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部下の育て方とは?任せて好かれることが大切!ダメ上司にならないために

部下とは?大切なのは、上司の役割をしっかりと理解して育成すること

正社員や派遣、アルバイトなどの雇用形態にかかわらず、どんな会社でも上下関係があるのが一般的です。通常は入社時期、仕事に対する経験値、持っている権限、管理能力によって上下関係が作られます。上司と部下とは、その上下間の関係性のことを指します。

ここで勘違いしやすいのが、「上司=偉い」という感覚。こういった傲慢な考え方のまま業務を進めることは大変危険で、仕事だけでなく人間関係にも悪影響を与えることになります。さらに変化の激しい現代では上下関係が簡単に覆されることもあるでしょう。

上司とはあくまで役割であり、部下を育て導き、会社全体に利益をもたらす立場であることを改めて認識しましょう。そのうえで、今回は部下との関わり方、ダメな上司にならないポイントをお伝えしていきます。

部下が育つ環境と上司の役目

さて、あなたの会社は、部下にとってチャレンジしやすい環境でしょうか?せっかく部下が主体的に提案したのに上司が安易に却下してしまうというケースは、残念ながらよくある話です。このような状況が続くと、部下のモチベーションの低下や退職につながり、会社の成長も難しくなります。若手社員が生き生きと活躍し、会社に貢献するためにはチャレンジできる環境づくりが重要。では、部下が育つ環境と上司がすべきことはなんでしょうか。

上司は「どうすれば部下を育てられるのか」と考えがちです。現代経営学やマネジメントの父といわれるピーター・ドラッガーの考えによると、「成果」「価値の創造」「人材育成」の3つの領域が必要で、この3つがなければ、組織は衰退していくそうです。したがって、マネジメントとは、人を育てるだけではなく、「強みを生かして、よい成果を生み出すにはどうすればいいのか」という部分に着目しなければなりません。では、人が育つための条件や取るべき行動、役割をご紹介します。



部下を育てる8つの条件

1.何よりもコミュニケーションが大切
人材育成に欠かせないのはコミュニケーションです。そのためには、信頼関係を構築することが第一歩で、方法は相手により異なります。まずは、相手を知ることから始めましょう。

2.部下の育成目的を考える
自分が経験した方法を部下にも強要するのは間違い。方法を模索するのではなく、「部下個人がどういう人材に育ち、社会人としてどう活躍してほしいのか」という目的を明確にしましょう。

3.できるだけ任せる
人が育つには、自分で考え工夫することが重要です。課題に対して部下に裁量を与え、チャレンジさせてみましょう。ただし、放任するのではなく、どの範囲までチャレンジさせるのかは見極めておくことも必要。部下は自由に動けることでモチベーションのアップにもつながり、成長します。

4.コミュニケーションをとり続けて、目的を見失わないように導く
部下に裁量を与えると同時に、目指す目的を明確にしながらコミュニケーションを取り続けましょう。目的を見失わないようにコミュニケーションの内容を書き留めながら進めていくことで、部下は迷った場合にも振り返りができ、成功のイメージを頭に浮かべながら仕事を進めることができます。

5.強みを伸ばし、弱みに対処する
自分の裁量で仕事を進めていくと壁にぶち当たることもあります。その乗り越え方で「強み」が明確になります。強みを部下自身に認識させて勇気を持たせることで、成長へつながります。「弱み」が把握できた場合には、どのように対処や改良すればいいのか、誰に頼ればいいのかなどの対応ができます。

6.必要な時にはしっかり部下を守る
自由裁量=丸投げではありません。助けが必要な場合は、相談に乗り、時には上司自らが動ける準備をしておきましょう。丸投げして放置すれば、部下はチャレンジする意欲を失い、信頼関係も崩壊してしまいます。

7.定期的なフィードバック
仕事の目的や状況について、定期的にフィードバックしましょう。上司が部下に対して「評価」をするのではなく、対等な立場で出来たことは率直に認めて褒めます。また、フィードバックを通じて部下の強みや弱みが徐々に明確になりますので、今後の仕事にも役立ちます。

8.プロセスを繰り返す
人が育つ環境はここまでの7つのことを繰り返すことが重要です。過程を書きとめ、実行し、振り返るということを繰り返しましょう。



部下をダメにする上司の特徴

多くの上司は部下を育てようと懸命ですが、なかには部下を育てられない、ダメにしてしまう上司もいるようです。そういった上司にはどのような特徴があるのでしょう。

こうした上司の下にいる部下は、大きな失敗をした時に潰れてしまったり、失敗する可能性があるとチャレンジをしなかったりなど成長できなくなってしまうでしょう。そして、自分が部下を持つ立場になった時に育てることができません。

