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人材育成・開発・研修

「エンハンシング効果」とは?意味や従業員の褒め方との関係性を解説

公開日:2022.7.28

従業員のモチベーションを高めることで、企業の業績や生産性の向上につながります。
従業員一人ひとりが自分でモチベーションを維持できればいいですが、業務内容や職場の環境、本人の素質などによってなかなかモチベーションを維持できないことも多いです。
そんなときに経営者やリーダーが取り入れてほしい考え方がエンハンシング効果です。

今回は、エンハンシング効果とは何なのか、どのような仕組みで従業員のモチベーションにアプローチするのか、実際の実験結果や具体例などを紹介します。

「エンハンシング効果」とは

「エンハンシング効果」とは、相手を賞賛したり報酬を与えたりしてモチベーションを上げることです。

前提として、モチベーションには内発的モチベーション外発的モチベーションがあります。
エンハンシング効果ではこの2つの内、外発的モチベーションを刺激します。
内発的モチベーションは自らチャレンジしてみたい、仕事を続けたいと思う気持ちのことで、外発的モチベーションは賞与や賞賛をもらうために働きたいと思う気持ちのことです。
エンハンシング効果を取り入れて従業員の外発的モチベーションを刺激した上で、内発的モチベーションを引き出すことが最終的な目標です。

では内発的モチベーションと外発的モチベーションとは何か、下記でさらに詳しく解説します。

内発的モチベーション

内発的モチベーションとは、本人が持っているモチベーションのことです。
誰かに言われたから、誰かに命令されたから、誰かから報酬を受け取れるからといった理由ではなく、本人が自らやってみたい、続けたいと思う気持ちを内発的モチベーションといいます。
好奇心を満たしたい、学びたいといった気持ちからも内発的モチベーションは生まれます。
長く続いている趣味や家族、友人へのサービス、娯楽などで内発的モチベーションが生まれるケースが多いです。

外発的モチベーション

外発的モチベーションは本人に備わっているわけではなく、外部からの刺激によってもたらされるモチベーションのことです。
尊敬されたい、報酬を受け取りたい、褒められたいといった気持ちから外発的モチベーションが生まれます。
反対に、叱られたくない、罰則を受けたくない、嫌われたくないからルールを守るなど、何らかの処罰を避けるために外発的モチベーションが生まれるケースもあります。

ビジネスシーンにおけるエンハンシング効果のメリット


ビジネスシーンでエンハンシング効果をうまく活用できると、さまざまなメリットがあります。
従業員が前向きに仕事に取り組むようになる、自主的に行動するようになる、さらに従業員との信頼関係を築けるなどのメリットは、今後企業を成長させていくために重要です。具体的には下記のようなメリットが挙げられます。

従業員の自己肯定感が上がる

人は人から褒められたり認められたりすることで自己肯定感が上がります。
自己肯定感が上がると自分に対してだけでなく他人に対しても寛容になり、自分が動くことに対して苦痛を感じにくくなります。人の役に立っているという実感がさらに自己肯定感を高めることにもつながります。
また、失敗をしても自己肯定感が高ければ過度に落ち込んだり八つ当たりしたりすることもなく、前向きに改善点を受け入れられます。

従業員の自主性が高まる

従業員を褒めるともっとがんばろう、あれもやってみよう、これも取り入れてみようと、自ら行動する力を伸ばせます。
業務と業務の間の時間や閑散期などに新しいことにチャレンジしたり、別の部署の仕事を手伝ったり、業務の効率化を試みたりと、企業全体や他の従業員にとってもプラスになる働きをしてくれる可能性もあります。
また、自主性を高めることは企業の成長につながるだけでなく、本人のできることを増やすチャンスにもなります。

従業員と信頼関係を築ける

従業員をよく褒める習慣がつけば、従業員はきちんと見てくれている人がいる、がんばった分だけきちんと評価してもらえると思えるようになります。
上司やリーダー、経営者と会話、コミュニケーションをする機会も増えるため、これまで以上に信頼関係を深めていけます。
社内で従業員との信頼関係が深まると、チームワークが取りやすくなって仕事をスムーズに進められる、企業や仲間に愛着心が湧いて離職率が下がるといったメリットもあります。
反対に褒める言葉をかけない、会話する機会を作らない、結果を出した従業員に対して昇給など賃金だけで報酬を与えるなどの行動をしていると信頼関係を築けず、モチベーションの低下や離職率の上昇につながります。

