オンボーディング Onboarding 「新卒社員」や「中途社員」が辞めない仕組みづくり
『オンボーディング』とは、新入社員をスムーズに社内に溶け込ませ、パフォーマンスを上げさせるための一連の仕組みづくりを言います。この冊子ではHR先進国であるアメリカ企業の事例も踏まえ、人材育成のための最新のメソッドを解説。
オンボーディングの具体的な取り組み方をご紹介しています。
エンゲージメント
公開日:2021.5.31
優秀な人材は社内に確保しておきたいものです。しかし現代はすぐに退職を考える人が多く、キャリアアップのための転職も当たり前。企業は、そういった人が辞めてしまいそうな場合、できるだけ早く気付き、引きとめられる対処方法を事前に検討しておくとよいでしょう。そこで今回は、退職の前兆と対策についてお伝えしていきます。
人材を企業に引きとめるためには、以下のような理由から、早めに気がつくことが大切になります。
早く気がつくことができれば、その分すぐに対処することができ、踏み止まらせる確率が上がります。また、退職になってしまったとしても、他の人材の確保や業務の調整を早めに行うことができ、業務の混乱を最小限にすることができます。
退職を考え始めたばかりという段階であれば、説得によって退職を避けられる可能性があります。退職願を用意されてしまうと、すでに意志が固まっているため、そこから考えを変えさせることは難しいでしょう。
退職を決意した人が問題を抱えている場合、その解決をサポートできる場合があります。会社として全力でサポートをすることで解決や改善ができれば、場合によって退職の理由がなくなるかもしれません。早いタイミングで悩みや不満を発見して、解決を図るとよいです。
離職者が出ると、それがどのような従業員であっても損失は大きくなります。採用から育成までのコストが無駄になってしまうからです。さらに退職によって新しい従業員を雇う場合は、新たなコストが生じます。他の従業員に穴埋めをしてもらう場合は、既存の従業員の負担が増してしまうことに。その結果、負担が増えた従業員の退職が誘発される恐れがあります。
仕事を辞めたいと考え始めた人には、特徴が見られる場合があります。一般的な特徴をご紹介します。
今までよりも覇気がなくなっているように見えるならば、何か悩みを抱えているか、やる気を失っている状態かもしれません。これまで精力的に活躍していて、覇気のみなぎっていた人が、急に変わったときは要注意です。リーダーが常に気にかけるようにして、何か悩みや不安があるのか相談に乗りましょう。
愚痴や不満ばかりこぼしている従業員は、会社への忠誠が薄れている恐れがあります。扱いや環境に不満があり、転職について真剣に悩みを抱いている場合も。この段階ですぐに対処をして不満を解消してあげることができれば、会社に残ってくれる可能性もあります。
周囲を避け、社内で一人でいることが増えた人はいませんか。会社を辞めたいと考え始め、その気持ちを周りに知られたくないと思っているのかもしれません。あるいは、周りとの人間関係に嫌気が差して距離を置いているケースもあります。いずれにしても、周囲の人間関係をあまり重視しなくなった従業員がいるならば、会社からも気持ちが離れている可能性があります。
これまで真面目に働いていたのに、急に欠勤や早退、遅刻などが増えた場合、退職を考えているため、態度や業務がおろそかになっているのかもしれません。もしくは何か問題を抱えている状態で、それが将来的に退職へとつながってしまう可能性も。。本人としっかり面談をして、欠勤や早退などが増えている原因を確かめてみましょう。
会社で仕事を辞めそうな人の特徴について解説します。
仕事中に私用の電話を頻繁にかけている従業員は要注意です。転職エージェントとやり取りをしているなど、転職活動かもしれません。転職活動も佳境に入っているかもしれません。この段階ですぐに対処しないと引き止めることは難しいでしょう。
仕事中、なんだか落ち着かない態度を取っている人、ソワソワして業務に集中できていないように見える人は、すでに転職活動中でバレないように周囲を警戒している可能性があります。特に、転職活動をしていることについて負い目を感じている場合は、仕事に集中できずにいるものです。このように普段とは違う様子を見せている従業員がいるならば、リーダーが積極的に話しかけて理由を確認してみましょう退職しようとしているかどうか、見極めることができるかもしれません。もちろん、問いただすような態度は控えるべきです。
