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人材育成・開発・研修

いきなり退職届を提出されたら、人事はどう対応すべき?

公開日:2022.3.3

    従業員からいきなり退職届を提出されたら、人事はどう対応すべきかを解説します。
    会社としていきなりの退職届を受理すべきか、従業員の退職を引き留めるためには何をすべきかなどを確認しましょう。
    いきなり退職してしまいそうな人の特徴や、いきなりの退職につながる原因の一例なども紹介します。
    会社にとっても従業員にとっても気持ちのいい退職ができるように、人事担当者はしかるべき対応をおこないましょう。

    いきなり退職届を提出された時の対応

    いきなり退職届を提出されたときの人事の対応について解説します。
    まず退職の旨を認めるかどうか、認められない場合はどうすべきかをあらかじめ考えておきましょう。

    いきなりの退職届を認めるべきかどうか

    いきなり退職届を提出されたときにそれを認めるかどうかを考えなければなりません。
    就業規則を確認し、その従業員が退職しても業務を続けられるか、どのようにして次の人員を補充するかを検討しましょう。

    就業規則の確認

    まずは就業規則を確認してください。
    就業規則には、原則として退職届を提出する期限が記載されています。
    業務の引き継ぎや新しい人材の補充などの関係から、退職届を提出したとしてもすぐに退職されると業務に支障が出てしまいます。
    退職届には退職届を提出した日付けと退職日が書かれています。
    それが就業規則に則ったものであれば従業員の退職を認めることは可能です。

    業務の引き継ぎ確認

    退職する従業員の業務の引き継ぎが必要かどうかを確認しましょう。
    引き継ぎに必要な期間と退職までの期間が合致しているかも同時に確認してください。
    長期間に渡るプロジェクトなどを引き継ぐ場合は、就業規則に記載されている期間では足りない可能性もあります。
    また、誰が退職する人の業務を引き継ぐのかも考えなければなりません。
    似た業務を担当している人、手の開いている人などが見つからない場合は新しく人員を補充する必要もあります。

    人員補充の施策

    ギリギリの人数で業務を進めていると、一人の退職でも残りの従業員にとって大きな負担となってしまいます。
    業務を引き継ぐ人員がいない場合は新しく人員を補充しなければなりません。
    求人を出してもすぐに応募があり、条件を満たす応募者から連絡が来るとも限らず、人員補充に時間がかかってしまう可能性もあります。
    その場合は新しい人員が増えるまで引き継ぎ業務ができないため、退職届に記載されている退職の希望日から退職の日を延長してもらわなければなりません。
    どうしても延長できない場合は引き継ぎのマニュアルを作成してもらうなどの対応が必要です。

    受理する場合

    引き継ぎやマニュアルの作成などを完了させてから退職届を提出される場合もあります。
    そのときは退職届を問題なく受理できますが、次に考えるべきなのは有給についてです。

    有給を含めた退職までの流れを相談

    退職するまでに消化していない有給がある場合はその有給を消化できます。
    有給はすべての雇用されている労働者が持つ権利ですので、積極的に使用しましょう。
    有給は従業員が希望する退職日から消化するパターンと、先に有給を消化してから退職日を迎えるパターンがあります。
    いずれの方法で有給を消化したいか従業員に確認を取り、業務に支障が出ない程度に調整していきましょう。

    引き留める場合

    その従業員が退職すると業務に支障が出てしまう場合は従業員を引き留めなければなりません。
    ですが、強制することはできません。
    従業員ときちんと話し合い、双方が納得する形で退職日を迎えられるようにしましょう。

    退職を希望する理由を明確にして、対応可能であれば

    まずは従業員の退職したい理由を明確にしましょう。
    従業員がいきなり退職届を提出するのには何らかの理由があるはずです。
    病気や怪我で今すぐ退職せざるを得ないなどの理由なら仕方ありませんが、期日を引き延ばせるようであれば説得してみましょう。
    退職理由によっては退職日を引き延ばせる可能性もあります。
    退職を前提として新たな人員を補充するまで引き延ばす、現在のプロジェクトが終了するまで引き延ばすなど期限を明確にしましょう。
    ただ人員が不足しているから、新しく人員を補充するコストが惜しいからなどの理由でだらだら引き延ばしてしまうと従業員のさらなる不満の原因になってしまいます。

