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ミッショングレード(役割等級制度)のメリットとデメリットを分析!

公開日:2018.12.25

    一般的に知られる職能資格制度、職務等級制度、役割等級制度のうち、日本企業に合っているのは役割等級制度だというのが昨今の定説です。もちろん欠点がないわけではありません。まずは役割等級制度のメリットとデメリットを詳しく確かめてみましょう。

    他の制度と比較してメリットを確かめる

    従業員の給与や処遇を、果たすべき職責や上げるべき成果などの「役割」を基準に決定するのが「役割等級制度」の特徴です。そのメリットは、日本で固有の制度といわれ長く採用さてきた「職能資格制度」や、アメリカで誕生するも日本ではあまり定着しなかった「職務等級制度」と比べることで明確になります。

    職能資格制度は、人(個人)の能力をベースにした等級制度です。同じ仕事に長年従事することで能力が上がり、会社への貢献度もアップするという発想のため、勤務年数が役職や給与に直結する傾向があります。

    「会社を辞めないこと」で従業員の処遇がアップする構造ゆえ、会社側はジョブローテーションを行いやすく、ゼネラリストを育成する大企業などに向いている制度だといわれています。その一方で、能力を無視した年功序列や、従業員の高齢化がそのまま人件費高騰につながるといった問題が生じている現状があります。

    年功制度が廃れ、能力主義が進むなかで注目されたのが、従業員が手掛ける職務そのものを評価基準とする職務等級制度でした。難易度や重要性の高い仕事を担当すれば、それが処遇に直結する制度なので、スペシャリストが育ちやすい仕組みだといわれています。

    しかし、「ジョブ・ディスクリプション(職務記述書)」に業務内容をすべて書き出し、全従業員のこなした仕事を事細かにチェックしなければならない制度ゆえ、複雑になりがちでまとまらないという難点があります。さらに、部署をまたいで「担当外の仕事」を手伝う場面が多い日本企業では、適切な運用ができないという点も問題です。

    こうした職能資格制度と職務等級制度が持つ問題点をクリアし、かつ、会社ごとに柔軟な設定が可能なことで注目されているのが役割等級制度です。経験がものを言う職能でもなく、従業員が手がける職務でもなく、成果を上げるための “役割”を基準としているため、多くのメリットを生み出している会社もあります。その具体例を見ていきましょう。

    運用が進めば“理想の従業員”が育つ

    第一のメリットは、制度を明文化することで「会社が従業員に何を求めているか」を示せる点にあるでしょう。役割等級制度の評価基準となる項目を通じて、会社が望む“理想の従業員像”を伝えられるのです。企業理念を浸透させ、従業員の意思統一を図るためにも役立ちます。

    制度が周知されていれば、「何を目標にすれば昇格できるのか」も自然に伝わり、従業員は成長の筋道を意識しやすくなります。最終的に、従業員が成長できる環境づくりにつながるのです。提示した評価基準が、そのまま従業員の目標につなげられる点も、実にシンプルです。

    また、技術の高さやこなした量ではなく、成果を出すための行動と従業員のマインドに働きかけるのが役割等級制度の特徴なので、仕事に積極的に取り組めるようになるという事例も多数報告されています。

    さらに、社内で誰がどんな役割を果たしているのかが明確になるため、従業員同士や部署間の連携が取りやすくなるという利点もあります。組織の風通しがよくなり、会社の全体像を見渡しやすくなるのです。

    職能資格制度においては勤務年数、職務等級制度では担当する職務を主な評価基準としていました。誰が評価しても、同じ結果になるという面はあるものの、柔軟性に欠けるという難点があります。ところが、役割等級制度であれば、従業員の評価を弾力的かつ柔軟に行うことができます。

    能力があると評価された従業員は等級が上がり、重要な役割が与えられます。そして、その働きによって業績が上がるというのも大きな利点です。年功序列主義からの脱却が進むなか、注目される能力主義、成果主義の観点から見ても、役割等級制度は現在の会社に適した制度ではないでしょうか。

    デメリットにはフォロー策を立てて対応を

    役割等級制度の導入を検討する際、メリットばかりに目が行きがちですが、デメリットがあることも忘れないようにしましょう。

    最大の難点となるのは、実際に制度を運用する前に、自社独自の評価基準とグレード分けを検討しなくてはならないことです。役割等級制度には、統一規格や設定のための公式などがないため、各社が独自に評価基準を精査し、制度を整備していく必要があります。

    会社ごとに、社会的立場や業務内容などが異なるため、他社のルールを模倣しても役に立たない場合が多く、また一般論をあてはめるだけではこと足りないケースがほとんどです。現況を精査し、自社独自のルールをつくりあげるのは容易なことではないため、その段階でつまずく可能性は否めません。

    従業員から納得を得られるよう、評価基準を明文化する難しさもあるでしょう。しかしながら、一連の制度構築を丁寧に行うことが円滑な運用につながりますので、決して手を抜いてはいけません。

    現在運用している会社では、部署ごとにルールづくりを行うのが主流のようです。また、管理職と一般職で異なる等級制度を用意するなど、いかに公平性を保つかを工夫しています。

    また、時勢の変化や組織変更などによって、実情と等級設定にミスマッチが生じた場合には、随時制度の改正を行っていく必要があり、運用には相応の手間暇がかかります。しかしこの点は、役割という厳密性の低い要素を評価基準にしているからこそ柔軟に対応できるという見方もできるため、視点を変えるとメリットでもあるといえるでしょう。

    デメリットとして決定的なのは、配置転換や組織変更によって従業員に課される役割が変化して、結果として等級が下がってしまうケースがあることです。人事異動を従業員の意思に関わらず実施するケースもあるため、“納得のいかない降給・降格”という現象が起こる可能性があります。

    まとめ

    このような状況をフォローする対策や、特例措置を含め、多くの会社がルールづくりを模索しています。メリットとデメリットをしっかりと把握し、人材育成や会社の成長に生かせる制度づくりに取り組んでください。

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    この記事を書いた人

    HR BLOG編集部

    このブログでは、「経営者と役員とともに社会を『HAPPY』にする」 をテーマに、HR領域の情報を発信しています。

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