MENU

エンゲージメント

今を生きる企業に必要となる企業文化とは 意味やメリットをご紹介

公開日:2020.10.22

    企業文化という言葉があります。この言葉は簡単にいえば企業において根付いた独自の文化のことをいいます。現代は企業の形が多様化していますが、そんななかで企業が独自性を持って生き残るために、この企業文化を明文化し、それに従った会社をつくり出す必要が出てきたのです。

    そこでここでは、現代社会における企業文化の活用方法についてまとめていきましょう。

    そもそも企業文化とは

    「企業文化」という言葉が出てきたのは、実はそれほど昔ではありません。似たような言葉として「社風」「企業風土」という言葉が使われることはありましたが、企業文化という言葉が現れ、経営学の用語として使われだしたのは、最近のことです。「企業文化」がこれまで発見されなかったのには理由があります。なぜなら、企業文化は社風や企業風土のように誰かが定めて明文化されるものではなかったからです。

    それが近年になって発見されたのは、長く働いているうちに企業ごとの「違い」があることに気が付く人が増えたからです。その企業ごとの「違い」がまさに「文化」そのものだったため、企業文化と言われています。端的に述べれば、企業文化とは、企業で働いている人すべての間で形成された行動規範、ルール、価値観のことです。

    企業文化の根源である行動規範は、可視化されづらいという特徴を持っています。長く働いている社員当人でも「当社の企業文化は何か」と突然問われてすぐに答えを返すのは難しいのが普通。なぜなら、企業文化とは、経営方針や実績、上司の部下に対する態度などによって徐々に培われていくもので、文化を担う当人たちも意識せずに根付いていることが多いのです。

    上記のような特徴から、企業文化は発見されづらく、自覚されることも少ないようです。そんな空気のようなものであるのにかかわらず、企業文化は無意識下で企業全体に大きな影響を与えています。しかも、企業文化が業績に 関わることも少なくありません。そのため、現代社会では企業文化を意識的に制御しようとする試みが行われています。

    実際にベンチャー企業では、意図的に企業文化をつくり出したり醸成する方法を考える場合も多いようです。また、悪い企業文化を狙って排除し、社員が働きやすい環境をつくり出そうとする試みも行われています。

    企業文化と社風の違いとは

    企業文化とよく似ている単語に、「社風」という言葉があります。この言葉は昔から使われており、たとえば「弊社は風通しのよい社風で~」「自由な社風で~」「努力が評価されやすい社風で~」というように、会社の雰囲気を表すのに使われてきました。つまり、社風とは「どんな会社?」と聞かれたときの返答だと考えていいでしょう。社員一人ひとりが感じ取る会社の特徴が、そのまま社風といえるのです。そのため、例え同じ会社だとしても、上司の方針や部署によってまったく違う社風を感じ取る方も少なくありません。

    一方、企業文化とは、社風よりも、企業をより広く俯瞰したものです。従業員全体が共通した認識を持つに至ったものが「企業文化」といえます。それぞれの部署で違った社風を感じる場合や、違った印象を抱く人が多い場合は、社風が文化として熟成されていない状態です。つまり、企業文化は「企業全体の特徴」であり、社風は「個人の感想」のことだといえます。個人の感じる感想が企業全体に波及し、それが「当たり前」として根付いたものが企業文化です。

    企業文化が必要とされる理由とは

    なぜ現代社会では企業文化を明文化しておく必要があるのでしょうか。その理由は、企業文化を明文化して持つことは、従業員にも会社にもメリットがあるからです。具体的なメリットは三つ存在します。

    一つ目は、従業員へのメリットです。企業文化を明文化することは、つまり「どのように働けば評価されるのか」ということを文章にすることでもあります。すると、従業員のなかで迷いが生まれなくなります。意志決定が必要なときに、企業文化を中心に考えることによって迷わずに選択が可能です。

    明文化された企業文化があるということは、つまり「全従業員が同じ物差しを持っている」ということと同義です。これが個人個人別の信念のもとに意志決定をしようとすると、一つの決定をするのにも意見が割れ、まとまらなくなってしまいます。しかし、素早い意思決定ができれば、企業文化に従った決定が支持されるようになるため、不要な会議など無駄な時間を減らすことが可能です。

    二つ目は、従業員と企業の両方にとってのメリットです。それは、企業側と従業員との結束が強くなり、お互いを信頼し合って働けるということです。明文化された企業文化は、それ自体が行動規範や「こうあるべし」という目標としての力を発揮します。つまり、企業文化を持つことで従業員が同じ目標に向かって歩けるようになり、企業にとっても有益なのです。

    歴史が証明しているように、同じ目標を持った人間は強い連帯感を発揮し、大きなことを為します。それが仕事にも適応され、業績の向上が期待できるでしょう。さらに従業員の間で協力的な雰囲気が生まれるため、気持ちのよい状態で働くことが可能です。

    三つ目は企業にとってのメリットで、離職率の低下です。企業は募集要項に企業文化を掲げることにより、それに共感した採用希望者が集まるようになります。結果、入社してみて印象が違ったというようないわゆるミスマッチが起きづらくなり、早期退職されるということが少なくなるのです。

    このように、企業文化は企業にとっても、そこで働く従業員にとっても大きなメリットがあります。そのため、現代社会では企業文化を明文化して掲げることが必要だとされているのです。