部下を成長させるには、上司自身が変わる必要があります。フォロー体制を整えたうえで、失敗を経験させ、周りと比較せず、目標については互いにしっかりと話し合って納得した内容にします。さらに、今の時代にマッチした仕事の進行方法を上司も積極的に取り入れましょう。もちろん、会社側のマイナスな言葉をそのまま伝えるようなことはせずに、部下にとってプラスになるようなあなたの言葉に置き換えて伝えてみるのです。

主体的に動いて力をつけて欲しいときに取るべき、上司の行動

上司が「もっと主体的に働いて欲しい」「貪欲にチャレンジして成長して欲しい」と思っていたとしても、部下にしてみると「時間がない」「これ以上は無理」という状況もあります。こうした互いの意見の相違には、「部下を認める」「現実の把握」などが足りていないことも多いようです。

常に気にかけ、褒め、励まし、労うというストロークを続けていると、部下は「大事にされている」と実感するものです。無意味なコミュニケーションではなく、成長のために必要な関わりを続け、適格なタイミングで支援をすることが重要。部下には常に、仕事自体の目的と、部下の成長のための目的を伝え続けるようにしましょう。続けることで部下のモチベーションもアップします。そして「主体的に働いて欲しい」と願うのであれば、まずは自らが手本となれるよう、部下と深いコミュニケーションを取るようにしましょう。主体的に動いている上司の背中を見ることで、メンバーも前向きになり、主体的に行動する職場へとつながっていきます。

上司は部下が育つのを邪魔してはいけない

お伝えしたとおり、上司は部下に対して裁量を与える必要があります。チャレンジを上から潰すのではなく、しっかりと耳を傾けることが大切。もし身の丈以上のチャレンジをさせる場合には、「今の君には難しいかもしれない」ということを伝えつつ、任せたい理由をきちんと伝えましょう。そうすることで、部下は本当に助けを求めたい場合に上司に相談しやすくなります。

挑戦して、失敗して、落ち込み、また一歩踏み出すことで部下は成長していきます。上司の口出しや手助けは基本的に不要。部下の育つタイミングを邪魔してはいけません。見守りながらも、本当に必要な時には手助けをするというスタンスでいましょう。

部下から見て、よい上司・ダメな上司

多くの人は出来る限りよい上司を目指そうとするはずです。しかし本人はそのつもりでも、残念ながら部下から見てそうではない人も一定数存在します。よい上司とダメな上司の違いとは、どういった点なのでしょうか。

よい上司とは部下を成長させる人間

働いている業種、世代、個人の経験などでよい上司観は大きく異なるため、一概にはいえません。しかし、会社はもちろん、個々に対しても利益をもたらす存在と定義することで、その姿が見えてきます。それは、部下を成長させ、自身も成長していこうとする向上心に満ちた上司です。与えられた業務だけをこなし、成長も退行もしない人間は、よい上司になることはできません。仕事をこなしながらも成長できる点を見つけ、それを部下にも共有するような人材こそが、よい上司と呼ばれるのではないでしょうか。具体的なポイントをいくつかあげてみましょう。

結果を見据えている
企業にとって、重要なのは結果です。結果を出さなければ企業は利益を出せず、成長することもできません。日常の業務から特別なプロジェクトまで、企業の一員として行うあらゆる行動には常に結果が求められます。だからこそ、よい上司は常に結果を見据えて行動します。今の行動がどのような影響をもたらすのかを考え、求める結果のために努力をします。

過程も評価する
結果を見据えるといっても、成果主義ということではありません。成果主義になってしまうと、結果を出すか出せないかという2つの観点だけで部下を判断してしまい、よい上司からはかけ離れてしまいます。結果を見据えることは前提としつつ過程も含めて評価し、部下やチーム全体のモチベーションを保つようにしていくことは、よい上司への一歩となるでしょう。

部下の得意・不得意を把握する
あらゆる人間には得意・不得意が存在します。よい上司は普段からコミュニケーションや面談を大切にし、部下の得意・不得意なことを把握しています。そして、部下が得意な部分をさらに伸ばし、不得意なものは克服できるよう、ストレスのない形で仕事を割り振ります。

悪い上司、それは部下を貶める上司

よい上司の逆は、基本的にダメな上司ですが、さらに悪いのは、部下を貶めるような性質の人です。部下を見下したり、蔑んだりするような行為は、最悪といっていいでしょう。人間関係面での思いやりが少ない、特定の部下だけを贔屓することなども同様です。ダメな上司・悪い上司は、部下のモチベーションを大きく下げ、それは会社全体の生産性を下げることにもつながってしまいます。しかし、先を見ていない上司にはそれが分からないのかもしれません。



