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エンゲージメント

親切!共有!改善!社員一人ひとりの幸せを満たす 税理士法人ネイチャー国際資産税の社内カルチャーと働き方

公開日:2019.8.27

    8年前に4畳半の一人事務所から始まり、今では国際資産税という分野で業界トップクラスの知名度を築いた税理士法人ネイチャー国際資産税。社員の幸せを常に考え、「3カ月ごとの9連休」や業務中に2時間まで外出できる「ちょこっと外出制度」など、独自の福利厚生を導入。社員一人ひとりの働き方を考えてきた結果、2018年度の退職率はなんと0%、社員数が60名になるまで成長しました。

    税理士は全国で6万強の有資格者がおり、3万弱の事務所数があります。その中で、社員数が25名以上の事務所はTOP500に入るのですが、同事務所は2019年には150位以内に入っております。

    今回は、社員が働きやすい環境・制度を整えるために数々の施策を行ってきた、税理士法人ネイチャー国際資産税 代表税理士 芦田敏之氏に、社員が働きやすい職場を作る秘訣について伺いました。

    社内コミュニケーションを活発にするには、周囲が親切に教えてあげる文化と雰囲気づくりが大切

    私が社員たちによく言っているのは、「仕事は相談しながら進めなさい」ということです。一人で考え過ぎないようにし、ジュニアコンサルタントもシニアコンサルタントも関係なく親切に教えてあげる文化ができています。先輩に相談しやすくするためのメンター制度などもありますが、制度として機能させなくても会社全体で相談しやすい雰囲気や快く教えてあげる文化が出来ています。そのおかげもあり、社内は年次や入社時期に関係なくコミュニケーションが非常に活発です。

    相談しながら業務を進めていると、業務のシェアにもつながります。複数名で案件のシェアができると、エース社員ばかりが疲弊することもありませんし、誰かが突発的に休んだとしても案件を進めることができます。お客様にとってもメリットがあるのです。また、「この業務はこの人しか分からない」といった状況がなくなり、業務を滞りなく進めることもできます。結果として、ゴールデンウィーク、夏休み、シルバーウィーク、冬休みの年4回まとまった休暇を取得できる「3カ月ごとの9連休」のように、各社員が好きな時に休むことができる職場になっていきます。連休が取りやすいので、みんな海外旅行に行ったり、帰省したりする頻度や期間が増え、社員のご家族も喜んでくれているようです。

    コミュニケーションを促進する施策として他に行っていることとしては、社員全員に会社支給の電話を渡しています。携帯電話の方が固定電話よりもやり取りのスピードが早いですし、ちょっと連絡して意見などが聞きたいときもすぐに聞くことができます。私は長いメールを打つのが面倒なので、すぐに電話で聞いちゃいます(笑)。他にも、チャットやSkypeなどのテクノロジーを駆使して、円滑にコミュニケーションが行えるような環境になっています。

    持っている知識やノウハウは一人で抱え込まず、社員全員で共有する

    弊社では、知識やノウハウを共有するための勉強会を頻繁に行っています。日ごろから「知識を抱え込むな」と言っています。今は時代の移り変わりが早いし、ネットで検索すれば誰もが情報にアクセスできるので、知識に対する価値が相対的に低くなっています。そういった状況もあるので、一人で知識やノウハウを抱え込むよりも社員全員で共有して、全体のスキルアップにつなげようという考えになっています。

    今まで行ったノウハウに関する勉強は、税制改正、ビジネス関係者へのセミナー、事業承継税制などさまざまです。参加できなかった人や繰り返し見たい人のために、自社で行った研修はすべて撮影しており、動画は社内データベースに保存しています。この方法は、好きなときに研修動画を見ることができ、コストもあまりかかりません。ですから、社員一人ひとりが得意なことを全体に向けて研修してもらい、ノウハウや知識を社内で共有することは他の企業や事務所にもオススメしたい方法ですね。

    新卒や中途の方の研修も実務がメインとなっています。研修は基本的に入社後に行っております。新卒には体系立てたプログラムがありますが、中途で入社する方の研修内容はその人のキャリアを聞いて、強み・弱みを探り、その人に合った研修プログラムを個別でつくっています。

    また、経営方針に関する研修を全体に向けて毎週月曜日の朝礼で行っています。社長が社員に対して直にメッセージを伝えることができるので、私個人としてはこれが一番効果的な研修だと思っています。例えば、プロ野球選手と草野球をやっている選手を例に出して、プロは数値目標を持って取り組んでいるが、草野球の選手は数値目標を持っていないため、楽しいだけで終わってしまうといった話や、カール・ロジャースの2:7:1の法則の話などをしました。また、最近の話ですが、会社からのメッセージを採用の時に伝えきれていない部分もあり、「あれもこれもしてほしい」といった甘えの雰囲気が出てきていると感じたので、改めて会社の理念を話したこともありました。私の考えを直に伝えることができ、社員の心構えを正すことにつながる貴重な機会となっています。