「エンハンシング効果」の実証実験

エンハンシング効果は実際にはどのような結果が出るのかを検証した実験を二つ紹介します。

エリザベス・B・ハーロックの実験

発達心理学者であるエリザベス・B・ハーロックがおこなったエンハンシング効果の実証実験があります。
小学生をA、B、Cのグループに分け、それぞれにテストを5回行いました。
都度、Aグループにはできていた部分を褒めるようにし、Bグループにはできなかった部分を叱り、Cグループには何も言いませんでした。
結果Aグループの生徒71%の成績の向上が確認されました。
Bグループは20%の生徒に成績の向上が確認されましたが、次第に全体的な成績は低下しました。
Cグループは5%の生徒の成績の向上が確認されましたが、それ以上の大きな変化はありませんでした。
このことから、成績を伸ばすためには叱るのではなく褒める方が効果的だと実証されました。

コロンビア大学の実験

コロンビア大学がおこなったエンハンシング効果の実証実験では、10歳から12歳の子どもを対象にテストを行いました。
テストの後結果に関係なく80点以上の成績を獲得したと伝えました。
伝える際にグループを3つに分け、Aグループは結果を褒め、Bグループは努力を褒め、さらにCグループには何も言いませんでした。
さらに次に難しいテスト、簡単なテストのどちらを受けたいかを聞きました。
結果、結果だけを褒めたAグループは35%が難しいテストを選び、努力を褒めたBグループは90%が難しいテストを選び、何も言わなかったCグループは55%が難しいテストを選びました。
この結果から、結果ではなく本人の努力や結果にいたるまでの過程を褒めることが、本人の成長やモチベーションにつながることが実証されました。

ビジネスシーンにおける「エンハンシング効果」の具体例

ビジネスシーンにおけるエンハンシング効果の具体例としては、昇給、昇進、表彰などがあります。
昇給はただ給料が上がるだけなので本人にとって何が認められたのか、今後どうがんばればいいのかが見えにくいです。昇給する場合はただ給料を上げるのではなく、どのような仕事ぶりを評価したのかを明確に本人に伝える必要があります。
昇進についても同様に、本人が別の仕事や別の企業でも構わないと感じることのないよう、この企業でもっと活躍したい、この企業やチームのためにがんばりたいと思えるような言葉がけが大切です。
定期的に社内で表彰式を行い、仕事の過程を大勢の従業員の前で褒めることもエンハンシング効果の発揮につながります。

「アンダーマイニング効果」とは

エンハンシング効果の反対にアンダーマイニング効果といった言葉があります。
エンハンシング効果は外発的モチベーションによって内発的モチベーションを引き上げるものですが、アンダーマイニング効果は反対に外発的モチベーションによって内発的モチベーションを下げてしまうものです。
本来本人には仕事を楽しんだり前向きにチャレンジしたりするモチベーションがあったのに、報酬を与えたり罰則を与えたり締め切りを設定したりといった外部からの刺激を与えることでモチベーションが低下してしまいます。
報酬がもらえるならこの仕事でなくても構わない、一定の報酬がもらえるなら今以上がんばる必要はない、締め切りを守るためなら仕事が雑になっても構わない、罰則を受けたくないから新しいことにチャレンジしないなど、本人のやる気を削ぐ結果になってしまいます。
アンダーマイニング効果を避けてエンハンシング効果を高めるための方法を下記で具体的に解説します。

従業員のモチベーションを高め、「エンハンシング効果」を発揮してもらうには?


