オンボーディング Onboarding 「新卒社員」や「中途社員」が辞めない仕組みづくり
『オンボーディング』とは、新入社員をスムーズに社内に溶け込ませ、パフォーマンスを上げさせるための一連の仕組みづくりを言います。この冊子ではHR先進国であるアメリカ企業の事例も踏まえ、人材育成のための最新のメソッドを解説。
オンボーディングの具体的な取り組み方をご紹介しています。
人材育成・開発・研修
公開日:2021.2.12
なぜ仕事をするのか?その目的を理解しておくことはとても重要です。目的意識を持たずに仕事に取り掛かってしまうと、向かうべき方向が分からず、スムーズな進行は難しいでしょう。そうすると働いてもモチベーションが上がらず、パフォーマンスにも影響します。そして、従業員本人はもちろん、雇用している企業側もきちんと理解をしておかなくては人材を維持し活かすことはできません。そこで、今回は、仕事の目的の重要性や具体例についてご紹介しましょう。
仕事の目的を考える重要性について説明します。
仕事をする目的は、人によって異なるものです。誰にとっても共通するものがあるわけではなく、独自の考えで目的を見い出していかなくてはなりません。誰かに与えられた目的では意味がないのです。充実した働き方をするためには自分で仕事の目的を考える必要があります。
目的意識があると、仕事の効率が上がります。目の前の仕事への迷いが消え、何を重視して仕事をすればよいのか明確になり、スムーズに仕事を進められるようになります。
人は一般的に目的がわからないままの状態を嫌います。目的なく仕事をするのは大きなストレスとなり、意欲が失われてしまいます。そこで、やる気を高めるためにも、仕事の目的を明らかにすることが大切。自分の働く目的や意義を認識して理解できる状態であれば、自然とやる気が湧いてくるでしょう。
仕事の目的について個々が考える基本的なものをいくつかご紹介しましょう。
自分が成長するため、自分が満足するため、自分が楽しくなるために仕事をするという発想です。自分の幸せを主目的にするのはわかりやすく、やる気にもつながりやすいでしょう。ただし、あまりにも自分本意な考え方だと、仕事に支障が出るケースもあり、注意が必要です。
顧客を幸せにすることを目的としている人は多いでしょう。顧客を楽しませたり、喜ばせたりして感謝の言葉をもらい、笑顔を見ることにやりがいを感じるのです。どうすれば顧客に喜んでもらえるのかを常に考えながら働くことで、やる気を高めやすく、仕事で大きな成果を出しやすくなります。
社会貢献を仕事の目的として働くという考え方もあります。社会に何か貢献したい、世のため人のための仕事をしたいと考える人は多く、社会を幸せにすることを目的としているならば、多少の辛さも我慢できるもの。自分が仕事に従事することで世の中に貢献している、誰かを助けたり幸せにできると考えれば、やりがいを感じられるのです。
チームで仕事をする場合、仲間の幸せを喜びとするタイプもいます。チームを組んで業務を進めることが多いのであれば、仲間の幸せを仕事の目的として考えてみるとよいでしょう。
次に、仕事の目的としてより現実的なものをご紹介していきます。
日々の生活に必要なお金を稼ぐことを目的として働く人。これは目的としてわかりやすく、やる気も上がりやすいです。たとえ嫌な仕事であっても、生活するためにお金はどうしても必要なため、やる気を出して働きます。こういった目的を持つ従業員は多いため、企業は納得できる対価として給与を支払っているか、公平性を持って検討しましょう。従業員の頑張りを正当に評価し、適正な給与を与えなくてはなりません。
社会貢献を仕事の目的としている人もいます。社会貢献といっても方法はさまざまな。個人の顧客に対して楽しませたり喜ばせたり、ホスピタリティを提供するものから、人の生活を豊かにする製品やサービスの開発にかかわり、多くの人々に利用されて新しい価値をもたらすものまで、多種多様の社会貢献があります。こういった場合、企業側は、自社が社会にどんな貢献をしているか発信することが大切です。現代の企業は社会貢献を強く求められています。社会に対してだけではなく、従業員にも企業の社会的責任の果たし方をアピールするべきです。
楽しさを仕事の目的としている人はたくさんいます。仕事をしていて楽しい気持ちになることを一番に考えて働いているのです。このような目的であれば、基本的にいつも仕事に前向きに取り組めるでしょう。常に自分が楽しめる仕事を探して、そのような仕事に出会えれば、一生懸命に働いて最高のパフォーマンスを発揮できるはず。企業はそういった従業員の特性を活かし、より長く楽しく働けるよう、環境を整備してあげるようにしましょう。
チームを組んで仕事をして仲間と喜びを分かち合いたいという目的に共感する人は多いでしょう。人と協力して仕事をするのが好き、一緒に喜び感動して幸せを分かち合える仲間が欲しいという人は、このような目的を掲げて仕事をしてみるとよいでしょう。
