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労務110番

派遣社員の休憩時間を他社員とずらすことは可能?

公開日:2019.6.7

    今度雇う派遣社員に昼の休憩時間帯の顧客対応を担当してもらうため、自社従業員や他の派遣労働者との休憩時間をずらし、一斉休憩の対象外とすることは可能でしょうか?

    【結論】

    原則、休憩時間は一斉に与えなければいけません。
    しかし、一斉休憩の適用除外事業に当たる場合、もしくは一斉休憩の労使協定を締結しておけば、当該派遣社員を対象外にすることは可能です。

    休憩時間を一斉に与えなければならない労働者とは?

    労基法34条では、休憩時間は「一斉に与えなければならない」と定めています(2項)。
    一斉に与えなければならない労働者の範囲について、『事業場単位』もしくは『作業場単位』のどちらであるかについては、法文上その範囲が定めれられていないため、労基法の適用単位である『事業場単位』と解されています(昭22・9・13発基17号)。

    一斉休憩を与えなくてもいい2つの例外

    一斉に休憩を与えなくてもいい場合として、2つの例外があります。

    一つ目は、法40条により除外される事業に当たる場合です。
    労基則31条では、物品の販売、配給、保管もしくは賃貸または理容の事業(8号)、金融、保険、媒介、周旋、集金、案内または広告の事業(9号)などがあげられています。

    二つ目は、労働者の過半数で組織する労働組合(ない場合には、労働者の過半数代表者)との労使協定を締結することにより、一斉休憩を与えないことができるというものです。
    労使協定では、

    1.一斉に休憩を与えない労働者の範囲
    2.当該労働者に対する休憩の与え方

    について定める必要があります(労基則15条)。
    この協定は、労基署へ届出の必要はありません。

    派遣労働者に対する特例

    派遣労働者に対しては、労基法の適用について特例を定めています。
    労基法34条の休憩に関する規定については、派遣先の事業のみを“派遣中の労働者を使用する事業”とみなして適用されるため(派遣法44条2項)、一斉休憩の労使協定は、派遣先が締結することになります。
    なお、派遣法44条2項の後段は、変形労働時間制、時間外・休日労働(36)協定の締結や届出とは異なり、一斉休憩の労使協定に関しては、読み替え規定を置いていません。
    そのため、派遣元との派遣契約で休憩時間を規定しておく必要があります(派遣法26条1項5号)。
    規定する際には法律上は時間数のみですが、一般的には休憩の開始および終了の時刻を特定して記載することが適当(派遣業務取扱要領)とされています。
    なお、労基法で定める休憩の規定に抵触した場合、派遣元事業主も派遣先と同様に罰せられる(前掲要領)とあるため注意が必要です。

    この記事を書いた人

    HR BLOG編集部

    このブログでは、「経営者と役員とともに社会を『HAPPY』にする」 をテーマに、HR領域の情報を発信しています。

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