会社に関することに関心を示さないケースがあります。この場合、すでに自社への愛着をなくしている恐れがあり、こだわりもなくなっていて、すでに気持ちが次へ向けられているのかもしれません。もう長くいるつもりがないため、人事異動や会社の新事業、新プロジェクトといったものについてまるで興味がなくなっているのです。この段階に至ると気持ちを変えるのは難しいかもしれません。
仕事を辞めそうな従業員を見つけたならば、できるだけ早く適切な対処をするべきです。具体的な対処法についてご紹介します。
会社を離れる前兆のある従業員に対しては、一刻も早く面談をして本当の気持ちを確かめることが大切です。あくまでも冷静に何気ない話をして、何か不安や悩みを抱いていないのか、会社に対して希望を持っていないのか、本心を探っていきます。この段階で下手なやり取りは逆効果です。面談をするリーダーには高いスキルが求められます。事前に研修をして面談のコツや心構えなどを学ばせるとよいでしょう。スキルのある人間が面談をすれば、従業員も気持ちをスムーズに伝えることができます。
しっかりと話し合って上手く食い止められるのが理想的です。面談で気持ちを話せてスッキリすると、退職を撤回してくれるという希望もあるのです。
面談をした結果、現在の職場の仕事や人間関係について悩みを抱いていることがわかったならば、他部署に転属させるという対処も有効です。別の部署に移ることによって、人間関係はすべてリセットされます。新しい仕事に取り組むことができ、転職するのと同じ効果を発揮するでしょう。企業にとっても、退職されるより別の部署に転属させるほうが損失は小さくなります。ただし、望んでいる部署に転属させないと、会社を離れたい気持ちが再燃してしまうことも。しっかりと話を聞いて、どのような環境を求めているのかを確かめ、適切な人事異動を行うのが大切です。
待遇に不満を抱いているならば、その従業員に対して適切な人事評価がなされているかを確認し、必要に応じて待遇改善を行うとよいです。詳しく調査をして、仕事においてどのような成果を上げてきたのか、どのようなスキルを持っているのか、その結果からふさわしい待遇を約束しましょう。これからも仕事を続けようと思ってくれるはずです。
ただし、その従業だけを優遇してしまうと、周りに不満が生じます。そのため、待遇改善については会社全体で実施することを検討するべきです。面談やアンケートで待遇に不満を持つものがいないか調べながら、不公平感が出ないよう待遇を整えましょう。
特定の従業員にだけ負担がかかっていて、心身ともに疲弊が見られるならば、仕事を休ませることも大切です。勤務状況について正確に確認し、残業が長く続いているなら是正します。併せて会社全体の労働環境の改善も促して、気軽に仕事を休めるような環境を整えましょう。そうすれば、仕事のストレスや疲れなどから会社を辞めるケースを防ぐことができます。
普段からアンケートやアプリの活用などでストレスチェックすることも有効です。ストレスが溜まったままにするのは危険です。早急に対処して解消させましょう。
辞めそうな人が優秀であれば、裁量権を与えるとよいです。リーダーに仕事の仕方を口出しされる、好きな仕事をさせてもらえないなど、自分に決定権がないことで業務に不満を抱いている場合があります。優秀な人材に裁量権を与えると労働意欲を高められ、自主的に行動し、リーダーにも縛られないため伸び伸びと仕事ができるようになるでしょう。結果、会社にとどまってくれるかもしれません。。優秀な人であれば、チームリーダーやプロジェクトリーダーに抜擢するなど、すぐに昇進させる方法もあります。リーダーとして活躍することで満足でき、会社への不満が消え、大きな成果を残して会社の業績に貢献してくれるという期待が持てます。
もちろん、裁量権を与えるのは、優秀な人物のみ。誰にでも与えてしまうのはリスクが高いでしょう。
従業員が会社を辞めたがっているのであれば、企業や人事担当は早めに把握するべきです。この記事で紹介したチェックポイントを参考にすれば、会社を辞めたいと思う前兆に気がつきやすくなるでしょう。しっかりと対策をして離職を防ぎ、貴重な人材を手放さないようにしてください。
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