    一人ひとりの価値観に応じた幸せを叶えるために、日々改善を重ねています

    新しく福利厚生を導入する際にまず前提となるのは、福利厚生のコストをカバーできるだけの利益をあげることです。これがないと、経営に支障をきたしてしまいます。この前提をクリアした段階で次に考えるのは、社員がその制度を受け入れて楽しんでくれるか、そして業務効率が上がるかどうかです。

    例えば、妊娠した方を対象に、月の労働時間160時間とコアタイムを撤廃しました。この制度を導入したときに考えられることは、「独身の女性の方から批判が来るかもしれない」ということです。そういった際は、もらった意見を突っぱねるのではなく、「あなたも結婚して妊娠する可能性があるのだから、この制度はあったほうがいいんじゃない?」という理由や目的を明確にし、社員が自分の立場に置き換えて考えることができるように導いてあげることが重要です。ただ、制度を導入して、妊娠をしていない社員の業務の負担が過度になる場合は、マタニティの人が甘えすぎていることになり、「会社全体のためになっていない」ということになりますので、この制度は受け入れられないということになります。これらを基準にして、私は365日毎日改善や新たな福利厚生の導入を考えています。ですので、弊社は福利厚生に関する制度がバンバン変わります(笑)。

    制度が頻繁に変わっていく中で、良いものは残り、使われないものは消えるという感じになっています。今まで上手くいった制度には、先述した「3カ月ごとの9連休」と「ラグジュアリー制度」があります。「ラグジュアリー制度」とは、時計を買うと10%補助が出るというものです。ただし、2年以内に退職すると全額返金という条件があります。この制度を使って、みんな有名ブランドの高級時計を買っています。金額や回数に上限はないので、社員にはもっと使ってもらいたいですね。もともとこの制度は「自分の身だしなみを見直すための入り口」としてつくりました。高級な時計を身につけると、「高級な名刺入れや靴、香水などに変えてみようかな」というふうに、他の部分にも目が行きますよね。人を相手にする仕事なので、身だしなみを整える重要性を理解し、大切にしてほしいと思っています。

    反対に失敗した制度には、「20%ルール」「シエスタ制度」「カレー制度」「フルーツ制度」などたくさんあります(笑)。「20%ルール」とは、業務時間の20%を自分がやっている業務以外の業務にチャレンジできるという制度ですが、浸透しませんでした。「シエスタ制度」も「業務時間中に昼寝ができる」という制度なのですが、「20%ルール」と同様に使われませんでした。「カレー制度」「フルーツ制度」は、食品の賞味期限が切れ、食べてほしい人に食べてもらえず、コストばかりがかさむので廃止しました。

    しかし、福利厚生に関しては、失敗するとしても、自分が「良さそう」と思うものを積極的に制度として取り入れて、少しずつ日々改善していくのが一番良いと思います。導入するときには、社員からさまざまな意見が出てくると思いますが、勇気をもって実行することが大切です。1つの制度で社員全員の幸せを満たすことは出来ないと考えているので、これからも新しい制度にどんどん挑戦し、一人ひとりの価値観に合った働き方を提供していきたいです。

    私は仕事柄、資産家やエグゼクティブの方とお会いすることが多いのですが、そういった方たちと接していく中で、「人の幸せはお金の多寡とリンクしない」という考えを持つようになりました。ですので、私個人としては所有欲や物欲もありません。それよりも周りの人をできるだけ助けて、幸せにしてあげたいという気持ちの方が強いです。これからは社員がより幸せを感じるような事務所に育てていきたいです。

    まとめ

    社員の幸せを第一に考えて、職場環境や福利厚生を整えてきた税理士法人ネイチャー国際資産税の芦田敏之氏。社員同士が活発にコミュニケーションを取り、全員で相談しやすい雰囲気をつくり、積極的に知識やノウハウを共有するなど、芦田氏だけでなく、社員全員で働きやすい職場をつくり上げてきたことが分かりました。大きな改善を一度行って満足するのではなく、日々の小さな改善が事務所をより良くしていく秘訣でもありました。今回ご紹介した社内コミュニケーションや情報共有のコツなどを実践し、社員がより幸せを感じる職場をつくっていってはどうでしょうか。

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    この記事を書いた人

    HR BLOG編集部

    このブログでは、「経営者と役員とともに社会を『HAPPY』にする」 をテーマに、HR領域の情報を発信しています。

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