会社から1on1ミーティングを取り入れるように言われ、ただ何となく取り入れる…。これでは、せっかく割いた時間がただの雑談時間になってしまい、何のために1on1ミーティングを行なっているのかわからなくなってしまいます。
1on1ミーティングを意味のあるものにするためには、事前準備をしておくことが大切です。この記事では、効果的な1on1ミーティングを行なうために必要なことをご紹介します。
1on1ミーティングで話すべき内容とは
まずは、そもそも1on1ミーティングで取り扱うべきテーマについて考えてみましょう。1on1ミーティングの本題として適している話題は、以下の4つです。
- 業務・組織上の課題
- 能力の開発、キャリア形成における課題
- 目標設定
- 戦略や方針の腹落ち具合、納得度合いの確認
1度の1on1ミーティングですべての話題に触れる必要はありません。また、上司がどのテーマについて話してもらうか決める必要もありません。あくまでも部下を主体とし、主題とするテーマを決めましょう。
また、仕事に関する話だけではなく、プライベートや体調といった部下個人についての話題も取り入れましょう。ただし、こちらも部下を主体とし、上司側が強制的に根掘り葉掘り聞き出そうとするのはNGです。
あくまでも、上司部下間の信頼関係を強めるために行なうことが目的です。悩みや相談を聞き出すことがマストなのではなく、部下に何かがあったときに相談してもらえる関係性を築くことが目的だと捉えておきましょう。
「話すことはない」と部下に言われたときの対策法
1on1ミーティングを取り入れたばかりのときに、上司側が直面する悩みが、部下からの「特に何も話すことはありません」という返答ではないでしょうか。上司側は、1on1ミーティングの目的通り、部下に会話のボールを投げているわけなのですが、肝心の部下側がスタートラインに立ってくれないケースです。
「何もない」と部下が返答するとき、背景にある感情には、「本当に何も話すことがない」「話せることはあるが、今のタイミングではない」「上司であるあなたに話せることではない」の3つが挙げられます。そして、多いケースが2、3つ目だといえるでしょう。本当に何も話すことがないということは、なかなかないものだからです。
「話せることはあるが、今のタイミングではない」「上司であるあなたに話せることではない」になってしまうのには、部下のなかで上司との関係性がまだ築き上げられていないという認識があるのが理由です。1on1ミーティングは信頼関係の構築を目的としているため、信頼関係ができていないと話せないというのはニワトリと卵の関係性になってしまうのですが、部下の立場で考えてみると、関係性が不十分な状態で話せといわれる困難さも想像できるのではないでしょうか。
そこで、「何もない」と言われてしまった部下へのはじめの一歩を踏み出す際にできるコツは、日頃の部下の様子を観察し、話題の切り口にできるネタを2、3個用意しておくことです。気になったことや、「お、うまいな」と感心したこと、どちらでも構いません。そうした内容を取り入れて、1on1ミーティングに入るのです。
「この間の会議のあと、何か困っているように見えたけれど、何かあったんですか?」
「先日のクレーム対応、お疲れさまでした。クレームへの対処方法がうまいなと感じていたんだけど、ポイントはどこなんだろう?」
ただ指摘するだけ、褒めるだけではなく、その後に「質問する」ことが大切です。実際にあったことをベースに質問をしているため、部下側も応えやすく、そこから会話の糸口が広げられるでしょう。
信頼関係を構築するためには、「相手を理解しよう」という姿勢が大切です。1on1ミーティングは部下主体の時間ではありますが、部下だけに押しつけるのではなく、上司側も部下を理解しようと日頃から意識しておくことが重要でしょう。
1on1ミーティングを行なう意味とは
あらためて、1on1ミーティングについて、目的やメリットをおさらいしておきましょう。
1on1ミーティングの目的は5つあります。
- 部下の育成促進
- 現場の状況把握
- 進捗状況を踏まえたアシスト判断
- 業務の効率化の実現
- 定着率向上
適切に業務を進めていくためには、部下との信頼関係の構築が重要です。日頃部下と密にコミュニケーションが取れていない人ほど、1on1ミーティングは意味のあるものになることでしょう。
定期的に1on1ミーティングを行なうことで、部下の課題やビジョン、現状の把握が可能となります。1on1ミーティングは仕事の進捗確認や部下への指導の場ではありませんが、結果として部下の話から把握ができ、効率的に仕事が進められるようになるでしょう。
上司の役割は「聞くこと」だと認識しておくことが大切
1on1ミーティングを行ったあと、部下が「今日からできる改善策」を理解できている状態に持っていくことが理想です。
部下を目の前にすると、何を訊くべきだったから忘れてしまうという方は、事前にある程度質問事項をまとめておいたものを用意してもよいでしょう。質問が主導しないよう、「傾聴」を意識して、部下の話を引き出す時間になるよう意識しておくことが大切です。