これまでにも何度か触れてきた「1on1ミーティング」。上司と部下が対面で定期的にコミュニケーションをとることは、上司部下間の問題だけに留まらず、会社にとっても重要なことです。
そのため、「通常業務で手一杯だから面談に時間を割く余裕がない」と上司が判断してしまうことは、会社にとってもマイナスです。この記事では、あらためて組織にとってのコミュニケーションの重要性を考えていきましょう。
目次
コミュニケーションは頻度が重要。1on1ミーティングの頻度とは
多くの会社で、何らかの面談自体は取り入れているでしょう。しかし、その多くは「業績面談」など、節目に確認のひとつとして行なわれるもの。半期・年度に1度しか行なわれないものなのではないでしょうか。
1on1ミーティングの目的は、部下との相互理解を深めるためのコミュニケーションです。コミュニケーションを深めるためには、頻度が大切。そのため、1on1ミーティングの理想の頻度は週に1回です。
業績面談などとは異なり、1on1ミーティングは、「部下のための時間」と定義づけられています。上司が部下に指示をしたりダメ出しをしたりする時間ではなく、部下が抱えている悩みを解決するための糸口をともに探ったり、克服すべき課題を見つける手助けをしたりする姿勢が大切です。
上司が主体的に話すのではなく、傾聴の姿勢を身につけましょう。1on1ミーティングは、人材育成を目的とした対話の場なのです。
長すぎ・短すぎはどちらもNG…1on1ミーティングに最適な時間とは
1回の1on1ミーティングに最適な時間は、30分程度です。しかし、これは企業によって異なり、なかには1時間程度設けているところもあります。適した時間は、上司や部下の性格や関係性によっても異なるでしょう。
ただし、1度の時間が長すぎるのは、以下のようなデメリットがあります。
- 話題が飛びすぎてまとまらなくなる
- 業務が滞ってしまう
1on1ミーティングは、ただコミュニケーションをとればいいものではありません。そのときどきの部下の悩みや課題について話すことが目的です。そのため、無闇やたらと時間を長くとってしまうと、雑談に走ってしまう時間が増え、結局何の話をしたのかわからない時間になってしまうおそれがあります。
また、1on1ミーティングは、毎週行なうことが基本です。業務時間を割いて行なうため、1回の時間が長ければ長いほど、業務に支障が出てしまうでしょう。
とはいえ、短すぎるのも考えものです。1on1ミーティングの目的は、上司と部下のコミュニケーションをとること。仕事の進捗確認など、表面的な話ではなく、部下が上司に今抱えている仕事上の悩みなどを話すことが目的です。
日頃から密なコミュニケーションがとれているのであればまだしも、チームの人数が多いなど、上司との関係性が希薄な場合は、1回にある程度の時間をしっかりかけることが必要です。短すぎると、差し障りのない話題で終わってしまい、何のために1on1ミーティングを行なっているのかわからなくなってしまうでしょう。
「部下のため」の時間が、巡り巡って上司・会社のためになる
何度も伝えてきたとおり、1on1ミーティングは会社や上司のための時間ではなく、あくまでも部下のために行なうものです。
これまでの日本企業では、飲みニケーションや社員旅行で部下との会話が自然となされてきました。会話を重ねるなかで、部下から悩みを引き出すこともできていたでしょう。しかし、こうした場が少なくなった現代では、コミュニケーション機会も減少し、関係が希薄化してしまっているのです。
1on1ミーティングは、そうした現代ならではの社内コミュニケーションの希薄化を止めるためにも必要なものです。部下が抱えている悩みや課題を部下本人と一緒に考えることで、部下の成長を促進できるでしょう。
部下のための時間でありながら、部下の成長は巡り巡って上司・会社のためにもなります。特に、フリーアドレスやリモートワークが増えていくこれからの時代にかけ、部下の育成をこれまでどおり行なうことは難しくなるでしょう。育成の基本は相互理解であり、相互理解のために必要なものはコミュニケーションです。
「ムダな時間だ」と切り捨てず、しっかり1on1ミーティングを行なう時間を確保することが大切なのではないでしょうか。
1on1ミーティングに時間を割くことも仕事のひとつ
1on1ミーティングは、ただの面談ではなく、コミュニケーションをとる仕組みであり、スキルを使う場です。部下とのコミュニケーションが仕事に影響を及ぼすとわかっている有名企業を中心に、どんどん浸透してきています。
部下とコミュニケーションをとり、部下の育成を後押しするのは上司の仕事です。「忙しいから時間が取れない」と言わずに、1on1ミーティングも時間を割くべき大切な仕事のひとつであると理解しましょう。