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【第3回】内定者懇親会についてメリット、デメリットがあると思いますが、行ったほうがいいでしょうか?

目次

Q.内定者懇親会についてメリット、デメリットがあると思いますが、行ったほうがいいでしょうか?

A.絶対に行ったほうがいいです!ただ、やり方を間違うとデメリットが全面に出てしまいます…。

内定者懇親会は絶対に行ったほうがいいです。ただ、やり方を間違うと内定辞退が出てしまうという逆効果にもなります。

内定者懇親会のメリットとして、追加で自社の情報を伝えられること、会社と内定者との関係を継続する機会を増やせるなどがあげられます。しかし、デメリットとして内定者同士で相性が良くない場合、「あいつがいるなら、この会社には行かない」といった事態が起こりうることがあります。意外とこのデメリットが出てしまうケースが多いです。

内定者が懇親会に参加する理由は、同期となりうる人がどのような人なのか、自分と合う人がいるのかを見に行くことです。人事側の視点から見ると、さまざまな人がいて当たり前という認識なのですが、内定者側から見ると懇親会のとき、「このメンバーとは自分は合わない」と判断してしまい、内定辞退につながるのです。

そこで、このようなリスクを避けるために、大人数で内定者懇親会をやるのではなく、まずは少人数で気が合いそうな内定者同士を会わせていく形式を試していくといいでしょう。内定者が20人ぐらいいる会社の場合、2~3人ずつの小さなコミュニティを作り、懇親会を5~6回開催すると良いですね。小さなグループを作った後で大人数を集めて懇親会をすると、自分と気が合う内定者と関係ができているので、上記のように自分に合わない人がいたとしても、内定辞退までには至りにくくなります。

もう一つの方法としては、内定者懇親会の座席を人事側であらかじめ指定することです。立食は避けて、気が合いそうな内定者同士が集まるように座席を決めて、社員の方が動いて交流するスタイルもいいと思います。

人事のセオリーの伝道師からの金言

気が合いそうな内定者同士で少人数のコミュニティを作ることが大事。その後、全員を1ヵ所に集める懇親会をやるとデメリットを避けられるはずです。


Q.内定式や入社式などかしこまった式典は、まだやっている会社は多いでしょうか?堅苦しくて抵抗する学生が多くなる気がします…。

A.内定式や入社式は「堅苦しいもの」と決めつけていませんか?やり方次第で内定式や入社式をカジュアルに執り行うことはできます!

まず何のために内定式や入社式を行うのかということに立ち返りましょう。内定式や入社式をやっている会社は多いですし、なにより内定者自身が「歓迎されている」という気持ちが高まるので、式典自体はやったほうがいいです。

ただ、式の雰囲気は採用している内定者たちのパーソナリティによって変えたほうがいいです。普段カジュアルな雰囲気で仕事に取り組んでいる会社が、入社式だけ突然フォーマルになる必要はないと思います。ですので、入社する人や会社の雰囲気に合わせて、フォーマルな雰囲気とカジュアルな雰囲気のどちらがいいのかを判断しましょう。

式典自体を堅苦しいものだと決めつけなければ、やり方次第で見せ方は変えられます。

人事のセオリーの伝道師からの金言

カジュアルな内定式や入社式を行っている会社は多いので、そういった企業を参考にしながら、自社の文化や内定者のパーソナリティに合わせて式の見せ方を考えましょう。


Q.リファラル採用を行うコツがあれば教えてください。

A.「これをやればリファラル採用が上手くいく」という魔法のコツはありません!紹介したくなるような工夫をすべてやりましょう!

面白いことに、Googleで「リファラル採用」と検索すると、「リファラル採用 失敗」と出てきます(笑)。そのぐらい皆さん失敗し、悩んでいるのだと思います。なぜ失敗するのかというと、たとえ社員でも基本的には人を紹介すること自体が嫌がられる行為だからです。友達や先輩が面接に落ちるのは皆さん嫌ですよね。また、紹介することに労力がかかるので、エンゲージメントの高い社員だとしても「面倒くさい」と思い、結局「適切な人がいない」と言って済まそうとしてしまうのです。この「紹介するのが嫌」というマインドをどうクリアするかが一番の課題です。これを一発で解決する魔法のコツはありません。社員が知り合いを紹介したくなる工夫をすべてすることが大事です。

1つ目は、会いたい理由を説明することです。まずは1対1で社員に意義や理由を説明して、紹介のお願いをすることです。多くの会社は、「イベントをやるから後輩や知人に紹介して」というメールを打っただけで終わっています。イベントに人が来なくて失敗したと言っていますが、これでは来なくて当たり前です。最初に言ったように、「いない」と言っておけばいいだけだからです。メールだけで済ますのではなく、きちんと会ってお願いをすることが大事です。

2つ目は、知り合いを紹介したらその人がどうなるのかを説明することです。せっかく紹介をしてもらっても、何の意図があって会わないといけないのかを説明しておかないと、紹介された人は目的がわからず、断ってしまいます。ですので、知名度のない中小企業ほど紹介した後の受け皿となる企画が大事です。

3つ目は、知り合いに連絡がいってもいいという約束だけを紹介してくれる人に取り付けておくことです。リファラル採用において、「紹介してほしい」=「就職してもいいという人を連れてきてほしい」と誤解しているのではないかと思います。リファラル採用では、紹介者に対して「連れてきてほしい」と言うことだけは、絶対にやってはいけません。

紹介者の誤解を防ぐために、「会社の人事から連絡してもいい」という許可だけをもらって、あとは全部人事がやるというスタンスでいることが大事です。紹介者に負担をかけてはダメです。紹介者が知り合いに対して動機付けをして、アポを取って会社まで連れてくるのはかなりの負担になります。

この3つの施策をきちんとやれば、起点となった人の10倍は会うことができます。小さな工夫ですが、すべてきちんとやることが大事です。

人事のセオリーの伝道師からの金言

紹介するのが面倒」というマインドを取り除く工夫をすべてしないと、リファラル採用は上手くいきません。まずは、紹介者に負担をかけないようにする取り組みを始めましょう。


Q.退職の申し出が出たタイミングで退職を防止するための策はありますか?

