オンボーディング Onboarding 「新卒社員」や「中途社員」が辞めない仕組みづくり
『オンボーディング』とは、新入社員をスムーズに社内に溶け込ませ、パフォーマンスを上げさせるための一連の仕組みづくりを言います。この冊子ではHR先進国であるアメリカ企業の事例も踏まえ、人材育成のための最新のメソッドを解説。
オンボーディングの具体的な取り組み方をご紹介しています。
エンゲージメント
公開日:2019.11.25
社員が退職を申し出てきた場合、優秀な社員ほど会社は引き留めようと力を入れることでしょう。しかし、引き留めた後の対応によっては、逆効果となり、結局退職してしまうことになりかねません。退職しようとする人を引き留め、それでも退職してしまったとき、会社としてはどのように対応すべきなのでしょうか。気を付けるポイントをご紹介します。
目次
中小企業にとって、優秀な人材はとても貴重な存在です。少子高齢化が叫ばれる昨今、貴重な労働力の確保はこれから企業が生き抜くうえで、必要不可欠だからです。それでは、エース社員が退職の申し出をしてきたとき、中小企業はどのようにして引き留めるべきなのでしょうか。
まずは、退職を願い出てきた部下としっかり話し合いをし、なぜそのように思ったのか理由を明確にしましょう。その理由が「上司と折り合いが合わない」「自分の能力をもっと発揮できる場所が欲しい」というケースの場合、すぐに部署異動を提案しがちです。しかし、ただ部署異動をしたところで原因の根本が解決されていなければ、また不満が溜まり、会社や社長への不信へとつながりかねません。
その場しのぎの部署異動を提案するのではなく、きちんと「本人への期待」を伝え、「適した役割」を提供し、本人が新たな気持ちで挑戦できるような環境を整えてあげましょう。不満を解消するだけでなく、本人の満足度を上げることで、会社への不満が溜まりにくくなります。
引き留めの説得をする場合、社長や人事責任者だけで行うのではなく、同期やチームのメンバーなどにも協力してもらいましょう。他のメンバーにも一緒に引き留めに参加してもらうことで、皆から自分が必要とされていることを実感できます。また、他の目があることで会社側も調子の良いその場しのぎの話が出来ないうえに、会社の想いを他メンバーにも改めて伝えることができます。
大企業と違い、中小企業は同じメンバーで長期間仕事をすることが多く、評価や目標設定などが曖昧になってしまうことがあります。時には評価や目標設定などを根本から見直し、本人がより成長できるような環境を整えましょう。
例えば、個々のメンバーをきちんと階層づけて評価することで、エース級の社員には改めて期待している旨を伝えることができます。また、普通に過ごしていれば到達できる目標を掲げるのではなく、リスクを背負いつつもチャレンジングな目標を設定することも効果的です。そうした高い目標をクリアすることでやりがいを感じ、「自分が会社の一員として役に立てている」と実感し、社員と会社のエンゲージメントは深まるでしょう。その結果離職率の低下へとつながります。
企業にとってとても頭を悩ませることの一つに、若手社員の「連鎖退職」があげられます。エース級の社員が退職することで、その社員を目標にしていた若手社員も会社に疑問を感じ、続いて退職してしまうことがあるのです。それでは、そのような事態を防ぐためのポイントを3つご紹介します。
社員の急な退職を防ぐためにまず大切なのは、社内のコミュニケーションです。なにか小さな不満が生じた場合に、身近に相談できる相手がいればすぐに解決できる可能性があります。同僚などの横のつながりはもちろん、部署をこえたつながりがあると効果的です。そのためにも、部署の垣根を越えたランチ会やレクリエーション、上司との定期的な1on1ミーティングなどを取り入れましょう。
先ほどもお伝えしたように、エース級の社員は周囲への影響力も非常に大きいです。その社員を目標に頑張っている若手社員がいたり、頼りにしているチームメンバーもいたりすることでしょう。そのような社員が辞めてしまうと、連鎖退職が発生しやすくなります。それを防ぐためにも、影響力のあるエース級の社員はきちんと評価をして、成長を促せるようなプロジェクトに抜擢したり、昇進させたりするようにしましょう。また、どんな人材に対してもライフスタイルの変化に合わせて働きやすいように、在宅ワークやリモートワークを可能にしたり、フレックス制度を取り入れたりするのも定着に効果的です。
どれだけ環境を整えても、退職者は出てしまう場合があります。中小企業で退職者が出てしまった場合、影響力のある社員であればあるほど抜けた穴は大きいものです。残った社員にそのまましわ寄せが行ってしまった場合、負担になり連鎖退職につながってしまう可能性があります。各人の負担をきちんと把握し、負担が1人に集中しないような対策をしておきましょう。
賃金や福利厚生を手厚くするだけでは意味がありません。魅力的な上司や社長の存在は退職の抑止力になります。社員を単なる労働力としてみるのではなく、一人の「人」として大事に扱い、安心して働ける社風をつくり上げましょう。
会社で必要としている人材に退職を申し出られたら、場当たり的な配置転換でなく、本人が将来どうしたいのかヒアリングし、会社全体で引き留めを行うようにしましょう。社内のコミュニケーションを活性かし、「人」を大切にする職場であるという社風を常日頃から意識していくことが必要です。
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