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エンゲージメント

『早起き手当』『チャムチャムランチ』 ユニークな取り組みで活性化する社内コミュニケーション

公開日:2019.3.20

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オウンドメディア事業、マーケティング・コンサルティング事業をはじめ、通販事業と男性妊活支援のための情報発信や新規事業である人材派遣事業など多岐に渡る事業を展開しているパスクリエイト株式会社(東京都新宿区)。始業時間より早く会社に来ると手当てが支給される『早起き手当』や、勤務時間帯を調整できる『時差出勤制度』など、数々のユニーク福利厚生、社内規定を採用しています。さらにNHKなど各種メディアから取材されることもあるそうです。
同社の制度はどのような背景、目的から生まれ、実際にどのような効果があるのでしょうか。今回は人事・経理・広報をはじめバックオフィス全般を統括されている田尾望氏(事業統括本部 経営管理グループ シニアチーフ)にお話をお伺いしました。


目次

イベントに力を入れ始めてから、より活発になった社内コミュニケーション

2008年に設立した同社では、設立当時からさまざまな制度を取り入れてきました。2年前からより社員の満足度を高め、会社の向上のために定着率を上げていこう、とさらに新たなイベントを始めました。その中の一つである『チャムチャムランチ』は、社員にも好評で、みな楽しみにしているそうです。

月曜日が楽しくなる『チャムチャムランチ』とは?

田尾氏:
『チャムチャムランチ』とは毎週月曜日に、ランダムで選ばれた3~4人でランチに行く制度です。ランチにかかる費用は1回につき1人1,000円を上限として、会社が負担しています。ランチ中の写真を撮ることと盛り上がったトピックを共有することが条件です。話題は仕事のことに限らず、プライベートなことでも何でもOKです。最近では、お子さんのいる方が参加した時に、子育ての話題で盛り上がりました!2回に1回は代表が参加しているのでトップと話せる貴重な機会でもあります。

以前からランチを食べながら打ち合わせする制度がありましたが、それ以外だと毎回決まった人と決まった時間にランチをする状況が続いていました。もちろん同じ人とランチを楽しむのもひとつですが、せっかくのランチの時間をいつもと違う人と楽しむことができれば、新しいコミュニケーションやいいアイデアにつながるのではないかと思い、始めたのがきっかけです。

「チャム」には「仲良し」という意味があります。事業部や仕事内容に関係なく、ランチに行く人が被ることのないように人選しています。

社員全員が2~3ヵ月に1回は『チャムチャムランチ』に参加することになるので、社内のいろいろな人と話すことになります。結果、社内の全員と話せるようになるので、いわゆる「部門の垣根」のようなものはないですね。

他にも食事などのイベントはありますか?

田尾氏:
他に最近始めたイベントとして、全社員月に1回、ランチタイムを使って実施している『ワークデイパーティー』というものがあります。ハロウィンの時にはみんなで仮装したり、新宿御苑が近いので春はそこでお花見したり、いろいろ楽しめる企画をしています。夏はテラスに出て、みんなで流しそうめんをやりました。

パスクリエイトでは全員でのコミュニケーションの場として、毎月1回業務後に「締会(しめかい)」という飲み会を開催しているのですが、小さいお子さんがいる社員が参加しにくいので、お昼なら全員で参加できるということで、「締会」とは別で始めたのが『ワークデイパーティー』です。ランチタイムを有効に使えるのと、季節のイベントを楽しめるため、社員からも好評です。

今まで以上にイベントを開催するようになってから、社内に変化はありましたか?

田尾氏:
イベントをきっかけに、他部門の人同士で会話をするようになり、回数を増やすごとにどんどん社内のコミュニケーションが活発になっていきました。周囲の人と話しやすいと仕事の進行もスムーズになるので、結果的に生産性も向上していると思います。

ユニークな制度は社員の居心地の良さのため
~働きやすい環境を整えることが大事~

同社が以前から採用している制度で、社員の利用率が高いのが『シエスタ(お昼寝制度)』。お昼休み時間とは別に15~30分程度、お昼寝する時間がとれるというもの。そのまま机に突っ伏して寝る人もいれば、アイマスク、卓上枕など睡眠グッズを活用して休む人もいるそう。

『シエスタ』の社員満足度はいかがですか?

田尾氏:
すごく満足してくれています!みんな有効活用していますね。居眠りしてしまうくらいだったらいっそのこと、しっかり寝てしまってスッキリした状態になって仕事をした方が生産性も上がりますし、効率もよいので。社員の半分以上の人が活用しています。

毎日お昼寝する…というよりは、本当に眠くて仕方がない時などに使う人が多いですね。数字の入力などやっていると、目がショボショボして疲れてきた時とか…。やっぱりこの『シエスタ』があるとないとでは、社員の満足度や生産性は全然違うと思います。

他にも、ユニークな制度はありますか?

田尾氏:
早く出勤するとその分手当てがもらえる『早起き手当』も利用者が多い制度の一つです。本来、業務開始時間が9:00のところ、1時間早く出社したら500円、2時間早いと1,000円支給されるというもので、昔からあるこの制度は、ラジオや夕方のニュース番組などでもご紹介いただきました。

「働き方改革」による影響もあるのか、この『早起き手当』制度についての取材は今もたまにあります。働く時間が決まっている時短の方やパートの方は対象外なのですが、対象者のうち9割がこの制度を活用しています。そのうち、ほぼ毎日使っている人が半分弱くらいですね。2年前から『早起きランキング』というのを出していて、誰がどれくらい手当てをもらったか発表しています。昨年1位だった人がもらった早起き手当の合計金額は年間で197,000円でした。

『早起き手当』は、どんな方がどのような理由で活用していますか?

