オンボーディング Onboarding 「新卒社員」や「中途社員」が辞めない仕組みづくり
『オンボーディング』とは、新入社員をスムーズに社内に溶け込ませ、パフォーマンスを上げさせるための一連の仕組みづくりを言います。この冊子ではHR先進国であるアメリカ企業の事例も踏まえ、人材育成のための最新のメソッドを解説。
オンボーディングの具体的な取り組み方をご紹介しています。
人材育成・開発・研修
公開日:2018.10.24
中途採用のメリットは即戦力になる人材確保にあります。しかし、キャリアやスキルばかりを重視して採用に失敗するケースもあります。
今回は、中途採用をスムーズに進めるためのポイントや注意点をお伝えします。
目次
IT・エンジニア業界をはじめ、さまざまな業界において有効求人倍率はここ数年右肩上がりを維持し、売り手市場といわれている昨今。その傾向は、新卒採用だけでなく中途採用でも見られます。
企業が中途採用を行う目的は、一番に「即戦力となる人材確保」があげられるでしょう。自社にないスキルやノウハウ、人脈を導入することや、事業の課題や計画に合わせた人材を集められるという点がメリットといえます。
しかし、キャリアやスキルばかりを重視してしまうと、思わぬ落とし穴にはまってしまうこともあります。自社の社風に合わず、せっかく採用しても期待したほど活躍してもらえなかった、となってしまっては、企業にとっても転職希望者にとっても残念な話です。では、中途採用を成功させるポイントはどこにあるのでしょうか?
中途採用を成功させるためには、なぜその人物が必要なのか、いつまでに確保しなければならないのかなど、自社に欲しい人物像を明確にしておくことが何よりも大切です。
キャリアやスキルに加えて、コミュニケーション力、マネジメント力、課題解決力などの評価基準を社内で統一させておくことも大事ですし、それぞれの優先順位も考えておくとよいでしょう。ただ、こうした能力は自己申告でのみ評価せざるを得ないという難しさがあります。よって、客観的な判断材料として使える公的な資格があれば、それらも評価項目として挙げておくと、選考がスムーズに進みます。
転職希望者の多くは人材紹介サービス会社が提供している求人情報や、Webなどに掲載されている求人広告を見て応募します。たくさん競合と見比べられるため掲載している情報の質が重要です。募集している職種やポジション、担当業務内容、待遇、採用にあたり重視するポイント、採用までの流れなど、できるだけ丁寧に募集要項をまとめましょう。求人広告に的確な情報を掲載することで、面接の段階で求職者とのキャリアのミスマッチを防ぐことができます。
入社後のスキルアップやキャリアアップ、取得できる資格や福利厚生についても、求職者にとってはその会社を選ぶ判断材料になります。
企業側も転職支援サービスをうまく活用することで、効率の良い中途採用を実現できます。たとえば、キャリアやスキル、前職の業界や業務内容、年齢などこちらが希望する人物を選んでスカウトメールを送れるようなサービスは当たり前のように利用される時代になりました。昨今の売り手市場を考えると、企業は応募をただ待つだけではなく、希望条件に合う人材を見つけたら積極的にアタックしていく姿勢が非常に重要でしょう。
面接時に確認するべきことは主に以下の通りです。
・職務履歴書に書かれている内容の確認
記載されているキャリアやスキルに偽りや過度な誇張はないかをしっかり確認しましょう。面接には、経営者や役員、採用担当者だけでなく、配属先の上司やチームメイトになる社員も同席してもらい、専門的な視点から適性を持ち合わせているかどうかを判断してもらうとよいでしょう。
・志望動機や転職理由
履歴書にも書かれているはずですが、なぜ自社を選んだのかを改めて面接の場でも聞いてみましょう。これまでの経験を活かして自社ではどのような働きができそうか、入社後のイメージを聞くことも人物像を見極めるポイントになります。
また転職理由についても質問しておきましょう。前職に何かしら不満があったなら前もって聞いておくことが入社後のトラブル回避に繋がりますし、前職ではなし得なかったことを自社でどのように実現したいのかを具体的にヒアリングすることで、自社にどれくらい興味、関心を抱いているかを知ることができます。こうしたやりとりから、自社の社風に合うかどうかをチェックすることもできるでしょう。
・面接結果の連絡
転職希望者は同時に何社も面接を行っている場合が通例です。選考に時間がかかりすぎてしまうと、その間に他社の内定を受けて辞退されてしまうことがあります。面接後に何も連絡がないことで余計な不信感を抱かせてしまっては、企業にとってマイナスです。採用・不採用にかかわらず、できるだけ早い結果連絡を心がけましょう。
目安としては面接日から1週間です。もし、結果連絡のスケジュールが決まっているなら、面接時に伝えておくと、求職者は安心します。
新卒採用には時間も費用もかかります。入社後のきめ細やかな研修も必要であり、そのための十分な仕組みや体制を用意することができないと考える中小企業やスタートアップ企業の場合は、そもそも新卒採用を実施する余裕がないというケースも多いです。加えて売り手市場ということもあり、新卒採用では確保しきれない人材を集めるために、大手企業であっても即戦力となる中途採用を実施しているのが現状です。
バブル期並みの売り手市場の傾向であるといわれる理由はこのためであり、企業側が希望する人材を中途採用で見つけることも難しさもここにあります。
欲しい人材に、まず自社を見つけて、さらに選んでもらうために、企業として明確な採用ビジョンを持ち、それを求職者に伝えることが重要になります。
即戦力を狙った中途採用とはいえ、長く続けてもらわなくては意味がありません。キャリアやスキルを重視し過ぎて、その人の価値観や考え方が社風やチームと合わないようであれば、遠からずトラブルや不満の原因となるでしょう。
即戦力には一歩足りないという場合でも、価値観や考え方が一致していれば、入社後に比較的早い段階でチームを引っ張ってくれるような人材となる可能性もあります。自分自身のキャリアやスキルに固執ばかりせず、新しいことにもチャレンジする意欲や、新しい職場・チームに溶け込もうとする意志がある人物を採用することが、より良い人材確保への近道となります。
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