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エンゲージメント

Vol.3 褒めることから始めよう『広瀬元義のエンゲージメントカンパニー』

公開日:2021.9.21

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何をもらえるかではなく、何を与えられるか

ギブ&テイク。よく聞くフレーズですよね。「人から何かをしてもらったら、ちゃんとその人にお返しをする、貸し借りのないか関わり方のこと」である。このように理解している人が多いようですが、それは少し違います。ここでお伝えするギブ&テイクは、ビジネスを円滑に進めるための概念と思ってください。

ギブ&テイクは、その並び順どおり、まずは自らがギブをすることが大切です。しかし、職場においては、そもそも考え方の前提としてギブ&テイクのギブから始めるという意識が薄いのように思えます。とくに従業員は、会社から何かがもらえると思いがちですが、これは勘違いです。まず、会社に何かを与えなくては、何かを受け取ることはできないのです。

例え話をしましょう。みなさんが野球チームに入ったとします。きっと張り切って、エース・ピッチャーや4番バッターになりたいと思うはずです。そのために、努力を惜しまないでしょう。つまり、何かを得ることの前に自分がその中で何を与えられるかという考えが最初に必要なのです。会社の組織やビジネスも同様で、お客様から心地よい反応を得ようと考えるならば、お客様が心地よいと思う材料を、自分から先に発信しなくてはなりません。

褒めることで、従業員も組織も豊かになる

会社において、いちばん簡単なギブは言葉を贈ることです。さらに“褒める”ことがギブにつながります。褒めること、当たり前のことですよね?こんな簡単なことで、会社の創造性は豊かになるのです。ぜひ、今日から実践してみてください。

しかし、会社組織の中において、日本人は褒めることも褒められることも苦手です。褒めることが何か悪いことと勘違いすらしている人もいるほどです。また、褒めることで相手(特に部下)が図にのってしまうと思う人もいるでしょう。

結論からいうと、そんな心配は不要です。部下は褒めてることで仕事が進むのですから、最大限に褒めてあげればいいのです。

昔から「褒めて伸ばす」という概念があるくらいです。もしあなたが、今まであまり部下を褒めていないなら、褒められたことで、これまではとは異なるパフォーマンスを発揮できるかもしれませんし、本人も気づかなかったポテンシャルを引き出すことができるかもしれません。ひどく注意されて落ち込んだり、委縮して行動ができなくなったりなるより、のびのびと仕事をして成果を出してくれた方が、会社に取って何倍もプラスになるはずです。

事実、1925年にアメリカの心理学者エリザベス・ハーロック博士が行なった実験によると、「叱る」よりも「褒める」方が人の能力を引き出すことがわかっています。
この実験では、グループ分けした子どもたちに5日間、計算テストをさせます。できていた部分を褒めた子どもたちは5日間連続で成績がアップし、できていない部分を叱った子どもたちは最初の2日こそは成績がアップしましたが、その後は低下してしまったそうです。

また、褒めもせず叱りもせず放任した子どもたちには大きな変化がありませんでした。褒められた子どもたちはうれしくて勉強をがんばったのだと想定できます。
対して、叱られた子どもたちは、最初の2日感に悔しさで勉強をがんばって成績を上げたにも関わらず、それを褒められることなくダメな部分だけを指摘されたことで、モチベーションが下がり、結果として成績も下がってしまったことでしょう。放任された子どもたちは特に努力もせず、現状のままということですね。この実験から「褒める」と「叱る」では、「褒める」方が人の意欲や能力をより引き出すことができるとわかります。

謙遜せず、素直に受け取る

あなたは褒められたとき、「いやいや、とんでもないです。恐縮です」と謙遜した覚えはありませんか?日本では、美徳とされるこの「否定」は、世界では通用しません。外国人、とくに欧米の人たちは褒められたら、「ありがとう。私もそう思う」と素直に受け取り、自分を肯定します。褒められたら、素直に受け取りましょう。社内でもこのような関係をつくることがコミュニケーションの潤滑油となります。

褒められた経験が少なければ、褒め方もわからないものです。銀座にある、政治家や芸能人を多く常連に持つクラブのママいわく、「褒めるのに躊躇はいらないの。簡単なのよ、みなさんが目にした物をなんでも褒めればいいのです。“メガネのフレームの色が素敵ですね”“素敵な色のネクタイをしていますね”“おしゃれなペンを使っていますね”と、なんでもいいんですよ」と。分かりやすいし、すぐ実行できますよね。最初はよいところを見つけようと緊張して、わざとらしくなってしまうこともあるかもしれません。しかし、すぐに慣れ、褒めることも褒められることも楽しくなるはずです。

最後に、ギブ&テイクに話を戻しますが、「もしかして見返りを求められているかな」というような考え方はやめましょう。相手に何かを与えることで、自分も幸せになれるものなのです。与えることにフォーカスするだけで、今まで以上に良好なコミュニケーションが取れるはずです。さらに、会社におけるギブに関して言えば、難しく考える必要はありません。「褒める」言葉だけでも十分なのです。

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この記事を書いた人

広瀬 元義(ひろせ・もとよし)

株式会社アックスコンサルティング 代表取締役

1988年「株式会社アックスコンサルティング」を設立。会計事務所向けコンサルティング、一般企業の経営支援、不動産コンサルティングを中心にさまざまな事業を展開。
会計事務所マーケティングの第一人者。米国会計事務所マーケティング協会の正式メンバー。 米国HR tech事業に詳しく、ブーマーコンサルティングタレントサークル正式メンバー。
HR関連のセミナーで多数講演。著書は45冊以上、累計発行部数は48万部を超える。

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