オンボーディング Onboarding 「新卒社員」や「中途社員」が辞めない仕組みづくり
『オンボーディング』とは、新入社員をスムーズに社内に溶け込ませ、パフォーマンスを上げさせるための一連の仕組みづくりを言います。この冊子ではHR先進国であるアメリカ企業の事例も踏まえ、人材育成のための最新のメソッドを解説。
オンボーディングの具体的な取り組み方をご紹介しています。
HRの基本
公開日:2019.2.22
HRM は、Human Resource Managementの略称で、一般的に人的資源管理、人材の管理(マネジメント)という意味です。人的資源管理という考えが広まるにつれ、人は「コスト」から「経営における大切な資源」と変化してきています。では効果的な、「人事的資源管理」や「人材の管理」とはどういう事でしょうか。個人の成長はもちろん、チーム全体が成長するようなモデルをどうすれば作れるのか、人材マネジメントの視点から考えていきましょう。
目次
現代社会において、人材管理は企業が成長するうえで欠かすことのできない要素となっています。企業の業績向上や安定した経営のためには、労働力である「人」を正しく管理する必要があります。なぜなら、その会社が抱える人材こそが会社の能力、技術力、であり体力そのものであるといえるからです。本人の能力やスキル、目標、評価結果を把握し、あらゆる情報を一元化して見える化することで、会社が持つ”能力”を効率的に把握することができます。経営者や人事部などの、マネジメント層で従業員の個性を共有・把握していれば、従業員定着の促進につながり、離職率の低下や社内コミュニケーション活性化を実現できます。
人事部の重要な役割の一つに、どのプロジェクトにどのようなスキルや経験・人間性を持った人材を割り当てるかということがあげられます。事業戦略に沿った適材適所がなされているかどうかは、厳しい競争環境の中で組織が生き残っていく上で、大変重要な鍵となります。
人的資源の配分、再配分にはさまざまな考え方があり、ひとつの人員配置方法にこだわるのではなく性質の異なるいくつかの人員配置手法を組み合わせることで、事業計画の達成や人材育成の成果に大きな影響を与えるでしょう。
アメリカの国防総省(ペンタゴン)で行われた「最適組織編成プロジェクト」の研究、及び実証データをもとにつくられた理論によると、会社全体で中長期的に強みを発揮していくためには「異質型の人材を揃え、それぞれの特徴を最大限発揮する仕事を割り振るのが良い」という結果になりました。
会社を運営していく上で、大きく分けて5つの人材配置方法がありますが、ここでは、それらの効果的な方法について見ていきましょう。
採用とは、新しい人材を会社内に配置することです。どれだけ優秀な人材を採用するかが重要です。例えば、新卒の採用で会社の将来を担う従業員を採用したり、中途採用で経験豊富な即戦力を組織に追加配置したりすることで、既存の組織に新鮮な風を送り込むなどの効果が期待できます。
昇進とは、社内での職位を上げて従業員のモチベーションを高めていく方法です。
1人の従業員の職位を上げれば、元の職位の人員が1名減ることになります。この場合、欠員となるので新たな人員配置のポジションが生まれます。昇進は従業員のモチベーションのアップに繋がると同時に、組織の硬直化防止にも効果的な人員配置です。
雇用形態の変更も、人員配置のひとつです。昨今では終身雇用の時代は終わり、正社員以外のパートやアルバイト、契約社員、派遣社員といった多様な雇用形態が混在する時代となりました。雇用形態の変更に応じて業務範囲や裁量、給料が大きく変わることで、従業員のモチベーションアップにも繋がります。
リストラ・雇い止めは、ネガティブな方向で行う人員配置です。会社の業績悪化や事業縮小に伴い、人員が余ったり、雇用の継続が難しくなったりした場合は、やむをえずリストラや有期雇用者の雇い止めが必要になることもあります。
人材を適材適所にアサインすることに加えて、個人的成長ももちろん必要不可欠です。多くの新人・若手従業員は「自信喪失」「職場との信頼関係」「仕事の意味・価値」「自力でやり切る」といった4つの壁にぶつかります。これらの壁に直面した結果、やる気や積極性が逓減したり、乗り越えられずに成長が滞るケースもあります。この様な個人的成長の壁により社員の成長育成に難しさを感じたか、あるいは困難を克服してきた経験の不足が原因かもしれません。簡単なことから段階的に“困難”を与え、困難を克服することで困難に向き合うスタンスを意図的にマネジメントしていくことが必要です。ポイントは、大きく3つあります。
多くの新人・若手従業員は、周囲にどう見られるかといった不安が強まり、消極的な行動になってしまいがちですが、同時に高い貢献意欲や成長意欲を持っています。そこで、失敗かどうかが重要ではなく、そこから学ぶことが最も重要であることも会社の社風として浸透させ、思い切った行動を引き出せる仕組み作りが必要です。
「周囲にどう見られるか」といった不安は、本人の思い込みであることが多いものです。相手の立場に立ってもらう、相手の期待をヒアリングする場をもつ、360°診断を活用するなどの方法で自分の基準を客観視できる機会を作り、自分の思い込みが成長を阻害しているかもしれない、と見方を広げるのが効果的です。
具体的な成果が出ない状況で行動し続けるために、例え小さなことであっても「できるようになったこと」に目を向けるのも重要です。滞っているように見えていても、現在挑戦していることは無駄ではなく確実に前に進んでいる実感を持つようにしましょう。
チームとして成長するには、個人の成長に加えてチームが成長する仕組み作りが必要になります。
成功しやすいチームの傾向を掴んで発表しているGoogleによると、「成功しやすいチームとは、構成するメンバー1人1人の能力よりも、強い信頼関係で結ばれていることが重要である」そうです。トップレベルの人材でチームを編成したところで、良いチームになるとは限りません。リスクを共に背負い、間違いを指摘したり、質問をしたり、新しいアイデアを出すことができれば、成功につながり、チームとして成長していきます。個人が仕事のリスクに対して恐れない、強い信頼関係で結ばれている環境づくりが必要です。
人は保守的、積極的など、性格も違えば仕事のしかたも違います。現在のチームのメンバーにどのようなタイプがいるかを考慮した適切な人材配置・管理人事が、企業の成長には必要不可欠です。
お伝えしてきましたとおり、会社にどのような人材がいるかの見える化、そして各チームにどのような人材を配置するべきかの明確化、 また、どのような人材に育て上げるかという個人の成長、チームとしての成長が、会社の成功へと繋がります。
最近ではそれらを簡単に行う事のできるツール・サービスも非常に増えてきました。 紙での管理と比べても管理を簡略化できます。効率的に人材を管理・育成していくためにも、効率的な管理手法を選択されてはいかがでしょうか。
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