従業員のモチベーションを高めてエンハンシング効果を発揮してもらうための方法を解説します。
外発的モチベーションは場合によっては本人の内発的モチベーションを低下させてしまう可能性もあります。
そうならないよう、下記のポイントを押さえて従業員との接し方を考えましょう。

他の人が見ている前で褒める

従業員を褒めるときは一対一で褒めるのではなく、他の人が見ている前で褒めるのが効果的です。
自分が優秀であることをより多くの人の前で認めてもらえれば、一対一で褒められるよりもさらにうれしさが増します。
わざわざ人前で褒めるのはわざとらしいと感じる場合は表彰式やイベントなどを作って大々的に褒める機会を設けるといいでしょう。

間接的に褒める

本人を直接褒めるだけでなく、間接的に褒めることでもエンハンシング効果を高められます。
いきなり本人に伝えると、今までそんな態度を取らなかった人が豹変したことにかえって不信感を抱かれる可能性もあります。
一方で、誰かから「あの人があなたのことを褒めていたよ」と聞くと、お世辞ではなく本当に褒めてくれているのだと信用してもらいやすいです。

結果ではなく過程を褒める

褒めるときに結果だけを褒めるのではなく過程を褒めることが大切です。
結果だけを褒めるとたまたまできただけ、運がよかっただけではないかと思われたり、自分の何がよくてよい結果を出せたのかがわかりにくかったりします。
一方で過程を褒めると、自分ががんばったことが認められた、自分の工夫した部分が結果につながったことが明確になり、本人の自信やモチベーションをアップさせられます。

信頼度の高い人が褒める

エンハンシング効果を発揮するには、褒める人と褒められる人の関係性も重要です。
信頼している人や尊敬している人から褒められた方がよりモチベーションが高まりやすいです。
仕事ぶりを参考にしている人に褒められれば、憧れの人に近づけた、認められたと感じられます。
結果、もっと近づけるよう、もっと認められるようがんばろう!と内発的モチベーションを引き出せます。
いきなりエンハンシング効果を期待するのではなく、日頃から従業員とは信頼関係を築いていくことが大切です。

具体的な褒め方

エンハンシング効果を高める具体的な褒め方をさらに詳しく紹介します。

従業員を褒める際は否定語、ネガティブな表現を避けて、前向きな言葉を選びましょう。「締め切りを過ぎなくてよかったね」と伝えるのではなく「締め切りを守れるようスケジュールを調整してえらかったね」と褒める方がよりエンハンシング効果を高められます。
褒める言葉には否定語の他に他人と比べる言葉も入れないようにしましょう。「○○さんの資料よりわかりやすかった」「○○さんのやり方は良くない」などの言い方をすると、自分が失敗したときに比較されるのではないか、自分も影で比較されているのではないかと不信感を抱かれる結果になってしまいます。
また、褒める際は相手の名前を呼びかけるようにしてください。「今回のプロジェクトは○○さんのわかりやすい資料のおかげでうまくいきました」など、名前を文章中に入れることで本人は自分が褒められていると実感できます。
場合によっては褒めるだけでなく改善点がある場合もあります。ただ褒めるだけでは本人は改善点に気付けない可能性もあります。指摘をする場合は、充分に褒めた上で「ここをこうすればもっといい仕事ができるのではないかな」と、ポジティブな表現で伝えるようにしてください。

エンハンシング効果を正しく理解しよう

ビジネスシーンで企業の生産性を高めるために大切なエンハンシング効果を解説しました。
結果ではなく過程を褒めて外発的モチベーションから内発的モチベーションを引き出し、従業員が自らがんばりたい、チャレンジしたいと思う気持ちをサポートしましょう。
今回紹介した褒め方や注意点も確認した上でエンハンシング効果を取り入れてみてください。

FAQ

「エンハンシング効果」についてのよくある質問を紹介しています。

エンハンシング効果とは?
相手を賞賛したり報酬を与えたりするなどの外発的動機づけによってモチベーションを上げることです。
エンハンシング効果の逆とは?
エンハンシング効果は外発的モチベーションによって内発的モチベーションを引き上げるものですが、その反対にあたるのがアンダーマイニング効果です。アンダーマイニング効果とは、外発的モチベーションによって内発的モチベーションを下げてしまう効果を指します。

この記事を書いた人

HR BLOG編集部

このブログでは、「経営者と役員とともに社会を『HAPPY』にする」 をテーマに、HR領域の情報を発信しています。

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