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さまざまな社会背景から1980年代にアメリカで生まれた「ワーク・ライフ・バランス」という言葉。日本でもバブル経済崩壊後の1990年代から注目され始めました。経済の停滞とともに雇用も変化し、働き方も多様化していったのです。そのなかで、働きながら生活の充実やゆとりを意識することも多様化の1つとして捉えられ、2000年代に入ると政府からもワーク・ライフ・バランスに関する指針が出されるようになりました。しかし現実には、まだまだ仕事と生活のバランスを取るのは難しく、特に共働きや子育て中の家庭では、家事負担で苦しむ女性も多く存在します。

そういった社会的な課題を受け、生活に本当のゆとりをもたらそうと、暮らしを楽しむための情報発信を行っているのが「ゆとりうむプロジェクト」です。今回は理事長・筒井淳也教授に、ワーク・ライフ・バランスの本来の意味やゆとりうむプロジェクトとしての取り組み、社会的な課題や解決方法、HR領域との関係性についてお話を伺いました。

【プロフィール】
ゆとりうむプロジェクト理事長 筒井 淳也氏

立命館大学産業社会学部教授、一橋大学大学院社会学研究科 博士後期課程・博士(社会学)、内閣府少子化社会対策大綱検討会委員、日本家族社会学会理事、京都市男女共同参画審議会会長、八尾市男女共同参画審議会会長、草津市男女共同参画審議会会長などを歴任。
主な著書に『仕事と家族』(中公新書)、『結婚と家族のこれから』(光文社新書)など。

仕事と家庭生活を両立させるだけではない、本来の「ワーク・ライフ・バランス」とは

――今日はよろしくお願いいたします。最初にゆとりうむプロジェクトの成り立ちや事業内容、ご自身の自己紹介をお願いいたします。

よろしくお願いいたします。

ゆとりうむプロジェクト」は、家庭生活に焦点を当て、人々の生活にもっと楽しさとゆとりをもたらす方法を発掘し、情報発信して行きたいという背景で発足しました。

世界的に見ても、日本は特に家庭での家事負担が重いのをご存知でしょうか?夫婦共働きが増え、育児と家事をこなしながら仕事をする女性が増えています。にもかかわらず、「家事や料理の時短は手抜き」と罪悪感を持ち、無理をしている人まで。そこで、多くの企業に賛同いただき、「家事ハック」「時産レシピ」など、ゆとりある生活のためのアイデアや情報を、WebサイトやSNSを通して広めています。プロジェクトに参画しているのはファイナンシャルプランナーや料理研究家、ジャーナリストなど、多方面の専門家たちです。私自身は社会学者として家族社会学や計量社会学を専門としており、研究のなかで働き方や家族の在り方などの調査を行ってきました。それらをゆとりうむプロジェクトで活かせるよう、さまざまな取り組みを行っています。

――ありがとうございます。ではまずは「ワーク・ライフ・バランス」の基本について教えていただけますか?また、「ワーク・ライフ・インテグレーション」「ワーク・アズ・ライフ」など、類似する言葉との違いについてもぜひ教えてください。

「ワーク・ライフ・バランス」という言葉自体はよく耳にするという方も多いと思います。仕事と生活のバランスを取り、両立させていこうという考え方です。しかし、単に両立できたとしても余裕がない、生活に楽しみがないという現実もあります。または仕事こそが人生という方もいらっしゃるでしょう。つまり、仕事も生活も自分の好きなように楽しみたいというのが多くの人の理想ではないでしょうか。

「ワーク・ライフ・バランス」に類似する言葉として、「ワーク・ライフ・インテグレーション」や「ワーク・アズ・ライフ」などがありますが、専門用語として明確に区別・定義されているものではなく、捉え方も人によって多少違いがあると思います。これらはあくまで概念であり、その人が必要とする考え方を選んでいけばいいのです。

「ワーク・ライフ・バランス」については2007年に内閣府が「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」を発表し、指針や数値目標なども掲げられています。ただ、これがすべての人に当てはまるわけではなく、個人の望むバランスに近づけられることが重要だと考えています。専門的に言うと、仕事と家庭生活が互いの邪魔をしてしまう状態を指す「ワーク・ライフ・コンフリクト」という言葉があるのですが、この「ワーク・ライフ・コンフリクト」がない状態、というのが理想的な状態と言えるのではないでしょうか。

労働時間を減らすための時短ではなく、暮らしのなかに楽しさをもたらす時間を産む「時産」という考え方

――ゆとりうむプロジェクトが考える理想的な「ライフ」の定義などがあれば教えてください。

ゆとりうむプロジェクトは、共働き夫婦や子育て世帯など、働きながら「自分の生活を楽しむ時間が欲しい」と考えている人に向けて、活動を行っています。ワークとライフという言葉の範囲をどう定めるかは難しい部分がありますが、人によって定義は違っても「自分のための自由な時間を充実させていく」というのが、ライフにおいて一つの理想形です。家事をしてもいいし、趣味に使ってもいい。私たちはその時間を産みだす方法を模索したり、家事・育児が楽しいものになるようクリエイティブ性を加えたりする方法を発信しています。

――家事の工夫などをはじめとした生活の「ゆとり」は、円満な家庭生活にもつながるかと思います。具体的にはどのような「ゆとり」が必要でしょうか?

ここ数年はコロナ禍で在宅時間が増え、それまでは夫婦別々に過ごしていた時間も一緒にいることが多くなったという家庭が増えたのではないでしょうか。そうすると夫婦の距離感に変化が起き、衝突が多くなってしまう場合があります。そうした状況を回避し円満な家庭生活を維持するためには、「時間的なゆとり」を意識することや、家庭内であってもお互いに一人で過ごせる場を設けるなどの「空間的なゆとり」、互いの価値観を押し付けすぎない「心理的なゆとり」の3つが鍵となるでしょう。

――ゆとりうむプロジェクトが推奨する、施策の具体例を教えていただけますか?理想的な「ゆとり」を生み出す方法について、ぜひ教えてください。
ゆとりうむプロジェクトの施策の一つに、ラップやフリーザーバッグを販売する企業と提携して進めている「冷凍貯金(※)」というものがあります。


※参考:旭化成ホームプロダクツ「サラン&ジップで冷凍貯金」
https://ahp-web.jp/reitou-chokin/

これは肉・魚・野菜・おかず・下味冷凍(※)などを冷凍ストックすることで、忙しい日の調理時間やメニューを考える負担を減らそうというもの。協賛企業の公式サイトでは冷凍する際の保存テクニックやレシピを公開しています。冷凍というと冷凍食品などの既製品も多く販売されていますが、手作りすることで家族の好みやアレルギーにも対応でき、時間があるときに冷凍しておくことで時間と心にゆとりが生まれ、さらに節約にもつながるという取り組みです。

また、このようなテクニックを公募して広める取り組みもしています。それが「家事ハック大賞」です。たとえば、食器をもとの場所に戻すといった些細なことのように、価値観や習慣の違いによって労働として認識されていない家事があります。でも、誰かがやらなければいけない。それを私たちは「名前のない家事」と呼んでいます。「家事ハック大賞」では、こうした名前のない家事を解決する優れたアイデアをさまざまなご家庭からご紹介いただきました。2022年には300件を超える応募が集まり、多くのメディアからも注目されました。
※参考:ゆとりうむプロジェクト「【前編】家事ハック大賞2022結果発表! ~グランプリ・部門賞編~」
https://yutorium.jp/case-study/29/

――一般家庭の優れたアイデアを世の中にも共有できる仕組みは素晴らしいですね。これからは各個人はもちろん、企業も「ワーク・ライフ・バランス」について考えるべき時代だと思いますが、具体的にはどのような影響をもたらすのでしょうか?たとえば、従業員エンゲージメントとの関係性についてはどうお考えですか?

そうですね。時代が変化し、時間をかければいい仕事ができるという考え方は過去のものになっています。さらに共働きが当たり前になり、家事・育児などの負担を抱えている人も多いはずです。そういった状況を企業や人事部が理解しておかないと、従業員のエンゲージメントにマイナスの影響を与えるでしょう。大企業では、すでに転勤などについても安易に行わないという風潮が広まっています。そうした社会の変化を受け、企業として従業員によってさまざまな家庭環境があるということを大前提とし、人事制度の見直しや企業文化の改革などを行っていく必要があるでしょう。

ワーク・ライフ・バランスとHR領域の関係性とこれから

――国内外において、ワーク・ライフ・バランスに対する考え方や行動は今後どのように変化していくと思われますか?

労働時間を圧縮していこうというのは世界的な動きだと思います。特に長時間労働の人たちの時間を短縮し、できるだけ働きやすい条件へとある程度平均化していくという流れになっているのではないでしょうか。特に海外では1時間だけ業務から抜けたり、急な休みが取りやすかったりと、働き方の自由度や裁量が日本よりも進んでいると思います。もちろんすべての企業ではありませんが、私事に対する理解度も日本と違うのです。

――女性のキャリアにおけるワーク・ライフ・バランスの捉え方は今後変動していくと思われますか?

これはすでに変わってきているのではないでしょうか。女性も「稼ぎ手意識」を持つようになってきていると思います。どのくらい稼ぐかという金額の問題ではなく、「自分も働いて家庭を支える存在だ」という自覚です。これまでは「奥さんが働いていても一家の大黒柱は旦那さん一人」という意識が強かったと思いますが、これからは「稼ぎ手意識」を持つ夫婦が二人で家庭を支えるというカタチが増えていくでしょう。そうすると、ワーク・ライフ・バランスに関しても夫婦が同じように家庭責任を持つことになります。どちらか一方に家事負担がかからないようにすることが大切になっていくでしょう。

――最後に、社会学の観点から見て、HR領域またはHR市場の今後をどのように予測されますか?働き方や採用・雇用形態、報酬制度、人的資本についての考え方など、ぜひ多岐にわたってご意見をお聞きしたいです。

これまでは、時間外労働を含む労働時間、職務内容、勤務地などは企業の指示が優先されてきましたが、今後は変わってくると思われます。すでに人事部の方などは意識・実感されていると思いますが、先述のように転勤などは減ってきていて、それによる労働調整の不足、業務量や労働時間の増加などの課題も出てきているでしょう。そうした課題に対して人事部がどう人事評価につなげていくのかが重要です。これまでのように業務が増えたら人を移動させる、労働時間を増やすなどの対応は難しいため、新たな対策を考えていく必要があるのです。

その対策の一つにジョブ型雇用があります。ジョブ型雇用とは、職務内容や企業が求めるスキルに対する採用で、グローバルスタンダードにもなっています。ただし、自社の課題をしっかりと理解したうえで取り入れないと、担当職務がなくなった場合や、採用した人材のスキルが水準に満たない場合などに問題が生じる可能性があります。また、成果主義との違いも把握しておきましょう。もし、人的資本の不足が問題の場合、アウトソーシングの導入もこれからの時代は積極的に検討していくべき方法かもしれません。

――ジョブ型雇用への注目、それに伴う人材の流動性はますます高まっていきそうですね。本日はワーク・ライフ・バランスについて、企業が今後目指すべき働き方、雇用、さらにはHR領域についてまで、幅広く有意義なお話を聞かせていただきありがとうございました。

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日本における「働きがいのある会社」女性ランキング発表!早稲田大学教授・大湾秀雄氏による専門家講演も https://motifyhr.jp/blog/income/gptw_woman_ranking2023/ Fri, 10 Mar 2023 08:07:45 +0000 https://motifyhr.jp/blog/?p=18895 3月8日は国際女性デー。それに先駆けて、3月2日に株式会社働きがいのある会社研究所(Great Place to Work® Institute Japan、以下GPTWジャパン)から「2023年版 日本における『働きが […]

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3月8日は国際女性デー。それに先駆けて、3月2日に株式会社働きがいのある会社研究所(Great Place to Work® Institute Japan、以下GPTWジャパン)から「2023年版 日本における『働きがいのある会社』女性ランキング」が発表されました。

本ランキングは、2021年7月~2022年9月の調査結果から同社が認定した「働きがい認定企業」のなかから、特に女性の働きがいに優れた企業を選出したもの。企業規模別にTOP5が発表されました。

2023年版 日本における「働きがいのある会社」 女性ランキング

⼤規模部⾨ (1,000⼈以上)

  • 1位:レバレジーズグループ (東京都・サービス業(他に分類されないもの))
  • 2位:アメリカン・エキスプレス (東京都・⾦融業,保険業)
  • 3位:ディスコ (東京都・製造業)
  • 4位:FPT ジャパングループ (東京都・情報通信業)
  • 5位:マネーフォワードグループ (東京都・学術研究,専⾨・技術サービス業)

中規模部⾨(100-999⼈)

  • 1位:フロンティアホールディングス (大阪府・不動産業,物品賃貸業)
  • 2位:アチーブメント (東京都・学術研究,専⾨・技術サービス業)
  • 3位:コンカー (東京都・情報通信業)
  • 4位:ナイル (東京都・情報通信業)
  • 5位:SThree (東京都・サービス業(他に分類されないもの))

⼩規模部⾨(25-99⼈)

  • 1位: Aphros Queen (東京都・サービス業(他に分類されないもの))
  • 2位:あつまる (東京都・情報通信業)
  • 3位:現場サポート (鹿児島県・情報通信業)
  • 4位:Cornerstone Recruitment Japan (東京都・サービス業(他に分類されないもの))
  • 5位:コラボスタイル (愛知県・情報通信業)

「働きがいのある会社」女性ランキングの傾向

GPTWジャパンでは、これまで世界約100カ国の企業に対して「働きがいのある会社」の調査・分析を行っています。
そのなかで、調査において一定基準を満たした企業を「働きがいのある会社」として月に1回認定。さらに、その認定企業の中から特に働きがいに優れた企業ベスト100社を、年に1回ランキング形式で発表しています。
※詳細:2023年版 日本における「働きがいのある会社」ランキング ベスト100

今回発表された「女性ランキング」は、先述の通りその認定企業の中から、女性の働きがいの観点において高いスコアを出している企業がランクインしています。

さて、最新の調査結果において気になるのが男女の働きがいスコアの差。GPTWジャパン代表・荒川氏によると、全60問の「従業員意識調査」のなかで、女性の方が高いスコアを記録した設問は8問のみだったといいます。

そのなかでも特に男女差が開いたのは仕事に対する「誇り」の設問でした。「私の仕事には特別な意味がある」と感じている女性は54.2%だったことに対し、男性は63.0%という結果になっています。

さらに、女性管理職比率が高い職場は働きがいスコア(※)も高いという相関がみられました。
(※働きがいスコア:GPTWの調査において「総合的に見て働きがいがある」という設問に対して「しばしば当てはまる」「ほとんど常に当てはまる」と回答した人の割合)

早稲田大学政治経済学術院 教授 大湾秀雄氏による専門家講演も


今回のランキング発表会では、早稲田大学政治経済学術院教授 大湾秀雄氏による専門家講演も行われました。
講演内では、男女賃金格差の主たる要因や、その格差の縮小方法についての提言がありました。男女賃金格差の要因については大きく2つあるとされます。

1つは、日本には長時間労働をすればするほど賃金が増える仕事が多いということ。さらに職が標準化されていないため、従業員・仕事の代替性が低いという問題があります。それによって仕事が属人化し、長時間労働が加速してしまうのです。

そして、「仕事」は大きく分けるとルーチンワークなどの「柔軟性が高い仕事」と、経営者・コンサルタントに代表される「柔軟性が低い仕事」の2種類があるとされます。

そういった状況において、家庭のなかで家事・育児の大部分を担っている女性は時間の制約が強いため、時間の柔軟性が高い職業につくことになります。結果、長時間労働ができる柔軟性が低い仕事についている他の女性や男性と比較して賃金が低くなる傾向があります。
このように子供を産んだ女性の所得が減ってしまう「チャイルドペナルティ」や「マザーフッドペナルティ」と呼ばれる現象は、依然としてジェンダー平等における大きな課題です。

男女賃金格差の2つ目の要因としては「ジェンダーバイアス」が挙げられます。
たとえば、能力や評価が同じ男性社員と女性社員がいたとして、性別が違うだけで異なる評価や職を与えられるようなケースを指します。
この原因の1つは「ジェンダーステレオタイプ」にあると大湾氏は指摘します。ジェンダーステレオタイプとは、特定の性別に対しての固定概念や偏見のことです。このステレオタイプに合致しない人が現れた場合、その人自身が否定され評価が下がってしまうというケースがあります。

また、ジェンダーバイアスには「統計的差別」も含まれます。
たとえば、ある企業において「女性は離職率が高い」というデータがあったとします。そのうえで、能力や評価が同じ男性社員と女性社員がいたとしても、過去のデータから投資リターンの高い男性社員の方に成長の機会を与えていくというケースがあります。これは一見合理的な判断のように思えますが、そもそもその企業が男女を平等に扱っていたら離職率は変わっていたかもしれません。このように、統計データのなかには自己成就的な側面があることを大湾氏は指摘しました。

これらの男女賃金格差の解決について、大湾氏からは「男女格差を解決するにあたり組織的責任を明確にすること」「性別職域分離やチャイルドペナルティを解決するための人事制度改革を実行すること」「ジェンダーバイアスに関する研修や管理職へのフィードバックを行うこと」「人的ネットワーク・情報ネットワークの男女格差を縮小する施策を行うこと」などの解決策が挙げられました。

大湾秀雄氏×GPTWジャパン荒川代表によるトークセッション

大湾氏の講演の後には、荒川氏とのトークセッションが行われました。以下、一部やり取りをご紹介します。

従業員のやりがいを引き出すには?

「従業員のやりがいを引き出すには?」というテーマについて、荒川氏から大湾氏へ以下のような質問があがりました。

荒川氏「我々GPTWジャパンは、『働きやすさ』と『やりがい』の2つをセットにして『働きがい』と定義しています。これまで日本企業は、女性の活躍を広げていく際に『働きやすい』労働環境の整備に注力してきたと思います。しかし、これからは『やりがい』にも目を向けないといけないと思っています。このあたりはどうでしょうか」

大湾氏「『やりがい』に影響を与える要因はたくさんあると思っています。

私は、日本企業において一番大きな問題は『自律的なキャリア形成ができない』ことだと思っています。自律的なキャリア形成ができることで、仕事に興味を持って、自分からスキルを身に着けていこうというモチベーションにつながるんですね。

それができる職場はどういうものかというと、社内のキャリアが標準化・体系化されている、可視化されているということが特徴だと思います。『あの人のようなキャリアを歩みたい』と考えたときに、それをイメージできるかどうかということです。

人事権が現場に落とされていることも重要です。採用・育成・異動いずれにしても現場社員に選ぶ権利があるという仕組みにすることで、社内に内部労働市場が出来上がります。この内部労働市場を通じたプレッシャーによって、職場をよくしていこうというモチベーションが生まれる。このプレッシャーを多くの管理職が持つことが大事ですね。

それから、社員が自分の行きたい職場を選べる仕組みを導入することですね。『自分が何をしたいのか』ということを、入社した時から長期的に考え続けることができる環境です。人事部が本人の希望を考慮することはありますが、多くの場合は人事部の都合で人が動かされています。そうなると『自分が将来何をするのか』がわからない、なかなかキャリア展望が描けない、ということになります。だからこそ、キャリア展望があれば、そのキャリアのためにどういったスキルや経験が必要かを考えて行動できるので、『働きがい』のある働き方が実現できるのではないでしょうか」

トークセッション内では「仕事の面白さ」の国際比較などのデータ解説もあり、日本企業が抱える課題が浮き彫りになりました。

HR BLOG編集部より

『働きがいのある会社』ランキングベスト100のサブランキングとして発表された今回のランキング。日本企業が抱えるジェンダーの問題や、「働きがい」の課題を改めて見つめ直すきっかけとなりました。

金融庁から発表された改正により、有価証券報告書への女性管理職比率や男女の賃金格差の記載が求められるようになりました。投資家が企業価値を見極める要素として盛り込まれたものですが、まずは従業員のキャリアを第一に考えることが重要です。さらに、管理職が率先してダイバーシティ&インクルージョンへの理解を持ち、施策の実行やKPIの可視化に責任を持つことが今まで以上に重要視されるでしょう。

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「2023年版 日本における『働きがいのある会社』ランキング ベスト100」注目が集まる「人的資本開示」への評価や基調講演の様子をレポート https://motifyhr.jp/blog/engagement/gptw_ranking2023/ Fri, 24 Feb 2023 09:01:33 +0000 https://motifyhr.jp/blog/?p=18851 2023年2月9日(木)、株式会社働きがいのある会社研究所(Great Place to Work® Institute Japan、以下GPTWジャパン)から「2023年版 日本における『働きがいのある会社』ランキング […]

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2023年2月9日(木)、株式会社働きがいのある会社研究所(Great Place to Work® Institute Japan、以下GPTWジャパン)から「2023年版 日本における『働きがいのある会社』ランキングベスト100」が発表されました。
同社が行うランキング調査の発表は今年で17回目となります。今回、HR BLOG編集部も発表会に参加。本記事では当日の様子をレポートします。

最新版日本における「働きがいのある会社」 ランキングについて

GPTWジャパンでは、従業員向けアンケートと会社向けアンケートの2種類の調査を通して、同社が定める一定水準を満たした会社を「働きがいのある会社」として月に1回認定しています。
さらに、その認定企業のなかから、特に「働きがいが高い」とされる上位100社の企業をランキング形式で年に1回発表しています。

