HRやHR業界という言葉について、名称は知っていても具体的な内容までは知らないという方も多いのではないでしょうか。今回はHRという言葉の意味、そしてHR業界について解説します。
目次
HRとは
HRとは「Human Resources」を略したものです。直訳すれば人的資源、人材のことを指しています。転職サイトなどでHRという言葉が出てきた場合には、人事部のことを指すことが多く、人事課や人事担当とも呼ばれることがあります。
最近はいろいろなところでHRという言葉が使われるケースが増えています。たとえば、外資企業の場合には「HR Manager」や「HR Associate」、「HR teams」といった役職が募集されることがあるのです。日本の企業であっても、人事部の採用についてHRというワードを使用するケースは増えています。
HR業界とは?その種類もチェック
HR業界は、人材に関連したサービスを提供する企業の総称です。そんなHR業界には大きく分けて4つの種類が存在します。人材派遣、人材紹介、人材広告、人材コンサルティングです。
人材派遣とは、派遣会社が提供するサービスのことです。派遣会社は多くの登録者を抱えていて、そこから契約企業の希望に沿ってふさわしい人材を派遣します。登録者はあくまで派遣会社の所属で、人材を派遣する対価として報酬を契約企業から受け取り、それが利益となるのです。
人材紹介とは求職者を企業に紹介するサービス。人材紹介会社は契約企業を持ち、さらに求職者の登録を促しています。人材紹介会社が企業と個人の仲介をして両者をマッチングし、契約企業からは紹介料を得ています。
人材広告というのは、求人広告のことです。人材広告会社は休職者が登録・閲覧できる求人広告サイトを運営し、企業がそのサイトに求人広告を出すことで、登録料をもらっています。
人材コンサルティングとは、採用や教育、人事制度といった人事部の専門領域に関わる部分についてコンサルティングを行うサービスです。人事に関連した業務をアウトソーシングするサービスも人材コンサルティングに含まれています。
HR業界はこういったサービスを提供する企業の集合体であると考えられます。
HR業界はどんな要素で構成されている?
HR業界はさまざまな要素で成立しています。どういった要素を考えることができるのか紹介しましょう。
採用
HR業界を構成する最も重要な要素が採用です。採用には新卒採用やキャリア採用、さらにはアルバイト・パートや派遣・業務請負といったものが含まれています。HR業界の企業は、これらの採用をサポートするサービスを提供しているのが特徴です。多くの企業は人材不足に苦しんでいます。これは労働力不足という社会的背景に加え、採用過程に課題を抱えているなど、思うように採用を進めることができないからです。そこで、HR業界の企業は採用活動を促進させるためのさまざまなサービスを提供します。
人材育成
人材育成もHR業界における重要な要素です。人材育成に困っている企業は多く、需要は増えています。人材育成の主な役割は研修です。研修にもいろいろな種類があり、階層別研修やテーマ別研修、職種別研修といったものがあります。こういった各種研修を提供するサービスは増加し多様化しています。自社で研修を実施しようと思ってもノウハウも技術もないため、外部サービスを利用する企業が増えているからです。
人事・労務
社内の人事や労務に関わる業務を外注する企業は増えています。この要素に含まれるものとして、組織風土や人事制度、雇用管理、福利厚生といったものがあります。これらを外部サービスで補うことによって、人事や労務にかけるコストを削減したり、従業員の満足度を高めたりすることが期待できます。たとえば、福利厚生サービスを提供する企業はHR業界にたくさんあり、福利厚生を外部サービスで補いたいという企業から支持されています。
システム・業務ツール
HRに関わる業務をサポートするためのシステムや業務ツールを提供している企業も多くあります。人事・業務システムや適性検査・アセスメントなどです。これらのシステムやツールを活用することによって、業務を効率的かつ合理的にし、人事部の社員の負担を軽減することができます。それにより人事部の人手不足解消も期待できるでしょう。HR業界の企業はそれぞれ独自の特徴を持つシステムやツール開発し、提供しているため、自社の人事部が抱える問題や弱点を改善ものを選び、活用しましょう。
HR業界が担っている役割について
HR業界は前述のようなサービスを通して、さまざまな役割を担っています。どういった役割を果たしているのかご説明しましょう。
企業の人手不足を解消する