田尾氏:
朝の方が集中できる、と時間を効率的に使用したい社員が積極的に活用してくれています。
生産性の高い朝の時間を有効活用してもらおう、朝活を応援しよう!という理由で始めました。

『早起き手当』は、自分の勉強だったり、今日一日の予定を立てたり、自分の考えを整理したり、という時間にあてることも可能です。もちろん仕事をしてもかまいません。特に朝型の人には、仕事に集中できて効率的だし、さらに手当ももらえるので、喜んでもらっています。

「働き方改革」といえば子育て世代がフォーカスされることが多いですが、『早起き手当』とは別に彼ら向けの制度は何かありますか?

田尾氏:
『時差出勤制度』という制度がありまして、早く出勤したらその分早く退勤できる、というもので事前申請で利用できます。お子さんの保育園の送り迎えなどで活用している方が多いです。終わりの時間が見えているので、みなさん帰る時間までに仕事を終わらせようと、効率的に取り組むようになります。『早起き手当』と『時差出勤制度』は同日に併用ができません。

さまざまなイベントや取り組みを成功させているパスクリエイト様ですが、失敗した制度などはありますか?

田尾氏:
昔、「ずる休み」できるという制度がありました。日によってどうしても調子が乗らない時など、「ずる休み」という遊び心のある言葉を使って、一旦リセットしましょう、という考えで、当日に休暇申請して休んでもOKというものでした。

しかし、誰も取る人がいませんでして…。もともとお互いに協力し合っているので、仕事上に影響がなければ、連続した有給休暇もとりやすい状況になっていますし、「ずる休み」だと結局誰かに迷惑がかかるので、有給休暇として計画的に取得して、周囲に迷惑をかけないようにして心置きなく休みたい、という方がほとんどなので利用されることがありませんでした。

お話をお伺いすると、たくさんのイベントや制度を企画、運営されていますが、なぜここまで多くの取り組みを行おうと考えられたのですか?

田尾氏:
今後、新規事業にも力を入れていく予定で、さらに多くの方々を採用していくことになりますし、そんな中で多種多様な働き方が求められてくると思います。私たちの会社を「いい」と思って入ってきてくれた人たちのために、会社として応えられるよう、より働きやすい環境を提供したい、という考えからさまざまな制度や仕組みを取り入れています。
会社全体を俯瞰して、個人に寄りすぎず、会社都合で押しつけず、全員でコミュニケーションをとりながら誰もが気持ちよく働ける環境を常に意識しながら、会社としての永続性が増していくような制度のあり方についてこれからも考えていきたいと思います。

積極的なコミュニケーションで、全社で一体感を出して物事に取り組む社風

パスクリエイトの社員は現時点では全員中途採用、ほとんど異業種からの未経験の方が多いそうです。これまで異なる環境、社風、文化、職種でキャリアを積んできたメンバーが、新たな挑戦の場として同社に応募してきているとのこと。

全員中途採用だからこその、バラエティ豊かな年齢、経験を持つメンバーが集まったパスクリエイトでは、同じくバラエティに富んださまざまな施策により、全社的に「みんなで何かやる」という社風が醸成されてきたようです。

社員のお誕生日を全社員でお祝いしているとのことですが、どのようにお祝いされているのですか?

田尾氏:
パスクリエイトでは毎朝行っている『朝会』の時に、社員の誕生日を発表します。誕生日の二週間前に「プレゼント選定者」を決めて、選定者たちにプレゼントを選んでもらいます。そして誕生日当日にサプライズプレゼントを贈っています。これは、事前にプレゼントを準備することで相手のことを考え、お互いの理解を深める、という目的で昔から行っています。

最近、部活動も始まったそうですが、どんな活動がありますか?

田尾氏:
今も続いているのが「御苑ラン部」で、毎週木曜日の業務後に、会社近くにある新宿御苑の周りを走っています。形式的なものではなくて、有志が3~6人くらいで集まって、その時にやりたい人がやる、というゆるやかな感じのものです。みんなでやると楽しいですし、続けられますよね。

全社員が中途入社とのことでしたが、入社前と入社後のギャップをなくすために取り組んでいることはありますか?

田尾氏:
面接の段階で社内の状況やどんな人が働いているかなどをありのままにお話ししています。
入社時には入社オリエンテーションと5つある事業部とのオリエンテーションを行っています。単純に業務の説明だけでなく、それぞれの自己紹介の場も兼ねており、他部署の方も含めお互いを理解し合うことで、スムーズに業務に入っていけるようにするためです。

また最近始めた「リファラル採用」では、事前に「パスクリエイトでなにを実現したいか、どんなことをやりたいのか」について、求職者からしっかりと思いを伝えてもらい、一番やる気が高まった状態で入社してもらうことで、成果が出やすくなるように工夫しています。

もし新入社員の方が仕事やこれから先のことで悩んでいることが分かったら、担当上司から経験豊富なリーダー陣に共有し、お互いにアドバイスをし合いながら新入社員が意欲をもって働きやすくなるように共に考え、対策します。

まとめ

単純に「社員の仲が良い」というだけではない、パスクリエイトの全社的なチームワークの良さは、積極的な社外研修の参加のしやすさや、まとまった有給休暇のとりやすさにもつながっています。

イベントを通じて、相互理解を深めることで、お互いを思いやり、協力し合える社風を築け上げたパスクリエイト。同社のさまざまなユニークな取り組みは、徹底した社員満足度の追求、社員が気持ちよく働けることを最優先に考えられたものです。こうした取り組みの積み重ねが、退職率の低下や生産性向上などの成果として表れているのでしょう。

「いろいろな施策をやってみたものの、いまいち成果につながらない…」という場合は、一度、その施策の目的や背景がどこにあるのか、振り返ってみるとよいかもしれません。

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この記事を書いた人

HR BLOG編集部

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