2022年は「人的資本開示」などのキーワードが注目され、従業員の「働きがい」は企業成長にとってますます欠かせない要素となっていました。今回の調査では、去年から約100社増の634社が参加。ランキングを通して人的資本の開示を実現している企業も多いようです。実際にランクインした企業(企業規模ごとに上位10位まで)は以下の通りです。

大規模部門 (1,000人以上)

  • 1位:シスコシステムズ(東京都・情報通信業)
  • 2位:セールスフォース・ジャパン(東京都・情報通信業)
  • 3位:DHLジャパン(東京都・運輸業、郵便業)
  • 4位:アメリカン・エキスプレス(東京都・金融業、保険業)
  • 5位:レバレジーズグループ(東京都・サービス業(他に分類されないもの))
  • 6位:パーソルキャリア(東京都・サービス業(他に分類されないもの))
  • 7位:モルガン・スタンレー(東京都・金融業,保険業)
  • 8位:ディスコ(東京都・製造業)
  • 9位:マイクロンメモリジャパン / マイクロンジャパン(広島県・製造業)
  • 10位:マネーフォワードグループ(東京都・学術研究、専門・技術サービス業)

中規模部門 (100-999人)

  • 1位:コンカー(東京都・情報通信業)
  • 2位:アチーブメント (東京都・学術研究,専門・技術サービス業)
  • 3位:CKサンエツ(富山県・製造業)
  • 4位:ヤッホーブルーイング(長野県・製造業)
  • 5位:日本ケイデンス・デザイン・システムズ(神奈川県・情報通信業)
  • 6位:アドビ(東京都・情報通信業)
  • 7位:FCE Holdings (東京都・サービス業(他に分類されないもの))
  • 8位:ナイル(東京都・情報通信業)
  • 9位:グロービズ(東京都・教育、学習支援業)
  • 10位:ファイブグループ(東京都・宿泊業、飲食サービス業)

小規模部門 (25-99人)

  • 1位:あつまる(東京都・情報通信業)
  • 2位:現場サポート(鹿児島県・情報通信業)
  • 3位: バーテック(大阪府・製造業)
  • 4位: Aphros Queen(東京都・サービス業(他に分類されないもの))
  • 5位: ENERGIZE(東京都・学術研究,専門・技術サービス業)
  • 6位:湘南ゼミナールオーシャン(神奈川県・教育、学習支援業)
  • 7位: クラウドストライク(東京都・情報通信業)
  • 8位:タニウム(東京都・情報通信業)
  • 9位: ロバートハーフジャパン(東京都・サービス業(他に分類されないもの))
  • 10位: NEWONE(東京都・サービス業(他に分類されないもの))

今回の調査から見えてきた最新の「働きがい」における状況

ランキング発表後は、GPTWジャパン代表の荒川氏より今年度調査の全体傾向解説がありました。

今回の調査における参加企業の割合は、情報通信業が30%、サービス業(他に分類されないもの)が13%、製造業が11%、卸売業、小売業が11%、学術研究、専門・技術サービス業が9%。また、このうち外資系企業が40〜50%を占めていると言います。

全体概要

全体設問を通して、点数の低下が最も目立ったのは小規模企業(25-99人)郡。環境の変化に対応しようとする企業の動きが、小規模企業の従業員における「働きがい」に対してはマイナスに影響すると考察されます。
また、「従業員の性的指向や性別に関係なく正当に扱われているかどうか」という観点における「公正」に関する設問で点数の向上が見られる企業が多く、ダイバーシティ&インクルージョンの推進が進んでいると捉えられます。
反対に、「特別なことがあれば祝い合っている」「新しいことや改善への挑戦が称賛されている」といった肯定的なコミュニケーションに関する設問では低下もしくは改善幅の低さが全体を通して指摘されており、従業員の「やりがい」へのマイナスの影響が懸念されます。

前回調査との比較

前回調査から総合スコアが維持または上昇した企業とそうでない企業を比較した際、「新しいことや改善への挑戦が称賛されているか」という観点の設問において、前者の企業では大きく改善が見受けられました。従業員から経営者層への信頼と、組織全体でチャレンジを称賛する文化は、やはり働きがいを継続的に高めるポイントになりそうです。

「コロナ禍」と「働きがい」

コロナ禍(2022年1月~3月頃)におけるリモートワーク実施状況については、出社と組み合わせたハイブリッド型を選択する企業が全体の6割となっていました。そのなかで、働きがいが最も低い結果となったのは「出社が5割」のハイブリッド層。特に「公正」に関するスコアが低い傾向にあり、従業員の仲間意識の醸成や評価の基準などを見直す必要があるとの指摘がありました。

また今回の認定企業と不認定企業を比較すると、認定企業はどちらかと言えばリモートワーク中心の働き方が多く、不認定企業ではオフィス出社の割合が高いこともわかりました。

以上が全体傾向の詳細ですが、業種によって働き方・働きがいの捉え方が変容する部分もありますので、今後も自社にとって最良の選択を従業員とともに考えていく必要がありそうです。

マネーフォワード・People Forward本部 本部長 石原千亜希氏による事例企業講演


発表会のなかでは、大規模企業部門でランキングに選出されたマネーフォワードグループの石原氏による事例講演も行われました。

3カ月に一度、Cultureを最も体現しているCulture Heroを表彰するなど、カルチャーやバリューに関する取り組みが評価されたマネーフォワードグループ。創業から10年でグループ全体社員数が2,000名近くまで増え、まさに急速な成長の最中にあります。

さて、今でこそ従業員にカルチャーが浸透しているマネーフォワードグループですが、過去に策定していた「行動指針」はうまく社内に浸透しなかったと言います。
それは社員100名ほどの時代に運用していた全10項目の指針で、強いワーディングで構成されていました。しかし、それらのワーディングは社風に合ったものではなく、実際に社内で語られることも少なかったそうです。カルチャーマッチした人材を採用しようにも従業員の中で落とし込みが行われず、マインドではなくスキルに傾倒してしまったといいます。

そこで、2016年より行動指針を「MVVC」(ミッション、ビジョン、バリュー、カルチャー)として刷新。

シンプルでキャッチーな言葉に刷新することで、誰にとっても腹落ちしやすく、社風にもマッチした内容となりました。

また、同社ではその後のカルチャー浸透のための取り組みにも注力していました。今回のランキングでも大きく評価された点です。
先述したCulture Heroの表彰のほか、表彰において選出されたメンバーがナレッジを全社員にシェアする機会も創設。それによって評価・賞賛の基準が従業員に対して可視化され、公正な評価につながっているといいます。

そのほか、刷新したバリューとカルチャーについて、あえて誰にでもわかりやすい一般的なワードにしたことで解釈がぶれることも想定し、マネーフォワードグループにおける言葉の意味をかみ砕くワークショップも開催しています。

さらに、注目が集まる「人的資本開示」においては、同社の人事施策の背景・ストーリーを社内外に広める動きも実施。
特に「Talent Forward」の概念を重要視するマネーフォワードグループでは、取り組みの一例として昨年公開された「産休育休ガイドブック」がピックアップされました。これは外部にも一般公開されているガイドブックであり、マネーフォワードグループ内での制度の詳細と、実際に産休・育休を取った従業員のインタビューが掲載されています。
また、「なぜこのガイドブックを作ったか」「このガイドブックを通して従業員にどうなってもらいたいか」など、人事側(作り手側)の意見もしっかり掲載することで、人的資本開示の目的からもぶれない内容となっていました。

GPTWジャパン荒川代表×マネーフォワードグループ石原氏によるトークセッションも

同日の発表会の後半では、GPTWジャパン荒川氏とマネーフォワードグループ石原氏による対談と質疑応答も行われました。

特に注目が集まったのは、マネーフォワードグループにおける人的資本開示の取り組みの詳細。同社のように急速に規模拡大している企業でよくある悩みが、「従業員の働きがいが落ちるタイミング」にぶつかるとき。これを乗り越えるにあたっては、いかに管理職にカルチャーを体現してもらうかが重要になってきます。荒川氏から石原氏へ「実際にマネーフォワードグループではどのように管理職を巻き込んでいったのですか?」と質問が飛ぶと、まず石原氏はマネーフォワードグループの管理職の割合から話し始めました。

石原氏:「マネーフォワードグループでは、管理職の割合は従業員全体の10%程度です。前提としてマネーフォワードでは、全員がMVVCに共感して、そこに思いがある人を採用するようにしています。なのでカルチャーの体現にネガティブな人というのは基本的にはいないんですが、とはいえ何もせずに浸透するかと言われればそういうわけではないんですよね。そこですごく重要だなと思ったのが、『会社のトップがどれだけそこに注力しているか』ということだと思っております。

弊社では代表の辻の言葉を、『失敗を語ろう』という書籍にして出版しています。これは会社が創業期からどんな失敗を重ねて今に至っているかということが書かれているのですが、これだけ会社が大きくなってくると会社のストーリーを語り継げる人がだんだん減ってくるんですよね。だから、この会社は何を大事にしているのかということを、経営者の言葉でしっかり語るということが大事だと思います。

これによって、弊社の経営・管理者層と従業員の信頼関係は、他の働きがい認定企業様と比較しても高い水準を保てていると感じています。

そういう意味で、カルチャーの浸透と働きがいの醸成には管理職を巻き込んでいくことも重要ですが、やはりトップマネジメントがちゃんと言葉で発信して、朝礼などで繰り返し伝えていくということが大事ですね。最初は歯がゆそうな社員もいますが、だんだん慣れてきてみんな自分の言葉で語れるようになります。そうなるとさらに下の層へそのカルチャーを伝承できるようになっていきます」

急速拡大を続けるマネーフォワードグループ。同社における「働きがい」向上への取り組みは多くの企業の共通の悩みを解決するヒントとなりました。

伊藤邦雄氏の基調講演

ランキング受賞企業の表彰式の後には、一橋大学CFO教育研究センター長/一橋大学名誉教授の伊藤邦雄氏による基調講演が行われました。

人事担当者であれば誰もが知る「人材版伊藤レポート」。「人的資本」というキーワードが業界に広まったのも、このレポートがあってこそと言えるでしょう。伊藤氏の講演内でも、人的資本の開示の重要性が改めて語られました。

特に日本企業が伝統的に続けているメンバーシップ型雇用においては、「雇用し続けてくれる」という悪性安心感を抱く従業員も少なくありません。その悪性安心感が充満することで従業員エンゲージメントは低下していきます。そこで、個人と会社がお互いに向上心を持つための「選び・選ばれる関係性づくり」が重要です。そのためには企業のパーパスと個人のパーパスを近づけていくための対話が重要であり、人的資本の開示は必須となっていきます。

また、「なぜ人的資本が重要か」という観点においては、人材は管理の対象となる人的「資源」ではなく「資本」であることを伊藤氏は強調します。人材は適切な環境を提供すれば価値が伸びる「資本」であり、投資すれば無限に価値を伸ばせるのです。これまでの日本企業では人材を「資源」とみなし、「管理」を行っていましたが、その見方を抜本的に変えていく必要があると語りました。

HR BLOG編集部より

今回の発表会を通し、業界全体で今後も人的資本開示への取り組みは進んでいくと感じられました。とはいえ、開示の義務化が進むことで目的がすり替わり、取り組みが形骸化する恐れもあります。

今回のGPTWジャパンの調査など、公正かつ専門的な目線での評価を企業にとってプラスに活かせるように考えていく必要があるでしょう。

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【記者会見レポート】アメリカから世界へ「リスキリング」を展開する業界大手のGeneral Assembly社が日本国内へ進出。今後の事業方針は? https://motifyhr.jp/blog/engagement/interview_reskilling/ Mon, 20 Feb 2023 08:13:25 +0000 https://motifyhr.jp/blog/?p=18827 General Assembly社が森ビル、アンカースター社と推進する「リスキリング」の今後 2023年2月16日(木)、General Assembly社(ジェネラル・アセンブリー、以下GA)の日本展開に関する記者説明 […]

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General Assembly社が森ビル、アンカースター社と推進する「リスキリング」の今後

2023年2月16日(木)、General Assembly社(ジェネラル・アセンブリー、以下GA)の日本展開に関する記者説明会が行われました。
登壇者は以下の通りです。

  • General Assembly Chief Sales and Marketing Officer ロジャー・リー氏
  • 森ビル株式会社 営業本部オフィス事業部営業推進部部長 竹田真二氏
  • ジャパン・リスキリング・イニシアチブ 代表理事 後藤宗明氏
  • アンカースター株式会社 代表取締役社長 児玉太郎氏

GA社は2011年にアメリカで創業。以来、デジタル人材のトレーニングプログラムの提供、官民合同の人材開発など世界中に「リスキリング」の機会を提供し、新たなタレント・雇用の創出や組織に必要な人材の技能成長をサポートしてきました。これまでに同社のリスキリングサポートを受けた受講生の数は10か国・10万人以上にのぼります。
また同社は日本国内向けにサービス展開をするにあたり、2023年2月14日に株式会社森ビルとの戦略的パートナーシップ締結を発表しました。

デジタル人材教育のパイオニアGeneral Assembly社、森ビル株式会社と、日本でのデジタル人材育成の促進に向け戦略的パートナーシップ契約を締結

米国では2010年代から注目されていたリスキリングですが、2020年のダボス会議における「リスキリング革命」の発表や、2022年10月の岸田首相の所信証明にて「国内のリスキリング支援に5年間で1兆円を投じる」などの発表があったことで、国内でも機運が高まっています。

リスキリングは学び直しやリカレントとは異なり、組織の新しい事業戦略に対して、組織側が主体的に従業員の能力を再開発をしていく業務であり、実施責任は組織にあります。日本国内においてはまだまだ議論の段階にあり、実践のフェーズに移っている企業は少ないのが現状です。

そのようななかで、今後危惧されるデジタル人材の不足に備え、リスキリング市場を牽引してきたのがGA社です。各分野の最先端の技術を持つ講師陣による実践型教育プログラムが特徴で、対面/リモートのハイブリッド型の教育を行っています。また、プロダクトやカリキュラムは常に最新の内容に更新され、受講する企業や組織が持つツール・事例に即した内容での教育を実施しています。

日本国内に同様のサービスを提供するにあたり、同社のプロダクトのローカル化、国内でキャンパスを展開するためのオペレーションおよび講師のキャスティングなど、アンカースター株式会社との事業提携で推進していくとのことです。

同様に森ビル株式会社でも、今後リスキリングを実践するビジネスパーソンが「共に机を並べて学習できるようなキャンパス空間」を提供していきたいというビジョンが語られました。実際に対面で教育を受けることでカリキュラムのより深い理解を促せるほか、受講生同士のイノベーションも期待できそうです。


▲写真左からアンカースター株式会社・児玉氏/森ビル株式会社・竹田氏/GA社・ロジャー・リー氏

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エンゲージメントサーベイとは?質問例や効果、比較方法を解説 https://motifyhr.jp/blog/engagement/engagement_survey-main/ Tue, 07 Feb 2023 07:02:19 +0000 https://motifyhr.jp/blog/?p=18798 従業員の離職率低下やパフォーマンス向上を目指すための手段として、近年「エンゲージメントサーベイ」に注目が集まっています。 本記事では、エンゲージメントサーベイの概要や質問例のほか、実施により得られる効果について紹介します […]

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従業員の離職率低下やパフォーマンス向上を目指すための手段として、近年「エンゲージメントサーベイ」に注目が集まっています。

本記事では、エンゲージメントサーベイの概要や質問例のほか、実施により得られる効果について紹介します。また、エンゲージメントサーベイを実施する際に役立つツールの比較方法についてもあわせて解説します。

エンゲージメントとは

まずここでは、エンゲージメントという言葉の意味について確認していきましょう。
エンゲージメントとは、多種多様な場面で用いられる言葉で、一般的な意味としては、「婚約」や「契約」「約束」といった意味を持ちます。

企業活動におけるエンゲージメントは、「従業員の会社に対する思い入れや愛着」といった深いつながりを意味する関係性を指し、従業員一人ひとりが会社に対する愛社精神を持ち、会社と一緒に成長していく姿と考えてみるとよいでしょう。

そのため、ビジネス上のエンゲージメントとは、基本的に、従業員と会社との間に信頼関係が築き上げられている状態を示します。

エンゲージメントサーベイとは

では、エンゲージメントサーベイとは何でしょうか。

エンゲージメントサーベイは、従業員のエンゲージメントをスコアリングする調査のことを指しています。組織の課題を洗い出し、その状態の可視化を行うことが主な目的となっています。

エンゲージメントサーベイでは、組織の客観的な状況把握を行うことにより、企業のエンゲージメント向上を期待することができます。そのような意味からも、エンゲージメントサーベイは企業にとって非常に重要な施策だといえるでしょう。

エンゲージメントサーベイと従業員満足度調査の違い

エンゲージメントサーベイと似たような調査に従業員満足度調査というものがあります。

通常、従業員満足度調査では、組織の制度や環境に対する満足度を調査するのに対し、エンゲージメントサーベイは、組織に対する信頼関係や愛着の度合いを調べるものを指します。

両者とも、似て非なるものであるため、それぞれの定義について確認しておきましょう。

エンゲージメントサーベイの代表的な質問例を紹介

エンゲージメントサーベイを測る指標の代表的な質問例としては、eNPSQ12の2つが挙げられます。以下、これら2つについて紹介します。

eNPS

eNPS【Employee Net Promoter Score(エンプロイー・ネット・プロモーター・スコア)】は、従業員のエンゲージメントを測定するための指標で、職場の推奨度を算出したものです。

具体的には、「親しい人にどの程度自分の職場を推奨したいか」というたった一つの質問をして、回答者は0~10の点数でその度合いを答えます。そして、その点数によって回答者を「推奨者」「中立者」「批判者」の3つに分類したうえで、(推奨者の割合)-(批判者の割合)を計算して出てきた数字がeNPSのスコアとなります。組織としては推奨者を増やし、批判者を減らしていくというのが理想です。

もともとは米国のベイン・アンド・カンパニーが開発した調査で、アップル社などが導入してさらに広まったと言われています。

この調査では、自分の職場を親しい人に推奨したいかどうかを数値化して質問するため、質問に回答する際には慎重にならざるを得ません。そのため、eNPSには、職場に対する思い入れの強い従業員や離職を検討している従業員を把握しやすいというメリットがあります。

eNPSを実施することにより、自社の生産性や離職率の改善がはかれるだけでなく、採用コストをおさえつつも自社の要件に合致した人材の獲得が可能となるのです。

Q12

eNPSと同様に従業員のエンゲージメントを測るための手法として、アメリカのギャラップ社によるQ12(キュートゥエルブ)があります。Q12では、企業が従業員に対して以下の12の質問を行い、従業員の幸福度をはかります。

  • Q1:職場で自分が何を期待されているのかを知っている
  • Q2:仕事をうまく行うために必要な材料や道具を与えられている
  • Q3:職場で最も得意なことをする機会を毎日与えられている
  • Q4:この7日間のうちに、よい仕事をしたと認められたり、褒められたりした
  • Q5:上司または職場の誰かが、自分をひとりの人間として気にかけてくれているようだ
  • Q6:職場の誰かが自分の成長を促してくれる
  • Q7:職場で自分の意見が尊重されているようだ
  • Q8:会社の使命や目的が、自分の仕事は重要だと感じさせてくれる
  • Q9:職場の同僚が真剣に質の高い仕事をしようとしている
  • Q10:職場に親友がいる
  • Q11:この6カ月のうちに、職場の誰かが自分の進歩について話してくれた
  • Q12:この1年のうちに、仕事について学び、成長する機会があった

従業員は、これら12の質問に対して、「最も当てはまる」場合に最高点の5点満点、「最も当てはまらない」場合に最低点の1点をつける形で回答していきます。

質問へ回答する点数が高ければ高いほど、従業員の職場に対するエンゲージメントが高いといえるでしょう。また、それに比例して企業の業績が向上するということが、調査により明らかにされています。

エンゲージメントが低いとどうなる?

2017年にギャラップ社が実施した従業員のエンゲージメント調査によると、日本は「熱意あふれる社員」の割合が6%となっており、調査対象の139カ国中132位であったと公表されています。

この結果は、企業の生産性や業績を向上させる上でも無視できないものとなっており、多くの日本企業が従業員のエンゲージメントを高めるべく、さまざまな対策を講じています。

【参考】日本経済新聞「「熱意ある社員」6%のみ 日本132位 米ギャラップ調査」

なぜ日本企業のエンゲージメントは低いのか?