上司と部下の理想的な関係・コミュニケーション

上司と部下にはさまざまな関係性があります。暴君のような上司に部下が下僕のように従うような関係もあれば、上司の権力を目当てにすり寄る部下、業務を進行するためだけの関係などもあるでしょう。しかし、目指すべきは、互いに強い信頼感を持ち、さらに高い目標へと向かっていけるような関係ではないでしょうか。

そのために必要なのは、部下との質の高いコミュニケーションです。「不信に思われる」「会話がはずまない」「本音を打ち明けてもらえない」という状況はないでしょうか。実はこれらの課題は、上司の聞く力により克服することが可能。コミュニケーション力を高めて部下のやる気を引き出しましょう。

部下とうまくコミュニケーションを取る3つのプロセス

①部下の発言に持論を述べたり反論したりする前に、しっかりと聞き受け止めること。
②部下が抱えている不満・不信を確認し、明確していく。
③部下の悩みや不信感を解消できる、具体的な解決策を提案する。

部下の不満や不信感が対応できないものだった場合

部下が抱える問題が対応不可能なものであっても、上司としてそのまま放置してはいけません。特に、誤解などが生じてしまって会社に対する信頼感を失っている時には、その誤解を解き、招いた理由も明確にしたうえで、同じことが起きないように対策を講じるという姿勢を部下に見せましょう。

①誤解だとしても、まずは部下の発言を受け止める。
②否定などをせずに、誤解している部分を確認する。
③誤解している部分と誤解を招いた理由について誠意を持って伝える。
④誤解の説明と同時に対策方法も提示。上司として問題についてしっかりと対応することを示す。

どんなに気を付けても、部下の不満や不信感を完全に防ぐことは難しいものです。部下の言葉を受け止め、問題点をしっかりと確認し、解決の糸口を探すことが大切。そして日々のコミュニケーションを大切にしていれば、問題が必要以上に大きくなるのを防ぐことができます。

では、部下とのコミュニケーションを円滑にするために、上司としてどういったスキルを身に付けるべきなのでしょうか。

コミュニケーションの第一歩は「部下の話を聴くこと」

コミュニケーションスキルとは、実は話し上手のことではありません。「話す」ことはもちろん、「聴く」能力も重要な要素です。それもただ「なんでも話して」というのではなく、相手が心を開いて自然に話せるよう、聞く側のスキルも必要。聞き手には「傾聴」と「問答」の2つが求められます。問答のために必要となる「質問力」を身に付けるために、4つのポイントを押さえておきましょう。

〇「良い質問」だけにしぼる
〇相手のレベルに合わせる
〇最良の質問のために「傾聴」を大切にする
〇誘導、操作をしない

特にミスをしてしまったような時は、責めるような質問ではなく、今後同じこと起こさないための未来志向の質問がよいでしょう。もちろん、自分の思う答えが返ってくるのを求めて誘導や操作をするのは厳禁です。

面談や日常的なコミュニケーションで上司が聴くことを意識すると、部下は尊重されていることを実感でき、モチベーション向上につながります。もしも部下の話に間違った点があったとしても、すぐに指摘して訂正するのではなく、自ら気づき正しい答えにたどり着くほうが成長できるはずです。そのように導いていくのが、上司としての役割であり、良質なコミュニケーションを取る目的の一つなのです。

部下を成長させるために上司がすべき指導は「任せること」

人を育てる方法は企業や業種によって異なりますが、入社時の研修やOJT(On the Job Training)などを経て、実際に仕事がこなせるよう指導していくのが一般的です。そうして、少しずつ仕事を任せ、成功や失敗を繰り返すことで部下は成長していきます。

では、部下に仕事を任せるようになったら、上司としてどんなことに注意するべきなのでしょうか。気を付けるべきポイントを確認していきます。

デキる上司は、部下に仕事を任せている

部下の育成は、上司にとって大切な仕事です。部下は失敗と成功を繰り返しながら、成長していきます。したがって、最初にリーダーがやるべきことは「仕事を任せること」です。自分でやったほうが速いと仕事を振らなかったり、部下のミスを面倒がって仕事を抱え込んでしまったりといった状態では、部下はもちろん自分も成長しません。

