オンボーディング Onboarding 「新卒社員」や「中途社員」が辞めない仕組みづくり
『オンボーディング』とは、新入社員をスムーズに社内に溶け込ませ、パフォーマンスを上げさせるための一連の仕組みづくりを言います。この冊子ではHR先進国であるアメリカ企業の事例も踏まえ、人材育成のための最新のメソッドを解説。
オンボーディングの具体的な取り組み方をご紹介しています。
リクルーティング
公開日:2018.10.25
企業によって、アルムナイ(退職者)が貴重な人材リソースとして注目されることをご存知でしょうか?そのネットワーク作りにも関心が高まっています。近頃耳にする機会が増えてきた「アルムナイネットワーク」について、現状や利点について探ってみましょう。
終身雇用が崩れる中で、働き手にとって転職やキャリアプランニングは当たり前のものとなりました。
しかしながら、転職に失敗するケースも多く「以前の職場に戻りたい」と考える人も少なくありません。
一方企業側も、人材の流動化が進む近年は優秀な人材の採用に苦慮しており、かつての従業員が即戦力としてカムバックすることを歓迎するケースが増えています。
これまで国内では、一度会社を辞めると「裏切り者」のような扱いを受けることもありました。しかし、企業側がアルムナイ(退職者)を貴重な人材リソースとして注目し始めたことで、状況はだいぶ変わってきたのです。
アルムナイの再雇用にあたっては、働き手側が申し出るケースと、企業側が呼び掛けるケースがあります。いずれの場合でも、退社後に何らかの形でつながりが維持され、折に触れて連絡が取れるような状況であることが大切です。
そうした状況を背景に、各社が展開するアルムナイネットワークに注目が集まっています。
多くのアルムナイネットワークは、会員限定のプラットフォーム上で展開されています。他に、退職者が集まるイベントに重きを置き、リアルな交流に力を入れている企業もあります。その場には、企業のトップや役員、現役社員も顔を出し、情報交換が繰り広げられます。企業ごとにその特色は異なり、ネットワークの形にこれと言った決まりごとや定義はありません。しかしながら、アルムナイネットワークの存在によって、企業と退職者が良好なリレーションシップを保っていることは確かです。
アルムナイネットワークは、その存在が企業への再雇用のきっかけとなるだけでなくネットワーク上に集まる人たちの、情報交換の場としても機能しています。つまり人脈を結ぶ場としての機能を持つことになるのです。退職して独立した人や、転職先で重要ポストに就いた人たちが、ネットワーク上でビジネスパートナーとなるケースや、勤めていた企業が商談相手となるケースもあるようです。
企業とアルムナイが良好な関係であれば、外部目線での自社への評判を聞くこともできます。
新製品のPRや、情報の拡散を依頼してマーケティングに活用することも可能です。アルムナイからの紹介によって、ビジネスパートナーとなりうる企業や人物、転職を考えている優秀な人材とのつながりが生まれることもあります。元々従業員だった人物は、社内の事情にも詳しいため、単なる取引先や、見ず知らずの採用希望者とは、ひと味もふた味も違った人物を紹介してくれるでしょう。
その一方で、かつて身内だったからといって、お互いに漏らせない情報があるのも当然のことです。アルムナイネットワーク上では、それぞれに設定された運用上のルールや、常識の範囲内での言動が求められます。
退職者がアルムナイネットワークに参加するには、円満退職が前提となります。退職時にもめごとがあると、退職者から好ましくない噂が流れ、世間での企業イメージがダウンする恐れがあります。そうしたリスクを避けるためにも、退職希望者が「円満退職して、あのネットワークに参加したい」と思えるようにしておくことも、アルムナイネットワークを運用する意義だと言えるでしょう。
日本ではまだ珍しいアルムナイネットワークですが、海外では比較的以前から運用されていました。アルムナイのイメージが「退職者=裏切り者」ではなく、「退職者=即戦力、外部協力者」という考え方に代わっていけば、その重要度はさらに高まっていくでしょう。そのためには、企業が今よりも積極的にアルムナイを採用し、活躍の場を設けていくことが待たれます。
現存するアルムナイネットワークは、会社側が運営するものと、アルムナイによって運営されるものの2種類に大別されます。前者において、企業は自社の最新情報や、アルムナイ向けのサービス情報、ビジネスアイデアの共有などがなされています。
一方後者においては、卒業者同士の仕事やプライベートの充実を主目的とした情報交換がメインとなっています。企業側は出しゃばらないのが暗黙のルールのようです。特定の構造やルールも多様で、まだ世間にあまり知られていないからこそ、早いうちにアルムナイネットワークを構築する価値があります。周囲を出し抜いて、人材確保競争に勝つための状況を作り出せるとも考えられます。
ネットワークが構築され、アルムナイと良好な関係を築けているということは、会社のイメージ向上につながります。連動して、採用ブランディングにも好影響があり、商品やサービスのイメージ向上にもつながることでしょう。
このようにアルムナイネットワークの構築には、単なる退職者の再雇用とどまらない様々なメリットがあります。まずは成果を出した退職者との円満な関係作りを意識してみてはいかがでしょうか。
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