では、なぜ日本企業のエンゲージメントが非常に低い結果となっているのでしょうか。その理由として、次の4つが挙げられます。

●時間と賃金がリンクした勤務時間制度
多くの日本企業では、時間と賃金がリンクした勤務時間制度を採用しています。

仮に短時間で結果が出せた場合でも、決まった時間は職場にいなければ賃金が控除されてしまうため、従業員は勤務時間いっぱいまでゆっくりと業務を行うようになり、達成感も得にくくなってしまうのです。

このような職場では、能力も発揮しにくく、従業員のエンゲージメントが低下することは否めないでしょう。
しかし近年はフレックス勤務やテレワークなど、柔軟な働き方に対応している企業も増えてきています。

●過剰な法令遵守になりがちな企業姿勢
日本では、社内外で問題が発生すると、その度にルールが作られ、監視体制が強化される企業が多く見られます。

過剰な規制が行われると、結果、新たな挑戦をする従業員が減り、成功への喜びも味わえないままとなってしまいます。

挑戦する姿勢がない企業では、社内のエンゲージメントが高まることもないはずです。

●組織の複雑化によるコミュニケーションへのストレス
組織が複雑化することによって、手続きが煩雑となり、調整のために膨大な時間を費やすことになりかねません。

必然的に上司や同僚とのコミュニケーションも発生するため、ストレスがかかり、従業員のモチベーションの低下にもつながってしまいます。

●職能型処遇によるプロ意識の低下
日本企業では、かつてより年功序列・終身雇用の職能型処遇が一般的です。しかし、そのような職能型処遇では、従業員のプロ意識も低下しやすいとされています。

自身の能力が十分に発揮できない職場では、従業員のやる気も湧かず、エンゲージメントも低下していく可能性が高くなります。

エンゲージメントサーベイのメリット・効果

このような状況を改善すべく、エンゲージメントの向上に注目が集まり、その手段としてエンゲージメントサーベイの導入を検討する企業が増えています。
エンゲージメントサーベイのメリットや効果には、さまざまありますが、主なものとして次の5つが挙げられます。ここではそれらについて一つずつ確認していきましょう。

1. 組織課題の見える化

エンゲージメントサーベイを取り入れることで、従業員のエンゲージメントが明確になるため、組織における課題がはっきりします。
組織の置かれている状況も見える化されるため、改善に向けた施策を有効に行うことができるようになるでしょう。
組織の課題を見える化するには、従業員から率直な意見を出してもらう必要もあるため、回答を受け付けるための環境整備も重要です。

2. 従業員モチベーションの向上

エンゲージメントサーベイで従業員の職場に対する満足度や業務に対する思いを定期的に調査することによって、不満があれば適切な対応を行っていくことができるようになります。結果として、従業員のモチベーション向上も可能となるでしょう。

エンゲージメントサーベイが従業員同士の信頼関係や、会社の発展に貢献しているという実感が得られていれば、従業員のモチベーションアップにもつながっていきます。

3. 生産性向上

従業員のエンゲージメントが高ければ高いほど、生産性の向上にも寄与します。
エンゲージメントサーベイの実施により得られた結果を社内の課題改善に活かすことは、従業員のやりがいを高めることにつながるでしょう。
たとえば、調査結果によって適切な人事配置を行ったり、コミュニケーションを円滑にしたりすることで、従業員のモチベーションを向上させ、生産性の向上につなげることも可能となります。

4. 離職率の低下

従業員の職場への愛着心が高い企業は、離職率も自然と低くなります。離職率を低下させるためにも、エンゲージメントサーベイで従業員の状況を把握し、エンゲージメントが低い場合にはその原因を探っていくのがよいでしょう。
エンゲージメントサーベイの結果によりさまざまな角度から検証を行い、職場環境の改善をはかっていくことで、従業員の会社へのエンゲージメント向上につなげられます。

5. リファラル採用への好影響

従業員が知人を推薦して自社に紹介する「リファラル採用」では、すでに従業員との関係性ができている人材や、会社が求める人材に近い人材を採用しやすくなるため、ミスマッチの少ない採用となります。
従業員のエンゲージメントが高ければ、知人に自社を紹介してもらえる機会も多くなり、リファラル採用への好影響が期待されるでしょう。
また、従業員本人が自社を紹介する際にも、職場でのやりがいや魅力を再度見直すことになり、結果的にエンゲージメントの向上にもつなげることができます。

エンゲージメントサーベイ実施時のポイント

エンゲージメントサーベイ実施をする際のポイントには、次の6つが挙げられます。以下、それぞれのポイントを具体的に紹介していきます。

1. 導入目的の明確化

エンゲージメントサーベイを導入する際には、導入の目的をはっきりさせることが大切です。自社にエンゲージメントサーベイを導入する目的を再確認し、状況に合致した調査で実施すると、効果がより実感できるでしょう。

導入の目的例としては

  • 離職率の低下
  • 生産性の向上
  • 人事施策の立案
  • 組織の課題の早期発見


といったものが挙げられます。自社に足りないものを認識し、何を測定したいのかを明確化することにより、エンゲージメントサーベイの成功につながっていくでしょう。

2. 社内への周知

エンゲージメントサーベイを実施する際には、社内への周知を忘れてはいけません。
周知の際には、メールや社内ポータルサイトへの掲示など社員全員の目に触れる場所を使うとよいでしょう。管理職など現場のリーダーと密に連絡を行うのもおすすめです。

なお、実施の際には、エンゲージメントサーベイの目的や実施することによって得られる効果、メリットを必ず伝えるようにしましょう。従業員から疑問や質問があれば回答できるようにしておく体制も必要です。

3. 継続的な調査実施

エンゲージメントサーベイは、継続的な調査を実施することが大切です。調査結果が出たら、すぐにアクションをとり、結果の計測を行うことを繰り返します。

エンゲージメントサーベイは組織の体調管理のようなものです。すぐに良い結果を出せるようになるというものではなく、継続的にエンゲージメントサーベイを行うことで、調査結果の推移をチェックしたり、比較をできたりすることに価値があります。

人事部や人材開発部、総務が行うHRに関する実績は定量化が難しい部分も大きいため、エンゲージメントサーベイで客観的なデータが得られることは大きな意味があります。継続的に変化を確認していくことで、正しい分析もできるようになっていくでしょう。

4. 調査対象者へのわかりやすいフィードバックおよび具体的な施策の実施

エンゲージメントサーベイを実施した後には、調査対象となった従業員へのフィードバックを忘れないようにしましょう。

フィードバックをする際には、調査の結果がどのように使われているのかなど、わかりやすい説明をすることも大切です。説明が不十分であれば、従業員の調査へのモチベーションが下がり、調査そのものへの協力を得ることも難しくなってしまいます。

また、調査結果が出たらすぐ従業員には分析結果を伝えて、具体的な施策を実施するようにするとよいでしょう。

5. 回答率を落とさない工夫

従業員にエンゲージメントサーベイに協力してもらう際には、回答率を落とさない工夫をするようにしましょう。
例えば、エンゲージメントサーベイを実施するタイミングに配慮するのも一つの方法です。
年末や年度末などの繁忙期や改組したばかりのタイミングでは、回答が雑になりやすく、データそのものも有効であるか疑わしい可能性があります。調査を実施する際には、このような時期はなるべく避けるようにするとよいでしょう。

6. PDCAを回し続ける

エンゲージメントサーベイの実施では、定期的に従業員のエンゲージメントスコアを確認していくことで、自社の課題を明確にすることができるようになります。
課題が明確化したら、課題に対する施策を実行して、その効果を確認していくということも重要になるでしょう。
効果を確認する際には、常にPDCAを回し続けるようにすると、自社が解決しなければならない課題とその課題に合致した施策にたどり着けるようになります。その結果、従業員エンゲージメントの向上も期待できるでしょう。

エンゲージメントサーベイ実施の流れ

ここでは、実際にエンゲージメントサーベイを実施する際の流れについて紹介します。

1. 目的を決める

まずはエンゲージメントサーベイを実施する目的を定めましょう。目的を決める意図は先述の通りです。エンゲージメントサーベイでは、「企業が抱える課題を早期に見つけ、施策に活かすこと」「施策を行った後の効果を測定し、改善すること」が重要となります。

その点を踏まえ、自社がエンゲージメントサーベイを行う目的や調査の対象について改めて確認していきましょう。

2. 運用体制を決める(社内運用/外部へ依頼)

エンゲージメントサーベイの目的が決まったら、どのように運用していくのか体制を決めましょう。その際、社内で運用していくのか、専門サービスを利用するなどして外部へ依頼するのかについても確認を行います。

社内で運用していく場合には、質問の設計や実施・分析まで社内で行うため、手間はかかりますが、自社の事情に即したオリジナルの質問項目を設計することができます。
一方、外部の専用サービスに依頼する場合には、設計や分析の手間が少なく、楽に運用できますが、社内で運用するときと比較してコストがかかる傾向にありますので、注意が必要です。

3. スケジュールを決める

エンゲージメントサーベイの調査を受ける従業員の負担も考慮し、無理のないスケジューリングをしていきます。
一般的に、エンゲージメントサーベイは「センサス」と「パルスサーベイ」の2タイプに分かれます。目的によってサーベイのタイプを使い分けることが重要です。

  • センサス:年に1-2回の頻度で行う大規模調査です。質問数は50問以上が一般的で従業員は回答に時間を要しますが、企業側が聞きたい項目について幅広く質問が可能です。
  • パルスサーベイ:パルスとは脈拍を意味する言葉で、月1回などの短期間で繰り返し調査をするスタイルです。質問数は10~20問程度、回答にもそこまで時間を要さない内容が多いです。

4. 回答を回収する

質問内容を設計し、調査票を完成させたら、従業員全体へエンゲージメントサーベイの調査実施を周知した上で回答を回収しましょう。
従業員に周知する際には、調査を実施する目的や理由、調査により従業員が得られるメリットを伝えるようにします。回答漏れや回収漏れがある場合には、リマインドをし、回収率アップにつなげましょう。

5. 調査・分析

従業員から調査の回収を行ったら、集計を実施します。集計結果で得た数値から、企業や従業員の状態を確認し、その数値が出た要因を突き詰めていきましょう。

6. レポーティング

エンゲージメントサーベイを実施した結果について、レポーティングしていきます。レポーティングする際には、項目や軸をどのように設定するかあらかじめ検討しておくと、課題から施策を行う際にスムーズです。

8.従業員へのフィードバック

エンゲージメントサーベイで得られた結果を可能な範囲で明示し、これからどんな取り組みをしていくのか従業員へフィードバックしましょう。
また、エンゲージメントの状態に問題がありそうな従業員がいれば1on1ミーティングなどの個別対応も求められてきます。

7. 施策を実施

エンゲージメントサーベイでの分析結果を基に、施策を実施していきます。
施策を実施しても、すぐに成果が出るとは限りませんので、以降も継続してモニタリングしていく必要があります。

8. 効果測定

施策実施後の効果を測定します。
測定の結果、効果が出ていれば、その後も同じ取り組みを続けるのか、それとも一旦終了するのかなどの検討を行いましょう。効果が出ていなければ、原因を探り、再度必要な施策を検討・実施していきます。
以降も測定結果に応じて、PDCAを回していくと効果的です。

エンゲージメントサーベイツールの比較ポイント

自社にエンゲージメントサーベイツールを導入する際には、複数のツールを比較検討することとなるでしょう。ここでは、エンゲージメントサーベイツールの比較ポイントを6つ取り上げ、紹介します。

1. 導入の目的と設問内容があっているか

近年、多種多様なHRテックが登場しており、色々な特性を持ったエンゲージメントサーベイが存在します。そこで、比較ポイントの一つとして、「エンゲージメントサーベイツールを導入する目的」と、「そのエンゲージメントサーベイツールでできる設問の内容」があっているかが重要となります。

繰り返しにはなりますが、サーベイツールを導入する際には、導入目的を前もって明らかにしておくことがやはり重要です。

2. 設問内容に妥当性、再現性、信頼性はあるか

エンゲージメントサーベイツールを導入する際には、そのサーベイツールが提供している設問内容が妥当なものであるか、あらかじめ確認を行いましょう。

また、該当ツールを導入している企業の事例があれば、自社での再現性があるかどうかを見ることも重要です。
実績があり信頼性のあるサーベイツールを導入したいとお考えの方も多いと思います。どこにコストをかけるかは目的次第です。

3.設問内容が多すぎないか

サーベイツールで設定している設問内容のボリュームについても確認しましょう。
あまりに質問項目が多いと、回答に時間がかかり、従業員への負担も大きくなります。結果、調査に対するネガティブな反応が出る可能性もあるため注意が必要です。

4. どのようなフィードバックがもらえるのか

サーベイツールにより、どのようなフィードバックがもらえるのかについても、あらかじめ確認しておきましょう。
また、分析レポートの雛形をチェックしておくと、結果から施策を検討する際に役立ちます。もらったフィードバックから施策を行うということを念頭に置き、検討していくのがよいでしょう。

5. 調査実施後のサポートはあるか

エンゲージメントサーベイ導入後のよくある課題として、「調査は行ったが、結果をうまく施策に活かせていない」「サーベイを行って終わりになっている」「だんだんと回答率が下がってきている」などが挙げられます。そこで、サーベイツールを提供する企業の中には、調査実施後のサポートについてコンサルティングを行うところもあります。当然サーベイ導入に上乗せでコストはかかってきますが、コストに余裕があれば検討してみるのも良いでしょう。

6. コストは妥当か

エンゲージメントサーベイは、単発ではなく、継続を念頭に置いた上で実施する必要がありますので、総合的に見て予算面で無理のないツールを選択するようにしましょう。

「なんとなく」で行うエンゲージメントサーベイは無駄になる

先にも述べましたが、エンゲージメントサーベイを実施する際には、目的を考えた上での実施が重要になります。
ただ「なんとなく」でエンゲージメントサーベイを行うと、有効活用できるどころか、効果を感じられないまま、調査自体が無駄になってしまう可能性もあるので注意しましょう。

従業員側が、「調査をされたものの、全く改善されている感じが得られない」「忙しすぎて適当な回答をしてしまう」といったことが思い当たる場合は、せっかく実施したエンゲージメントサーベイに対し、恩恵を得られていない可能性もあります。
回答内容を有効なものとし、無駄なものとしないためにも、目的を明確にした上でエンゲージメントサーベイを実施し、自社の課題改善につなげていかなければなりません。
とはいえ、正しいやり方でPDCAを回していければ必ず組織のエンゲージメントに良い影響を与えるものです。

やり方について十分に検討したうえで、優秀な人材確保のためにも、エンゲージメントサーベイの手法を導入し、自社の発展に活用してみてはいかがでしょうか。

FAQ

エンゲージメントサーベイについてのよくある質問です。

エンゲージメントサーベイ とは何ですか?
エンゲージメントサーベイは、従業員のエンゲージメントをスコアリングする調査のことを指しています。組織の課題を洗い出し、その状態の可視化を行うことが主な目的となっています。
エンゲージメントサーベイの質問例にはどのようなものがありますか?
有名なものとしてはeNPSやQ12の質問が挙げられます。エンゲージメントサーベイを提供している企業ごとに質問は異なりますので、自社に合った内容のサーベイを導入することが重要です。
エンゲージメントサーベイのデメリットはありますか?
実施することにデメリットはありませんが、実施後に適切な施策が行われない場合、従業員がサーベイに回答した意味を感じることができず、次回以降の回答率が下がるなど、運用における難しさを感じる企業はあるようです。

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導入後半年で離職者ゼロに。開業3年目の大量離職を乗り越えるために人事のプロが選んだ秘策 https://motifyhr.jp/blog/onboarding/interview_an_field/ Fri, 03 Feb 2023 01:00:26 +0000 https://motifyhr.jp/blog/?p=18783 ▲体調管理機能が、お互いの声かけのきっかけに ▲社内イベントのプロギング(地域のごみ拾い+ジョギング)でのシーン

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社会保険労務士は企業で働く人、人事のプロです。2017年に創業し、名古屋市・豊川市の2拠点を中心に事業を展開している社会保険労務士法人An-field(以下、An-field)は、社会保険労務士事務所のなかでも少し異色の存在。代表の熊谷篤氏は一般企業で勤務経験を経た後に社会保険労務士の資格を取得し、独立。その経験からか、同社には異業種からの中途採用が多く、有資格者だけでなく自社の求める人材であれば積極的に資格のない人も採用しています。

「5年で20名規模・売上1億円の事務所に」という開業当時に目指した大きな目標は見事に叶えたものの、その道のりには幾多の困難がありました。急激な事務所の拡大や人材増員が逆効果を生んでしまったのです。従業員同士の確執や所内の雰囲気の悪さ、業務過多による残業、誰もがなんとか仕事をこなそうと必死でしたが、タスクとリソースのバランスが崩れてしまい、ついに過半数の従業員が退職してしまうという事態に。このままでは仕事だけでなく従業員たちの心まで破綻してしまうと考え、環境を一新するために取り組んだのが、HRシステムを活用した業務や環境の改善でした。

今回は、An-field代表の熊谷篤氏と名古屋オフィス所属の成田志穂氏に、所内課題にいち早く取り組み、解決策としてHRシステムの導入・活用を行ってきたその経緯と実効についてお聞きしました。

事務所の拡大とともに崩れてしまった所内の均衡。解決のためにHRシステムの導入に挑んだ

社会保険労務士事務所というと資格保有者が集まった事務所というイメージがあると思いますが、An-fieldには社会保険労務士の経験がない人も多く、「さまざまな業種から集まってきた集団」という特徴があります。各自の経験やスキルが違うからこそ、幅広い対応が可能で、経営課題の解決などメインとしているコンサルティングにも大変有効です。私自身(熊谷氏)、一般企業での就業を経験した後に社会保険労務士の資格を取得し独立したのですが、それまでの経験や知識がいろいろな場面で役立っています。

もちろん、現在の状態まで整えるにはさまざまな困難がありました。特に事務所全体を刷新していかなくてはならないと決意したのは、開業して3年ほど経ったときの従業員の離職問題です。当時、新規の顧問契約が順調に伸び、紹介も安定し始めていたため、1年で80件ほどの新規契約を獲得するまでになっていました。当然、業務内容は増えるので、組織体制の整備や朝礼など慣習行事の実施を行うようになり、初めて経験者を雇用したのもこの時期。まさかこのことが大量離職を引き起こすとは、思っていませんでした。

経験者が入ったことで業務の効率化が進むはずが、経験のない新人や作業に時間がかかるパートさんなどはあまり仕事を回してもらえない状況になるなど、新しく入った中途の経験者と既存従業員の間で確執が生まれてしまったのです。さらに、よかれと思って始めた朝礼などの行事も負担になっていたと後でわかりました。窓の少ない事務所内で、多くの従業員同士が無言で作業をこなすという状況は、想像しただけでも雰囲気の悪さがわかります。その結果、立て続けに半数近い従業員が退職してしまうという事態に陥りました。もちろん原因は人間関係の悪化だけではありません。ちょうどその時期はかなり多忙で、残業など業務負担が増してしまっていました。独立当初の目標を無理に目指すが故、強引に組織を作ろうとしていたのかもしれません。

「このままではいけない」と離職率の改善のために従業員と個人面談などを実施し始め、さらに所内の人間関係を再構築しようと模索していた時に知ったのが、HRシステムの「MotifyHR」です。担当してもらっていた営業の方への信頼度も全社的に高く、オンボーディングのパッケージと同時に導入することを決意しました。

HRシステムとの出会いやオフィスの移転、複数の変化を新たな転機として再出発へ

▲体調管理機能が、お互いの声かけのきっかけに

HRシステムとの出会いは2021年の5月頃だったのですが、その頃はちょうど新しいオフィスへの引っ越しもあり、それらは会社にとって一つの転機になりました。経営計画書の作成にも着手し、組織として欲しい人材やビジョンを明文化することで、従業員とそれらを共有するようにしたのです。2021年の10月には経営計画発表会を実施し、会社の方針や目標を代表から発表。それ以降は社内での浸透も意識し、毎年開催するようにしています。

HRシステムを使い始めて特に印象的だったのは、体調管理の機能です。チェックイン/チェックアウトで業務前後のコンディションを各自がスタンプで選んでくれると、こちらが様子を伺うきっかけになります。入力した従業員から「ちゃんと気にかけてもらえるんですね」と言われたこともあり、こうした日々の声掛けの重要性を再認識しました。特に今は2拠点になったので、離れていてもお互いの様子を知ることができるのがとても便利ですね。HRシステムは自社だけでなく、人材の確保や育成に悩む顧問先など他社にも勧められるものだと思います。

もちろん、新しいことへ挑戦することには反発もあるものです。実際、An-fieldでも反発はありましたし、浸透させるために指導や声がけを継続してきました。

オンボーディングを実施して半年。気づけば離職者はゼロになっていた

HRシステムと同時に取り入れたオンボーディングパッケージは、思っていた以上の効果でした。実際、私(成田氏)も入社時に受ける側として経験したのですが、既存従業員の歓迎を感じられて、「こんな風にしてくれるんだ」と、とても驚いたことをよく覚えています。OJT( On the Job Training :オンザジョブトレーニング)も詳しく説明してもらえ、嬉しかったですし、新入従業員が抱えがちな不安を取り除いてくれました。オンボーディングを実施し始めて半年後には、なんと離職者はゼロになったのです。

これはオンボーディングの効果に加えて、事務所の理念や文化に合った従業員だけが残ったということでもあると思います。だからこそ、今後は会社のビジョンや求める人材に適合する人を採用していく必要があり、それには先ほどお話しした経営計画書にある求められる従業員像は、指針として継続的に必須になります。そして、設定した理念を所内で共有・浸透させていくことが重要。それに加え、HRシステムで現状の把握や部門間のコミュニケーションを図ることはとても大切だということを実感しています。

