたいもの一覧
中途社員や出向社員向けのオンボーディングでは、以下の3つのステップを押さえておきましょう。
上記のステップを実現するには、以下の5つのポイントを上司と話すことが大切です。
中途社員が思うキャリアパスと上司が期待する役割とに大きなギャップが生まれないよう、きちんと確認しておきましょう。
人材不足が叫ばれるなか、せっかく採用した社員に定着してもらうことは採用コストを下げる面においても重要です。
長期的な戦力となってもらえるよう、適切なオンボーディングを行っていきましょう。
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