上司が部下に指示を出した時、部下が期待通りに働いてくれない場合がありますよね。どうすれば部下は指示に従い、自ら考えて動き、期待以上の働きをしてくれるのでしょうか。
それには、人はどういう時に行動するのかを考える必要があります。人は、目標達成によって得られるベネフィット(メリット)により行動することを決心します。上司は、提案・指示している仕事で得られる効果やベネフィットを、部下に伝えるようにしましょう。
部下が自発的に動くための効果的な指示の出し方について探っていきましょう。
目次
自発的に動く部下を育てるために、上司がすべきこと
皆がアイデアを次々に出して切磋琢磨しながらもチームで協力する職場は、個人も成長するだけでなく、チームも発展し続け、とても理想的な職場です。このような職場はどのようにしてつくり上げられるのでしょうか。
仕事の結果を出すことで得られる状態とは
仕事をするうえで、上司は部下に対して仕事の権限を持っています。つまり、部下に対して効果やメリットを提供することができる立場なのです。部下は上司から指示を受け行動し、結果を出すことで周囲に認められ、自己肯定感も高まり、心身ともに幸福な状態になります。この状態になることでモチベーションも上がり、働き続ける動機づけを確保できるのです。
上司の役割は部下の成長やチームのまとまりを支援すること
上司の役割とは、部下が仕事を達成することで自己成長し、チームにも貢献することでチーム全体の士気が上がるように促していくことです。部下は成功体験を積み、承認欲求が満たされれば、ますます自発的に働くようになるのです。
上司が部下に本当に伝えるべきこととは何か
基本的に職場では上司は部下に対して指示を出し、部下は指示に従って行動します。
そもそも部下は、なぜ上司の指示に従うのでしょうか。この理由を上司が知り意識して行動することで、適切な指示を出して部下の成長を支援することができるようになります。
正確な指示を出しても人は動かない
部下に動いてほしい時に上司が考えるべきことは、「人はなぜ行動をするのか」ということです。上司は指示を出すとき、指示そのものを正確に伝えるべきと考えてしまいがちです。
しかし、実際伝えるべきことは指示そのものではありません。逆の立場になって考えてみましょう。上司から細かく指示を出されたところで、やる気はなかなか起きません。特に自分に興味のない仕事の場合、自分の大切な時間を使いたくないとさえ思ってしまい、仕事のとりかかりも遅くなり、仕事の精度も下がってしまう可能性があります。
伝えるのは指示ではなくベネフィット
それでは、上司は何を伝えれば、部下のやる気を引き出せるのでしょうか。本当に部下が必要としているのは、正確な指示ではなく、指示を遂行した結果得られる、自分にとって有益な効果・効能を知りたいのです。自分にとって何かプラスになることがあるとわかってはじめて、人は行動します。
例えば、部下がプレゼンをする場合、部下は目の前の1つの契約が欲しいのではなく、真に欲しいものはプレゼンをする準備プロセスから得られる「新たな能力」です。
また、新たな仕事を買って出る人は、その仕事によって「新たな能力」「経験」「成長」「知識の拡大」というベネフィットを得たいと思っています。部下が「その仕事をやりたいです」と主張した場合、本当に欲しいのはその仕事ではなく、仕事によって得られるベネフィットなのです。つまり、部下が得られるベネフィットこそ本当に伝えるべきものなのです。
まずはヒアリングから始める
上司が部下に「正確な指示を出さなければいけない」と考えていては、部下が自分から行動するような指示はできません。また、ベネフィットを提供していたとしても、部下が望んでいるベネフィットと一致していなければ意味がありません。部下が望んでいるベネフィットとは、つまり部下が現在解決したいと悩んでいるものです。部下の悩みを解消するベネフィットを提示しなければ意味がありません。仕事ありきで指示をするのではなく、部下が抱える問題を正確にヒアリングしてから、その部下に適したベネフィットが得られる指示を出しましょう。
部下の悩みを解決するベネフィットを与える
部下が育つためには、何か問題に直面した時に自ら考えて動き、問題解決する経験をしなければいけません。指示を出され続けているだけでは、人は育たないのです。部下をマネジメントするためには、上司が「指示」を出すのではなく、その仕事を通じて得られる「ベネフィット」を伝えるよう意識する必要があります。
部下の悩みを解決するためのベネフィットを提示し、乗り越えていく力をつけさせることこそ、上司のマネジメント・リーダーシップの本質なのです。