リクルーティング
新卒採用の成果を上げる効果的なPDCAサイクルとは
公開日:2018.10.31

新卒採用を取り巻く環境は常に変化しています。変化に合わせて採用手法を一新していくことも大事ですが、自社の行った毎年の採用活動をきちんと振り返り、課題を捉え改善していくことが何よりも重要です。
本記事では、新卒採用におけるPDCAの立て方やポイントをまとめています。新卒採用ならではの「C=検証、チェック」の仕方を理解し、よりよい採用サイクルを確立していきましょう。
目次
実例で理解する新卒採用戦略のPDCAサイクル
PDCAサイクルとは、
- P(Plan):計画を立てる
- D(Do):実行する
- C(Check):検証する
- A(Act):その次の計画に活かす
を繰り返していく、ビジネスにおける管理手法です。
生産管理や品質管理を行う現場ではよく用いられている手法ですが、それ以外の業務においても現状を改善するために役立ちます。
採用活動もこのPDCAを当てはめて考えることができます。計画、実行、検証を経て次年度の採用活動をよりよいものにしていくことは、会社の採用力の底上げにつながるでしょう。
たとえばある会社では、次のようにPDCAサイクルを回して採用実績を積み上げていきました。
実例を紹介します。
前年の課題
・営業系と事務系の2職種を募集したが、そもそも営業系への応募が少なかった
・営業志望の学生がいたとしても自社が求める営業マインドを持つ学生が少なかった
採用計画で見直したところ
・採用に関するwebページを一新し、営業系の文言を増やし事務系職種は削除した
・職種により訴求ポイントを変えるため、それぞれで異なるランディングページを作った
・自社が求める人物像に近い学生を引き込むためのキャンペーンとして、経営層と1対1で面談できる機会を特別に企画した
・より多くの学生にリーチするため、SNSを活用した
実績と検証
・採用したい人物像に近い学生からのアクションが増えた
・SNS戦略で、多くの学生に企画したキャンペーンを知ってもらうことができた
・多くの学生との面談の機会を持てたことで、学生の考えや自社イメージなどを聞くことができた
この会社は、ターゲットを明確にした採用計画を立て、狙い通りの学生たちとの接点を持つことができたという点において、PDCAサイクルが功を奏したよい実例といえます。
もともと採用におけるPDCAサイクルの文化を持ち合わせていたことで、検証からの素早い改善や実行ができたという側面もあります。
今まで採用にPDCAを取り入れてない場合、1回の「C=検証」で目標を達成するのは難しいかもしれません。そのため、採用担当者はまずは的確な検証をするための視点を持たなければいけません。
採用担当者が持つべき「C=検証」のための3つの視点
前述の通り、うまくPDCAサイクルを回す肝は「C=検証」にあります。特に新卒採用は中途採用と異なり、毎年同じ時期に行われますし、目標は常に「採用」なのでPDCAは回しやすいはずです。よりよい改善策を打ち出すために必要な検証の視点は、以下の3つにまとめられます。
- 振り返りでは、そもそもの目的から検証する
- エビデンスに基づいて論理的に考える
- 実感値も加味して論理的に推測する
ひとつずつ詳しく解説します。
1.振り返りでは、そもそもの目的から検証する
採用を終えて振り返りの検証を行う際、多くの場合が「どういう経緯をたどったか」「どうしてその結果が出たのか」という「How」の視点から検証しがちです。それよりも当初の目的に立ち返ることが大切です。
たとえば、「採用成功」したかどうかを確認するのではなく、自社における採用成功とは「3月までに10名の新卒者を確保すること」なのか、「内定辞退率を50%にとどめること」なのか、より具体的な目的を明確にし、チェックすることが必要です。
採用の目的から見直し、採用のプロセスの中でつまずいた点や改善できる点がないかを検証していくことが、ブレない検証へとつながります。
2.エビデンスに基づいて論理的に考える
応募数や選考ステップごとの合格者数、アンケート結果、そして人材紹介会社などが公表している統計データなどの情報をもとに、自社の採用活動を客観的に振り返ることも大切です。
業界内で学生に人気の会社はどのような採用活動を行っているか、採用開始のタイミングはどうだったか、入社説明会参加者と実際の入社エントリー数はどう関係しているかなど、採用マーケティングのデータ分析をすることで課題が見え、改善策を考えることができるでしょう。
3.実感値も加味して論理的に推測する
エビデンスをもとに論理的に考えるだけでは、データの不備があった場合にすべての課題解決ができないこともあります。そのため、採用担当者の実感や常識的な見解から論理的に想像していくという作業も必要になります。
たとえば、自社の内定辞退率と世間一般の内定辞退率のデータは取ることができても、自社の内定をどうして辞退したのか明確なデータは取りづらいでしょう。その場合、SNSで見かけた学生のコメントから推測したり、まったく別の学生調査データをつなぎ合わせて想像する力が必要になってくるのです。
新卒採用の「C=検証」を行う際は、以上の3つの視点を意識することが、素早く課題を見つけて改善へとつなげていく重要な要素になります。
採用活動を成功に導くためのPDCAサイクル運用法
では、実際の新卒採用活動にPDCAサイクルをどのように落とし込めばよいでしょうか。
採用というのはいくつものプロセスを経て成り立つ長期的かつ大きなプロジェクトです。いきなりPDCAを当てはめて運用するのは難しいこともありますので、以下のように業務を細分化することからスタートしてはいかがでしょうか。
たとえば、
- ・採用webサイトの制作
- ・会社説明会
- ・書類選考
- ・面接
- ・採用通知
- ・内定後のフォロー
といった具合に、入社までのプロセスを区切り、それぞれで担当者がPDCAを回していく手法です。
内定の連絡から入社までの間に辞退者が出てしまったのであれば、リクルーター制度を導入して学生のメンタルケアをするなど、業務を細分化することで課題が明確になり、対策がとりやすくなります。
その後は、採用プロジェクト全体を管理するPDCAサイクルへと移行させます。また、採用プロジェクトのゴールは内定を出すことではなく、入社後も活躍してくれる社員を採用することであるため、入社後の社員の活動を数年がかりで検証する必要が出てきます。その年の採用スケジュール全体をPDCAで管理できるようになったら、採用方法やその後の社員の活躍まで採用戦略を広げてしっかり見ていくとよいでしょう。
まとめ
毎年のように新しい採用手法が確立され、採用関連のサービスが数多くリリースされている昨今。そうした状況に振り回されることなく、うまく活用しならが会社としての採用力を上げていくためには、常にPDCAサイクルを回していくことが重要です。
目標を明確にし、課題を見つけて改善していく。そうして採用のための基盤を築いた上で、新たなチャネルや新しい価値観を積極的に取り入れていくことで、自社にとって最適な採用方法を確立していけるはずです。
この記事を書いた人