そして、仕事を任せる際に大切なことがあります。それは、事前にルールを決め、任せる仕事を明確にするということ。仕事を任せることに慣れていないと、余計な心配をしてしまいがちですが、これらを上司・部下ともに心得ておけば、安心して業務にかかれます。

〇部下に仕事を任せる際のルール
1.明確な期限を設ける
2.優先順位を共有する
3.中間報告を受ける

〇明確にする内容
1.仕事の達成イメージ
2.ゴールまでの仕事量
3.発生する可能性のあるリスク

これらを押さえたうえで部下に仕事を振れば、育成につながり、結果的にチームや会社全体の成長、利益向上へとつながっていくのです。

見極めて最適な部下に任せる

部下にはいろいろなタイプがいます。そのため、仕事を任せる際には、それぞれの適性をきちんと考えたうえで、その仕事に必要なスキルを持った部下に任せることです。また、部下の成熟度に応じて仕事の任せ方を変えてもよいでしょう。

任せ方には以下のようなものがあります。
「指示型」:新入社員向け。仕事のゴールや手法を伝え、進捗を都度管理。
「指導型」:意欲の高い若手社員向け。考え方を説明し、主体性を重んじる方法。
「支援型」:意欲に欠けるものの力量のある社員には、自ら意思決定できるように働きかける任せ方を。
「委任型」:リーダー候補の部下には、責任を持たせて、相談には乗るが問題解決も自ら行わせる。



さまざまなタイプを知って、部下の育成に活かす

人は千差万別で、働くうえでも多様な特性があります。そして、意思決定をする際にもさまざまなタイプがあり、それを把握しておけば部下の育て方の参考になるはずです。ここでは「カーニーの意思決定スタイル」という分類方法から4つのスタイルをご紹介します。

意思決定する際の4タイプ

タイプ 詳細
混乱型 混乱型は、自分自身についてあまりわかっておらず、自分を取り巻く環境もよくわかっていない状態で意思決定をしてしまうタイプです。周囲からみてもなぜそのような行動をしたのか理解が出来ません。混乱型の人は、意志を持って決定できないため、精神的にも不安に感じていることが多いです。
直感型 直感型は、自分自身について知ってはいるものの、自分を取り巻く環境についてはよくわかっていない状態で意思決定をしてしまうタイプです。自分自身が感じたことを重視し、根拠となるデータを持っていないため、周囲から見れば深く考えず、思い付きで行動してしまっているように見えます。
依存型 依存型は、自分を取り巻く環境は把握しているものの、自分自身についてはあまり理解できていないのに意思決定してしまうタイプです。周囲から見れば一見冷静に見えます。しかし、自分の軸を持っていないため、他人に依存してしまいがちです。
計画型 計画型は、自分自身について理解しており、自分を取り巻く環境についても把握しているタイプです。周囲の情報収集、代替案の検討、自分自身の気持ちの確認、客観的な意見を求めるなど、用意周到に計画性をもって物事を決定します。計画型の場合、後悔しない意思決定ができます。

もう一つは意思決定を回避する際の分類です。「この決定は後回しにしたいなぁ」という状況は多くの人が経験しているのではないでしょうか。

意思決定を回避する際の4タイプ

タイプ 詳細
延期型 何か気が進まない理由があった場合、とにかく意思決定を先延ばしにしてしまうタイプです。このタイプの場合、状況を聞くなどして、決定を促すのが効果的です。
運任せ型 自分からは動かず、そのときの成り行きに任せるタイプです。事なかれ主義であり、最も障害が少ない方法を選択します。
言いなり型 自分に関する重要な決定事項であっても、他人に任せるタイプです。小さい頃から親の言いなりで、自分で選択する喜びを知らず、不安を抱えることもあるタイプです。
弱気型 自分に自信がないため、不安が強く決断すること自体を拒むタイプです。周囲から決断を迫られた場合、ますます不安が強くなり決断できなくなることがあります。

このように、部下が意思決定を回避する場合、さまざまな原因が隠れています。部下がどのスタイルに陥ってしまっているのかをじっくりヒアリングするなどして把握し、部下が自分自身で決定できるように導きましょう。

部下にはこういったさまざまなタイプがあることを上司が認識し、そのうえで各人に合った適正な育成方法を検討していくことが重要です。

意思決定ができる人材に育てるため、日頃から考える習慣をつけさせる

新入社員の頃は、与えられた指示をこなすだけで精一杯なのは当たり前のことです。しかし、社会人として成長させるには、自ら考えて意思決定し実行できる人に育てる必要があります。また、成長すれば仕事の醍醐味も味わえ、さらに仕事が楽しくなるはずです。