「MotifyHR」では特にニュースフィード(カンパニーボード)や、1on1、研修動画、パルスサーベイ、体調管理を活用しています。実際に使っている従業員からの満足度も高いですね。営業などは特に外に出る機会も多いので、パルスサーベイはデータを蓄積している段階ですが、今後は社員満足向上委員会などで議題として取り上げていけたらいいなと考えています。

また、弊社は2拠点なのですが、チームトークを使えば拠点ごとの報告やサービス内容の検討、セールスについてのアイデア出しも都度できますし、カンパニーボードは全部門共通の報告事項として使うなど、柔軟に活用できるのも魅力的です。投稿は各委員会でも積極的に行っていて、広報委員会、マニュアル委員会、社員満足向上委員会、教育委員会の4つの委員会がそれぞれの取り組みに合わせて活用しています。私(成田氏)が委員長を務めている社員満足向上委員会では従業員の誕生日にバースデー動画を投稿していて、その投稿に対してお祝いコメントなども寄せられるので、とても喜ばれます。

システム導入後は所内のコミュニケーションがかなり活発になり、事務所内の雰囲気も自然とよくなりました。どうしても業務だけになると会話がなくなってしまうものですが、みんなが意識して会話をするようにしているのを感じます。また、ちょっと変わった活用方法かもしれませんが、イベント時にシステムのプロフィール写真などを使って「スイーツが好きな人は何人いるでしょう?」とか社内でクイズ大会をしたんです。これが思った以上に盛り上がって(笑)。従業員がどういうところを見ているのかがわかって、こんなところもチェックしているんだな、と運営側としても興味深かったですね。今後もいろいろな活用方法を探ってみようと思います。

社会保険労務士事務所という立場から、顧問先の課題解決での活用も視野に

自社で導入してしっかりと結果を確認できたからこそ、離職に悩む企業にHRシステムは大変有効だと確信しています。オンボーディングやエンゲージメントサーベイなどはもちろん、体調管理やチームトークなど日々のコミュニケーションにつながる機能が実は重要なのではないでしょうか。社内の人間関係の構築は急に出来上がるものではなく、少しずつ積み上げていくものだからです。離れた拠点同士や他部署間の交流には特に活用できると思います。良質なコミュニケーションが続くことで、社内文化も構築されるのではないでしょうか。また、私(熊谷氏)のように多忙でなかなか事務所に居られない組織の代表などにとっては、自分の想いや考えを事務所内に伝えられると同時に、従業員の現状をしっかりと把握できるというメリットがあると思います。事務所に合わせた活用方法を提案してもらえるのも魅力ですね。

クライアント先でよく聞く悩みに「従業員がどう考えているのかわからない」「本音を聞きたい」などがあります。多くの企業がエンゲージメントに関して課題を抱えているのです。実際、私たちもまだ使い始めたシステムのデータを蓄積している最中ではありますが、効果的な活用方法を検討し、今後は顧問先に勧めていきたいと考えています。システムを使って集めたデータは、経営課題の解決の糸口にもなるでしょう。

現在、多くの企業が採用や人材定着、従業員のエンゲージメントに興味を持っています。一方で、HRシステムを導入している企業は決して多くありません。HRシステムの導入は、今いる従業員の現状把握、課題確認、解決につながり、さらには今後の採用にも大きく影響するものです。どういう採用方法が人を集められるのか、働く人たちにとって魅了的な企業になるにはどうしたらいいのか。これからも私たちはMotifyHRを活用して自ら学びつつ、そこで得た知識を顧問先にも伝えていきたいと考えています。

子どもたちが憧れる職業のなかに社会保険労務士が入る日を目指して

▲社内イベントのプロギング(地域のごみ拾い+ジョギング)でのシーン

人のスペシャリストである社会保険労務士の事務所でありながら、自らも人に悩んだという経験は、私たちにとって大変貴重な経験になりました。企業は人がいてこそ成り立つもの。だからこそ、私たち社会保険労務士の仕事には無限大の可能性があると考えています。

今後は新たな目標として今後の日本を支えていく子どもたちにこの仕事の魅力を知ってもらえるような活動をしていこうと考えています。そのためにも既存のサービスに捉われない先駆者となって、社会保険労務士の地位向上を目指し、社会貢献を続けていきます。「2030年の小学生がなりたい職業ランキングのベスト10に『社会保険労務士』が入るようにする」これが、私たちの新たな目標です。

まとめ

独立して3年目に起こった大きな困難を見事に乗り越えたAn-field。事務所の現状を正確に把握し、対処方法を模索した結果選んだのが、HRシステムとオンボーディングの導入でした。取り組みを始めてわずか2年ほどで最優先課題を解決し、自らの経験と知識を今後の業務、社会貢献にも活かしていきたいという姿勢には、多くの学ぶべき点があります。人材の採用や育成、定着に悩みを抱える多くの企業にとって参考になることでしょう。

社会保険労務士法人An-field
代表 社会保険労務士
熊谷 篤様

名古屋オフィス リーダー
成田 志穂様

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ワークエンゲージメントとは?メリットや高める方法について解説 https://motifyhr.jp/blog/engagement/work-engagement/ Thu, 19 Jan 2023 10:04:32 +0000 https://motifyhr.jp/blog/?p=18728 働き方改革により、個人レベルでも多様な働き方が浸透しつつあります。そこで、優秀な個人を組織に定着させながら、従業員一人ひとりの生産性を上げていくために、ワークエンゲージメントという言葉が注目されるようになりました。 この […]

投稿 ワークエンゲージメントとは?メリットや高める方法について解説HR BLOG | 経営者と役員とともに社会を『HAPPY』にする に最初に表示されました。

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働き方改革により、個人レベルでも多様な働き方が浸透しつつあります。そこで、優秀な個人を組織に定着させながら、従業員一人ひとりの生産性を上げていくために、ワークエンゲージメントという言葉が注目されるようになりました。

この記事では、ワークエンゲージメントの意味や概念、メリットやワークエンゲージメントを高める方法について解説します。

ワークエンゲージメントとは

ワークエンゲージメントとは、オランダにあるユトレヒト大学のSchaufeli教授が提唱した概念です。

提唱した概念は大きく分けて3つです。

  • 活力:仕事で活力を得て活き活きと生活している
  • 熱意:仕事に誇りとプライドをもっている
  • 没頭:仕事に対して熱心に取り組んでいる

これら3つの意識が高まることにより、仕事のパフォーマンス向上が見られると言われています。

2018年、厚生労働省が発表した「平成30年度版労働経済の分析」でもワークエンゲージメントについて言及があり、国内での注目度はさらに高まっていくと考えられます。
また、同じく厚生労働省からの発表資料である令和元年版「労働経済の分析」においても、日経テレコン上での「エンゲージメント」(※完全一致キーワードに限る)というキーワードが絡む記事の数が年を追うごとに増しているという報告があり、その注目度の高さがうかがえます。2014年と2019年で比較すれば、5年間で「エンゲージメント」に関する記事の件数は約10倍になったと言えます。

件数
2014年 198件
2015年 365件
2016年 672件
2017年 1,022件
2018年 1,272件
2019年 1,999件

※いずれの年も1月末~6月末の期間で集計

ただし、ワークエンゲージメントに関して一つ注意しなければいけないことがあります。それは国によって概念が異なることです。

たとえばアメリカ人と日本人のワークエンゲージメントが高い人は、共通点が多いわけではありません。
後述でも説明をしますが、アメリカ人はパーソナリティーを前面に出す人が多いのに対し、日本人は周りと協調する人が多いという特徴があるからです。
これは一部分ですが、このような国の文化の特性によってワークエンゲージメントの理解も異なるため、国民性を理解した上で従業員を理解する必要性があります。

ワークエンゲージメントが注目されるようになった背景

日本でワークエンゲージメントが注目されるようになった背景として、生産年齢人口の減少と人材の流動性が高まったことが原因とされています。

生産年齢人口とは、国内の生産活動を支えることができる15歳から64歳の人口を指します。この生産年齢人口は1995年をピークに毎年減少傾向にあります。
※参考:総務省「令和4年版情報通信白書」

他にもこれまでの企業は、従業員満足度に重きをおいてきましたが、キャリアアップとしての転職が一般的になった今、給与や福利厚生といったものを与えるだけでは優秀な人材を会社に定着させることが難しくなってきました。これが人材の流動です。そこで、優秀な人材に会社に長く定着してもらうために、会社と従業員との精神的な結びつきの強さも重要視されるようになったのです。

また、ワークエンゲージメントはもともとアメリカで生まれた考え方です。アメリカは個人主義の考え方が強く、ジョブ型の雇用形態を敷いています。終身雇用が一般的であったかつての日本よりも従業員を解雇しやすいことから、優秀な人材を残すための方法としてワークエンゲージメントが普及していました。

現にアメリカのGoogleやAppleといった大手企業では、ワークエンゲージメントを大切にした働き方で、世界規模の大企業へと発展を遂げています。

日本人はワークエンゲージメントが低い?

2010年に日本を含めた16カ国のワークエンゲージメントスコアを比較した論文では、日本のスコアは相対的に低い状況にあることがわかりました。

しかし、スコアを計測する質問項目に対しての回答は各国の文化などが多分に影響していることも考えられます。たとえば、日本の風習として、周りと協調してポジティブな感情を前面に出しすぎない考え方や、まじめで勤勉な考え方が評価される傾向があります。そのため、ワークエンゲージメントにおける重要な要素である「活力」「熱意」「没頭」を測る質問項目に対しても、控えめな回答が多くなる可能性があります。

反対にアメリカでは、ポジティブな感情を前面に出すことが望ましく、自己肯定感も高い傾向にあると考えられます。

つまり、日本の風習をもとに考えると、従業員の中に「活力」「熱意」「没頭」を内に潜んでいる人がいても、その思いを前面に出す人は少ないでしょう。
一般的に日本のワークエンゲージメントスコアは低いと考えられがちですが、その背景には国ごとの文化の違いなども影響している可能性があるということです。

しかし、ワークエンゲージメントを高めることについて、企業にとっても個人にとっても無駄なことはありません。企業ごとに従業員のワークエンゲージメントを測定することや、ワークエンゲージメントの向上施策を行っていくことは今後も重要視されていくでしょう。

ワークエンゲージメントに関連する概念

ワークエンゲージメントに関連する概念を紹介します。
代表的なものには以下の3つがあります。

  • ワーカホリック
  • 職務満足感
  • バーンアウト

それぞれの概念の特徴と関係性は以下の表の通りです。

ワークエンゲージメント、ワーカホリック、職務満足感、バーンアウトはそれぞれ仕事への態度と活動水準を軸にして上記図の通り4象限に分けられます。たとえばワークエンゲージメントは活動水準が高く、仕事への態度も肯定的でバーンアウト(燃え尽き)と対極にある状態とされます。

では、ワークエンゲージメントに関連する概念3つをそれぞれ解説します。

ワーカホリック

ワーカホリックとは、自分の趣味や健康よりも仕事を優先し常に働いていないと気が済まない人のことをいい、「脅迫的に働く傾向」と定義されています。

ワークエンゲージメントと同じく活動水準は高めですが、「熱意」と「没頭」が欠けており、仕事に対する気持ちは低い状態。生活をするためには働かなくてはいけないという強迫観念や職を失うことに対する強い不安を内包している可能性があります。

またワークエンゲージメントは「仕事をしたい」というポジティブな気持ちであることに対し、ワーカホリックは「仕事をしなければいけない」というネガティブな状態とも捉えられるでしょう。

職務満足感(リラックス)

職務満足感(リラックス)は、現状の仕事に対して満足している状態を指します。
仕事への態度や認知は肯定的で高めですが、ワークエンゲージメントと比較すると活動水準は低いです。
仕事に対する熱意は持っているため、いかに活動力を上げてもらえるかを考えなければいけません。

バーンアウト

バーンアウトは「燃え尽き症候群」としても知られる状態です。

バーンアウトに陥ってしまう理由は、仕事に対してエネルギーを使いすぎてしまったからと考えられています。これによって心身が疲弊し、仕事に対する熱意や活力がなくなり、没頭できなくなってしまいます。つまり、ワークエンゲージメントの3つの概念いずれもかけている状態といえます。

ワークエンゲージメントの調査指標

ここではワークエンゲージメントを調査する指標を紹介します。主な調査指標は以下の3つです。

  • UWES
  • OLBI
  • MBI-GS

UWES(Utrecht Work Engagement Scales)

UWESは、ワークエンゲージメントを測定するための心理測定評価尺度として、世界中で広く使われています。

「活力」「熱意」「没頭」という3つの要素を、17項目、9項目、3項目のいずれかで測定し、日本では17項目が採用されています。

回答方法は次の7段階から選択します。

●決してない:0点
●ほとんど感じない:1点
●めったに感じない:2点
●時々感じる:3点
●よく感じる:4点
●とてもよく感じる:5点
●いつも感じる:6点

3つの要素の平均値はワークエンゲージメントスコアとして、年代や業種ごとに測定して、社員の労働に対する意識の傾向を分析できます。
なお、UWESは非営利目的のみ自由に使用可能です。

OLBI(Oldenburg Burnout Inventory)

OLBIは、ワークエンゲージメントと対局するバーンアウトを測定する方法です。

質問内容は従業員の「疲労感」「離脱」という2つで構成されていて、「ポジティブ」「ネガティブ」それぞれの側面から作成された質問に答えます。

測定結果の数値が低ければ低いほど、ワークエンゲージメントが高いということになり、数値が高ければ高いほどバーンアウトの傾向にあるといえます。

MBI-GS(Maslach Burnout Inventory-General Survey)

MBI-GSは、OLBIと同様ワークエンゲージメントと対局するバーンアウトを測定する方法です。
測定内容は従業員の「疲労感」「シニシズム(冷笑的態度)」「職務効力感」の3構成で、16項目の質問に回答をすることで測定できます。

16項目の回答に対しての数値が低ければ低いほど、ワークエンゲージメントが高いということになります。反対に数値が高いとバーンアウトの状態に近く、ワークエンゲージメントは低いといえます。

ワークエンゲージメントを向上させるメリット

ワークエンゲージメントを高めることで得られるメリットは以下の3つです。

  • 従業員の健康維持とパフォーマンス向上
  • 離職率の低下
  • 周りの社員への好影響

従業員の健康維持パフォーマンス向上

ワークエンゲージメントが高いと、活動水準が高く仕事への態度も肯定的なため、仕事に対してのパフォーマンス向上が期待できます。
自身の仕事に対してプライドと熱意があることで仕事の効率化が進み、生産性も上がるでしょう
またワークエンゲージメントが高いと、仕事に対してのストレスが低いため、メンタルヘルスも安定すると考えられます。心に余裕を持てるため、健康維持にもつながるでしょう。

離職率の低下

ワークエンゲージメントが上がることで個人の幸福感や仕事への自己効力感が上がり、仕事、会社に対する愛着がわくため、離職率の低下を見込めます。
現代では人材不足で倒産する企業もあります。そのため、離職率の低下につながるワークエンゲージメントの向上は、人材不足に悩む企業にとってメリットといえるでしょう。
また、定着率が高い企業と世間に認知されると、新たな人材を獲得しやすくなるため、企業の更なる成長を見込めます。

新卒者の約3割が入社3年以内で離職している

ワークエンゲージメントの向上は新卒者の職場への定着にも期待できます。
厚生労働省の発表によると、離職者のうち、大卒新卒者の約3割が入社から3年以内に離職しています。また、以下のとおり高校、短大などの3年以内離職率は約3割以上となっています。

●高校: 36.9%
●短大など:41.4%

令和3年の労働者全体の離職率は13.9%となっていることから、新卒者の離職率は高いことが分かります。今後労働人口が低下することを考えると新卒者は企業の将来を担う重要な人材です。そのため、ワークエンゲージメントを高めて、新卒者の離職率低下につなげましょう。
参照:厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況を公表します」
参照:厚生労働省「-令和3年雇用動向調査結果の概況-」

周りの社員への好影響

ワークエンゲージメントが高い社員がいることで、周りの社員へも好影響を及ぼす可能性があります。ワークエンゲージメントが高い社員は仕事をポジティブに捉え主体的に動くため、その姿を通じて周囲の社員の仕事に対する姿勢にも変化が現れやすくなります。

また、社員同士の好影響は顧客の信頼獲得にもつながるかもしれません。顧客からの信頼を得ることで顧客満足度、さらには売上が向上することで、社員はさらに自分の仕事に自信を持てるようになります。その結果、組織全体がさらに活性化していくでしょう。

ワークエンゲージメントを高めるためには

ワークエンゲージメントを高めるためには、「個人」「仕事」を見つめなおす必要があります。ワークエンゲージメント向上のためにはどちらか一方ではなく、両方とも充実させることが大切です。

個人の資源と仕事の資源を充実させる

個人の資源とは、従業員それぞれが内側に秘めている心理な部分です。
個人の資源はストレスやモチベーション、自己効力感などによって低下していってしまいます。
そのため、ストレスを軽減できるようなコミュニケーションや、モチベーションが上げられる環境作り、自己効力感が得られる評価やフィードバックを行うなどして、個人の資源の充実を図りましょう。

一方、仕事の資源とは、仕事量や仕事の負担に関わる要因です。
仕事量が多すぎる、仕事の負担が大きいといった場合は、自己効力感の喪失、熱意の低下を引き起こしてしまいます。
仕事の資源を充実させるためには、個々に合わせた仕事量の分配、仕事の負担の調整を行うことで効果が出ます。

どちらか片方だけを充実させてもアンバランスが生じ、「ワーカホリック」「職務満足感」「バーンアウト」のいずれかに傾くでしょう。
どれか一部分に偏らないようにするためにも、個人の資源と仕事の資源を充実させなければいけません。

まとめ

人手不足による倒産を防ぎ、会社の業績を上げるためには、ワークエンゲージメント向上への取り組みが欠かせません。
ワークエンゲージメントを高めることで社員の生産性が向上し、離職率の低下につながります。
離職率の低さは求職者にとって、企業を判断するポイントのひとつ。自社の魅力として打ち出すことで新たな人材を確保しやすくなります。
社員の心理面や業務量のバランスを取り、ワークエンゲージメントを高めて、個人はもちろん会社全体の成長につなげましょう。

FAQ

ワークエンゲージメントについてのよくある質問です。

ワークエンゲージメントの3つの構成要素とは?
ワークエンゲージメントとは、オランダにあるユトレヒト大学のSchaufeli教授が提唱した概念で、「活力(仕事で活力を得て活き活きと生活している)」
「熱意(仕事に誇りとプライドをもっている)」「没頭(仕事に対して熱心に取り組んでいる)」の3つの要素が揃った状態を指します。
ワークエンゲージメントの対義語は?
ワークエンゲージメントの対極にある概念が「バーンアウト(燃え尽き)」です。仕事に対してエネルギーを使いすぎて心身共に疲弊し、仕事に対する情熱や意欲、関心が無くなっている状態です。
ワークエンゲージメントのメリットは?
ワークエンゲージメントが高い企業は従業員のパフォーマンスが高い、離職率が低いなどの共通点があり、人材の流動性が高まっている昨今では優秀な従業員を定着させるための施策としてエンゲージメント向上が重要視されています。

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エンゲージメントとは?意味や高めるメリット、事例を紹介 https://motifyhr.jp/blog/engagement/engagement-m/ Wed, 18 Jan 2023 07:49:27 +0000 https://motifyhr.jp/blog/?p=18740 エンゲージメントとは エンゲージメント(engagement)とは、「従事」「契約」「誓約」「婚約」「約束」などを意味する言葉です。婚約指輪のことをエンゲージメントリング、もしくはエンゲージリングと呼ぶことを考えるとイメ […]

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エンゲージメントとは

エンゲージメント(engagement)とは、「従事」「契約」「誓約」「婚約」「約束」などを意味する言葉です。婚約指輪のことをエンゲージメントリング、もしくはエンゲージリングと呼ぶことを考えるとイメージしやすいかもしれません。

つまり、深いつながりを持った関係性を意味する言葉で、英語圏ではさまざまな意味で広く使われています。しかし、人事領域においては少し異なる解釈を持っています。

人事領域での「エンゲージメント」の意味


人事領域でのエンゲージメントとは、言い換えれば従業員が企業に持つ「愛社精神」や「会社への誇り」などに近いです。会社に対して愛着を持ち、従業員が企業の一員として貢献して、企業も従業員もともに成長していける関係をイメージしてみてください。「従業員エンゲージメント」と呼ばれることもありますが、同じ意味です。

エンゲージメントは従業員が企業に対して持つものですが、エンゲージメントを高めるためには企業側の努力も必要になります。エンゲージメントを高めるためには、従業員が働きやすい職場環境や、理想とするキャリアや目標を達成できる仕事へのやりがい、企業の理念・ビジョン・社風への共感の3要素が重要です。

マーケティング領域における「エンゲージメント」の意味

マーケティング領域におけるエンゲージメントとは、企業と顧客・消費者間の結びつきを示しています。顧客や消費者が企業に対して良い印象を持っていて、その企業の商品・サービスを継続して購入・利用している状況が、マーケティング領域におけるエンゲージメントが高い状態です。

たとえば、他社からも同じようなスペックのパソコンが販売されているのに、多少他社の製品より値段が高くても、特定のメーカーのパソコンを購入する顧客は、エンゲージメントが高いといえます。ただ購入するだけでなく、SNSや口コミで高評価を残してくれるのもエンゲージメントが高い状態といえるでしょう。エンゲージメントの高さは、こういった顧客の行動を基準として判断します。