    退職しないように交渉する

    どうしてもその従業員でなければならない業務があるなどの場合、退職しない方向で交渉することも視野にいれなければなりません。
    従業員がどうして退職したいのかを聞き、企業が改善できる点があるなら改善しましょう。
    給与や休日、人間関係、業務内容、勤務時間などに原因がある場合は企業ぐるみで対応していくことも可能です。
    結果社内の風通しもよくなり待遇も改善し、退職届を提出した従業員だけでなく他の従業員も働きやすい環境になるかもしれません。

    突然退職しそうな人の兆候

    突然退職しそうな人の兆候についてその一例を紹介します。
    退職しそうな人の中には下記のような兆候がある場合もあります。
    早期に発見して相談にのったりそれとなく様子をうかがうことで、原因を解消したり、従業員の気持ちを前向きにさせることも可能です。
    いきなりの退職を防ぐためにも、人事担当者ができることを考えましょう。

    発言が少なくなる、消極的になる

    以前に比べて発言が少なくなったり消極的な思考、発言が多くなったりした従業員がいる場合は注意しましょう。
    会社のため、また自分のために仕事に前向きに取り組んでいた人がこのような状態になるということは、どうせ辞めるのだからこれ以上発言しても意味がない、今の仕事に興味がなくなったという可能性が高いです。
    会議でも存在感がなくなったり、そもそも会議に参加しなくなったり、休憩時間にも他の従業員と積極的にコミュニケーションを取らなくなったりすることもあります。

    業務姿勢が変化する、悪化する

    これまでは職場の人間関係や上司からの評価を気にしていても、退職したい気持ちが高まると周囲からの印象や評価がどうでもよくなってきます。
    その結果、勤務態度が悪化するというケースがあります。
    遅刻や早退、欠勤が多くなったり、同僚や上司からの仕事の依頼を断ったり、勤務態度が悪くなったりします。
    また、転職活動をおこなっている場合は面接の日に有給を利用することもあります。
    勤務時間中に私用のメールをチェックしたり電話に出たりで離席することが多くなった場合も注意しましょう。
    この場合、転職先が決まるといきなり退職届を提出され、引き継ぎなどをせずにすぐに辞められてしまう可能性が高くなります。

    引き継ぎの準備を始める

    後腐れなく退職したいと考えている方は、きちんと引き継ぎの準備を進めていることも多いです。
    後輩に自分の仕事を手伝わせ始める、引き継ぎのマニュアルを作成しているといった素振りがないかチェックしてみましょう。
    ですが転職活動をしていく上で思ったより早く転職先が決まると、引き継ぎが充分でないまま退職してしまうケースもあります。
    できれば退職届を受理してからきちんと引き継ぎを終わらせて退職してもらうようにしましょう。
    ですが会社にばれないようにこっそりと引き継ぎの準備を進めているケースも多く、事前に声をかけるのは難しいかもしれません。

    資格取得などの勉強を始める

    業務内容によってはスキルアップのための資格取得は大切です。
    ですが、最近いきなり資格の勉強を始めた、業務とは関係のない資格の勉強を始めたという場合、転職を視野に入れている可能性が高いです。
    中途採用や異業種への転職の場合、ある程度の経験や知識がなければ採用は難しいです。
    そんなときに資格があれば、少しでも転職活動を有利に進められます。
    今と同じ業種であっても、よりよい条件、よい待遇の会社に転職するためにはスキルアップのための資格取得は大切です。
    同業種への転職の場合の資格勉強は、ただのスキルアップのためのように見えてしまうこともあります。合わせて上記のような素振りがないかも一緒に確認しておきましょう。


    いきなり退職届を提出される原因

    会社にとってはいきなり退職届を提出されたと感じても、従業員にとってはこれまでの積み重ねだったり、大きなきっかけがある可能性があります。
    いきなり退職届を提出されるのにはどんな原因があるのかを考えてみましょう。
    それらを改善することで、離職率を低下させるのにも役立ちます。

