オンボーディング Onboarding 「新卒社員」や「中途社員」が辞めない仕組みづくり
『オンボーディング』とは、新入社員をスムーズに社内に溶け込ませ、パフォーマンスを上げさせるための一連の仕組みづくりを言います。この冊子ではHR先進国であるアメリカ企業の事例も踏まえ、人材育成のための最新のメソッドを解説。
オンボーディングの具体的な取り組み方をご紹介しています。
HR駆け込み寺
公開日:2019.9.5
目次
断言します。昔ながらの内定式やイベントでは、今の若い世代の人を巻き込むことは絶対できないですね。
そもそも考えてみてください。今の若い世代の人たちはスマホで育っていて、瞬時にテキストを送り合う習慣でいるのに、年配の偉い方々が式典などで「先輩社員の背中を見て育って~」というような長々とした訓示を述べたところで、彼らの心に響くはずがありません。
今の時代、企業は終身雇用を社員に約束できない状態です。このような時代で社員のモチベーション、エンゲージメントを向上させるためには、会社が社員に何を提供できるのかしっかり考えることが必要です。
そのために、社員が同じ方向を向いて業務に取り組めるようにする「オンボーディング」が必要となってくるのです。先行きが見えない今の時代だからこそ、これからのビジネス社会は老若男女問わず、「自分は何で貢献できるのか」ということを自分で考えなければなりません。自分の居場所を自分で作る、ということを探りながらやっていく必要があるのです。企業はそのような社員に向けて、安心して働ける環境を提供することが最重要課題となってきます。
社員が一番不安になるのは、わけもわからずがむしゃらに遅くまでただ働き続ける、という状態です。具体的な指示がなく、ただ言われたことだけを夜遅くまでやって、わけのわからない飲み会に付き合わされて…ということを繰り返していたら、メンタルを病むか退職するかのいずれかです。社員は「社畜」ではありません。
そうならないようにするためにも、しっかりとした「企業文化」を築くことが大切です。社員が自主性を持って働けて、チームとしての目標がしっかり定まっている、いわゆる企業と個人の「Why」と「What」のベクトルが合った状態にしていくこと。個性を活かし、リーダーシップを発揮できる、個々の能力を向上させられる労働環境を提供できる会社であること。そうすれば社員一人ひとりが強みをもって会社に貢献してくれて、結果につながり、企業と個人がWin-Winの関係となります。
このようなお話をしたときに、合わせてよくいただくのが「発言力がある人でないとなかなか意見が言えない」「入社間もない人が意見しても聞いてもらえない」「意見すると『うちの会社に合わない』と判断されてしまう」という相談です。これはまず、入社したての人が意見を言えない空気を会社が出してしまっている、という状態がそもそもよくないです。
行動様式を含めいろいろなことが目まぐるしくし変化していく中で、会社も変化していかなければなりません。若い人たちに入社してもらって若い顧客に向けたサービスを開発していこう、というのに若手の意見を聞かない。それでは何のために若い人を入社させたのか、ということになりますよね。入社して間もない社員や若手が「まだまだ私は若いので…」と遠慮して意見が言えなくなっているのであれば、リーダーか、もしくは間に入っている中間管理職がそういう企業文化にしてしまった、ということです。TPOがあるにしても若手の意見を吸い上げる仕組みを用意すべきです。そのために必要なのが「タッチベース(意思確認のための話し合い)」です。
この「タッチベース」がないと、部下が何をどう考えていのるか知る機会がないので、久しぶりに話したと思ったら「辞めます」と言われ、ビックリ退職になりかねません。だからこそ、常日頃から「タッチベース」を意識しておくのが重要なのです。
社員のことを考えるのであれば、イベントなどで心を掴もうとするのでなく、会社としてどのような「企業文化」にしていきたいのか、ちゃんと社員の意見を吸い上げる仕組みがあるのかなど、社員がはたらきやすい環境について真剣に考えてみてはいかがでしょうか。
スマホ世代に昔からのイベントや、言われたことだけをただやる働き方は響かない。企業と個人の「Why」と「What」のベクトルを合わせることが重要。社員が自主性を持って働ける、意見を言いやすい環境を提供する「企業文化」を築こう。
HRコンサルタント協会 理事。
外資系金融機関の人事部長を歴任。2013年にコカ・コーライーストジャパンの常務執行役員人事本部長に就任し、約30社の人事制度統合、企業文化改革、多大なるシナジー創出などを短期間で実現。電撃人事エグゼクティブとして名を馳せた。
2017年10月にAsian Caesarsを立ち上げ、人事改革とグローバル人材育成のエキスパートとして、人事顧問サービス、エグゼクティブコーチング、講演など幅広く活躍。
大手企業のリーダー達への変革指南で多忙な日々を送る。
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