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休職している従業員の社会保険資格はどうなる?

当社はベンチャー会社で、従業員が数人しかいません。その中の1人が入院したため、近々“私傷病休職”を発令する予定です。社長は「療養が長期間になる見込みだから、休職発令と同時に社会保険資格を喪失させたら?」と言っています。休職と被保険者資格の関係について、どのように考えたらいいですか?

【結論】社会保険の資格を喪失させることはできません。

休職期間中も“雇い主”と“従業員”という雇用関係は続いているため、会社も従業員も、それぞれが負担する社会保険料を支払う義務があります。休職中に賃金の支払いがない場合、給与から天引きすることができないため、従業員から社会保険料を徴収する必要があります。徴収方法など休職については、あらかじめ就業規則に定めておくようにしましょう。

“私傷病休職”とは、業務以外で生じた病気や怪我が原因で勤務することができなくなった従業員を、会社に在籍させたまま一定期間休職させる制度のことです。労働基準法などの法律に基づく制度ではないので、あらかじめ就業規則などで“休職についてのルール”を定めておく必要があります。特に、休職期間中が有給なのか、無給なのかを明確にしておきましょう。

健康保険法では、社会保険の適用事業所に“常時使用されている人”が被保険者となります(健保法3条)。つまり、加入条件を満たす労働時間で働く従業員である限り、休業中であっても、社会保険加入の対象となります。そのため、従業員の退職によって雇用契約が終了したり、雇用形態の変更で社会保険の加入資格がなくならない限りは、資格を喪失させることはできません。
また、私傷病によって休職し、収入がなくなった場合、健康保険に加入していれば“傷病手当金”が支給されます。これは健康保険ならではの制度で、国民健康保険にはありません。また、労災保険が適用となる、業務上に生じた病気や怪我は適用対象とはなりません。

傷病手当金は、以下の4つの条件をすべて満たしている場合に受給できます。

①業務外の事由による病気や怪我の療養のための休業であること
②療養を理由に仕事に就くことができないこと
③連続する3日間を含み4日以上仕事に就けなかったこと
(連続する3日間には、有給休暇や休日も含みます)

上記の条件を満たした場合、休業した4日目から最長1年6ヵ月間受給することができます。金額は1日の標準報酬日額の3分の2です。
休職に関しては、給与の発生や社会保険料の徴収方法など、あらかじめ明確に定めておくことが重要です。


【記事提供元】安全スタッフ2017年6月15日号
http://www.rodo.co.jp/periodical/staff/