また近年はSNSの投稿に対するユーザーの「いいね」や「シェア」、「クリック」「インプレッション」などのリアクションを図る指標としての「エンゲージメント」も注目されています。

エンゲージメントと従業員満足度、ロイヤルティとの違い

人事領域におけるエンゲージメントに似た言葉として、従業員満足度従業員ロイヤルティがあります。一つひとつ見ていきましょう。

従業員満足度


従業員満足度は、企業が提供する報酬や待遇、職場環境などに従業員がどの程度満足しているかを示す指標です。企業が従業員のために行っている取り組みを、従業員が評価するものです。

エンゲージメントは企業と従業員双方の結びつきを表すため、従業員のエンゲージメントが高いと企業の業績がアップするという相関が期待できます。しかし、従業員満足度は従業員が企業を一方的に評価するものですから、従業員満足度が高いからといって企業の業績がアップするとは限らないのが難しいところです。

従業員ロイヤルティ


ロイヤルティ(Loyalty)は「忠誠」「忠実」という意味の英語で、従業員ロイヤルティとは、従業員が企業に対して持っている忠誠心を表しています。

エンゲージメントと似たような概念ですが、エンゲージメントでは企業と従業員が対等な立場にあるのに対し、ロイヤルティは企業と従業員に主従関係があるのが特徴です。従業員が企業に忠誠心を持って尽くしている状態で、企業が絶対的な権力を持っています。

特許使用料など権利の使用料を意味するロイヤリティ(Royalty)とは意味合いが異なるため、間違えないようにしましょう。

エンゲージメントが注目される理由

人事領域でもマーケティング領域でもエンゲージメントを高めることは欠かせません。重要視している企業も年々増えています。その理由を見ていきましょう。

優秀な人材の流出を防ぐため

エンゲージメントが注目される大きな理由の一つが、優秀な人材の流出を防ぐことです。現代は実力や実績による人事評価を行う企業が多くなりました。終身雇用制度が姿を消そうとしている今、優秀な人材ほど、より待遇や条件がいい職場に転職する可能性が高くなっています。優秀な人材は他社にとっても魅力的な存在なので、引き抜きに合う可能性もあるでしょう。

企業と従業員が待遇・条件だけで繋がっているような状態だと、人材の流出を招いてしまうかもしれません。労働人口の減少も相まって、今いる人材を確保することは、企業にとっての重要な課題です。そのため、エンゲージメントを高めて従業員との結びつきを強くすることが求められています。

従業員の価値観の変化に対応するため

日本では終身雇用制度が当たり前で、一つの会社で長く働き続けることが良いこととされる時代がありました。しかし、現在は個人がインターネットを通じて、世界の価値観に触れることができます。

そのため、終身雇用ではなく、雇用スタイルや仕事への意義にもさまざまな価値観を持つ人が増えてきました。とくにデジタルネイティブである若い世代は多様な価値観を持っており、出世することを重視する人もいれば、自分らしく働き続けることを重視している人もいます。

こういった従業員の価値観の変化に対応するためには、従来の一辺倒なマネジメントでは十分ではありません。一人ひとりの価値観を大切にするために、働きやすさや仕事へのやりがい、企業への共感の要素を重視し、エンゲージメントを高めたいという企業が増えてきています。

エンゲージメントを高めるメリット

時間やコストをかけてでも従業員のエンゲージメントを高めることには、どのようなメリットがあるのでしょうか。5つのメリットを紹介します。

離職率の低下

従業員が自社に対して愛着を持ち、企業との深い結びつきを構築できていれば、離職率を下げられます。万が一、他社からより良い条件・待遇の提示があったとしても、今いる職場でやりがいを感じていて「この会社で成長したい」という思いがあれば、離職してしまう確率を下げることができるでしょう。

海外のエンゲージメントに関するある調査では、「従業員エンゲージメントが増加すると、離職率が低下する」「エンゲージメントの低い従業員が離職する割合は、エンゲージメントの高い従業員よりもかなり多い」ということもわかっています。

人材不足を解消し、優秀な人材に高いパフォーマンスを発揮してもらうことは企業にとって重要な課題です。エンゲージメントを高めれば、優秀な人材を確保できるうえ、経験豊富なベテラン社員を定着させることができるかもしれません。

従業員の生産性の向上

株式会社リンクアンドモチベーションと慶應義塾大学が発表した共同研究によると、エンゲージメントを向上させることで、労働生産性や営業利益率も向上するということがわかっています

エンゲージメントが高い従業員は、モチベーション高く仕事をしてくれるはずです。それによってパフォーマンスも上がります。各従業員の生産性が向上すれば、会社全体の生産性も上がり、業績アップが目指せるようになるのです。

組織の活性化

会社に対するエンゲージメントが高まれば、従業員はロイヤルティも持つようになります。企業の決断や方針に対して信頼感を持っている状態ですから、企業の目標を達成するために、主体的な行動をしてくれるようになるでしょう。

エンゲージメントが高い従業員は、新たなアイデアやそれを実現するための知識・スキルも積極的に学ぶ傾向にあるため、組織はどんどん活性化していきます。相乗効果で企業の業績も上がり、従業員一人ひとりの能力もアップして、win-winの関係が築けるでしょう。

職場の雰囲気の改善

エンゲージメントが高い社員が集まっている職場では、従業員同士もお互いを信頼する人間関係が構築されます。お互いの能力や努力を認め合い、協力して業務に取り組むようになるため、職場の雰囲気は大きく改善されるでしょう。信頼関係を築いた同僚と目標を達成することで、一人で努力するだけでは得られない達成感も感じられます。

その結果、より働きやすい職場環境で、やりがいを持って働けるようになるため、さらにエンゲージメントが高まる好循環が生まれるのです。

顧客満足度の向上

エンゲージメントの高い従業員は、企業や同僚だけでなく、顧客にもいい影響を与えます。仕事にやりがいを感じているため「もっと結果を出したい」「自社の製品・サービスを多くの人に知ってもらいたい」という気持ちが芽生え、熱意を持って顧客に接するようになるのです。

顧客とのコミュニケーションが円滑になり、その結果、顧客満足度も向上します。顧客に製品・サービスのファンになってもらうことができれば、顧客エンゲージメントが上がって、会社の業績アップにつながるでしょう。

エンゲージメントを高めるためには?

エンゲージメントを高めることは、従業員にとっても企業にとってもさまざまなメリットがあります。企業がエンゲージメントを高めるためにできる行動には、どのようなものがあるのでしょうか。

従業員エンゲージメントを向上させる要素

従業員エンゲージメントを向上させる要素は、大きく分けて3つあります。

経営理念や社風への共感

従業員エンゲージメントを高めるためには、企業の経営理念や社風に共感してもらう必要があります。共感を得るためには、まず経営理念や社風を従業員にしっかりと伝えなければなりません。

企業と従業員が同じ方向を向いてはじめて、従業員はモチベーション高く、熱意を持って業務に取り組むことができます。経営理念や社風に共感していなければ、従業員は業務を自分ごととして考えられないため、従業員エンゲージメントは下がってしまうでしょう。

働きやすい環境

大きなストレスがなく、安心して働ける環境も、従業員エンゲージメントを向上させるために欠かせない要素です。企業が提供している職場環境や、企業風土を「働きにくい」と感じてしまえば、必然的に従業員エンゲージメントは下がってしまいます。

働きやすい環境では、従業員同士のコミュニケーションが活発で、立場や年齢にかかわらず、積極的に意見交換ができます。また、一人ひとりの強みや特性に合った人員配置や、無理がない業務量も働きやすさには欠かせません。テレワークやフレックスタイムなど、多様な働き方が可能かどうかも、働きやすい環境かどうかを左右するでしょう。

成長ややりがいを感じられる環境

仕事を通して成長ややりがいが感じられる環境を提供することも、エンゲージメントを高めるために欠かせない要素です。いくら経営理念や社風に共感していて、働きやすい環境であったとしても、自分の努力が結果となって返ってこなければ、仕事へのやりがいを感じることはできません。

この場合の結果というのは、「数値での定量的な結果」と「上司・同僚などからの評価による定性的な結果」の二つがあります。この二つを満たすことで、従業員は成長ややりがいを感じることができ、「もっと成長したい」「会社に貢献したい」という気持ちを引き出すことができるのです。成長ややりがいを感じられれば、従業員の自己肯定感が高まり、さらに高いモチベーションをもって仕事に取り組むことができるでしょう。

従業員エンゲージメントを向上させる取り組み

従業員エンゲージメントを向上させる3つの要素を踏まえたうえで、具体的にどのような取り組みを行えば、従業員エンゲージメントを向上させられるのでしょうか。ここでは取り組み例を紹介します。

現在の従業員エンゲージメントを調査する

従業員エンゲージメントを向上させるための効果的な取り組みを行うためには、現時点での従業員エンゲージメントの状態を把握しなければなりません。従業員がどの程度経営理念を理解しているか、どんな職場環境を求めているか、どんな点にやりがいを感じているかを正確に知っておかなければ、間違った方向に進んでしまう可能性があります。

従業員エンゲージメントの調査・測定する方法は、次章で詳しく説明します。

経営理念やビジョンを発信する

「経営理念やビジョンは会社のホームページに掲載している」という企業も多いでしょう。しかし、ホームページに掲載しているからといって、それが従業員に届いているとは限りません。

それに、経営層から従業員に伝えたいことは時代や時勢に伴って変化していくこともあるはずです。今一度経営理念やビジョンを明確にし、従業員に向けてしっかりと発信しましょう。総会などで直接伝えてもいいですし、情報共有ツールを利用していつでも情報にアクセスできる環境を作るのもおすすめです。また、経営理念やビジョンに関する勉強会・研修を行うのも効果的な取り組みといえます。

ワーク・ライフ・バランスを整備する

仕事とプライベートのバランスが取れていることをワーク・ライフ・バランスといいます。ワーク・ライフ・バランスの整備は、社員の健康を管理することにつながります。心身ともに健康状態が悪くては、仕事に従事することができません。

残業時間の見直しや業務量の見直しなどは、ワーク・ライフ・バランスの整備につながります。またどのようなライフステージにいる従業員でも働きやすいように、テレワークやフレックスタイム、短時間勤務などの制度を整えることも効果的です。プライベートが充実する福利厚生の見直しも、ワーク・ライフ・バランスの整備につながります。

上司とのコミュニケーションを取る機会を増やす

上司から部下に対してはコミュニケーションが取りやすくても、部下から上司は難しいケースもあります。1on1ミーティングの機会を用意するなどして、上司とコミュニケーションを取る機会を増やせば、働きやすさも向上するでしょう。

ただ、決まった機会だけでしかコミュニケーションが取れないと、問題が発生したときの対応や、原因を把握することが難しくなります。また、従業員の成長機会も奪われてしまう可能性もあるでしょう。フリーアドレスの導入や、上司との距離が近いオフィスレイアウトへの変更もおすすめです。

かしこまった面談ではなく、フラットに意見交換ができるような場を作ってみるのもいいでしょう。マネジメント陣に研修の機会を与えて、意識改革を行うのも効果的です。

従業員同士のつながりを強化する

従業員同士のつながりを強化すれば仲間意識が生まれ、良好な人間関係を築けるようになります。一緒に働く仲間とのつながりを作ることは、従業員同士の協力を促し、一人では感じられない達成感が感じられる土壌づくりにもなります。

従業員同士のつながりを強化するための取り組みとしては、社内イベントの開催や部活動の促進・費用補助などが考えられるでしょう。また、部署のランチ代や飲み会の補助なども、従業員同士のコミュニケーションを活性化させ、つながりの強化になります。

公平な評価を行う

従業員全員が公平に評価されていると実感できる評価制度の導入も、エンゲージメントの向上につながります。明確な評価基準を作り、内容を周知徹底させることが大切です。評価基準は誰から見てもわかりやすい内容にしましょう。

人事評価制度にはさまざまなものがありますが、自社に合った評価制度かつ従業員が納得できる制度を導入することが重要です。現在の評価制度に従業員が納得しているかを調査し、必要であれば見直しを行いましょう。360°評価MBO目標管理制度は、公平公正な評価ができる方法です。

適切な人材配置を行う

従業員を適材適所に配置することも、エンゲージメント向上には欠かせない取り組みの一つです。従業員ごとに仕事をするうえでの目標や実現したいキャリアは異なります。そのため、それぞれが能力や強みを活かせる人材配置をすることは非常に重要です。

一人ひとりに合ったポジションや業務を任せることで、やりがいや組織の中での自分の価値を見いだせます。組織全体でエンゲージメントを向上させるための施策が思うようにいかないのであれば、個人のエンゲージメント向上のための施策に重点を置いてみるのがおすすめです。

成長の機会を与える

従業員に成長の機会を与えることも、エンゲージメント向上に最適な取り組みです。成長は個々の努力によって得られるものですが、企業側がその機会を提供することで企業に対する思い入れが変わってきますし、さまざまな事情で成長のための取り組みができかった従業員の成長にもつながり、結果的に企業側にも利益が生まれます。

たとえば、研修制度の充実、資格取得支援や通信講座、e-ラーニングなどの費用補助などを導入し、従業員が業務に必要なスキルや能力を身につけられるようサポートするのもよいでしょう。資格を取得した場合の報奨金制度もエンゲージメント向上には有効です。

エンゲージメントの調査・測定方法

エンゲージメントを向上させるためには、まず現時点のエンゲージメントを調査・測定し、把握しておく必要があります。エンゲージメントの状況を把握しないことには、向上のための最適な施策が行えず、何らかの施策を導入しても、思うような結果が得られません。

従業員エンゲージメント測定における重要な3つの指標とエンゲージメントサーベイについて解説します。

従業員エンゲージメント測定において重要な3つの指標

従業員エンゲージメントを測定するうえでは、これから紹介する3つの指標が有名です。それぞれどのような指標なのか理解しておきましょう。

エンゲージメント総合指標

エンゲージメント総合指標は、従業員が自社に対してどのような思いを持っているかを総合的に示すものです。具体的な観点としては以下の3点が代表的です。

  • eNPS(Employee Net Promoter Score):働いている会社を友人・知人に勧めたいか
  • 総合満足度:総合的に見て今の会社にどの程度満足しているか
  • 継続勤務意向:今後もその会社で働き続けたいか

エンゲージメントレベル指標

仕事に対して熱意ややりがいをもって働けているかどうかを示すものです。ワークエンゲージメント指標とも呼ばれます。エンゲージメントレベル指標は、以下の3点を測定するための質問で構成されています。

  • 熱意:仕事に対してやりがいを見いだせているか
  • 没頭:主体的に仕事に取り組めているか
  • 活力:モチベーション高く仕事に従事し、楽しんで働けているか

エンゲージメントドライバー指標

今後従業員エンゲージメントを高めるにあたって、従業員はどのような要因を求めているかを測定するのがエンゲージメントドライバー指標です。この指標は、以下の3項目で構成されています。

  • 組織ドライバー:職場の働きやすさや人間関係
  • 職務ドライバー:従事している業務の難易度ややりがい
  • 個人ドライバー:個人のスキルが業務に及ぼす影響

エンゲージメントサーベイとは

 
エンゲージメントサーベイは、企業と従業員間のエンゲージメントを数値化するための調査のことです。一般的にはアンケートの手法を用いて、先述のような指標を明らかにするために調査されます。エンゲージメントサーベイの結果は、エンゲージメント向上のための施策を決めるために必要です。

エンゲージメント調査(サーベイ)の質問項目事例

エンゲージメントサーベイで設定される質問項目の中から、代表的なものをいくつか紹介します。
具体的には以下のような質問を設定します。

  • 職場で自分に何を求められているのかを理解しているか
  • 業務を円滑に行うための材料やツールが用意されているか
  • 自分が最も得意とすることを行う機会が毎日職場で与えられているか
  • 直近1週間以内に、業務内容や成果を認められたり、褒められたりしたか

このような質問を通して、職場環境や人間関係、個々が仕事に貢献しているか、またどんな貢献ができているかなどを調査します。
>>さらに詳しい質問事例はこちら

従業員エンゲージメントが高い企業とは?事例紹介

最後に従業員エンゲージメントが高いことで知られている企業の事例を紹介します。

スターバックスコーヒージャパン

エンゲージメントが高い企業の代表格として知られているスターバックスコーヒージャパンは、正社員だけでなく、多数のアルバイトを抱えており、アルバイトのことをパートナーと呼んでいます。雇用形態に関わらず、充実した研修制度を設け、コンテストを開催して従業員にさまざまな成長機会を与えているのが特徴です。

また、企業理念やポリシーを明確に発信し、全ての従業員が会社と同じ目標を持って業務に取り組めるようにしています。一人ひとりが持つ高い意識が、スターバックスのサービスレベルを高めています。従業員からの意見も積極採用してサービスに反映しているのも特徴です。

ユーザベース

企業・業界分析を行うためのプラットフォームやSNS機能を兼ね備えた経済ニュースプラットフォームを運営しているユーザベース。「7つのルール」と「4つのやらないこと」を明確に提示しているのが特徴です。個々に成長の機会を与えるための資格取得報奨金制度や、多様な働き方を実現するためのリモートワーク制度も導入しています。

従業員に経営理念やビジョンを浸透させるため、カルチャーチームという組織を立ち上げ、従業員の意見や抱えている問題を上層部に伝えて、解決に向けた取り組みを行っているのも他社ではあまり見られない特徴といえるでしょう。

ヤマト運輸

従業員同士がお互いを評価する満足ポイント制度を導入したヤマト運輸。イントラネットで簡単に同僚の評価コメントを投稿でき、投稿した側にもポイントを与える制度です。一年間でこのポイントを集計し、評価が高い従業員にはバッジを付与しています。

一緒に働く仲間に評価されれば、やる気や仕事へのやりがいも感じやすくなります。また双方の信頼関係も強まり、社内の人間関係がよくなるというメリットがあるのもこの制度の特徴です。見えづらい評価を見える化することで、お互いを褒め合う社風を築いています。

小松製作所

マネージャー陣の意識改革を行うことで、従業員が働きやすい職場環境を整備することに成功した小松製作所。現場でエンゲージメント向上の鍵を握っているマネージャー陣がエンゲージメントを理解することで、チーム内の人間関係もよくなり、従業員が円滑に働けるようになっています。

また各従業員が自身の能力を発揮できるよう、研修制度を充実させ、プロフェッショナルとして成長できる環境を用意。育児・介護支援、ワーク・ライフ・バランスが取れる休暇制度等の拡充で、労働環境を改善し、エンゲージメントを格段に向上させています。

エンゲージメントを向上させて強い組織になろう

優秀な人材を確保して企業として成長を続けていくためには、従業員が愛着を持てる会社づくりをし「この会社で働き続けたい」「会社と一緒に成長したい」と思わせなければなりません。エンゲージメント向上は、人材不足が問題となっている現代だからこそ、どの企業も取り組むべき課題です。

まずは自社のエンゲージメントの状況を調査し、今よりもさらにエンゲージメントを高めるために、どのような施策が必要なのか考えてみましょう。自社の従業員はもちろん、外部の人から見ても魅力的な会社になることができれば組織力が高まり、将来的に生き残る企業へと成長していけるでしょう。

FAQ

茹でガエルについてのよくある質問です。

エンゲージメントの意味は?
エンゲージメント(engagement)とは、「従事」「契約」「誓約」「婚約」「約束」などを意味する言葉です。人事領域においては
、従業員と会社がお互いに強い思い入れを持ち、互いの成長に貢献し合える関係性を指します。
エンゲージメントを言い換えるとしたら?
人事領域におけるエンゲージメントとは、言い換えれば従業員が企業に持つ「愛社精神」や「会社への誇り」などに近いでしょう。
エンゲージメントが低い企業はどうなる?
労働人口の減少や人材の流動性が高まっている昨今、エンゲージメントが低い企業では長期的な視点で人材が定着しない、社員のパフォーマンスが上がらないなどの問題が発生する可能性があります。

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ウェルビーイングとは?注目される理由と企業事例などをわかりやすく紹介 https://motifyhr.jp/blog/engagement/well-being/ Tue, 10 Jan 2023 00:08:33 +0000 https://motifyhr.jp/blog/?p=18703 近年、従業員のワークライフバランスを整備し、働きやすい環境を作ることを目指して、ウェルビーイングの重要性を意識する企業が増加傾向にあります。 本記事では、ウェルビーイングの概要や近年注目を浴びている理由などを解説します。 […]

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近年、従業員のワークライフバランスを整備し、働きやすい環境を作ることを目指して、ウェルビーイングの重要性を意識する企業が増加傾向にあります。

本記事では、ウェルビーイングの概要や近年注目を浴びている理由などを解説します。また、企業における取り組み事例についてもご紹介します。

ウェルビーイングとは

ウェルビーイングとは、肉体的、精神的、社会的、すべてにおいて満たされている「幸福」な状態を意味しています。もともとは社会福祉や医療・看護などの分野から広まった言葉です。
世界保健機関(WHO)の世界保健機関憲章前文には、次のような文章があります。[注1]


“Health is a state of complete physical, mental and social well-being and not merely the absence of disease or infirmity.”
健康とは、病気ではないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが 満たされた状態にあることをいいます。”


“The enjoyment of the highest attainable standard of health is one of the fundamental rights of every human being without distinction of race, religion, political belief, economic or social condition.
人種、宗教、政治信条や経済的・社会的条件によって差別されることなく、最高水準の健康に恵まれることは、あらゆる人々にとっての基本的人権のひとつです。”


ウェルビーイングを意識して人事施策や経営戦略を策定することで、心身ともに健康な状態の従業員が高いパフォーマンスを発揮できるようになり、組織に良い影響をもたらす好循環が生まれることが期待されます。

また、近年社会問題化している過労死やメンタルヘルスといった問題を解消し、従業員の満足度を高めるという意味で、注目されている概念でもあるのです。

[注1]公益社団法人日本WHO協会/世界保健機関(WHO)憲章

ウェルビーイングとよく混合される言葉

ウェルビーイングと混同しやすい言葉に、ウェルフェア(welfare)ハピネス(Happiness)があります。これらは次のように意味が異なります。

  • ウェルビーイング(Well-being):「肉体的、精神的、社会的、すべてにおいて満たされている状態」「持続的な幸せ」
  • ウェルフェア(Welfare):「福祉」「福利厚生」
  • ハピネス(Happiness):「幸福」「感情的で一瞬の短い幸せ」

ウェルフェアは、従業員の働きがい向上や従業員(または家族)の健康増進などが目的とされており、ウェルビーイングを達成するための手段となります。ハピネスは、短時間で感じるシンプルな幸せを意味します。人々がより高い幸福度を得られるようにするためには、持続的な幸福を指すウェルビーイングを高めることが重要です。

ウェルビーイングが注目される理由とは?