    良い企業にするためには必要?企業文化を構成する要素

    企業文化を明文化するためには、その中身が何なのかを考えなければなりません。具体的に、企業文化を構成する要素を知らなければ、企業文化を明文化するのは難しいでしょう。そこでここでは、企業文化を構成する8種の要素を紹介します。単語だけを並べれば、企業文化に関連する要素は「将来の展望(ビジョン)」「社会への使命(ミッション)」「価値観(バリュー)」「慣行」「人」「ストーリー」「場所」「外部の影響」です。

    ビジョン、ミッション、バリューは、企業文化を構成する最も根本的な要素です。これらの要素は企業がどこを目指すべきなのか、何をすべきなのか、どうやって目的を達するのかを表しています。これらを明確にすることで、企業はそこに勤める人々の行動規範をつくることが可能です。

    慣行とは、企業がこれまで積み重ねてきた歴史のなかで、当然のこととして受け継がれてきたこと。例えば、「定時退社」、「サービス残業」といったものが慣行の最たるものでしょう。これを明文化することにより、よい習慣は受け継がれ、悪い習慣は排除することができます。

    人とストーリー、場所は、企業自体を構成する要素です。どんな「人」が、どんな「場所」で、どんな「ストーリー」から起業したのか、ということを受け継ぐことで、社員の間に根付く意識をより硬いものにできます。

    そして最後に、企業文化は外部からの影響も含んで完成します。企業文化は一度根付いたら変わらないものではありません。マスコミ、取引先、経済界、需要といったもので変わっていきます。例えば、「ブラック企業がマスコミに違法労働を暴かれて残業ゼロに」といったような企業文化の変化は、外部からの影響という要素が如実に企業文化に干渉した例でしょう。

    気になる!企業文化を導入して成功した事例

    企業文化を明文化して成功を収めた例としてあげられるのが、「メルカリ」です。メルカリはベンチャー企業からスタートし、フリマアプリの運営を通して成長、今や日本最大手のフリマアプリとして君臨しています。そのシェア率は、日本最大級の財源を持っている「楽天」の力をもってしても、その牙城が崩れなかったことからもわかるはずです。

    メルカリはミッションとバリューを明文化し、極端にルールを少なくすることにより、上下関係が薄く、社員全体が協力的な企業文化を生み出しました。メルカリが定めたバリューは、「Go Bold(大胆にやる)」「All for One(全てはひとつのために)」「Be a Pro(プロフェッショナルになれ)」です。これにより、メルカリは風通しのよい職場をつくり、現場からの意見を吸い上げて、次々とアプリを改良していきます。さらに関連サービスも充実させ、今や日本最大のフリマアプリとなったのです。

    外部から分析しても、忌憚のない意見を交わせる企業文化がメルカリの成功の一因といえるでしょう。メルカリの例はあくまでもベンチャー企業が最初から掲げていた目標にあった成長を遂げた例ですが、どんな老舗企業でも企業文化を変えることはできます。これを参考にして、企業文化の改革をしてみるのも一つの手段でしょう。

    企業文化をどのように活用する?メリットとデメリットをチェック

    企業文化は、すべての従業員の行動規範として機能します。そのため、従業員への説明の際に文章で説明したり、スローガンとして掲載し、各種媒体に掲載したりといった形で活用しましょう。企業文化を外部に発信したり、従業員に共通認識として行き渡らせたりする理由は、そこに大きなメリットがあるからです。それは「従業員の結束が強まる」「意志決定が早くなる」「離職率が減る」ということです。しかし、企業文化は必ずしもよいことばかりではありません。

    たとえば、企業文化の旗のもとに集う人ばかりを採用してしまうと、企業の中で思考パターンが凝り固まってしまい、革新的な発想が見えなくなってしまいます。さらに、自分の思考に従わない人を排除してしまう図式が出来上がる可能性もあります。こうしたデメリットも意識したうえで、うまくメリットだけを活用できるように工夫を凝らしましょう。

    まとめ

    企業文化とは、企業が持っている価値観や行動規範、目標を明文化したもののことをいいます。社風と異なるのは、企業の従業員すべてが共通して認識として浸透しているという点です。企業文化を明文化することにより、企業の空気を形づくることができ、意志決定の指針を定めることができます。

    企業文化を活用するためには、実際に明文化し、しっかりと浸透させる必要があります。企業文化を活用することで強い組織をつくることができますが、社長のエゴともとれる企業文化はなかなか浸透していきません。経営陣で話し合い、企業の体質にあった企業文化をつくっていきましょう。

    人事、HRに関するお役立ちレポート無料ダウンロードはこちら

    この記事を書いた人

    HR BLOG編集部

    このブログでは、「経営者と役員とともに社会を『HAPPY』にする」 をテーマに、HR領域の情報を発信しています。

    この記事もオススメ!

    一覧へ

    オンボーディング Onboarding 「新卒社員」や「中途社員」が辞めない仕組みづくり

    『オンボーディング』とは、新入社員をスムーズに社内に溶け込ませ、パフォーマンスを上げさせるための一連の仕組みづくりを言います。
    この冊子ではHR先進国であるアメリカ企業の事例も踏まえ、人材育成のための最新のメソッドを解説。
    オンボーディングの具体的な取り組み方をご紹介しています。

    ダウンロード

    入社サポート業務をオートメーション化 MotifyHR
    人事評価ハンドブック 評価制度構築&運用パッケージ
    特別動画 MotifyHR
    無料簡易診断 エンゲージメントサーベイお申込みはこちら MotifyHR
    【5/9】<2024卒採用>内定辞退防止セミナー
    【5/17】あなたの会社の評価制度は大丈夫?従業員が辞めたくなる人事評価制度の共通点
    マンガで分かる「オンボーディング」のはじめかた!MotifyHR導入で新入社員の即戦力化と早期離職防止をサポート!