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MBOとは何か?導入の必要性と運用するうえで気を付ける点について

公開日:2021.1.12

企業を経営していくうえで知らなくてはいけないことの一つに、MBOというものがあります。MBOはアメリカで始められた企業の管理方法。現在は日本における従業員数300人以上の企業の9割近くが導入していると言われています。

この記事ではそもそもMBOとは何かを改めて解説し、そのメリットや導入する際の注意点などを取り上げます。

そもそもMBOとは

解説するにあたって、まずはMBOとは何なのかをご説明しましょう。MBOとは英語のManagement By Objectivesの略。日本語に訳すと「目標によるマネジメント」という意味です。

MBOは経営陣買収(Management Buy-Out)の略としても使われていますが、ここで説明するのは「目標によるマネジメント」としてのMBO。わかりやすく言えば、企業の従業員が自分の達成すべき目標を自分で掲げて自ら管理する方法です。

今までの企業内の目標管理で一般的なものとしてノルマ管理がありますが、MBOとノルマ管理は大きく異なります。ノルマ管理では上司が部下の業績を管理することになります。一方、MBOは上司が部下の目標を強制的に管理する方法ではありません。目標の設定からその実行まで、基本的に一従業員に委ねられると言ってよいでしょう。しかし、MBOでは上司と部下よりコミュニケーションを深める必要があります。

たとえば、営業職として1億円の売上を達成するという目標があった場合、そのまま数字だけを捉えると達成が難しく感じられるかもしれません。しかしその目標を達成する手段として、まずは市場を調査して売れ線の商品に的を絞ることで、やみくもに1億円の売上を達成しようとするよりは達成できる可能性は高まります。また別の方法として部下を指導して部署としての営業力を上げようという方法もあります。

MBOでは上司と部下がコミュニケーションを重ね、目標を出し合います。そしてその目標を評価して目指すべき課題を決定、それに向けて業務を遂行していくのです。そして期末に再度上司と部下が話し合う日を設け、目標の達成度により給与を決定します。

また、経営陣も従業員の目標やその達成度を見て、組織目標の評価や修正を行います。MBOで重要となるのは、上層部が強制するのではなく、コミュニケーションによって従業員の行動を促し、モチベーションを上げていく点です。

MBOを提唱したピーター・ドラッカー

MBOを最初に提唱したのは、オーストリアのウィーン出身の経営学者ピーター・ドラッカー(1909年~2005年)です。ドラッカーは経営におけるマネジメントの必要性を世界で初めて提唱した人物。そのため、「マネジメントの父」とも呼ばれています。ドラッカーは少年期から社会の仕組みとマネジメントに興味を持っていたそう。その後、1937年にアメリカに移住してから発表された初の著書『経済人の終わり』は、当時のウィンストン・チャーチル英国首相に絶賛されました。1943年からは大手自動車メーカーGMの経営調査を始め、本格的にマネジメントの研究に没頭していくことになります。

MBOは、1954年のドラッカーの著書『現代の経営』で提唱された、彼の集大成とも言える理論です。この著書のなかでドラッカーは、「MBOの最大のメリットは支配マネジメントを自己管理マネジメントに変えることだ」と述べています。これによって従業員はベストを尽くす意欲が生まれるとも書いています。

ドラッカーはニューヨーク大学などアメリカの主要な大学で教鞭をとり、生涯で膨大な著書を残しました。アメリカの経済の発展はドラッカーなしには有り得なかったと言えるかもしれません。イギリスのマーガレット・サッチャー元首相、GEのジャック・ウェルチなど、ドラッカーの影響下にあった指導者も多数います。

ドラッカーは1959年に初来日して以来の親日家で、日本画のコレクターとしても有名でした。ソニー創設者の盛田昭夫やユニクロ社長の柳井正など、日本にもドラッカーの影響を公言する経営者は多く、日本経済にも大きな影響を与えたのです。

MBOを導入する企業は増えている!その理由について

日本でもMBOを導入する企業は増えてきています。日本で導入される背景としては、やはりアメリカで広まってきたことが要因としてあげられるでしょう。ピーター・ドラッカーがMBOを提唱した著書『現代の経営』が世に出たのが1954年のことでした。

その後1960年代に入ると、このMBOは全米の企業に爆発的に広まっていきます。その過程では効果を疑問視する声も生まれましたが、1980年代頃にはアメリカの企業経営においてMBOはスタンダードな手法となっていました。このアメリカの動きを受けて、日本企業がMBOの手法を取り入れ始めたのも1960年代頃です。

しかし、実際に日本でMBOを取り入れたのは大手企業のごく一部で、これらの企業もMBOを人材育成やモチベーション向上のためのプログラムの一環して導入したにすぎず、アメリカの企業のようにMBOが昇格・給与制度に反映されるようなケースは見られませんでした。

MBOが日本で本格的に導入され始めたのはバブル崩壊後の1990年代のこと。当時の日本企業はバブル崩壊という経済の失敗に対して新しい方法を模索しており、特にそれまでの日本企業の考え方を支配していた年功序列制度には疑問を唱える声があがりました。

