オンボーディング Onboarding 「新卒社員」や「中途社員」が辞めない仕組みづくり
『オンボーディング』とは、新入社員をスムーズに社内に溶け込ませ、パフォーマンスを上げさせるための一連の仕組みづくりを言います。この冊子ではHR先進国であるアメリカ企業の事例も踏まえ、人材育成のための最新のメソッドを解説。
オンボーディングの具体的な取り組み方をご紹介しています。
パフォーマンス管理
公開日:2021.1.25
働き方が多様化するなか、フィードバックの重要性が注目されています。しかし、その意味を理解し、適切に対応できていないケースもあるようです。フィードバックの意味や効果、正しい方法をご紹介しましょう。
目次
フィードバックとは、もともと工学的に使われている言葉で、「結果を与えて電子回路などの出力を増大・減少させること」を意味する用語。ビジネス用語としては、「相手の行動によってもたらされた結果や評価を本人に伝えること」を意味します。簡単にいうと、振り返りのためのアドバイスのことです。その主な目的は人材育成や組織力強化であり、正しいフィードバックは企業に多くのメリットをもたらします。
フィードバックには、前向きな言葉で相手の良い点を伝えつつ改善点も指導する「ポジティブ・フィードバック」と、否定的な意見を伝えてハングリー精神を引き出す「ネガティブ・フィードバック」があります。
部下の育成や成長を期待するならポジティブ・フィードバックが効果的。リーダーのように主体性が求められるポジションの相手なら、ネガティブ・フィードバックも効果的です。しかし相手をよく見極めなければ、せっかくのフィードバックが逆効果になる可能性もあるため注意しましょうい。
正しいフィードバックによって得られる効果には、次のようなものがあげられます。
ポジティブ・フィードバックとネガティブ・フィードバックのどちらも上記効果を期待できることがわかっていますが、相手を肯定するポジティブ・フィードバックのほうが効果は高いといわれています。
フィードバックによってより高い効果を引き出したい場合は、次のポイントをおさえましょう。
お互いの信頼関係が築かれていることで、フィードバックされる側は内容を受け止めやすくなります。もしもネガティブな内容であっても、「自分のために話してくれている」と肯定的にとらえられれば、フィードバックの効果は上がるものです。そのため、よいことも悪いことも話し合えるよう、日ごろから積極的にコミュニケーションをとるよう心がけましょう。
フィードバックが必要だと判断したら、できるだけ早いタイミングで伝えましょう。タイミングが遅いと状況が変わってしまったり、相手の記憶もあいまいになったりしてしまい、効果が薄れてしまうことも。そうするとフィードバックの内容に具体性がなくなります。せっかくのフィードバックの効果が薄れてしまうかもしれません。
能力とあまりにかけ離れたフィードバックでは、相手は「自分には無理」「何を言われているかわからない」と受けとってしまう可能性があります。相手の能力を加味し、理解しやすい言葉でフィードバックを行うようにしましょう。
すでに信頼関係が築けていて、相手にハングリー精神があれば、ネガティブな言葉も効果的に届きます。しかし、そうでない場合はネガティブな言葉が相手のモチベーションを下げてしまう可能性もあるため、フィードバックの際は慎重に見極めて適切な言葉を選びましょう。
また、フィードバックの内容が曖昧で本来伝えたいことが伝わらない、行動に移せないということも考えられます。できるだけ具体的に伝えることを心がけてください。
フィードバックは一度行って終わりではありません。指摘した内容に基づいた行動ができているかをチェックし、できていない場合はさらにフォローをすることも忘れないようにしましょう。フィードバックに基づいて正しく次の行動ができれば、フィードバックの効果はより高くなると期待できます。
フィードバックをしているにもかかわらず、効果が出ないと感じている場合は、フィードバックの仕方が間違っているのかもしれません。間違った例をあげてみましょう。
他人の前でネガティブ・フィードバックをすると、いくらそれが正しいフィードバックでも相手に恥をかかせることになってしまいます。周りが気になってしまうと言葉もしっかり入ってこないでしょう。相手を指摘する内容であれば特に、別室に呼び出したり個別面談の場を設けたりするようにしましょう。
また、チーム全員にフィードバックをする場合は、責任転嫁やモチベーションの低下につながらないよう注意が必要です。
主観的な内容のフィードバックは説得力がなく、相手を混乱させます。できるだけ客観的なデータを用いてフィードバックを行うようにしましょう。
主観的な内容を伝える場合は、一つの意見として受け取ってもらえるよう「私の個人的な意見だけれど…」などの前置きをしたうえで話をするとよいでしょう。
感情的な指摘はパワハラになりかねません。たとえそんな意図はなかったとしても、そう受け取られてしまう可能性があるのですす。フィードバックの場がダメ出しや相手を否定するだけの場にならないよう、冷静にアドバイスとなる言葉を選びましょう。
また、フィードバックを受けた相手が反省モードになっている状態でネガティブな言葉を重ねると、相手を追い詰めることにもなりかねません。ネガティブ・フィードバックをする場合は特に注意が必要です。
新入社員に「顧客のニーズを的確につかめ」といっても、何をどうしていいのかわかりません。「相手の話をしっかり聞こう」「次回のアポイントにつなげよう」など、フィードバックする相手の能力にあった内容を具体的に伝えるようにしましょう。自分にできることは相手にもできる、と思ってはいけません。
フィードバックの目的がわからなければ、相手は否定されていると感じ、傷ついてしまう可能性があります。心の準備ができておらず状況が呑み込めなければ、フィードバックの言葉もしっかり届きません。何のためにフィードバックするのかを伝えたうえで話をスタートさせましょう。
また、フィードバック後は、フィードバックの内容をしっかり理解できているか、行動に移せているかもチェックしましょう。
ビジネスシーンで注目されているフィードバックは、モチベーションやパフォーマンスの向上など多くのメリットをもたらします。しかし、より高い効果を発揮するためには適切なフィードバックを行うことが必要。ご紹介したポイントを参考に、効果的なフィードバックを取り入れてください。
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