従業員が、急に会社に出社しなくなりました。
会社から電話やメールをしても、従業員本人からは折り返しの連絡がありません。
自宅を訪ねたところ、引き払われており、どこにいるかもわかりません。
この場合、従業員を解雇することはできるのでしょうか?
通知で意思表示をすれば解雇は有効に
従業員の無断欠勤が長期間に及ぶと、解雇事由に該当します。従業員を解雇したい場合は、会社から従業員の自宅に通知し、解雇の意思表示をするようにしましょう。
無断欠勤している従業員の自宅に通知が届いた時点で、解雇は有効とみなされます。この場合、従業員が会社からの解雇通知を読んだかどうかは関係ありません。
ただし、従業員が自宅を引き払い、所在が不明の状態では、本人の元に解雇通知を送ることができません。そのため、解雇を有効にすることはできないのです。
従業員本人の行方がわからない場合、身元保証人である家族などに解雇通知を送ろうとする会社は多いものです。
しかし、身元保証人に解雇の意思表示をしたとしても、解雇の効力は生じません。通知は、あくまでも本人の元に届かなくては意味がありません。
行方不明の従業員を解雇するには簡易裁判所で解雇の意思表示を
では、行方不明の従業員は解雇することができないのでしょうか。
従業員と連絡がつかない場合は、簡易裁判所にて公示による意思表示を行うようにしてください。
要件を満たすことができれば、従業員に解雇の意思表示をしたことになります。
とはいえ、簡易裁判所で手続きするには手間がかかります。あらかじめ就業規則に『○日間所在不明の場合、退職とする』と定めておきましょう。
そうすれば、長期間、行方がつかめない従業員を退職扱いとすることが可能になります。
ただし、就業規則に定めたからといって、行方不明の従業員に一切連絡をしなくてもよいということではありません。従業員と連絡を取る努力は
するようにしましょう。そして、証拠として、履歴を残しておけば、トラブルになるのを防ぐことができます。
どのようなケースでも、従業員を解雇するには、手続きを踏むことが大切です。