当時の日本企業の従業員のなかには、横並びの給与制度に対しての問題意識がありました。実績が給与に反映されるMBOの考え方は広く支持され、日本企業に広まることになります。2013年時点で日本企業の88.5%がMBOを導入しているというデータもあります。

MBO導入を考えているのなら知っておきたいメリットについて

このように日本企業でも大きく広まってきているMBOですが、導入した際の実際のメリットについて見てみましょう。

  1. 目標及び成果が分かりやすいので評価が容易である
  2. 従業員のモチベーションが上がる
  3. 人材育成になる

次にそれぞれについてもご説明します。まず、MBOでは目標設定の際にその目標の達成基準も明らかにするので、上司や上層部は従業員の達成率によって明確に評価をすることができます。評価基準が明らかになっていれば従業員の間でも不満が減り、給与差にも納得がしやすくなります。

またMBOでの目標管理は、従業員のモチベーションが上がりやすくなります。従来の日本企業では上司から目標を突きつけられ、その達成に向けてプレッシャーをかけられることが頻繁にありました。自分の望みではないことを押し付けられ強制的にやらされると、モチベーションはどうしても下がってしまうものです。

MBOにおいては自らが達成すべき目標を考えることになり、また上司からその達成についてプレッシャーをかけられることもありません。自ら決めた目標に向かって取り組むことは、その業務に対しての関さらや意欲を高めるのです。

さらに、MBOは自然な形での人材育成にもつながります。まずMBOでは自分の目標を自分で掲げてそれに向けて努力しなければなりません。上司に頼る場合と比べて、自己判断力や自己統制力が身に付きやすくなり、MBOでは頻繁にコミュニケーションを取ることになるため、コミュニケーション能力の上達にもつながります。

MBO導入は早まらないほうがよい?導入の課題をチェック

このように企業経営の新しいスタンダードとなりつつあるMBOですが、問題点も指摘されています。デメリットとしては、使い方次第で単なるマネジメント管理のツールに成り下がってしまう点です。

MBOでは上司と部下の質の高いコミュニケーションが不可欠とされます。しかしすべての企業で適切に行われるとは限りません。時間的な問題や部署内での人間関係などによって、コミュニケーションが適切に行われない可能性もあるでしょう。こういった場合、MBOはルーティン作業と化してしまう可能性があります。

こういった場合、上司は細分化された目標を部下に押し付けてしまうといった問題が発生します。MBOを導入しても結局は一方的にノルマを与える従来のやり方と変わらなくなってしまうでしょう。これでは部下のモチベーションは当然上がりません。

またMBOにおいて、上司と部下がコミュニケーションを行っていくには長い時間が必要となります。忙しい業務の合間では、その時間を設けること自体が苦痛になってしまう場合も。しかしコミュニケーションを行わない限りはMBOを適切に機能させることは難しいのです。

導入をするなら効果的に活用をする方法

このようにMBOはその実行方法を間違えると圧力的な管理体制となってしまいます。そのならないためのポイントを最後にあげましょう。MBOを効果的に導入するためにはプロセスを踏む必要があります。

まずはMBO導入の目的を企業として明らかにすること。MBOを導入する背景や理由が分からなければ、従業員も積極的になれないでしょう。MBOの導入目的を周知させることができたら、まずは企業としても目標を掲げて浸透させる必要があります。企業の目標が明らかになることで初めて、従業員は個人の目標設定ができるのです。

次に、上司はその目標について部下とコミュニケーションを持ちましょう。その目標が企業の目標と合っているのか、また目標が能力に相応しいものになっているか、話し合ってじっくり検討する必要があります。上司と部下の間で目標の確認がなされたうえで、初めてその計画が実施されます。

MBOにおいて、その目標の遂行は従業員の主体性によって行われます、しかしここでも上司との意思疎通が必要。目標の遂行は目標の設定(Plan)、計画実施(Do)、状況確認(Check)、改善行動(Action)というPDCAサイクルで行われます。このそれぞれの段階でコミュニケーションを取る必要があります。

上司の立場としては部下とコミュニケーションを取る以外に、日誌のチェックなど部下の動向を常に気遣わなければなりません。業績について評価をする時はよかった点と反省点のフィードバックをするようにしましょう。反省点として出された課題について、上司や上層部がサポートをしていくことも重要です。

まとめ

この記事では、経営学者ピーター・ドラッカーが提唱した企業管理の方法であるMBOについて解説しました。MBOはアメリカを始め全世界の企業の発展に貢献してきた経営理念だと言えるでしょう。しかしその際にコミュニケーションが取れていないと従来の圧力的なマネジメント管理に成り下がってしまう危険もあります。

これからMBOを取り入れようと計画している企業もあるかと思います。その場合、企業の全体目標や従業員間のコミュニケーションを重視して導入することをおすすめします。

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この記事を書いた人

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HR BLOG編集部

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