    職場の人間関係によるもの

    職場の人間関係による退職は非常に多いです。
    同僚や上司と意見が合わない、プライベートな部分で問題があるなどです。
    これまで我慢してきたストレスが限界に達して退職してしまうこともあります。
    周囲に相談せず一人で抱え込むような人ほど周囲からするといきなり退職を決意したように見えてしまいます。
    また、ある程度は我慢できる環境であっても一つの発言が引き金となったり、信頼できる上司の移動、退職がきっかけとなるケースもあります。

    給与や休日などの待遇によるものもの

    業務内容に給与が見合っていない、休日が少ないなど、待遇面に関しての不満が退職につながることも多いです。
    改善を求めたのに対応してもらえなかった、昇給のタイミングだったのに給料が思ったより上がらなかったなどの不満を抱いている従業員がいないか確認してみてください。
    また、以前から退職のタイミングを伺っており、ボーナスが支給されたタイミングで退職に踏み切るという人もいます。
    給与面で相談にのれることはないか、待遇以外にも従業員の不満になる原因がないかを聞いてみるのもいいでしょう。

    家庭の事情、本人の体調によるもの

    家庭の事情や本人の体調不良が原因で退職するケースもあります。
    両親の介護や家業の引き継ぎなどがある場合、会社が引き留めてもあまり効力はありません。
    また、本人の怪我や病気で仕事が続けられなくなった場合も引き留めにくいです。

    いきなりの退職届の予防策

    いきなり退職届を提出されると、企業や業務内容によっては支障が出てしまいます。
    それ自体を防ぐために企業では何ができるのかを考えてみましょう。
    企業や上司からするといきなりのことに思えても、従業員にとってはこれまでの積み重ねがあるかもしれません。それに早く気づいてフォローアップしていくことも大切です。

    1on1の実施

    人事としていきなり退職届の提出を防ぐことは大切ですが、企業の規模が大きいとすべての従業員に気を配るのは大変です。
    そこでおすすめなのが1on1の実施です。
    1on1はその名の通り、1対1で従業員と話し合いをする機会を設けることです。
    集団でのミーティングでは見えてこなかった一面も1on1なら深く知ることができ、上記のような退職の兆候にも気づきやすくなります。
    人事担当や直属の上司が1on1を実施できるような制度を取り入れましょう。
    上司が1on1の際に圧力をかけたり部下にストレスを与えるような言動をしたりしないよう、フォローアップの研修を受けさせることも大切です。

    退職届の提出期限を長くする

    いきなりの退職届の提出を防ぐために、退職届の提出期限を長くすることもおすすめです。
    就業規則に6か月前までなど、長めの期間を記載しましょう。
    ですが法的には、退職の旨を伝えるのは退職の直前から2週間前まででも何の問題もありません。
    法律は当然就業規則よりも効力が高いですので、どうしても退職しなければならない理由が明確な場合は無理に引き留められないことを理解しておきましょう。


    いきなりの退職を防ぎ、しかるべき対応を準備しよう

    従業員がいきなり退職届を提出すると、他の従業員の負担になったり引き継ぎができなかったりと会社に悪い影響を与えることもあります。
    退職届を受理するか、従業員を引き留めるかは会社の状況によっても変動します。
    常に従業員の様子をチェックして、退職しそうな素振りがあれば相談に乗るなど、いきなりの退職を防ぐことも大切です。
    退職届が提出されたらしかるべき対応をおこない、従業員も会社も問題なく退職に進めるように準備をしていきましょう。

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    この記事を書いた人

    TOYO

    株式会社アックスコンサルティング マーケティング本部 WEB制作課所属。
    メンタル心理ヘルスカウンセラー、メンタル心理インストラクターの資格を活かして人事向けの記事を中心に執筆。仕事に纏わる悩みに対し、カウンセリング倫理、心理アセスメント、地域精神医療などの観点から明るい毎日を送れるように記事を執筆しています。

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