時代の流れとともに、働き方も多様化してきています。すると必然的に「理想の上司像」も変わってきているようです。今求められている、上司としての資質は一体どのようなものなのでしょうか。今回は、上司に求められる資質や理想の上司の定義についてご紹介します。
目次
- 1 部下がリーダーに求めている資質とは
- 2 ビジネス書7選から見る、最高の上司とは
- 2.1 ラズロ・ボック 著『ワーク・ルールズ!ー君の生き方とリーダーシップを変える』
- 2.2 C・オットー・シャーマー 著『U理論――過去や偏見にとらわれず、本当に必要な「変化」を生み出す技術』
- 2.3 森岡毅 著『USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか?』
- 2.4 下園壮太 著『自衛隊メンタル教官が教える 折れないリーダーの仕事』
- 2.5 エリン・メイヤー 著『異文化理解力ー相手と自分の真意がわかるビジネスパーソン必須の教養』
- 2.6 テレサ・アマビール、スティーブン・クレイマー 著『マネジャーの最も大切な仕事――95%の人が見過ごす「小さな進捗」の力』
- 2.7 デール・カーネギー 著『人を動かす』
- 3 リーダーの資質があるか判断する7つ質問
- 4 まとめ
部下がリーダーに求めている資質とは
会社で働くにあたって、求められる上司の理想像というものがあります。では、部下がリーダーに対して求める資質の一部をご紹介しましょう。
全体を俯瞰で見て、部下の気持ちにも配慮できる
リーダーには全体の業務を俯瞰して見て、何か問題が生じた時にフォローをしたり、外部と交渉して部下を守ろうとする姿勢が必要です。仕事の成功に向けてビジョンを明確にし、皆のモチベーションを上げ、仕事を進めやすくするのも重要な仕事の一つです。一人ひとりの部下が仕事への達成感や充実感を得られることで、会社としても成長することができます。
責任を持ってフォローをする
チームとして仕事を進める場合、最終的な責任はリーダーが取るということを明確にしておきましょう。何があっても上司が守ってくれるという安心感があると、部下は上司を信頼し、その人のために頑張ろうと思えます。責任を取るというのは、進捗状況を細かく把握するだけではなく、ある程度部下に任せることが必要です。信頼するからこそ任せるのであって、任されたことで部下のやりがいにもつながります。
判断力が高く、決断力が早い
最終的な責任を取るにあたり、大きな決断を任されることも多くなります。早く適格な判断をすることは、ビジネスチャンスを逃さずに、業務を成功へと導くことにつながります。また、ミスが出た場合にも、最終的にリーダーが素早く判断し行動することで、影響を最小限にとどめることができ、部下からは厚い信頼が寄せられます。
部下を教育し成長させる
仕事は一人ひとりの部下の能力ややる気が大きく影響します。そのため、リーダーが積極的に部下を指導し教育することで、部下のやる気もスキルも上達します。具体的には、部下の失敗ばかりを攻めるのではなく、良いところを見つけタイミングよく褒めて認め、成長へと導くことが重要です。
部下を惹きつける人間力を持つ
仕事だけではなく、人間として魅力のあるリーダーは部下からも信頼されます。仕事ができるのに常に勉強を怠らなかったり、リーダーであっても素直さを持っていたり、高圧的でなく周囲への気遣いもできるなどの魅力があると、部下はより惹きつけられるでしょう。
ビジネス書7選から見る、最高の上司とは
それでは名著をもとに、最高の上司の定義とは何か見ていきましょう。
ラズロ・ボック 著『ワーク・ルールズ!ー君の生き方とリーダーシップを変える』
Googleの人事トップであるラズロ・ボック氏による、人事マネジメントについて述べた一冊です。一人ひとりが仕事を任され、その成長を支援することで会社全体の競争力が高まります。その組織において最高の上司の定義とは、「チームに奉仕する人」。部下が仕事に取り組むうえで発生する障害を取り除き、チーム全体の士気を鼓舞することに集中し、組織全体の力の向上につなげます。業績の高い部下は褒めて手本になるようにし、業績の悪い部下は思いやることが求められます。
C・オットー・シャーマー 著『U理論――過去や偏見にとらわれず、本当に必要な「変化」を生み出す技術』
時代が変化し続ける中で、自分の過去の業績にとらわれて、同じ手法を繰り返すだけでは、最高の上司とは言えません。多様化が求められる現代における最高の上司とは、「過去の成功体験にとらわれず、常に新しいアイデアを出し、具現化していく人」です。
森岡毅 著『USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか?』
ユニバーサル・スタジオ・ジャパンの元CMOである森岡毅氏は、後ろ向きのジェットコースターを開発するにあたっては、さまざまな反対意見があったそうです。その中でも、できない理由を並べるのではなく、常にできる方法を模索し続け、チームの大成功へとつなげました。最高の上司の定義は、「諦めずに周囲を引っ張り、信念を貫き通す人」です。
下園壮太 著『自衛隊メンタル教官が教える 折れないリーダーの仕事』
陸上自衛隊で心理的な側面からリーダー育成をしている下園壮太氏による一冊です。リーダーは、チームが潰れずに長期的に戦い続けることができるよう、意識しておかなければいけません。上司が疲れていればチーム全体にも影響するので、まずは自己管理が求められます。最高の上司の定義は、「難しい判断を下し、チーム管理・自己管理ができる人」です。
エリン・メイヤー 著『異文化理解力ー相手と自分の真意がわかるビジネスパーソン必須の教養』
トップビジネススクールINSEADの客員教授であり、異文化マネジメントに焦点を当てた組織行動学を専門にするエリン・メイヤー氏の一冊です。文化の違いが生まれやすい場合、国によって生じる特性の違いや、マネジメントについて描かれています。最高の上司の定義は、「自分と相手の環境の違いを受け入れたうえで、それぞれに適した接し方をする人」です。
テレサ・アマビール、スティーブン・クレイマー 著『マネジャーの最も大切な仕事――95%の人が見過ごす「小さな進捗」の力』
今売れているビジネス書の一つ。マネジメントにおいて重要なのは進捗だそうです。最高の上司の定義は、「部下のモチベーション(インナーワークライフ)を管理する人」です。インナーワークライフを上げるために、仕事の障害や、阻害要因、悪質な人間関係を除外することが大切です。
デール・カーネギー 著『人を動かす』
リーダーシップに関する往年の名著です。カーネギーはこの書籍の中で「人を動かす3原則」、「人に好かれる6原則」、「人を説得する12原則」そして「人を変える9原則」を紹介しています。最高の上司とは、最高の人格者であることがわかります。
リーダーの資質があるか判断する7つ質問
リーダーに向いているかどうかの指標とできそうな7つの質問をご紹介します。
- 人に好かれなくてもいいか
- 周囲の合意がなくても決断することができるか
- 話しづらい内容も伝えられるか
- 管理職と部下の間で板挟みになれるか
- 会議で皆が注目する中、話を進めることができるか
- 思いやりであっても、何事も過ぎたるは及ばざるがごとしという考えを受け入れられるか
- 私生活よりも仕事を優先する状況を受け入れられるか
少し厳しい内容もありますが、リーダーというのは時に孤独で冷静な判断が求められます。リーダーの資質があるかどうか、判断の1つにしてみてください。
まとめ
上司に求められる素質や言動は、時代の潮流や、部下の性格によって大きく変わります。「理想の上司」として部下から信頼され、チームとして仕事の成果を上げるためにも、ご紹介した資質を参考にしてみてください。