みなし労働時間制の対象者から看護休暇の申出がありました。しかも本人は、「半日勤務したので半日分の賃金を支払ってほしい」と主張しています。労働時間を正確に把握できなくても支払わないといけないのでしょうか?
【結論】半日休暇は認められるので、半日分の賃金を支払わないといけません。
ただし労使協定を締結すれば除外できる対象者もいます。
厚生労働省の育児・介護休業法(以下、育介法)Q&Aでは、「裁量労働制・事業場外労働みなし制・フレックスタイム制の場合、看護休暇・介護休暇を半日単位で取得できるか」という問いに対して、「取得できる(育介法16条の3第2項に基づき、労使協定で除外された労働者を除く)」と回答しています。
看護・介護休暇の基本的な考え方は共通しているので、看護休暇を例に挙げます。
看護休暇は日々雇用契約の労働者以外であれば取得可能ですが、「所定労働時間4時間以下の労働者」は半日単位の申出ができません。また、労使協定を締結すれば、以下の労働者を除外できます。
- 雇入れ後6ヵ月未満の労働者
- 取得できないこととすることについて合理的な理由があると認められる労働者(例:1週間の所定労働日数が2日以下)
- 業務の性質または業務の実施体制に照らして、1日未満の単位で子の看護休暇を取得することが困難と認められる業務に従事する労働者
3. については「半日単位の取得」の申出だけが対象となっており、1日以上の看護休暇は認めなければいけません。3.に当てはまる業務は以下が例として挙げられます。
- 国際路線航空機の客室乗務員の業務
- 長時間の移動を要する遠隔地の業務
- 流れ作業・交代制勤務による業務
まとめ
フレックスタイム制であれば、始・終業時刻の決定が労働者にゆだねられているといっても、労働時間の把握自体は可能です。
たとえば、従業員が半日単位の休暇しか取得していないにもかかわらず、1時間分の労働しかしていない場合は、他の日に3時間分の埋め合わせをしてもらう必要があります。
一方、裁量労働・事業場外みなしであれば、たとえ1時間の労働時間だったとしても労働量にかかわらず半日分の賃金を与えなければいけません。裁量労働・事業場外みなしだからといって、対象から除外するのは難しいので、「半日分」の仕事量の決定は本人にゆだねるしかありません。
【記事提供元】安全スタッフ2017年7月15日号
http://www.rodo.co.jp/periodical/staff/