ではなぜ近年、ウェルビーイングが多くの企業で注目されているのでしょうか。
その理由について5つを取り上げ、より具体的に紹介していきます。

1. 人材不足

現在、深刻化している少子高齢化によって、国内における労働力人口の減少が予測されています。今後は、さらなる人材不足に陥る見通しとなっています。

また、かつてのように終身雇用が一般的でなくなったことから、企業にとっても自社に貢献してくれる人材を確保し、つなぎとめておくことが重要となってくるでしょう。

企業は従業員の労働力を高め、人材不足を確保する意味合いでも、従業員やその家族に対してウェルビーイングを意識した取り組みが大切となります。

2. 働き方改革による意識の変化

働き方改革の推進により、働きやすい環境に向けた整備が急がれるようになりました。

そのためには、ライフスタイルに応じた柔軟な働き方や長時間労働の是正、雇用形態に拠らない待遇差の改善など、職場環境を整備していくために必要な制度や仕組みを検討していかなければなりません。

従業員が自分らしい働き方を実現するためにも、ウェルビーイングが重要な考え方となっていくことは明らかです。

経済構造や景気の変化に対して、雇用政策の分析・提言を行っている雇用政策研究会(厚生労働省)でも、「就業面からのウェル・ビーイングの向上」は重視されています。以下は2019年7月に雇用政策研究会から発表された「雇用政策研究会報告書」からの引用です。
「雇用政策研究会報告書」2019年7月・雇用政策研究会


本報告書でいう「就業面からのウェル・ビーイングの向上」とは、働き方を労働者が主体的に選択できる環境整備の推進・雇用条件の改善等を通じて、労働者が自ら望む生き方に沿った豊かで健康的な職業人生を送れるようになることにより、自らの権利や自己実現が保障され、働きがいを持ち、身体的、精神的、社会的に良好な状態になることを指す。


同資料の中では、具体的な施策として「働き方を労働者が主体的に選択し、円滑な移動や転換、マルチキャリアパスを可能とするための環境整備の推進」「企業による個人の希望・特性等に応じた雇用管理の推進」「多様な働き方の実現」などが挙げられています。

健康経営の推進

経済産業省では、企業が従業員の健康管理に重点を置いた経営を行えるよう健康経営への取り組みを推奨しています。

健康経営の推進の背景として、長時間労働がもたらす過労死が社会問題化し、従業員が安全に働ける環境の整備が必要であることが認識されてきたという点が挙げられます。

身体的な健康に重点を置く健康経営に加え、ウェルビーイングに着目して社会的・精神的にも満たされた状態になることで、従業員がより健康な状態で仕事に取り組むことが可能となります。

新型コロナウイルス感染症の影響

2020年より続く新型コロナウイルス感染症の影響により、テレワークが普及し、業務効率化が進みました。しかしその反面、従業員同士のコミュニケーションが不足することにより、メンタルの不調に悩む人も増加傾向にあります。

従業員同士が良好な人間関係を築けている職場では、生産性も高まりやすくなります。従業員のモチベーションが高い職場では、一人ひとりがやりがいを持って仕事に取り組むことができるようになるでしょう。

SDGsに関する動き

SDGs(持続可能な開発目標)とは、2015年9月に国連サミットで採択され、2030年までに持続可能でより良い世界を目指す国際的な目標のことを指します。

SDGsでは、17のゴールが定められています。その3つ目の項目として「GOOD HEALTH AND WELL-BEING(すべての人に健康と福祉を)」が設けられています。

ウェルビーイングに関する理論や調査

ウェルビーイングに関する理論や調査については、さまざまなものが報告されています。指標と照らし合わせることで、自社がウェルビーイングを実現するために必要なものが見えてくるでしょう。
ここからは、主な理論や調査を3つ取り上げ、紹介していきます。

世界幸福度ランキング

「世界幸福度ランキング」とは、国連が発表しているランキングです。人生における幸福度について、各国の人々に対し聞き取り調査を行ったものです。

この調査では、1人当たりの国内総生産や社会的支援、健康寿命、社会的自由、汚職の数などの評価項目について、国や地域ごとに数値化し、分析して、過去3年分の平均値を算出し、ランキング化します。

2022年3月に国連が発表した「世界幸福度ランキング2022」では、日本のランキングは54位です。これは先進国の中では決して高い順位ではありませんでした。

日本は、1人当たりの国内総生産や健康寿命については高い数値が示されているものの、社会的支援や社会的自由については低い数値が示されていたのです。

このランキングを基にして日本国内でのウェルビーイングを高めるためには、従業員が自由に人生を選択できる職場環境へと改善していくことが、重要となってくるでしょう。

ギャラップ社が定義するウェルビーイングの5つの構成要素

アメリカの調査会社ギャラップ社により定義されている、ウェルビーイングを構成する要素は次の5つの要素です。[注2]

これら5つの要素については、国籍などのバックグラウンドを問わず、すべての人に当てはめることが可能です。

次の5つの要素を実践することにより、企業のウェルビーイング向上を推進していきましょう。

  • Career Well-being:「キャリアの幸福」
    ⇒自分の時間を好きなことに使えているか、または毎日の仕事が好きか
  • Social Well-being:「人間関係の幸福」
    ⇒人生のなかで強い人間関係と愛情を持っているかどうか
  • Financial Well-being:「経済的な幸福」
    ⇒「経済的な豊かさ」があるかどうか
  • Physical Well-being:「身体的な幸福」
    ⇒健康で、日常的に物事を成し遂げるのに十分なエネルギーを持っているかどうか
  • Community Well-being:「コミュニティの幸福」
    ⇒住んでいる地域に関わっているという感覚があるかどうか

[注2]GALLUP/The Five Essential Elements of Well-Being

PERMAモデル

PERMAモデルは、ウェルビーイングを実現するために必要な5つの要素を定義したもので、ペンシルバニア大学のマーティン・セリグマン博士により提唱されています。

このPERMAモデルは、以下の5つの要素により構成されています。職場ではどう捉えるべきか補足も一緒にご紹介します。

  • Positive emotion:ポジティブな感情
    ⇒ポジティブな感情で職場にいることができているか?
  • Engagement:没頭、楽しいことに関わる
    ⇒仕事にはどのような状態で取り組んでいるか、没頭できているか?
  • Relationship:豊かな人間関係
    ⇒職場の人間関係は良好か?
  • Meaning:人生の意味や意義を肯定的に捉える
    ⇒人生において仕事はどんな意味を持っているか?
  • Accomplishment:達成、マスター、やり遂げること
    ⇒仕事で達成感は得られているか?

企業におけるウェルビーイングの事例

企業におけるウェルビーイングの事例も多数紹介されています。

以下、具体的な4社の事例を取り上げていきます。企業活動での参考にしてみてはいかがでしょうか。

Google

Googleでは、従業員の生産性を向上させるためのプロジェクトとして、2010年から4年をかけ「プロジェクト・アリストテレス」を実施しました。

その研究結果としてわかったことは、「心理的安全性」「相互信頼」「構造と明確さ」「仕事の意味」「インパクト」の5つの要素が、生産性の高いチームを作る重要なポイントだということです。これらの要素はウェルビーイングの実現においても重要です。

中でも「心理的安全性」については、従業員の精神面の安定を促すことから注目されており、社内の生産性の向上に向けた取り組みに活かしています。

味の素

味の素グループでは、2018年に健康宣言を制定しており、従業員専用の健康情報の専用ポータル「My Health」の設置等、社員の健康維持や増進を目的とした職場環境の整備を行ってきました。

ウェルビーイングを意識した働きやすい職場環境を提供することで、優秀な人材の採用が見込まれ、離職率の低下も期待できるようになっています。

楽天

楽天株式会社では、従業員の健康を維持し、よりよい精神状態で業務にあたれるよう、「楽天健康宣言:Well-being First」にのっとった取り組みを行ってきました。

社内設備の充実やコレクティブ・ウェルビーイングの概念に基づいたガイドラインの発行、三間(さんま)と余白の概念の重視など、他社とは異なる独自の取り組みで、従業員のウェルビーイング向上を推進しています。

アシックス

株式会社アシックスでは、「アシックスの健康経営」とし、従業員の健康は最も大切な要素と位置付け、従業員の健康的な生活の実現を目指した取り組みを行っています。

主な取り組みとして、従業員の健康状態を把握するための検診やストレスチェック、保健師による面談、また、全社員に向けたメンタルヘルス研修などを実施しています。

企業におけるウェルビーイング実現のメリット

ウェルビーイングにより、企業は従業員が働きやすい環境を提供することができるようになります。

以下、具体的なメリットをご紹介します。

企業価値が向上する

ウェルビーイングに積極的に取り組む企業は、企業価値の向上が期待できます。

特に近年、環境(Environment)や社会(Social)、ガバナンス(Governance)の視点を取り入れたESG投資の動きが活発です。ウェルビーイングの実現は特にSocialの部分へのインパクトがありますので、対外的にも企業価値の向上を示すことができるでしょう。

また企業の社会的価値が高まれば、優秀な人材も集まりやすくなるでしょう。

ワークエンゲージメントが向上する

ウェルビーイングによって、従業員のワークエンゲージメント(心の健康度)が向上します。
このワークエンゲージメントとは、熱意・没頭・活力のすべてが揃って充実している心理状態を指します。
ワークエンゲージメントが向上することで、従業員の生産性も高まり、企業の業績アップにもつながっていきます。

離職率の低下

ウェルビーイングを実践することで、従業員の仕事へのモチベーションがアップすると、同じ職場への定着率が高まります。

結果として、従業員の離職率低下につながり、採用コストの削減も見込めるようになるでしょう。

組織のレジリエンスが高まる

個々の従業員が幸福感を感じながら仕事を進めることができれば、自然と困難を乗り越えて成果を出すことのできる職場環境が醸成されていきます。

つまり、ウェルビーイングを向上させることで、組織のレジリエンス(困難を突破する力)を高めることも期待できるということです。

幸福度の高い社員は生産性が高い?

幸福度の高い従業員は、生産性が高いとされています。

幸福学の専門家として知られる慶應義塾大学大学院・前野隆司教授の研究データによると、幸福感と生産性には深い関係があることが紹介されています。
その結果として、幸福感の高い従業員はそうでない従業員に比べて欠勤率は41%、離職率は59%低くなる傾向にあります。また創造性は3倍、生産性は31%、売上は37%高いとされています。
※参考:Lifehacker

ウェルビーイングの取り組みで持続可能な経営へ

肉体的、精神的、社会的に満たされた幸福が維持されている状態を指すウェルビーイング。政府が推進する働き方改革を実践するうえでも重要な要素とされています。

従業員一人ひとりのウェルビーイングを実現することで、結果として企業の生産性や業績、企業価値の向上までも期待できると考えられるからです。

また、ウェルビーイングを実現できている組織は予測が難しい外的要因に対しても柔軟に対応できると期待できます。「人的資本開示」などのキーワードに注目が集まるなか、今後の人事施策や経営戦略においては欠かせない要素となってくるでしょう。

FAQ

ウェルビーイング(Well-being)に関するよくある質問です。

ウェルビーイングとはどういう意味ですか?
ウェルビーイングとは、「幸福」を意味しており、肉体的、精神的、社会的に幸せな状態であることを指しています。ウェルビーイングを意識し、従業員の心身が常に健康な状態を維持することで、業務のパフォーマンス向上を促し、組織に良い影響をもたらします。
ギャラップ社が定義するウェルビーイングの要素とは?
Career Well-being:「キャリアの幸福」、Social Well-being:「人間関係の幸福」、Financial Well-being:「経済的な幸福」、Physical Well-being:「身体的な幸福」、Community Well-being:「コミュニティの幸福」の5つです。
ウェルビーイングとポジティブ心理学の関連は?
ペンシルバニア大学のマーティン・セリグマン博士によって提唱された「PERMAモデル」はポジティブ心理学の分野で提唱され、ウェルビーイングにおいても重要な要素としてとらえられています。

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社内コミュニケーションを再構築。離れていてもつながる仕組み作り https://motifyhr.jp/blog/engagement/interview_castingroad/ Thu, 05 Jan 2023 01:00:33 +0000 https://motifyhr.jp/blog/?p=18656 投稿 社内コミュニケーションを再構築。離れていてもつながる仕組み作りHR BLOG | 経営者と役員とともに社会を『HAPPY』にする に最初に表示されました。

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かつて雇用には、「正社員」と「アルバイト」の2種類くらいしかありませんでした。しかし現代では直接雇用や間接雇用、正規や非正規などさまざまなカタチがあり、労働者自身が求める暮らしや将来の目標に合わせて選ぶものになってきました。

人材派遣業を主軸に、人材紹介や採用コンサルティングなどを手がける株式会社キャスティングロード(以下、キャスティングロード)は、2021年に設立20年を迎え、長年培ってきたその実績とノウハウを活かし、ハイキャリア層に向けた紹介なども行っています。誰もが生き生きと働ける豊かな社会を目指し、何よりも人を大切にしているからこそ、同社では一般的に使われる「派遣社員」「派遣スタッフ」という呼び名を使っていないそうです。配された場でその力を発揮する人材として、「キャスト」と呼び、外部の人材ではなく仲間として考えるという文化が根付いています。

そうした人材第一主義の企業風土があっても、離職防止やエンゲージメントの向上はキャスティングロードにとって大きな課題となっていたそうです。そこで同社が課題解決のために導入を検討したのは人材の評価や育成を効率的におこなうHRシステム。その導入経緯や社内で起こった変化について、社内で人材開発を担当している業務管理部の早瀬仁洋さんと松山佳代さんにお話しをお聞きしました。

企業成長と共に人が離れてしまう負の連鎖を断ち切るために、課題解決方法を模索

弊社では人材ビジネスを行うという業種的に、労働基準法や派遣法などの法令や保険関係の知識を幅広く身に付けておく必要がありました。それらは法改正も多く、社内で知識の均一化を図るためにも、コロナ禍以前の4年ほど前から社内版ウィキペディアのようなポータルサイトを構築し、運用していました。そこに社内掲示板のような機能も加え、コミュニケーションツールとして活用していたのです。

しかし、会社が成長して全国に支店が増えていくにつれ、人の管理が難しくなっていきました。特に物理的に距離が離れた支店などは、一人ひとりに目が行き届かないことが増えてきたのです。さらにコロナ禍でそれまで行ってきた社員総会や全社的な行事が減り、コミュニケーションがどうしても希薄になってしまいました。入社したばかりの従業員ではなく、長く勤めていた役職を持つ人材が会社を離れてしまったり、社内の雰囲気や発言にネガティブなものが増えてしまったりと改善していかなくてはならない部分が増え、「エンゲージメントの向上に力を入れていかなくてはならない」と考えていたのです。そんな時に知ったのがあるHRシステムでした。

管理から育成、コミュニケーションの場としてオールマイティに使える利便性

エンゲージメント向上の方法を模索していた時、弊社代表と交流のあった株式会社アックスコンサルティングの代表に紹介いただいたのが『MotifyHR』というHRシステムです。1on1ミーティングなどエンゲージメントに欠かせない機能をはじめ、私たちが取り入れたい内容が網羅されており、価格的にもトライしやすいものでした。スモールスタートを考えていた私たちにはぴったりだったのです。従業員のモチベーション向上や帰属意識の醸成に期待が持てると導入を決めました。

実際に運用を始めると、それまで法令関係や社内のフローをまとめていた社内のポータルサイトは、管理者のみが投稿できる『MotifyHR』の情報共有掲示板であるカンパニーボードを活用することでスムーズに移行でき、紙ベースで行っていた体調管理などもシステムで対応できるなど、便利さを実感。それまでのポータルサイトではWordPressを使用していたのですが、自由度が高いというメリットがあるものの、詳しい従業員がいなかったため使いづらい部分の改善が難しく、運用も大変でした。その点『MotifyHR』はシステムの機能をそのまま使えて大変助かりました。

また、コロナ禍で体調管理がより重要になっていたため、毎日の体調を簡単なスタンプで報告ができる体調管理機能は、報告する本人が便利なだけでなく、周りが声をかけるきっかけにもなりました。表情のスタンプは体調だけでなく、メンタル的な変化を感じ取れるのもよいですね。1on1ミーティングは基本的に月に1回行うように指導しています。もちろんできない場合もありますが、それも含めてシステムで確認・管理しています。

さらに、以前のポータルサイトは社内のパソコンからしかアクセスできませんでしたが、導入した『MotifyHR』はアプリ版もあるため、社外でスマートフォンからも確認でき、現場を回る従業員にはとても便利です。従業員機能のタグを使うと離れた拠点や会ったことがない相手でも顔と名前が一致し、趣味やスキルで検索が可能になるため、使用範囲が広がります。

人材管理や育成、そしてコミュニケーションまで、このシステムだけで完結できるというのが大変使いやすいです。

導入後の現場の変化や新たな動きから効果を実感

システムのアカウントを発行しているのは正社員と内勤のアルバイト、出向中の一部従業員ですが、かなり多くの従業員がシステムを活用してくれています。また、使っていない場合は上司から積極的に声掛けするなどし、社内全体でまずはログインするという習慣が付いてきたようです。ニュースフィードへの投稿は平均して1日に2~3件、多い日には5~6件ある日もあります。ポップアップでその都度通知されるため自然とチェックでき、写真も投稿できるため他部門や各支店の様子がわかったり、親近感が増したりと、社内全体のコミュニケーションに自然とつながっています。

ただ、投稿の内容について配慮が必要だと考えています。新型コロナウイルスによる行動規制は減ってきましたが、まだまだ油断はできません。特に弊社のように多くの人が関わる業種では集団感染などを回避することが大変重要なので、社内イベントの投稿などにも細心の注意を払っていく必要があります。ただ、投稿するかどうかの判断は人によって温度差があるものです。そのため、各個人が投稿する際には業務管理部が内容を確認し、まとめて行うようにしています。そうした仕組みを作りやすいのもシステムを使うメリットです。

また、業務以外でシステムの活用が見えるようになってきたのも嬉しい効果です。名古屋と福岡の支店の従業員たちが有志で集まってあるゲームをオンラインで対戦するなど、同じ趣味を持つ従業員同士で業務外でのコミュニケーションもできるようになりました。こうしてシステムを通じて他部門のことを知るようになったことで、お客様への提案の幅も広がってきたように思います。自社や従業員に興味を持つことで、より互いを理解できるようになることが大事だと考えています。

導入後の離職率について、入ったばかりの従業員については導入前と比較して7%減少し、全体的に改善されてきています。これはシステムとさまざまな施策の相乗効果と言えるでしょう。

さらに使いやすさを追求。今後はより多くの人にスポットが当たるコンテンツ作りを目指す

従業員の帰属意識、仲間意識を高めるには、今回導入したようなHRシステムの活用は大変有効だと思います。実は、弊社では4月に企業理念と行動指針を刷新し、社外には10月に告知しました。それに伴って、新しい企業理念と行動指針に沿った活動を実践した従業員の推薦や投票という新たな試みを実施しています。これまでならわからなかった、他部門や他支店の活躍についてシステムを通して知っているので盛り上がりますし、全体のモチベーションアップにもつながると思います。また、表彰される人や目立ちやすい人だけでなく、自己紹介リレーのように社内の各部門の人が掲載される仕組みも続けていくつもりです。多くの人が主人公になれるようなコンテンツを作っていきたいと思います。

もちろん、システムについては使ううちに気になる部分が出てきますが、気軽に相談ができ、都度改善していただいています。今気になっているものとしては、検索機能の充実と1on1ミーティングの実施確認についてでしょうか。カンパニーボードの内容について、カテゴリーで分けられたりタグ付けで検索できたりするとさらに使いやすいですね。近いうちに詳しくご相談しようと思っています。

