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コミュニケーションなくしてエンゲージメントはない チームの一体感を高めるコミュニケーション手法とは?

入社3年以内の新卒社員が離職する割合が3割を超える昨今。新卒の新入社員だけではなく、中途社員の離職を防ぐことも企業の課題となっています。

「コミュニケーションなくしてエンゲージメントはない。上司は部下が自分の話や意見を積極的に発言できる場を用意しなけれればならない」と語ったのは、石坂 聡氏(Asian Caesars CEO)と広瀬 元義氏(株式会社アックスコンサルティング 代表取締役)。

後編では、従業員の「エンゲージメント」について引き続き、石坂氏、広瀬氏にお話しいただきました。

▼前編の記事はこちら▼
https://motifyhr.jp/blog/onboarding/interview_ishizaka_hirose/

▼中編の記事はこちら▼
https://motifyhr.jp/blog/onboarding/interview_ishizaka_hirose_2/

日本の従業員エンゲージメントは世界で最下位…
エンゲージメントの原点にコミュニケーションがある?

広瀬氏

ある調査によると、日本の従業員エンゲージメントは世界で39番目。世界で調査した国の中では最下位です。日本の従業員は、実は会社にいるだけで「心ここにあらず」だったのかなと思ってびっくりしました。従業員のエンゲージメントは今と昔とで何が違うんでしょうか?


石坂氏

そうですね。昔の社員は会社への帰属意識が高かったと思います。おそらくゆりかごから墓場までじゃないけど、会社に社宅があって、従業員の子どもたちも同僚の子と一緒に育ち、そこに一つの社会があり、安定もありました。


広瀬氏

今はどうでしょうか?


石坂氏

今の社員は、会社への帰属意識よりもプライベートの時間を優先している方が多いのではないでしょうか。「会社の仕事を早く終わらせて帰りたい」「副業をやりたい」のような感じ。会社が社員の自由のためにといろいろな施策を打ち出しても「Freedom for What(何のための自由なのか)」がわからなくなってきてますね。


広瀬氏

「Freedom for What」…。なるほど。形だけの「働き方改革」になっているかもしれませんね。


石坂氏

そうなんです。何のための自由なのか。「会社での拘束時間を少なくしたい」「友だちと遊ぶ時間を確保したい」のように、本人がそれで満たされるならいいです。「もっと成長したい!」「成果を出したい」と自分でスキルアップのために勉強をする人もいいでしょう。でもその狭間にいて、自由を何に使えばよいかわからない人たちは「私、これからのキャリアどうしよう…」と不安になるかもしれません。


広瀬氏

だから、会社の文化もバリューもマッチしていて、かつ、この会社でスキルを伸ばせると自分ではっきり語れる人は、エンゲージメントがあるといえますね。


石坂氏

はい。自分は何のために仕事しているのか、本人に納得感があるということが重要だと思います。すべての仕事が楽しいわけではないですが、ただその内容が自分の今の生活や将来の目標につながっていると思えれば、会社へのエンゲージメントも自然に上がってきます。社会人としての経験年数や年齢が高くなると、自ずとそういったものを悟れるようになりますが、若いうちは気付けないことも多いです。


広瀬氏

そんな中、「業務時間以外は自由でいいよ」と言う会社も多い…。自主的にスキルアップのための投資をする人と、そうでない人の差はますます開いていくのではないでしょうか?


石坂氏

開いていくと思います。ただ、社員全員のスキルは上げていかないといけません。社員のことを大切に思うならこのときこそ、会社は自由な時間をどう使うか『「Freedom for What」の選択肢に対する研修』をしてあげるべきなのかもしれませんね。この研修で『何のための自由なのか』『将来どうなりたいのか』がわかれば仕事だけではなく、個人の時間も大切にすることができ、会社へのエンゲージメントも高まると思います。

コミュニケーションなくしてエンゲージメントはない
チームの一体感を高めるコミュニケーション手法とは?

広瀬氏

少し話が変わるのですが、なんだか中小企業にいる従業員のほうがエンゲージメントが高いように感じます。大企業よりもむしろ中小企業の社員のほうが「チームみんなで頑張るんだ!」みたいな気持ちになれるのかな、と感じているのですがどうでしょうか?


石坂氏

中小企業は従業員の顔も見え、経営者も安心して従業員と接することができますよね。会社全体の一体感みたいな感じです。


広瀬氏

なるほど。その一体感を高めるにはどうすればいいですか?


石坂氏

コミュニケーションが重要だと思います。コミュニケーションにはいろいろありますが、例えば「誕生日おめでとう!」とか「子ども生まれたんだね」とか「体調大丈夫?」など。確かに仕事以外のコミュニケーションをいかに多くするかは重要です。「この人と仕事したい!」というのがエンゲージメントだと思うので、上司は部下と頻繁にコミュニケーションをとることが必要ですね。


広瀬氏

コミュニケーションは仕事の潤滑油になりますよね。


石坂氏

その通りです。まさに「コミュニケーションなくしてエンゲージメントはない」。でも仕事以外でのコミュニケーションをとってはいけない雰囲気の会社もありますよね。上司も部下も、仕事だけでなくプライベートの姿を見せることの重要性はみんな知っておいたほうが良いですし。上司から積極的にこういう姿を見せてもらいたいですね。


広瀬氏

ちなみに石坂さんの勤めていた会社では社員同士のコミュニケーションはどうでしたか?


石坂氏

外資系の会社に勤めていた時は月曜日の10時におやつの時間がありました。その時にチームメンバーとコミュニケーションを取っていましたね。みんなで「週末は何をやってたの?」「仕事の調子はどう?」という話をしていて、それでミーティングの時間が終わっちゃうくらい、みんなその時間を楽しみにしていました。上司からこういうコミュニケーションの場を用意していただいたので、積極的に自分の話や意見を発言できたんです。


広瀬氏

よくわかります。うちもある部門が毎日『夕礼』をしています。業務の話だけではなく、「ランチどこ行ったの?」とか、「髪切った?」など、たわいもない雑談をしてコミュニケーションを取るんです。チームの雰囲気が明るくなりますよね。エンゲージメントの原点にコミュニケーションがあって、それが良好な関係を作る。つながってますね。

まとめ

今回は、企業の「人間関係」や「オンボーディング」「エンゲージメント」について石坂氏、広瀬氏に対談いただきました。

入社3年以内の新卒社員が離職する割合が3割を超える昨今。新卒社員の早期離職を防ぎ、いち早く戦力化するためには、上司と部下のコミュニケーションや、入社前のオンボーディング、従業員全体のエンゲージメントを高める取り組みが重要です。

そして会社全体で「Freedom for What」を考えることで、従業員一人ひとりの「やりたいこと」が明確になり「会社の目指すビジョン」と合致すれば、従業員のエンゲージメントが高まり、個人のキャリア形成もうまくいくことでしょう。

今回のポイント

  • コミュニケーションなくしてエンゲージメントはない
  • 上司は部下が自分の話や意見を積極的に発言できる場を用意する
  • 「Freedom for What」を明確にし、「自分たちが本当にしたいことは何なのか」を懸命に考える