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【対談】早期離職を防ぐ! 新入社員の『入社前』と『入社後』にやるべきこと

人材育成、新卒・中途採用、幹部層・マネージャー向け研修、パフォーマンス管理などのHR(Human Resource)領域のコンサルタントが2020年1月27日(月)に東京都恵比寿に集結。「人事の課題を解決し社員の生産性を高めるための会合『第5回 HRコンサルタント協会 定例会』(主催/株式会社アックスコンサルティング)」が開催されました。

『HRコンサルタント協会』は、今後3年以内(2022年まで)に「新入社員の採用数が少ない企業を中心に離職率を低下させる」ことを目標に活動を行っています。会社と従業員がWin-Winとなる関係を構築し、人材を従来の「採る」から「活かす」へ転換させるための課題立案と解決策を見出すため、今回もここ恵比寿に集結しました。

今回は、新入社員に対して、入社前に会社や人事部が事前に行っておくべきこと、そして入社後に行うべきことについて『HRコンサルタント協会』の方々と話し合いました。

第4回 HRコンサルタント協会 定例会』の記事はこちら
https://motifyhr.jp/blog/onboarding/interview_hr_consult/

【今回の参加者】
山本 紳也氏(HRファーブラ代表)
石坂 聡氏(Asian Caesars CEO)
安藤 健氏(株式会社人材研究所 人事支援事業部 プロジェクト推進チーム マネージャー)
ドレ・グスタボ氏(ドリー)(モティファイ株式会社 CEO)
広瀬 元義氏(株式会社アックスコンサルティング 代表取締役)
HR BLOG編集部

新入社員を迎えるにあたってやるべきこと

広瀬氏

最近、新入社員の早期離職が問題となっていますが、新入社員のために会社や人事部が行っておくべきはなんでしょう?皆さんのお考えを教えていただけますか?


ドリー氏

事前に行っておくべきことはオンボーディングの準備ですね。とにかく会社や人事部は、新入社員の緊張を和らげるためにできることを考えるのが大切だと思います。


広瀬氏

そうですよね。具体的にどのようなオンボーディングの準備をするとよいでしょうか?


ドリー氏

例えば、社員全員が新入社員の名前をフルネームで覚えておくとか。入社前に新入社員の出身大学、出身地、趣味など、プロフィールを頭の中に入れておけるとよいと思います。


広瀬氏

みんなが新入社員のプロフィールを見られる状況にしておくとなおよいですね。社員が新入社員の名前を間違えたり、何度も出身地を聞かれたりするのは「オフボーディング※」につながりますし…。

※オンボーディングの対義語。社員の定着を疎外する行為。

ドリー氏

残念ながらよくある話だと思います。だからこそ、社員が新入社員の名前や出身地、趣味を知っていれば、コミュニケーションのきっかけにもなります。新入社員の子も「歓迎されているんだ!」「興味を持ってくれているんだ!」という気持ちになって、エンゲージメントが高まると思います。


山本氏

新入社員の受け入れ態勢は大切ですよね。ちなみに昔は全社員のプロフィールがまとまった用紙をみんなに配布していましたよね?


広瀬氏

うちも配布していました。今はHRシステムを使っていつでもだれでも好きな時に見れるようにしています。


ドリー氏

さすがですね!HRシステムに新入社員の顔写真やプロフィールを事前に設定して、入社前に社員が確認できるとさらに効果的ですよね。


広瀬氏

本当に便利ですよね。HRシステムを導入するようになって、さらに強く実感しています。

▼【HRBLOG】オンボーディングにHRテックを活用しよう!メリットとサービスを紹介▼
https://motifyhr.jp/blog/onboarding/hr_tech/

新入社員の入社後にやるべきこと

広瀬氏

次に、新入社員の入社後に、企業や人事部がやるべきことについてお聞きしたいのですが、皆さんどうですか?


石坂氏

新入社員への対応を一番の優先順位にすることですね。


広瀬氏

具体的にはどういう対応ですか?


石坂氏

例えば、新入社員を迎える日に重要なクライアントミーティングがあって部門長がいない。仕事に追われて新入社員をほったらかしにして孤立させるということがあってはいけません。


広瀬氏

確かにそうですね。


石坂氏

新入社員への対応が整っておらず、結果、会話する機会もない…。社員とのコミュニケーションがなければ、新入社員の不平、不満は溜まっていく一方だと思います。


広瀬氏

入社日にチームみんなでランチに行ったり、受け入れのためのチームミーティングを行ったりするべきですね。新入社員の興味、関心や好きなものの話はもちろん、自分がこれから会社にどう貢献していくか?を本人の口から話させる。とにかく会話をすることです。


安藤氏

そうですね。そのために、まずは会う前に相手を知っておくことで、積極的にコミュニケーションを取れるようにしておくことが大切ですよね。選考時に使用した内定者の評価シートや適性検査シートは入社後でもいいのでなるべく早めに各部門長に共有しておき、目を通してもらうようにするのが大変効果的だと思います。


広瀬氏

部門長に共有することも大切ですが 、メンター含め、会社全体で新入社員を仲間として受け入れる体制が大切ですよね。ちなみにバディやメンター、ブラザー・シスターといろいろなサポートがあって、少し混乱しませんか?今うちではブラザー・シスター、バディ、上司とわかりやすく役割を3つに分けてみようかなと思っています。特に、同期や一つ上、二つ上の先輩をバディに設定するのは早期離職防止に有効と聞いています。

石坂氏

そうですね。役割がはっきりときまっていれば、誰が誰をサポートすれば良いかわかりますね。同期同士のつながりも新入社員にとっては大切なモチベーションアップのきっかけとなることが多いですよね。そういったサポート体制の準備はもちろん、会社によってはフォーマリティを伝えることが大切。朝礼とか、経営理念唱和とか、こういった「形式的なもの」を新入社員に伝えておくべきだと思います。


広瀬氏

企業文化や風習なんかを見つめ直すタイミングを決めておくとよいですよね。一般的には、10月の内定式から4月の入社式までの間に、内定者にある程度伝えておくのが一般的かと思いますが、伝えるタイミングが難しいと悩んでいる知り合いがいました。


安藤氏

具体的にどう悩んでいる感じですか?


