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管理監督者の時間管理はどうする? 安全配慮義務を負わなくても大丈夫?

管理監督者に対しては、労働時間に関して労働基準法の適用が除外されています。よって、使用者は管理監督者の労働時間等については把握する義務はなく、仮に長時間労働により病気を発症したとしても、安全配慮義務を負わなくていい、という解釈でよろしいのでしょうか?

【結論】健康確保の観点で把握が必要。労働契約結論法5条の適用あり。

労働基準法41条2号では、事業の種類にかかわらず、監督もしくは管理の地位にある者または機密の事務を取り扱う者について、労働時間、休憩および休日に関する規定は、適用しないとしています。

管理監督者は、自己の裁量により業務遂行や時間配分を調整でき、自らの健康保持について自立的な管理が要請されると言われています。だからといって使用者は、管理監督者に対して労働時間を適正に把握すべき義務を負わず、その限りにおいて、安全配慮業務も負わなくていいのでしょうか。

労働時間の把握・管理に関して、労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準(平成13・4・6基発339号)を見直した「ガイドライン」が策定されました(平成29・1・20基発0120第3号)。
ガイドラインが適用されるのは、労働基準法41条に定める者およびみなし労働時間制が適用される労働者(事業場外の場合は、みなし労働時間制が適用される時間に限る)を「除くすべての者」です。
しかし、適用が除外される者についても、「健康確保を図る必要があることから、使用者において適正な労働時間管理を行う責務がある」としています。この点、従前の基準から変更はありません。



始業・終業時刻の確認および記録する方法として、タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間の記録等の客観的な記録を基礎として確認し、適性に記録することとしています。一般の従業員については、「自己申告により把握した労働時間と著しいかい離が生じているときには、実態調査を実施し、所要の労働時間の補正」が必要になるとしていますが、管理職に関しても同様の実態調査を行うのが適切です。

安全配慮義務について、労働契約法5条では、「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする」としています。過労死事案等において、労働者への「健康配慮義務」が問題になることがあります。
しかし、本条の「生命、身体等の安全」に、心身の健康についての配慮も含まれると解されています(平成24・8・10基発0810第2号、平成27・3・18一部改正)。
労働者とは、「使用者に使用されて労働し、賃金を支払われる者」のすべてが含まれ、労働基準法9条の「労働者」の判断と同様とされており、いわゆる管理職的な立場も含まれると解されます。

※基発=厚生労働省労働基準局長から各都道府県労働局長宛ての通達


【記事提供元】安全スタッフ2017年3月1日号
http://www.rodo.co.jp/periodical/staff/