私たちと同じようにエンゲージメンや人材の育成・維持の方法に迷っている企業、人事の方は多いと思います。今回導入した『MotifyHR』のように、コミュニケーションや育成を一つでできるシステムは大変効果的です。そして、交流の場を提供するだけでなくて、いかに活用してもらうかがポイント。運用が何よりも大切です。そのためには運営する側に管理職など社内的に発言力や影響力を持つ人を引き込み、先導してもらうと社内での浸透もより早く、スムーズになるのではないでしょうか。

まとめ

全国に拠点を持つ企業では、人材の管理・育成が大変難しくなります。そして業務を円滑にするコミュニケーションも不足しがち。そういった際に、物理的な距離に左右されないHRシステムは大変有効です。そして、自社に合わせてどう運用していくかが、導入後の成功のカギとなります。

今回ご紹介したキャスティングロードのように、使いながら少しずつカスタマイズを行い自社に合うよう育てていけるHRシステムは、エンゲージメントアップの最大の助けとなってくれるのではないでしょうか。

株式会社キャスティングロード
取締役 事業開発・管理本部 本部長 兼 業務管理部 部長
早瀬 仁洋氏

株式会社キャスティングロード
業務管理部 係長
松山 佳代氏

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ワーカホリックとワークエンゲージメントの関連とは?燃え尽きない働き方 https://motifyhr.jp/blog/engagement/workengagement_workaholic/ Fri, 09 Dec 2022 08:53:13 +0000 https://motifyhr.jp/blog/?p=18399 「ワーカホリック」、「ワークエンゲージメント」がどのような意味なのか、また企業を活気づけるためのワークエンゲージメントを高める方法に悩んでいる方もいるかもしれません。 この記事では、ワーカホリックとワークエンゲージメント […]

投稿 ワーカホリックとワークエンゲージメントの関連とは?燃え尽きない働き方HR BLOG | 経営者と役員とともに社会を『HAPPY』にする に最初に表示されました。

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「ワーカホリック」「ワークエンゲージメント」がどのような意味なのか、また企業を活気づけるためのワークエンゲージメントを高める方法に悩んでいる方もいるかもしれません。

この記事では、ワーカホリックとワークエンゲージメントの違い、ワークエンゲージメントを高める方法について詳しく解説します。

ワーカホリックとワークエンゲージメントの違い

2つの違いを説明するために、それぞれの意味について解説します。

ワークエンゲージメントとは、「活力」「熱意」「没頭」の3つが揃った心理状態のことをいい、仕事に対して積極的で楽しんでいる状況です。

ワーカホリックは、強制的に働かされている心理状態で、英語で仕事の意味を持つ「Work」とアルコール中毒の「Alcoholic」を組み合わせたものです。

簡単にいうと「この仕事をしなければいけない」「仕事をしていないと落ち着かない」など仕事熱心ではあるが周りとのコミュニケーションが少なく、プライベートでも仕事をしているような方を指します。

ワーカホリックとワークエンゲージメントは対極的な意味合いを持ち、ワークホリックを改善してワークエンゲージメントを高めることが重要とされています。

ワークエンゲージメントとは

ワークエンゲージメントは、オランダにあるユトレヒト大学のSchaufeli教授によると、「仕事に対する積極性があり、心が充実した状態」とされています。

「活力」「熱意」「没頭」の3つの意識が高まることで、仕事上でのパフォーマンスが上がると言われています。

日本でも注目は高まりつつあり、厚生労働省の調査によると、国内における「エンゲージメント」というキーワードが絡む記事数が、2014年が198件に対し、2019年では1,999件とその注目の高さがうかがえます。

ワークエンゲージメントを構成する要素

先述のユトレヒト大学のSchaufeli教授が提唱した概念によると、ワークエンゲージメントは以下の3つの概念によって成り立ちます。

  • 活力
  • 熱意
  • 没頭

それぞれの意識が高い人はワークエンゲージメントが高い人といわれています。3つの概念を詳しく知ることで、ワークエンゲージメントに対する理解が深まります。早速詳しく見てみましょう。

「活力」

「活力」は、仕事に取り組む意識が高く、困難な業務への取り組みが積極的で、活発に行動を起こしている状態のことをいいます。

労働者に活力があると、仕事に対するストレスを感じにくく、楽しく仕事を行うことができるでしょう。

「熱意」

「熱意」は、仕事に対して強い関心があり、挑戦しようという意欲が湧き上がっている状態をいいます。

熱意が強い人の特徴として、企業の概念やビジョンをよく理解しており、それらを実現するにはどのようなアクションを起こせばいいのかという挑戦心がみられます。

「没頭」

「没頭」は、仕事に対する集中力が高い状態のことをいいます。

仕事以外の雑念を抱いているときは、仕事に対する集中力は半減状態です。

仕事に没頭している人は、いかなる雑念をも振り払い、業務の品質やスピードが向上します。
  

ワーカホリックとは

ワーカホリックとは、ワーカホリズム(強迫的に一生懸命に働く)状態に陥っている状態を指し、仕事以外のプライベートでも仕事のことを考えている人のことをいいます。

>>1分でできるワーカホリック診断はこちら

他者から見ると仕事に対して情熱的だと思われがちですが、同僚や家族とのコミュニケーションを蔑ろにしていることが多く、孤立しやすいです。
仕事のことしか考えないため、自身の健康状態を崩してでも仕事を優先的に考える方も多くみられます。
ワーカホリックの語源は、英語で仕事の意味を持つ「Work」とアルコール中毒の「Alcoholic」を組み合わせたものです。
1970年代アメリカのウェイン・オーツという作家が出版した「ワーカホリック 働き中毒患者の告白」で言葉が使用されたのが始まりといわれています。

「バーンアウト」との関連

ワーカホリックが強迫的に働く状態に対し、バーンアウト(燃え尽き症候群)は、心身的に疲れ切って、仕事に対する意欲が激減または喪失している人のことをいいます。

バーンアウトになる原因は、自身でも気づかずストレスを溜めこみ、上手にストレスを発散できないことです。
次第にストレスは膨張し、最終的には燃え尽きてしまうことから「バーンアウト」といわれています。

ワーカホリックの人は、仕事に対して強迫的に動くため、次第にストレスを溜めこみバーンアウトにつながりやすいと言われており、密接な関係性があるといえるでしょう。

バーンアウトの対義語は、記事冒頭でも紹介したワークエンゲージメントです。

ワークエンゲージメントの高い企業を目指すことが大切

企業は長期的な目線で生産性を上げるためにワークエンゲージメントを高めることが大切です。

ワークエンゲージメントは、仕事に積極的に取り組む「活力」、仕事に対して強い関心がある「熱意」、仕事に対する集中力が高い「没頭」の3つを高めることで、生産性が向上し、従業員のパフォーマンスが向上します。
これら3つの内どれかが下回ると、仕事に対する情熱が低下し、会社に対する愛着が低下。
すなわち離職率を高める要因の一つだといわれています。

ワークエンゲージメントを高めることで離職率を低下し、従業員が定着する。
定着することで、世間や顧客からの信頼性が増し、新たな人材が入ってくる
という新たな化学反応がみられるでしょう。

以上の理由から、企業はワークエンゲージメントを高めるように努めなければいけません。

ジョブ・クラフティングとは?

ジョブクラフティングとは、ワークエンゲージメントを高める一つの手段です。従業員一人ひとりが仕事に対する認知や行動を自ら修正し、仕事を退屈なものからやりがいのあるものへと変える手法のことをいいます。

自分自身の意識の中にある仕事に対する考え方を改め、モチベーションを高めてパフォーマンスの向上につながると考えられています。

ジョブクラフティングは、3つの視点から自身を修正・見直しをはかります。

【3つの視点】

  • 作業クラフティング:仕事のやり方や工夫を施し、内容を充実させる
  • 人間関係クラフティング:仕事で関わる人とコミュニケーションを図り、仕事に対する満足感を高める
  • 認知クラフティング:仕事のとらえ方や考え方を工夫し、やりがいを持たせる

ワークエンゲージメントを高めるためには、ジョブクラフティングを進めることも重要です。

まとめ

ワーカホリックとワークエンゲージメントは対極関係です。
ワーカホリックの人は知らず知らずのうちにストレスを抱え込みバーンアウトを起こしかねません。
バーンアウトを起こすと離職率高める要因の一つともいわれるため、ワークエンゲージメントを高める必要性があります。
魅力ある企業は、従業員一人ひとりが意欲的に働き、ワークエンゲージメントが高いといえます。
これからの企業は、従業員のワークエンゲージメントを高めて燃え尽きない働き方が大事だといえます。

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【ワーカホリック診断】仕事中毒になっていませんか? https://motifyhr.jp/blog/engagement/workaholic-diagnosis/ Tue, 06 Dec 2022 06:31:34 +0000 https://motifyhr.jp/blog/?p=18330 ワーカホリックとは、あくまで生活の手段であるはずの仕事に、物理的にも精神的にも私生活を脅かすほどにのめりこんでしまっている状態を指します。 仕事熱心であることは悪いことではありませんが、半ば強迫観念のような精神状態で働き […]

投稿 【ワーカホリック診断】仕事中毒になっていませんか?HR BLOG | 経営者と役員とともに社会を『HAPPY』にする に最初に表示されました。

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ワーカホリックとは、あくまで生活の手段であるはずの仕事に、物理的にも精神的にも私生活を脅かすほどにのめりこんでしまっている状態を指します。

仕事熱心であることは悪いことではありませんが、半ば強迫観念のような精神状態で働き続け、健康や人間関係に悪影響を及ぼすようでは本末転倒です。また、企業側もそういった状態の従業員に適切なケアができなければ、離職や休職、最悪の場合は過労死を引き起こしかねません。

もし少しでも気になることがあれば、こちらの簡易診断ツールであなたのワーカホリック度を診断してみませんか?
適切なケアのためには現状を知ることが重要です。ワーカホリックについて詳しく解説している記事もありますので、ぜひ併せて確認してみてください。
>>ワーカホリックについて詳しく解説した記事はこちら

【診断ツールの使用方法】
1. ニックネームを入力してください。
2. すべての回答にチェックを入れてください。
3. 「診断する」を押すと結果が表示されます。

診断してみよう!



問1 : 休みの日でも仕事で頭がいっぱいで休んだ気がしない




問2 : 自分の人生には仕事しか誇れるものがない




問3 : 好きだったはずの趣味が楽しめなくなってきた




問4 : 家族や友人とのコミュニケーションより仕事の連絡を優先する




問5 : 頼まれたことは基本的に断れない




問6 : 食事をしている間も仕事をしてしまう




問7 : 他の人よりも業務量は多いと感じる




問8 : 会社からの評価は高いと思う




問9 : 仕事をしていると落ち着く




問10 : 自分と周りの仕事への熱量の差にイラつくことがある











もう一度診断する

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ワーカホリック診断の結果はいかがでしたか?
予想より高かったでしょうか。低かったでしょうか。

特にワーカホリック度が80点以上の方はすでに健康が脅かされている可能性があります。状況を把握し、必要なケアを行いましょう。

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ワーカホリック(仕事中毒)とは?特徴とデメリット、対処法を解説 https://motifyhr.jp/blog/engagement/workaholic/ Tue, 06 Dec 2022 06:31:06 +0000 https://motifyhr.jp/blog/?p=18345 企業が従業員の健康状態を管理することも重要な課題の一つです。数ある課題の中でも、注目すべきは「ワーカホリック」。仕事熱心な方だと思っていたら、実はワーカホリックだったということも考えられます。 この記事では、ワーカホリッ […]

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企業が従業員の健康状態を管理することも重要な課題の一つです。数ある課題の中でも、注目すべきは「ワーカホリック」。仕事熱心な方だと思っていたら、実はワーカホリックだったということも考えられます。
この記事では、ワーカホリックの意味、原因や特徴、対処方法について詳しく解説します。

>>1分でわかる!ワーカホリック診断はこちら

ワーカホリック(仕事中毒)とは?

ワーカホリックとは、頭が常に仕事のことでいっぱいで、プライベートでも仕事のことを考えている状態のことをいいます。そういった状態の人は、一見仕事熱心な人と思われます。しかし、仕事のことを優先するあまり、人とのコミュニケーションや自身の健康をおろそかにしている可能性もあるのです。
ワーカホリックの語源は、英語で仕事の意味を持つ「Work」とアルコール中毒を意味する「Alcoholic」を組み合わせたものです。1970年代アメリカのウェイン・オーツという作家が出版した「ワーカホリック 働き中毒患者の告白」で言葉が使用されたのが始まりといわれています。

ワーカホリックになる原因とは?

業務量が増えた、私生活がうまく行っていないなどの理由で、プライベートでも常に仕事のことを考えるようになると、ワーカホリックが引き起こされます。
年齢や経験を重ねるにともない、役職がついてくると仕事量が増えます。こうした方は、「いかに仕事をこなすか」「定時までに仕事が終わらず残業」と知らず知らずのうちに仕事のことで思考がいっぱいになりがちです。仕事に対して全力で取り組むため、自分でブレーキをかけるのを忘れてしまっているのかもしれません。
プライベートでも趣味にかけていた時間が仕事のことで考える時間になり、仕事に関することをやり始めている方が多くみられます。
また、プライベートで悩みがある場合に、仕事をすることで不安を解消しようとする人もいます。しかし、仕事で一時的に不安を発散できたとしても、問題は解決していないことの方が多く、さらに仕事にのめりこむという悪循環になりがちです。

ワーカホリックになりやすい人の特徴とワーカホリックのデメリット

ワーカホリックの意味や原因について理解できたところで、ワーカホリックになりやすい特徴について詳しくみてみましょう。主な特徴は以下の5つです。

  • 常に仕事のことで頭がいっぱいになっている
  • 何よりも仕事を優先してしまう
  • 完璧主義者
  • 責任感が強く、自分を追い込みがち
  • 仕事以外に没頭できる趣味がない

これらの特徴について詳しく解説します。

ワーカホリックの人の特徴①常に仕事のことで頭がいっぱいになっている

多くの人は、休日になると家族や恋人とのコミュニケーションや趣味に身をおき、心身を癒すことでしょう。
ワーカホリックの人は休日でも仕事のことを考え、休息をする暇があったら仕事をしようと考えます。常に仕事をしていないと不安にかられ、イライラすることも少なくありません。そのため、仕事をすることで安心感が生まれ、休日でも資料作りや次の仕事の準備をはじめたりします。

ワーカホリックの人の特徴②何よりも仕事を優先してしまう

仕事を成功させたい、円滑に進めたいという考えから、何よりも仕事を優先してしまう人もいるでしょう。プライベートだけでなく、仕事の休憩時間にも仕事にあててしまうケースも珍しくありません。
何よりも仕事を優先してしまうあまりに、家族や恋人とのコミュニケーションが少なくなり、家庭内での居場所がなくなる可能性も。他にも友人からの誘いも断るようになり、疎遠になるケースも珍しくありません。仕事での悩みを相手に打ち明ける機会を設けないと、心身ともに崩れ、病気になる方も数多くいます。
何よりも仕事を優先してしまうと、見えない絆や関係性が消滅する可能性も考えられます。

ワーカホリックの人の特徴③完璧主義者

ワーカホリックは、負けず嫌いな方に多くみられます。人よりできないことがあれば、できるようになるまで仕事をします。また、新たにできないことがわかれば、仕事量をこなしてできるため、やりすぎてしまう場合も。
完璧主義者は自分を甘やかさず、常に仕事はミスがなく完璧にしないと気がすみません。どれだけやっても仕事に対する満足感がなくこだわりが強いため、終わりがないというのも特徴としてみられます。

ワーカホリックの人の特徴④責任感が強く、自分を追い込みがち

責任感が強く、自分一人で仕事を成し遂げようする人は、周りに仕事をふったり相談をしたりすること得意ではない場合があります。そのため、体調がすぐれないなど万全でないときも仕事をこなし自分を追い込む傾向もみられます。
仕事量が増えたときも周りに仕事を割り振らないため、自分一人で抱え込みさらに自分を追い込むという負のスパイラルに陥る可能性も。
その結果、仕事を処理する時間が増え、ワーカホリックに拍車をかけてしまいます。

ワーカホリックの人の特徴⑤仕事以外に没頭できる趣味がない

夢中になれる趣味があれば、休日や仕事終わりも時間を費やせます。
しかし、趣味がない人は、休日もやりたいことが見つからず時間を持て余します。持て余す時間があるなら仕事をしようと考え、仕事に取り組む方も少なくありません。
また、趣味を楽しんでいても、頭の片隅で仕事のことを無意識に考えているケースもみられます。十分に趣味を楽しめないため、仕事をしたほうがよいという思考回路に切り替わり、趣味ではなく仕事に切り替わる方も。
常に仕事のことを考えるようになるため、仕事以外に没頭できる趣味がなくなると考えられます。

ワーカホリックの人の特徴⑥プライベートがうまく行っていない

プライベートで何か問題を抱えている場合に、不安から逃避する手段として仕事に打ち込む人もいます。その結果、プライベートの問題の解決が先延ばしになり、状況が悪化し、仕事をしていないと落ち着かなくなってしまい、ワーカホリックになってしまうこともあるでしょう。

ワーカホリックのデメリット

ワーカホリックになると、どのようなデメリットがあるのでしょうか。
考えられるデメリットは以下の2つです。

  • 本人のメンタルヘルスや体調への悪影響
  • 人間関係への悪影響

2つについて詳しくみてみましょう。

本人のメンタルヘルスや体調への悪影響

仕事を優先するため、健康状態への意識が低下しています。体調がすぐれないときでも仕事をするため、健康状態が悪化しかねません。
また、残業を続けたり睡眠時間を削ったりする日々が続くと、自分でも気づかないうちにストレスが溜まり、メンタルにも影響が出るでしょう。
自身の健康よりも仕事を優先することで、後々取り返しがつかない状態に陥る可能性も考えられます。

人間関係への悪影響

仕事を優先するあまり、家族や恋人とのコミュニケーションの時間が少なくなります。
コミュニケーションが少なくなると信頼関係が揺らぎ、家に帰っても自分の居場所がなく居心地が悪くなる可能性も。家にいたくないから仕事をしようと考え仕事に没頭し、さらに疎遠になるため人間関係への悪影響がより強くなるでしょう。
また、友人との付き合いでも同じことがいえます。友人からの誘いに対し仕事を理由に断り続けると、相手から誘われなくなるでしょう。
友人と話をすることで、日頃抱え込んでいる悩みを口に出し、心身ともに楽になるケースは多々あります。友人と疎遠になることで、悩みや愚痴を聞いてもらえず、自身で抱え込み精神疾患にかかる可能性も。
以上の理由から人間関係への悪影響が考えられます。

ワーカホリックの対処法・抜け出す方法


ワーカホリックは仕事だけでなく、プライベートまで多大なる影響を与えるため、早急に対処しなければいけません。
対処する方法は以下の3つです。

  • 他人から客観的な意見をもらう
  • 仕事と休日のメリハリをつける
  • マインドフルネスなどを通して自分の気持ちと向き合う

これら3つのことを行うことで正しく対処でき、ワーカホリックから抜け出せます。

他人から客観的な意見をもらう

仕事をしているときの様子は自分でもわからないもの。他人から客観的な意見をもらうことで、今後の改善点がみえてきます。
例えば、仕事に集中しすぎて周りとのコミュニケーションが図れていないという指摘があれば、少しずつ周りに話をかけるようにするとよいでしょう。
他人から意見をもらうことで、現在自身がおかれている状況が少しずつみえてきます。決して否定をせず、他人からみられている自身を見つめ直す良いキッカケとなるでしょう。

仕事と休日のメリハリをつける

ワーカホリックを改善するためには、仕事と休日のメリハリをつけることも重要です。
もし休日でも仕事のことを考えるようであれば、車や電車で遠出をして、仕事のことを考えないような環境にしてみてはいかがでしょうか。遠出の他にも映画や運動など他のことを考えるようにし、リフレッシュできる習慣を取り入れることで、メリハリをつけられます。
仕事の場合は、就業時間が過ぎたら仕事を行わないことが大切です。就業時間内で〇時までに〇〇を終わらせるとタイムスケジュールを立て、終わらせられるようにすることで仕事でのメリハリもつけられます。
自身の中でしっかりと線引きとメリハリを行うことで、ワーカホリックの改善につながるでしょう。

マインドフルネスなどを通して自分の気持ちと向き合う

マインドフルネスとは、過去の経験や先入観にとらわれず、体の五感に集中させ、現実をあるがまま受け入れる心をはぐくむ練習をすることです。
よく行われる練習法の一つとして瞑想(めいそう)があります。
瞑想は脳を活性化させたり、ストレスをためにくいようにしたりするなど、仕事のパフォーマンスを上げる効果があるため、多くの企業で導入されています。
瞑想のやり方は以下の通りです。
1.椅子に腰をかけ、脚などは組まず地面に足裏をつけます
2.背筋を伸ばし、腕はおろした状態で肩を3~4回回して胸をはります
3.両手は膝の上におきます
4.目を閉じます
5.呼吸は腹式呼吸(鼻から息を吸う時に腹は膨らみ、吐く時に腹を凹ます)
6.1~5を繰り返し、5~10分行う
マインドフルネスで自分自身と見つめなおす良いキッカケを得られるでしょう。