A.退職を申し出てきたタイミングでは、基本的に引き留める方法はありません。まずは退職希望者の考えを否定せず、受け止めるところから入りましょう。

退職が出たタイミングで退職を防止する策は、基本的にはないと考えましょう(笑)。そのタイミングでは転職先が決まっていることが多く、転職先から強い引きを受けているので、引き留めは難しいです。ですので、退職の申し出が出そうという見極めを事前に行うことがポイントです。方法としては、「有給休暇を取る日数が増えた」「半休が多い」など勤怠の確認や、普段と違う服装をすることが増えたなど、日ごろの様子から見極めることはできます。

また、事前に見極めを行うためにも1on1ミーティングの中で、定期的に中長期的なキャリアの話をするとよいです。こうすることで、本人のキャリア観と今やっている仕事のギャップを見つけて、仕事を変えたり、今やっている仕事に意味付けをしてあげたりするなどの対策を取れます。

話は戻りますが、この1on1ミーティングを行っていることを前提として、まずは退職の申し出が出た段階で、「それはダメだ」というように否定をすることはやめましょう。本人の申し出を一度受け止めて、認めることが大事です。こうすることで、お互いがフラットに話し合える雰囲気を作り、何がきっかけで退職するに至ったのか話を聞いてあげましょう。そのためには、話してもらえるように雰囲気と信頼関係を作ることが大事です。ただ否定しても、そもそも退職を言い渡された側は分が悪いです。なぜなら、自社について良い部分と悪い部分を知っていますが、転職先については良いところしかまだ知らない可能性が高く、転職先の方が優位だからです。

そこで、転職先の会社を批判するのではなく、社内での仕事のやり方や配置転換で考えが変わらないかを考えましょう。いずれにせよ、配置転換が基本の対策となります。ですので、会社として彼らのために配置転換というカードを切れるかどうかがポイントです。

ただ、配置転換というカードを使いすぎると、「退職すると言えば、配置転換してもらえる」という認識が社内で生まれてしまいます。なにより、会社に残っている社員に示しが付きませんし、組織運営を乱すことにもつながります。そうならないためにも、退職の申し出が出たら基本的には「去る者は追わずというスタンス」を取りましょう。

人事のセオリーの伝道師からの金言

退職の申し出が出たら引き留めることは難しいので、基本的には「去る者は追わず」というスタンスを取りましょう。ただ、申し出が出た段階では退職希望者の考えを否定せず、受け止めることが大事です。


Q.辞めるタイミングは3年、5年、7年と言われていますが、その都度退職を防止するためにできることは何でしょうか?

A.3年、5年、7年の直前のタイミングで配置転換をしましょう。内部流動性を高めることで退職防止になるはずです。

まず、「内部流動性」とは社内における他部署への移りやすさのことです。一方、その逆である「外部流動性」とは他社への移りやすさのことです。この対策としては、辞めるタイミングである3年、5年、7年の直前で配置転換をすることです。よく「内部流動性と外部流動性はトレードオフ」と言われています。国民性にもよりますが、日本人は特定の職種しか経験したくないというよりは、いろいろな職種を経験したいというジェネラルな考えを持った人が多いと思います。若いうちは特にそうです。内部流動性を高めるといろいろなことを経験できるので、自分でできることが増える、知的好奇心を満たせる、視野が広がるなど、本人たちにとって成長を感じられる場面が増えます。ですので、基本的には、内部流動性を高めることで外部流動性を下げるのが良いと思います。

また、もう一つの方法として辞めるタイミングの直前、つまり3年目だとすると、その前に「次は○○をやれるよ」ということを伝えられる範囲で伝えておくことです。会社によって、人事異動のタイミングは違いますが、次からまた新しいことにチャレンジできることを伝えます。すると、外部で新しい仕事をすることと社内で新しい仕事をすることを天秤にかけた場合、社内がよほど嫌でない限りは会社に残るという選択肢を選ぶはずです。今まで培ってきた人間関係など、すべてを捨てて別の会社に移るのはリスクがあるからです。

社員が辞めるタイミングは会社によって違うと思いますが、目先を変えてあげるためのジョブローテーションや配置転換をすることで、新しいチャレンジをさせてあげることが退職防止には良いと思います。

人事のセオリーの伝道師からの金言

内部流動性と外部流動性はトレードオフです。会社によって、社員が止めるタイミングは違うので、そのタイミングを見極めたうえで、直前に配置転換を伝えるようにしましょう。


今回の回答者
曽和利光氏 Toshimitsu Sowa
(株式会社人材研究所 代表取締役社長)

HRコンサルタント協会 理事。
大手企業の人事・採用部門責任者を務め、主に採用・教育・組織開発の分野で実務コンサルティングを経験。約20年の人事歴を活かし、多数の就活・面接対策セミナーの講師を務める。また著書も多数出しており、全国の人事担当者の愛読書となっている。


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