感謝の言葉に乗せて少額のボーナスを社員同士がオープンな場で贈り合う「ピアボーナス」を簡単に実現するサービス『Unipos』。会社の人事担当者や経営者の悩みである『社員エンゲージメント』や『オンボーディング』の課題を解消し、2019年6月時点で累計有料導入企業数が280社を超えています。さらに、『第3回HRテクノロジー大賞』や『日本の人事部「HRアワード2018」優秀賞』など、数多くの賞を受賞しています。
元は社内で使っていた仕組みを社外にも展開した同サービスは、どんな背景で生まれて、どのように活用されて、どんな効果をもたらしているのか、サービスを開発・提供しているUnipos株式会社 代表取締役社長の斉藤知明氏にお話を伺いました。
目次
規模が大きくなるにつれて人間関係が希薄に…打開策は段ボールの投票箱!?
『Unipos』はなぜ生まれたのか?
もともとFringe81株式会社(Unipos株式会社の親会社)で、エンジニアのメンバーが、お互いの貢献を正しく認め合うこと、そして隣に座っている人がどんな役割を担っているか、お互いに把握できている環境にすることが必要であると考えたのがきっかけです。
当時は30人くらいのメンバーで仕事をしていたのですが、会社の規模が大きくなるにつれて、プロダクト数やエンジニアの人数が増えてきました。そうなると他の人が何をやっているのかわからなくなってきたんです。
営業部の社員からの『売上が上がりました!』という報告は社内で認知されやすいのですが、そこをサポートしてくれた人とか、エンジニアが夜遅くまでインフラを整えてくれたことをプロジェクトに関わっていない人は誰も知らない、ということが頻繁に起こりました。このままだと社員同士の信頼関係がなくなっていく…。
そうならないために何が必要かを考えたときに「認知」と「承認」が必要であると考えました。社員同士の貢献を正しく認知すること、そして隣に座っている人が承認してくれるような環境にしていきたいと思いました。
そこで生まれたのが『発見大賞』という制度です。『発見大賞』とは月に1回、周囲のメンバーに対して感謝の言葉を紙で送るものです。当時は段ボールで投票箱を作っていました(笑)。
ただ、はじめのうちは運用が大変でした…。月末に発見大賞の表彰を行っていたので、月初に頑張っていた社員の貢献の印象が薄れるということもありましたし、月に1度しか行っていなかったので、よほど大きな貢献をしないと印象に残りづらいのでなかなか表彰されない…。日ごろからもっともっと細かくお互いを承認し合える環境にしたいと思いました。
そこで社員同士で報酬を送り合うピアボーナスという手法にたどり着きました。社員同士が積極的に、能動的に動けるような環境にするために必要だったのが報酬だったんです。『報酬』という建前ができたことで感謝するほうがやりやすい状況になりました。
当時は3割くらいの人が感謝の言葉を送っていたのですが、ピアボーナスを採用してからは8、9割くらいの人が使うようになりました。やはり感謝の言葉に加え、報酬がもらえるのもすごくうれしいですよね。送るときの抵抗感が薄れ、部門間の壁もなくなったんです。
このような背景を経て『Unipos』が生まれました。
『感謝の言葉』が社員エンゲージメントを向上させた
『Unipos』を社外サービスとして提供したいと考えたきっかけを教えてください
サービス化のきっかけは、お互いに認め合うカルチャーはどんな会社であっても必要であると感じたからです。もともと事業化するつもりはなかったのですが、親会社のFringe81が広告代理店でいろいろな業種のクライアントとお付き合いがあり、話していると同様の課題を持つ会社が多かったのです。それならばとサービス化へ舵を切り、
特に、社内の風通しや組織風土、社員同士のコミュニケーションに課題をお持ちの経営者の方からのお問い合わせが多かったですね。
そこから分かったことは、どの会社もお互いに認め合うカルチャーが必要なこと。このような反応から、Uniposのリリースに確信を持つことができました。
実際に『Unipos』を導入された企業様からは「お互いを『認める』という習慣がつきました!」「お互いの働き方の違いを理解し合うきっかけとなりました」などのお喜びの声をいただいています。社員のエンゲージメントやモチベーションの調査をしている会社でいうと、エンゲージメントスコアが上がったという会社もありました。
お互いに感謝し合うことで、社員一人ひとりの成果が認められるカルチャーが醸成されていると感じています。
毎日どんな感謝の言葉が送られるのですか?
私たちの会社でいうと、社内でワークやイベントを主催してくれた人に対するお礼や、緊急の差し込みタスクをしてくれた社員に対する感謝の言葉が送られています。仕事に関わることであればなんでも良くて、投稿者は仕事に関わったことで、何を乗り越えたのか、乗り越えたことでどんなスキルが身に付いたか、などを具体的に投稿しています。
投稿者によっては、会社付近のおすすめのお店を紹介してくれる方もいます(笑)。
▼緊急タスクを行ってくれた社員に対する感謝の言葉。おすすめのカレー屋さんも紹介しています▼
また、お互いにコミュニケーションをとっていればその人が何をやっているのかがわかります。例えば社員と廊下ですれ違ったときに「この前はありがとう!今このプロジェクトに携わっているんだけど手伝ってらえない?」というコミュニケーションが生まれ、部門の垣根を超えたコラボレーションがどんどん生まれています。社員全員が「何かわからないことがあっても近くに助けてくれる人がいるんだ」という意識になっています。
数々の賞を受賞
「第3回HRテクノロジー大賞奨励賞」や『日本の人事部「HRアワード2018」優秀賞』を経て見えてきたものとは?
各賞を受賞するにつれ、社員一人ひとりの自信がついてきたと感じています。なによりも私たちのカルチャーが世の中で認められたことはとても誇りに思います。社外での反響については、大手の企業様からすると、日本的に認められたサービスということで良い受け取られ方をしています。『Unipos』は2017年にサービスを開始したのですが、当時と比べて取引先が増えてきましたし、共感いただけるパートナーの方も増えてきました。
今後もこのようなアワードへの応募は続けていきたいので、Uniposがお客様により高い価値を提供できるようになったタイミングで、また応募したいと考えています。
まとめ
感謝の言葉を伝え合う文化が強く根付いたUnipos株式会社。そんな社風のためか取材にあたり、社内を歩いていると、多くの社員から「こんにちは」と声をかけていただきました。
会社の人事担当者や経営者の悩みである『従業員エンゲージメント』や『オンボーディング』の課題を解消するためには、日ごろの感謝の言葉や社員同士のコミュニケーションが必要なのではないでしょうか?