広瀬氏

日々の業務で忙しく、伝えるタイミングを逃してしまったり、そもそも伝えるタイミングがわからないと悩んでいるそうです。


山本氏

なるほど、全員に合った一つのやり方を考えようとすると難しいのかもしれません。それより、新入社員一人ひとりの適切なタイミングを判断するようにすれば、それほど難しくないはずですよね。


広瀬氏

そうそう、一人ひとりに合わせればいいんですよね。ただ、その時間がないということもよく聞きます。


安藤氏

Realistic Job Preview(RJP※)を行っておくという方法もありますね。なるべく早い段階で職務内容や組織環境の実態を、良い面だけでなく、悪い面も含めたありのままの情報を伝えるというものです。

※Realistic Job Previewの略で和訳すると「現実的な仕事情報の事前開示」。採用活動の時に、企業が求職者に対して開示する情報のことをいう。

石坂氏

これは本来、選考時のプロセスで、アメリカでは主流となっています。日本の選考プロセスでは、あまり行われていないですよね。


広瀬氏

日本の中小企業だと、新卒採用の場合、採用することを優先して内定を出すまで、場合によっては入社するまで会社の良い面、悪い面を伝えないところも多そうですね。


安藤氏

RJPを行うことで、離職を考えるほど大きなギャップを感じる人はそもそも入社しないはずです。ギャップの対策という意味では、新入社員には事前にインターンシップやアルバイトを経験してもらうのも効果的ですね。働いているうちに会社のフォーマリティも少しずつ知れるのではないでしょうか。


広瀬氏

そして今の自分には何のスキルが足りないのか、何をしている時につらいのか、逆に何ができて、何が楽しいのかを知る良い機会にもなるでしょう。私たちもアメリカの選考プロセスを見習わなければなりませんね。

早期離職の原因…『暗黙のルール』はいつ、どこで教えるべき?

ドリー氏

新入社員に企業文化や風習を教えるタイミングや、そもそも形式ばって伝えるべきものか?という意味でも難しいものとしては、明文化されていない『暗黙のルール』が挙げられると思います。例えば社内での服装なんか…。新入社員だと本当にわからないと思います。


石坂氏

そうですよね。他にも、コミュニケーションのルールもそうですよね。例えば、上司の上司に直接連絡していいのか?とか。


広瀬氏

そういう暗黙のルールって、みんなどこで学ぶんでしょう?


ドリー氏

一回失敗したときにわかる。失敗から学ぶことがほとんどなのではないでしょうか?


山本氏

大抵、新入社員が上司を怖がってやらないから、暗黙のルールのままなのかもしれません。また次の世代の新入社員が入社したときに、暗黙のルールのせいでエンゲージメントが下がって離職、なんてことになりかねないのではないでしょうか。


石坂氏

そうそう。暗黙のルールが暗黙のルールであり続けるのは一貫性がないから。部署によって違ったりしますからね。そういった曖昧な社内規範のせいで、新入社員が離職を考える一因となってしまうと思います。


山本氏

ブラザー・シスターやバディに対しても、自分たちの役割の大切さを教え、彼ら自身が「後輩をサポートするんだ!」という気持ちになれるようにするべきですね。入社後のギャップや暗黙のルールを少しでも少なくするための準備が必要でしょう。教育する人たちにはオンボーディングの研修をするといいと思います。


広瀬氏

新入社員の受け入れ前後で行わなくてはならないことはたくさんありますよね。一つひとつ整理して役割やスケジュールをエクセルやシステムにまとめ、確実に実施していくべきですね。

まとめ

今回はHRコンサルタント協会の定例会の様子をお伝えしました。もうすぐ新入社員を迎える桜の季節。入社前・入社後にするべきことは多くありますが、大切なのは、新しい仲間を受け入れる体制を十分に整えておくことと、「歓迎している」ということをきちんと行動で示すことです。

また、HRコンサルタント協会の方々の言葉から見えてきた、新入社員に対してやってはいけない5つの落とし穴も、ここにご紹介いたします。

  • 入社前に内定の出た会社のインターンやアルバイトをしなかった
  • 入社日に上司や先輩が不在にしている時間が長く、放っておかれた
  • 話をする相手・気軽にコミュニケーションを取れる相手がいない
  • 名前を覚えてもらえていない
  • 入社前に聞いていたことと、業務内容や企業文化・風土に違いが多い

新しい人材を迎える際には経営陣、人事担当が、会社全体を巻き込み、
全社をあげて、歓迎して受け入れましょう!

▼入社式からの90日が鍵!新入社員が辞めないオンボーディングとは▼
https://motifyhr.jp/blog/onboarding/90days/