これまでにない新しいものをつくり出すすることは、新しい価値の創造です。この目的を持って仕事をし成功すると、大きな達成感を得られるでしょう。
成果を上げて周りから賞賛されたい、昇進して社会的な地位を高めたいといった、社会で自分が認めてもらうことが目的の場になっている場合、社会的に認められると大きな自信を得られます。承認欲求を満たせ、達成後は大きな喜びを得られるでしょう。
仕事の目的はできるだけ前向きに考えることが大切です。そのためにはいくつかのコツがあります。
自分の好きなことを仕事にすると、目的も掲げやすいものです。好きな仕事だからこそ毎日楽しくやる気を出して働きやすくなり、仕事のパフォーマンスが上がるため、成果も出やすくなるでしょう。やりがいを持って仕事ができ、仕事に対して前向きに考えられるようになります。
企業は、従業員が仕事を好きになるような対策を取ることが大切です。積極的に情報発信をし自社への理解を深めてもらう、面談をしてやりたい仕事を聞き出しできるだけ希望を叶えるといった方法が考えられます。
採用のミスマッチを減らすと、従業員は会社の仕事を理解し、好きになってくれます。その対策としてインターンシップや体験型入社、コンピテンシー面接の導入、リファラル採用などがあります。
こういった方法を導入した企業として、楽天株式会社ではインターンシップを開催し、三つの事業領域について楽天の企業文化を体感できる機会を用意しています。コロナ禍でイベントが難しい現在では、オンラインインターンシップを開催。オンライン上でもインターンシップができれば、より多くの就活生にアピール可能です。
コンピテンシー面接とは、企業内のハイパフォーマーの行動と試行を可視化して、モデル化し、モデルに近い人材を求めるというものです。コンピテンシー面接により、企業に適正があり活躍できる人材を探せるため、その人材は入社後に活躍し、仕事を好きになる可能性が高まります。
仕事の目的を考えて、それを実現するための労働環境が整っていることが大切です。労働環境に問題があると、どのような目的を立てたとしても、それが達成しにくくなります。残業があまりなく、職場の人間関係が良好であり、福利厚生や設備が整っているといった環境を重視するとよいでしょう。自分が仕事のしやすい環境で働けるのであれば、前向きな目的を立てやすくなり、目的を達成しやすくなるのです。
企業や人事担当は、従業員アンケートや面談などで職場への不満や希望をヒアリングし、願いを可能な限り叶えられるよう善処しましょう。たとえば、ソフトバンクではワークライフインテグレーションの実現のために独自のパルスサーベイを実施。大学と共同開発したパルスサーベイを用い、従業員の仕事の状態だけではなく、生活や健康面も計測し、その結果をフィードバックして環境を整えているのです。こういった施策によって多くの従業員が働きやすさに満足し、離職率も低くなっています。
パルスサーベイのように高頻度でアンケートを実施すると、従業員の心理状況や健康状態をリアルタイムで把握でき、素早い対応が可能になります。
仕事の目的を達成するには、自分一人の力だけでは難しいものです。周りと協調して働くことによって、さまざまなサポートを受けられるようになり、仕事の目的を達成しやすくなるでしょう。職場の上司や同僚、部下との交流を大切にすることで、困った際には助けてもらい、成果を上げた場合は一緒に喜び合えます。そのような関係性を築けると、仕事を前向きに考えやすくなり、仕事の目的を立てる場合にも前向きな考え方ができます。
会社は、従業員同士の交流を促す取り組みをしてみましょう。レクリエーションやクラブ活動、社内イベントなどを実施することで交流の機会を増やすことができます。楽しい体験ができ、仲間意識が高まれば、会社に離れる理由も少なくなるでしょう。仕事のやりがいや達成感のみでは、なかなか従業員をつなぎとめることは難しいもの。仕事外の活動でも会社が従業員とかかわりを持つと、離職率の低下につながります。
株式会社ジャコムでは、従業員によるクラブ活動の支援を行っています。フットサル部や軟式野球部、サイクリング部、ランニング部などがあり、どの部も活発です。
また、トヨタ自動車はトヨタクラブとして社内に35の運動部が設置されています。さらに、教養部会として、合唱部や吹奏楽部、レク研も活動しています。トヨタ自動車の運動部は数々の大会に参加して、優勝を果たしたこともあるほど。クラブ活動の大会での優勝を目指すことは、企業で働く大きな目的の一つともなるのです。
仕事の目的について、重要性や考え方、具体例などを紹介しました。何の目的も立てずに仕事をするのは、とてももったいないことです。目的を立てて仕事をすることで、より充実した働き方ができるようになります。企業側が積極的に従業員に仕事の目的を考えさせることで、それぞれがやる気を持って仕事を取り組むようになり、組織全体の活力向上も期待できるのではないでしょうか。
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