もちろん、部下が自分で意思決定ができるようになるには、多くの経験を積んで判断力や原因究明力を身に付けていく必要があるため、時間もある程度必要です。だからこそ自分の考えを持つ癖が付くような育成をしていかなくてはなりません。

自発的に動く部下を育てるために、上司がすべきこと

個人の成長だけでなく、チームも発展し続けられるのが、理想的な職場です。このような環境はどのようにしてつくり上げられるのでしょうか。

仕事の結果を出すことで得られる状態とは
部下は上司からの指示を受けて行動し、結果を出すことで周囲に認められます。それによって自己肯定感も高まり、心身ともに幸福な状態になるのです。モチベーションも上がり、働き続ける動機づけを確保できるでしょう。

上司の役割は部下の成長やチームのまとまりを支援すること
部下が仕事の達成によってさらに成長でき、チームに貢献することでチーム全体の士気が上がるように促していくことは、上司の役割の一つです。部下は成功体験を積み、承認欲求が満たされれば、ますます自発的に働くようになるでしょう。

上司が部下に本当に伝えるべきこととは何か

部下は上司の指示に従って行動します。では、そもそも部下は、なぜ従うのでしょうか。この理由を知り、意識して指示することで、部下の成長をより効果的に支援できるようになります。

正確な指示を出しても人は動かない
部下に動いてほしいと思った時、「人はなぜ行動をするのか」という前提を考えたことはありますか?指示を出すときには、ついついその正確さばかりを考えてしまいがちです。しかし、実際には細かな業務指示だけでは、なかなかやる気は起きないもの。特に自分が興味のない仕事の場合、仕事のとりかかりも遅くなり、仕事の精度も下がってしまう可能性があります。

伝えるのは指示だけでなく「ベネフィット」も
部下が求めているのは、正確な指示に加え、遂行した結果得られる利益、ベネフィットです。会社と自分にとって何がプラスになるかを理解してこそ、人は積極的に行動します。例えば、部下がプレゼンをする場合、目の前の契約が欲しいだけではなく、プレゼンの準備で得られる新たなスキルにも魅力を感じているはずです。上司は部下がパフォーマンスを発揮できるように、ベネフィットも伝えるようにしましょう。

部下の育成計画

部下を育てるためには計画が必須です。優秀な人材を育ててこそ、会社は発展し、生産性も向上し続けることができるでしょう。今のような変化の激しい時代こそ、上司としてどういった育成計画を立てるべきかをしっかりと検討しなくてはなりません。ここでは基本となる要素を確認しておきます。

人材育成計画の基本

計画といっても、まずは何から着手すべきか、悩んでしまう方もいるでしょう。まず、計画を立てる際には、事前に決めるべきことがいくつかあります。大まかな流れはこの5つです。

1.目標設定
計画全体の目標設定と同時に、段階的な目標も決めておく(1カ月、1年など)。

2.現状認識
部下の現状を確認し、できる・できない、目指すレベル、必要となる時間などを決めておく。

3.必要となるスキルの確認
目標に対して必要となるスキルを確認する。複数の場合は優先順位も設定。

4.スキルアップの方法
必要なスキルの獲得方法を検討し、担当者だけでなく該当する部下の意見も取り入れる。

5.計画の確認
1~4で大まかな育成計画の流れが決まったら、上層部と現場にも確認。必要に応じて変更を加える。

計画の実施について

育成計画は一つではなく、新入社員、中堅社員、リーダー候補など、それぞれの職務や役職によって変わります。内容はもちろん、実施方法もそれぞれのレベルに合わせて選ぶ必要があるでしょう。人材育成とは入社した時だけでなく、人も会社も成長を続けるために継続的に必要なものです。

まとめ

部下にはチャレンジする環境が必要です。そのためには、上司が部下の特性やスキルをしっかりと把握することが大前提。部下にコミュニケーションやチャレンジを望むだけではなく、上司自身も主体的にコミュニケーションを取ることが大切になります。部下を見守り、良質なコミュニケーションをとりつつ、部下の育成・成長のために業務を任せ、裁量を持たせていきます。

こうした行動を続けることで、部下は上司に対して強い信頼感を持ち、高いモチベーションを維持することが可能です。こうした取り組みによって、会社全体が、チャレンジできる職場環境になっていくでしょう。

中間管理職として会社に身を置いていると、どうしても部下のことまで気が回らず、自分のことしか考えられないという場面は少なくありません。しかし、よい上司とは、部下のことまで気を回し、成長させていく上司のことです。チーム全体を見据え、部下にできる限り気を回すように努力していきましょう。