ワーカホリックの社員がいたら企業はどうするべきか

もし社内にワーカホリックの社員がいた場合、企業はどのように対応をすればよいのでしょうか。
企業側の対応策は3つです。

  • ワーカホリックへの正しい理解を持つ
  • 業務量を確認する
  • ワーカホリックを「見える化」する

それぞれについて詳しく解説します。

ワーカホリックへの正しい理解を持つ

企業側は、ワーカホリックに対する正しい理解を持つことが大切です。
ワーカホリックに該当する社員を、「この人は仕事熱心な人だ」「責任感が強い」と決めつけてしまうと、つぶれてしまう可能性があります。
上記でもワーカホリックの特徴をあげましたが、ここで改めて復習しましょう。

  • 常に仕事のことで頭がいっぱいになっている
  • 何よりも仕事を優先してしまう
  • 完璧主義者
  • 責任感が強く、自分を追い込みがち
  • 仕事以外に没頭できる趣味がない

これらの特徴に一つでも当てはまる場合は、該当する社員と面談を行います。その際は、現在抱えている悩みや日頃の行動などを聴取し、一人ひとりの人となりや事情を分析することが大切です。

業務量を確認する

ワーカホリックに当てはまる人は、一人で業務を抱え込みがちです。その方の能力地適した業務量なのかを見つめなおすことで、ワーカホリックから抜け出せるキッカケになるかもしれません。
過去に行っていた業務量と現在の状況を比較し、あまりにも量が増えすぎていた場合は改善するようにしましょう。

ワーカホリックを「見える化」する

ワーカホリックの特徴がわかっても、本人が納得してもらわなければ、その先へと進めません。サーベイやストレスチェックなどでワーカホリックに該当するかをテストし、テスト結果で見える化を行うと本人も納得する可能性が高まります。
それによってワーカホリック度合いを本人に自覚させ、状態がひどい場合は面談を行うことをおすすめします。仕事に対する考え方が変化するような声がけなどを心がけ、適切に対応しましょう。

ワーカホリックは本人が自覚しやすい環境の整備とフォローが重要

ワーカホリックは、仕事に没頭しすぎる、仕事とプライベートのメリハリがないなどの特徴がみられます。自身では気づきにくいことなので、周りが本人に自覚させることが重要です。
本人が納得しない場合はテストを行い、ワーカホリック度合いを見える化することで改善がしやすくなるでしょう。

本人だけでなく、周りもワーカホリックに対する正しい知識を持つことが重要です。企業全体で正しい知識をつける機会を設け、互いに寄り添う環境を目指しましょう。

FAQ

ワーカホリックについてのよくある質問を紹介しています。

ワーカホリックとは?
ワーカホリックとは、頭が常に仕事のことでいっぱいで、プライベートでも仕事のことを考えている状態のことをいいます。度を超えて仕事にのめりこむあまり、本人のメンタルヘルスや体調への悪影響、人間関係への悪影響が出る場合があります。
ワーカホリックの原因とは?
業務量が増えた、私生活がうまく行っていないなどの理由で、プライベートでも常に仕事のことを考えるようになると、ワーカホリックが引き起こされます。
ワーカホリックの影響とは?
仕事にのめりこみすぎるあまり、私生活がおろそかになって体調を崩す、人間関係が壊れるなどの影響があります。必要以上に仕事にのめりこんでいないか、診断やサーベイなどで客観的に判断することも重要です。

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2. すべての回答にチェックを入れてください。
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問1 : あなたの組織では、定期的に社員アンケートを行っていますか?





問2 : あなたの組織では、社員に発言の機会がありますか?





問3 : あなたの組織では、分業体制が柔軟ですか?





問4 : あなたの直属の上司は、あなたの努力を評価してくれていますか?





問5 : あなたの上司や同僚とのコミュニケーションは活発ですか?





問6 : あなたの直属の上司は、あなたの仕事に対して理解が深いですか?





問7 : あなたの組織では、業務や人材の変化を受け入れることができていますか?





問8 : あなたの組織の目標や評価体制に共感できていますか?





問9 : 給料や賞与に満足していますか?





問10 : 仕事や組織に対して、将来を不安に思うことがありますか?












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コーチングとは?効果や必要なスキルと資格、人材育成での活用方法を解説 https://motifyhr.jp/blog/training/coaching/ Tue, 08 Nov 2022 08:50:09 +0000 https://motifyhr.jp/blog/?p=18087 どのように優秀な人材でも悩みを抱えたりつまずいたりする経験はあります。そんな従業員の悩みを放置すると業績が下がったり、離職率が高まったりしてしまうかもしれません。 そこで、適切なフォローのために必要なのがコーチングです。 […]

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どのように優秀な人材でも悩みを抱えたりつまずいたりする経験はあります。そんな従業員の悩みを放置すると業績が下がったり、離職率が高まったりしてしまうかもしれません。
そこで、適切なフォローのために必要なのがコーチングです。コーチングとはどのようなものなのか、なぜ人材育成に役立つのか、さらにメリット、デメリット、人材育成に活用する具体的な方法を解説します。

コーチングとは?


コーチングは相手の話を聞き、必要であればアドバイスをして悩みを解決へ導くサポートをするものです。悩みに対する一つの答えを提案するのではなく、問題の根源は何なのか?どうすれば問題を解決できるのか?といったことを相手に気付かせること、相手が自らの決断を下すことが目的です。
コーチングによって、

  • 相談者のモチベーションが上がる
  • 目標を持って行動できる
  • 自己実現のために自分らしいやり方を見つけられる

などのメリットを得られます。自主性、自立した精神は、ビジネスシーンはもちろん、日常シーンでも良い影響を与えるでしょう。
企業がコーチングを取り入れる例も多いますが、学校や家庭で、個人でもコーチングを受ける人が増えています。

カウンセリングとの違い

コーチングと似たコミュニケーションにカウンセリングがあります。カウンセリングの方が知名度も高く、馴染み深いと感じることもあるようです。
しかし、コーチングとカウンセリングは行う目的、アプローチ方法が大きく違います。
コーチングは目標を設定し、目標をクリアする中で成長していくことのサポートが主な目的です。未来を考えてアプローチしていくのがコーチングです。
一方でカウンセリングは、相手の抱えている悩み、不安を解消するために過去にアプローチします。コーチングは成長を目指しますが、カウンセリングはマイナスの状態から悩み、不安のないゼロの状態に戻すだけでも違っています。

ティーチングとの違い

コーチングとティーチングは相手との関係、やりとりの方向性が大きく違います。
コーチングはあくまでも対等な関係で、相手に寄り添いながら今後のことを考えていくものです。質問や提案を受け入れ合い、成長のための気付きを与えます。
ティーチングは一定の経験、スキルを持つ人が、経験やスキルがない人に対して指導を行うことです。双方の間には上下関係が生まれ、指導する側とされる側と、コミュニケーションの方向も一方通行となります。
コーチングと聞くとスポーツのコーチのようにアスリートを指導する様子を思い浮かべてしまうかもしれません。しかし、スポーツのコーチのように相手と明確な上下関係があり、自身の経験から指導を行うのはティーチングです。

コーチングの歴史

コーチングのつづりはcoachingで、馬車の意味のcoachが由来です。
車のない時代、馬車は人々を希望の場所に送り届けるためのものでした。コーチングは相手の目標、理想にたどり着けるようなサポートを目的としていることからこの名前がつけられました。
コーチングの言葉が初めて登場したのは1959年です。アメリカのマイルズ・メイル氏が自身の著書にてマネジメントで重要なスキルとしてコーチングを紹介しました。
その後1990年代にコーチの育成機関がスタートし、非営利団体であるInternational Coaching Federationが設立されたことからアメリカだけでなく世界中で注目されるようになったのです。

現代では主に企業がコーチングを取り入れており、組織開発やリーダーシップ開発など、人材育成のために活用されています。人材育成にはこれまでにもさまざまな方法が提唱されており、どのスタイルが合うかは企業や目的によっても違うため、注意しましょう。
中でも今後の新しい人材育成方法としてコーチングは注目されています。

コーチングのメリット

コーチングをビジネスに取り入れることでさまざまメリットがあります。
個人の成長だけでなく企業の業績アップにもコーチングがつながる理由をチェックしましょう。

主体的に行動できるようになる

コーチングでは相手の主体性を尊重したコミュニケーションをとっていきます。
コミュニケーションの中で相手は目標達成のための手段を自分で考え、さまざまな気付きを得られます。自分で考える、決断する流れを繰り返すことで主体性が高まり、自ら行動できる人材へと成長できるのです。
もし失敗しても失敗したことに落ち込むのではなく、どこに原因があったのか、次に何をすればいいのかを考えられ、どんどん成長していけます。

上司と部下の信頼関係ができる

上司が部下に対してコーチングを行うと信頼関係が深まります。上司から一方的に指示を出す従来の仕事の進め方は、部下が自ら考える機会を失いかねません。
しかし、コーチングを行うことで部下は自分で考えられるようになり、自分の考えを上司に伝えやすくもなります。一方通行なコミュニケーションではなく、双方が意見を交わせるようになれば、従来よりも理解が深まってよりよい関係を築きやすくなるでしょう。
上司が押しつけるだけでは生まれなかった新たな考え方、仕事の進め方が見えてくることもあり、企業全体のさらなる成長へつなげることも可能です。

モチベーションと生産性がアップする

従業員が悩みを抱えたまま、仕事を続ける目的がわからないまま放置していると、働くモチベーションが下がってしまいます。モチベーションが下がると新しいことにチャレンジしたり周囲とコミュニケーションを取ったりすることも億劫になり、生産性の低下を招きかねません。
そんな状態が長期間続けば、従業員は「今の会社でなくてもいい」と考えるようになり、離職率を高めることにもつながります。
コーチングで従業員自身が自分の目的や問題解決方法に気付けば、仕事へのモチベーションが高まります。また、従業員一人ひとりの成長を促すことも可能です。
一人ひとりの生産性の向上は結果的に企業の業績の向上へとつながっていきます。
コーチングは長期的な目で見ても非常に有益なコミュニケーション方法です。

周囲が知らなかった情報を知れる

業務を行う上では必要のないことでも、従業員が優れた才能を持っている可能性は充分にあります。コーチングを行うと本人の性質、才能が見えてきて、新しい業務に役立つ可能性もあるでしょう。
周囲が知らなかった個人の情報を知ることでコミュニケーションのきっかけが増えたり、本人の新しい気付きにつながることもあります。一般的でない考え方でも、本人が自己の成長のために考えたことが意外な発見になったりするかもしれません。

じっくり考える時間を作れる

日々の業務をこなすことで精一杯な環境では自分自身のことを考える時間は持てません。
目の前の業務を黙々とこなしていると、自分が本当にやりたいことを見失ってしまったり、悩みを解消できず余計なストレスを溜めてしまったりする可能性もあります。
コーチングの時間を設けることで自分自身についてじっくり考える時間を持てるのです。
今の業務に満足しているのか、何に不満を感じているのか、どうすれば解決できるのかなどをしっかり考えれば、現状を打破してよりいきいきと業務に取り組めるでしょう。

コーチングのデメリット

個人の悩みを解決する手段を自ら見つけさせることでモチベーションや生産性を向上できるコーチングですが、メリットばかりではありません。
デメリットも確認し、コーチングを導入する際はどのようにデメリットをカバーすればいいのかも合わせて考えておきましょう。

短期間では効果が出ない

コーチングは目標に対してどのようにアプローチしていくか考えて実行するサイクルを繰り返していく中で成長を促す方法です。
一度コーチングを行えばすぐに効果が出るものではないので、短期間での効果を期待すると思うような成果は出せません。
しかし、本人の気持ちは、外からは見えなくても確実に成長しています。実際に本人の成長、企業の業績として結果が見えてくるのはかなり先になるでしょう。
あくまでも目に見える結果が欲しい場合は期間を設け、そこに合わせて目標を設定するなどの工夫が必要です。

アプローチに時間がかかる

コーチングは一対一で行うのが基本です。
セミナーや研修のように一人の講師が複数の相手に対して行うものではないので、その分多くの時間と手間が必要です。

コーチのスキルを持つ人が少数の場合は、従業員一人ひとりと対話するために他の業務を疎かにしてしまう可能性があります。
また、コーチングができる人が多くてもコーチのスキル、性格によって相手との相性が悪ければ思うように成果を出せません。
外部にコーチングを依頼する方法もありますが、従業員が多い企業だと依頼料も高額になってしまうので注意が必要です。

どのような人材を育成したいのかを明確にし、必要な人にだけコーチングを受けさせるようにするなどの工夫も考えましょう。
自社で多くの時間を割かずにコーチングを行いたい場合はグループコーチングを取り入れる方法もあります。
しかし、グループコーチングを行うためにはコーチングとは別のファシリテーションスキルも習得しなければなりません。

コーチの相性やレベルが影響する

コーチングはただ話を聞く、アドバイスをするといった単純なコミュニケーション方法ではありません。
コーチングを行うにはさまざまな専門スキルを身に着ける必要があります。
スキルの習得が甘いコーチがコーチングを行うと適切な結果が出せなくなってしまいます。
コーチングにはたくさんの考え方があり、どの方法でスキルを身に着けるかによっても得られる結果は変わります。それぞれの考え方、流派を確認した上で、望ましい結果に導けるのはどのコーチングかを見極めなければなりません。
コーチングを外部に依頼する際は、コーチングスキルが高いコーチを探すことも大切です。
また、どのような質のいいコーチングを受けられたとしても、相手との相性で結果も左右されます。
コーチングスキルを持っているとはいえコーチも人間ですので、相性はあります。
相性の合わないコーチに当たってしまうと自分の考えをうまく表現できない、自分ではなくコーチが望むような答えを出してしまうなどのデメリットにつながり、よい成果は出せません。

何度も行う必要がある

コーチングは一度行うとすぐ効果が出る、効果が永続的に続くものではありません。
最終的な目標のために小さな目標を設定し、達成に向けて試行錯誤を繰り返しながら成長を促すため、合間に再びコーチングを行って軌道を確認していく必要があります。
外部にコーチングを依頼する場合はコーチングにかかる費用が膨大になってしまうかもしれません。
継続的に支払い続ける金額か、コーチングの時間を用意するだけの業務内容の余裕があるかなどを確認しなければなりません。

離職率が高まる可能性がある

コーチングは自己の成長を促すためのものです。
どのような目標を立て、どのような方法でチャレンジし、何を得たいのかは人によって大きく違います。中には、自己の成長を考える中で転職、離職を考える人も出てくるでしょう。
今の業務では自分が成長できない、自分の成長のためには別のことにチャレンジする必要があるなどの理由で優秀な人材が離れていく可能性もあります。
コーチングがきっかけで転職、離職を考える従業員が出た場合、新しい事業を任せる、報酬を見直すなど、企業側の工夫も求められます。

コーチングに必要なスキル

実際にコーチングを取り入れる前にはコーチングに必要なスキルを身に着けなければなりません。
コーチングには主に傾聴、承認、質問の3つのスキルが求められます。それぞれにはどのような特徴があるのかを確認しましょう。

傾聴

傾聴は文字のとおり相手の話を聞くことですが、より深い部分までしっかり聞くこと、話の内容だけでなく表情や仕草、話し方、声のトーンにまで気を使うことまで含まれます。
人の話を聞いているとつい口を出したくなってしまいますが、傾聴は相手の話をそのまま受け入れる姿勢が大切です。
そして否定したり自分の体験だけを話したりするのではなく、相手の悩みに共感する力も求められます。
コーチングを受ける側の人がしっかり話を聞いてもらえると、話しながら自分で考えを整理できたり、自分の悩みに向き合えるようになったりします。
余計なアドバイスなどが与えられないため、自分で考える力、積極的に問題に向き合う力が高まり、コーチングの成果が出やすくなります。
また、相手の話を聞き共感すると相手はコーチに心を開き、より深い部分まで話しやすくなります。
安心して話せる信頼関係を築いた上で自分の目標や手段をじっくり考えられるようになるでしょう。
コーチングと似たコミュニケーション方法としてカウンセリングを紹介しましたが、カウンセリングでもこの傾聴は重要です。

承認

承認は相手を認め、褒めたり長所を指摘したりするスキルです。
本人でも気付いていないような点、本人が当たり前だと思っている点でも、他の人から見れば非常に優れた才能を持っているかもしれません。
長所や才能を見つけてあげて、嘘ではない心からの言葉で認めてあげることが大切です。
たとえ見つけられたとしても相手に伝えられなかったり、うまく伝えられなかったりするようでは意味がありません。
いいと思った点はあとからではなくすぐに褒めることで、相手にとって強い印象を与えられます。
そしてどんな点が優れているのか、細かな部分までしっかり褒めるようにしてください。そうするとどの部分を伸ばしていけばいいのかを考えやすくなります。
褒められると人は褒められた行動を繰り返すようになり、長所をさらに伸ばしていけます。
最初は少しでも多くの長所を見つけてたくさん褒め、コーチングを繰り返す中で徐々に頻度を減らしていくテクニックもあります。
その後本人が思い悩み、成長が止まってしまいそうなときに再び褒めることで、より強い印象を残せます。

質問

人から悩みを相談されるとアドバイスや自分の経験を話してしまいがちです。
しかし、自分が相談したときに返ってきたアドバイスや相手の経験が悩みの解決には何の役にも立たないケースは少なくありません。他人からの指摘を受け入れにくい、反発したくなることもあります。

コーチングでは、コーチはアドバイスや自分の経験を語ることはありません。
相手の主体性を尊重し、自分で考えられるために行うのが質問です。一つの悩みに対して人によってさまざまな質問が考えられますが、より話の内容を掘り下げる質問、さらに視野を広めるための質問、相手の話をようやくする質問など、話の内容や相手の出す雰囲気などによって質問の趣旨を変える必要があり、高いスキルが求められます。
質問スキルを身に着けるのは大変ですが、簡単に取り入れられる方法としては相手がイエスかノーで答えられる質問ではなく、相手が自分の考えを答えられるような質問がコーチングに向いています。
「お昼は食堂に行った?」ではなく「お昼はどうしていたの?」と聞くように、より自由な回答ができる質問を心がけましょう。
質問を重視するあまり必要以上に質問を繰り返したり、相手に趣旨が伝わらない質問をしたり、回答に悩むような難しい質問をしたりするとかえってコーチングの成果が出にくくなってしまうので、バランスを考える必要もあります。

ビジネスに活かせる!コーチングに関する資格

コーチングを行うにはさまざまなスキルが必要です。
独学で習得するのは難しいですが、資格取得に向けて勉強するとより効率的にスキルを身に着けられます。
ビジネスでも役立つコーチングの資格を2つ紹介します。
コーチングスキルを身に着けて従業員の育成に役立てたい場合は、下記の資格もチェックしてみてください。

日本コーチ連盟認定コーチ/日本コーチ連盟認定コーチング・ファシリテータ

一般社団法人日本コーチ連盟が主催するコーチングの資格にはI種の(社)日本コーチ連盟認定コーチとII種の(社)日本コーチ連盟認定コーチング・ファシリテータがあります。
コーチングの専門的なスキル、技術があるかを評価し、さらなる技能向上を目指す意図で資格を認定しています。
さらに、コーチングを行う人の社会的地位の向上、正しいコーチングを普及する目的もあります。
I種(社)日本コーチ連盟認定コーチは論文と実技の試験があり、スキルが正しく身に着いているかを重視した採点を行います。
II種の(社)日本コーチ連盟認定コーチング・ファシリテータは学科と実技の試験があり、論文試験はありません。
  

(一財)生涯学習開発財団認定コーチ資格

コーチ・エィ アカデミア主催の(一財)生涯学習開発財団認定コーチ資格は、コーチングをビジネスに活かして従業員の成長を目指すための資格です。
コーチング型マネージャーとして従業員のコーチングだけでなく、自身の振り返りや、取引先・社外の人とのコミュニケーションに役立てることができます。
初級者向けの認定コーチ資格と中級者向けの認定プロフェッショナルコーチ資格、さらに上級者向けの認定マスターコーチ資格があります。
認定コーチ資格ではコーチングの基礎知識と経験があることが証明できます。

認定プロフェッショナルコーチ資格は基礎以上のコーチングの知識と経験があることを証明します。
認定マスターコーチ資格はコーチングマネジメントにおいて、組織で活用できるだけの知識と経験があることを証明する資格です。

コーチングスキルを身に着けて人材育成に役立てよう

中長期的な人材育成の方法として注目されているコーチングを解説しました。
コーチングは指示やアドバイスを一方的に行うティーチングや過去の問題を解決するカウンセリングとは違い、本人が自分で考えて問題解決に取り組む、自己の成長を促すためのコミュニケーション方法です。
コーチングによって人材育成を行うことで従業員一人ひとりの自主性やモチベーションが高まり、企業の業績にもよい影響が期待できます。
外部に依頼する方法もありますが、スキルを身に着ければ社内でもコーチングを行うことは可能です。
必要なスキルを身に着けるための勉強方法として資格を取得するのもおすすめです。
人材の成長、ひいては企業の業績アップのために、コーチングを導入する準備を始めましょう。

投稿 コーチングとは?効果や必要なスキルと資格、人材育成での活用方法を解説HR BLOG | 経営者と役員とともに社会を『HAPPY』にする に最初に表示されました。

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