HR業界のサービスを企業が利用することによって、人手不足の解消を図ることができます。現在、日本の多くの企業で人手不足が問題とされています。少子高齢化が進み、転職が容易に行われるようになったのもあり、人材の流出が進んでいるからです。人材を集めようと募集しても、どの企業も人手不足に悩まされているため、思うように人が集まらずに困っている企業が多くあります。そのような企業の悩みを解決できるのが、HR業界のサービスです。人材の派遣や仲介をしたり、求人サイトに広告を掲載することで、顧客企業の人手不足の問題を解決します。
人材の多様性をもたらす
自社で募集をかけても、似たような人材ばかりが集まってしまい困っている企業は多いようです。似たような人材ばかりでは同じような発想になりがちで、そこから新しいものはなかなか生まれにくいでしょう。HR業界のサービスを使えば、企業は多様な人材を集めることができます。
失業者の軽減に寄与する
HR業界は社会に対しても大きく貢献しています。失業して職を探している人に対してさまざまな仕事の斡旋をしているのがHR業界だからです。HR業界の企業には、失業者の救済という役割が期待されています。もちろん、国も失業者を救うためのさまざまな試みを実施しているのですが、それだけでは不十分です。HR業界はさまざまな人材サービスを通じて人々に多くの仕事を与えているという側面があり、これが失業率の低下に大きく影響するでしょう。
人事部の負担やコストを軽減する
企業の中には人事部にかかるコストをカットしたい、人事部のスタッフの負担を軽減したいと考えているところがたくさんあります。そのような期待に応えられるのがHR業界です。HR業界のサービスを利用することで、人事の仕事を外注化することができます。また、HR業界の提供するシステムやツールを用いることで人事業務の効率化を図ることができ、スタッフの負担を軽減することも可能。HR業界は人事に関する多様なサービスを提供していて、それらが多くの企業、人事部をサポートすることになります。
HR業界の必要性とは
HR業界の存在はこれからも社会に必要とされるでしょう。それでは、HR業界の必要性について解説します。
人事のバージョンアップを促す
人事や労務管理は時代に合わせて進化する必要があります。しかし、人事自体の人材やノウハウが不足している企業はたくさんあり、そのような企業は通常の人事業務をこなすのさえ苦労しているのが現状です。そういう企業に対して新しい人事や労務管理のノウハウを提供するのはHR業界の大きな役割といえるでしょう。ときには海外の先進的な考え方を日本の企業に紹介するという役目を果たすこともあります。HR業界が人事に関するさまざまなサービスを提供することを通じて、日本の多くの人事・労務管理がバージョンアップを果たしていくでしょう。これはとても意義のあることであり、HR業界の必要性の一つ1つといえます。
人材の定着化に寄与する
多くの企業で人材の流出が問題とされています。これは社会問題ともいえる状況であり、このままでは日本の企業の力が落ちてしまう事態にもなりかねません。そのような状況のなかで、HR業界は人材定着化を図るためのさまざまなサービスを提供しています。企業努力だけでは人材を定着させることが難しくなっている昨今において、HR業界の果たす役割はとても大きいでしょう。HR業界のサービスによって、勤怠管理や研修、福利厚生など複数の要素をまとめて向上させることができ、多くの企業が人材の定着化を実現できます。
働き方の多様化に対応する
現在は働き方の多様化が求められています。少子高齢化を解消して、それぞれがワークライフバランスを重視した人生を送るためには多様な働き方を認められることが重要だからです。そして、企業が従業員の働き方の多様化を進められるよう、HR業界がサポートをします。HR業界の提案する人材紹介や人事管理などのサービスを活用することで、企業は従業員の多様な働き方を実現できるのです。また、多様な働き方に対応した環境整備のためのシステムやツールもHR業界が提供できます。自前のノウハウやシステムがなくても、HR業界のサービスによって働き方の多様化を実現できるのです。これは日本の社会問題の解決にも寄与する意義深いことでしょう。
まとめ
今回はHR業界についてまとめました。人事や労務に関するサービスを提供しているHR業界は社会的な役割が大きく、多くの企業に必要とされている存在です。これからもその必要性は高まっていき、多くの企業に利用されるでしょう。業界として成長が期待されていて、日本の企業が抱えるさまざまな問題の解決に大きく貢献します。そんなHR業界にこれからも注目が集まりそうです。