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新入社員・新卒社員が1カ月以内に辞めてしまう理由、5つの落とし穴

新入社員が数カ月で辞めてしまう。そんな従業員の早期離職に悩んでいる経営者は少なくないのではないでしょうか。迎え入れる準備は万端なのに、思うように新入社員が定着しない会社には、いくつかの共通点があります。

新入社員が離職してしまう会社には共通点がある

近年、新入社員をチームの一員として迎え入れるべく、オンボーディングに力を入れる会社が増えています。仕事の進め方やノウハウを伝えるだけにとどまらず、研修やさまざまなイベントを通じて自社の社員としてのあり方を説き、いち早く会社になじんでもらうことが、新入社員と会社側双方にとって望ましいでしょう。

しかし、入社直後の対応を誤ると、新入社員は会社に悪い印象を持つようになるかもしれません。そして、最悪の場合は離職へとつながっていくことも考えられるでしょう。新入社員が早々と離職してしまう会社には、次のような5つの共通点があります。

<共通点:新入社員の離職につながる5つの落とし穴>
・新入社員が自社でインターンやアルバイトを経験していない
・会社の実情や企業文化が正しく伝わっていない
・入社初日の対応が不十分
・社員が新入社員の名前を憶えていない
・話し相手や相談相手がいない

思い当たる節はありませんか?こうした実態があると、いくらオンボーディング施策を充実させても、新入社員は会社から離れていってしまいます。これらがなぜ「落とし穴」になるのか、具体的に説明していきます。

新入社員の離職予防、5つの落とし穴を埋めるには?

「新入社員が自社でインターンやアルバイトを経験していない」「会社の実情や企業文化が正しく伝わっていない」という点は、新入社員が入社日を迎える前の問題です。入社前に、仕事内容や企業理念が正しく伝わっていなかったために「思っていた仕事じゃなかった」「社風が自分に合わない」といったギャップや不満につながっていきます。

入社希望者のリサーチ不足と断じるのは簡単ですが、会社側にも正しく企業の実情を伝える努力を怠っていた可能性があります。入社後にイメージのギャップが生じないように、積極的な対策を講じるべきでしょう。

インターンやアルバイトは、自社の業務を知ってもらう好機となります。現場で働く社員の様子や、社内の雰囲気を直に感じてもらうことで、入社後に「イメージと違った」と思われる可能性が低下します。内定者に社員の生の声を知ってもらうため、採用担当者以外の社員と交流する懇親会を設けている会社もあります。

他にも、採用案内、会社案内、ウェブサイトに掲載されている内容の見直しや、メディア記事などを活用して誤った情報が伝わらないようにしておくのも重要です。

「入社初日の対応が不十分」「社員が新入社員の名前を憶えていない」「話し相手や相談相手がいない」という3点は、総じてコミュニケーションの問題です。効率化やIT化によって働き方が変わっても、社員同士がコミュニケーションをベースに信頼関係を築けなければ、人はその場から離れていきます。

意外に思われるかもしれませんが、入社初日の印象はとても大切です。それは人と人の出会いで第一印象が重要なのと同じだと言えます。「初日に放っておかれた」「現場で邪魔者扱いされた」といった記憶は、入社を心待ちにしていた新入社員にとって心地よいものではありません。

入社初日の印象をポジティブなものにするためには、ウェルカムボードやウェルカムランチなどが有効です。社員証・会社の歴史をまとめたヒストリーブック・会社のオリジナルグッズなどをまとめたボックスセットを用意している会社もあります。そうした工夫で歓迎ムードをつくり、「ここが自分の新しい居場所なんだ」と思ってもらえれば、早期離職のリスクは低減できるでしょう。

新入社員の名前を覚え、話し相手や相談相手になることは、相手の存在を認め、信頼関係を築くために不可欠です。自分が新入社員だった頃の不安や悩みを思い返して、適切なコミュニケーションを取っていくように心がけましょう。「いつ、誰に質問していいかわからない」といった新入社員の不安を解消するためには、メンター制度を活用するのも有効です。

まとめ

5つの落とし穴と対策について紹介してきましたが、「自分の会社は大丈夫」と思っている方も多いかもしれません。しかし「大丈夫!」と思っているのは経営者や既存社員だけで、新入社員と感覚がずれている場合もあるでしょう。

たとえば、昔からこうだったから……という理由で、「仕事は見て覚えろ」「文句を言わずやってみろ」という教育スタイルの会社では、新入社員の離職リスクが高まります。与えられた仕事の目的や意義がわからないためモチベーションが上がらず、やりがいを見いだせないまま時間だけが経過してしまうのです。

「見て覚える」のが苦手な新入社員は、自分の能力が低いと思い込んで自信を失い、周囲からも「物覚えが悪い」とレッテルをはられて立場を失っていきます。結果的の離職にリスクが高まるでしょう。

「残業時間が長い方が偉い」「手間暇をかければかけただけ、いい仕事である」といった価値観も危険です。自分が若かったころのやり方に固執し、新たに考案された効率のいい方法を否定するような上司に、若い社員は不満を募らせていきます。

叱責、非難、あら探しが多い会社では、社員がリスクを避けた行動を取るようになるため「仕事が楽しい」「やりがいがある」といった感覚が生まれません。称賛し、褒めることをコミュニケーションの軸にして、積極的に意見を出し合える職場をつくっていければ、それが離職率を下げる対策となります。

オンボーディングに力を入れているにもかかわらず、新入社員の早期離職率が下がらない会社には、必ず何かしらの問題があります。まずは“5つの落とし穴”をしっかり埋めて、自社の実情に応じた対策を練っていきましょう。