オンボーディング Onboarding 「新卒社員」や「中途社員」が辞めない仕組みづくり
『オンボーディング』とは、新入社員をスムーズに社内に溶け込ませ、パフォーマンスを上げさせるための一連の仕組みづくりを言います。この冊子ではHR先進国であるアメリカ企業の事例も踏まえ、人材育成のための最新のメソッドを解説。
オンボーディングの具体的な取り組み方をご紹介しています。
HR駆け込み寺
公開日:2019.7.24
目次
このケースは…、経営者ご自身が辞めた方がいいですね(苦笑)
ピーター・ドラッカーの有名な言葉で「マネジメントとリーダーシップの違いは、マネジメントとは『事を正しく行う』こと、リーダーシップとは『正しいことをする』こと」という言葉があります。人事の責任者は、リーダーシップとして正しいことを行うべきなんですね。
この場合、人事の責任者が改善策を出し、経営者と建設的な議論が交わされた上で提案内容を練り直すように言われたのであれば理解できるのですが、そうではなくて経営者側に全く改善する気がなく、昔ながらの古き良きニッポンの考え方を踏襲していて全く時代に即していない、というのであれば、まずは『責任の所在』を明確にする必要があります。
「私は人事の責任者として、このような理由から改善案を出しました。しかし、経営陣の○○さんからこのような経営方針の下では、この改善案は認められないという判断をいただいています」というように、人事としては提案したものの、その案が採用されない理由が経営陣にあることを明確にします。
ここまで来てしまったら、この人事責任者の方はご自身の身の振り方を考えた方がよいです。
ピーター・ドラッカーは「リーダーシップとは『正しいことをする』こと」と言っているのですが、今の世の中のリーダーたちはびっくりするほど正しいことを行えていないのが現状です。正しいことが言えない、できない、今までのやり方を踏襲せざるをえない…。悪い意味で読むべきでない空気を読んでしまっているのです。結果、変革がうまく進んでいない、という企業の例はたくさんあります。
正しいことをするには「恐れ」がある状態では無理だと思います。ここで経営陣の言うことを聞かなかったら、人事の責任者として会社をクビになってしまう…。次は決まっていないし、これからの生活をどうしよう…。というような心配事があったら、正しいことを行おうにもできるわけがありません。
というわけで、改善案を出しても経営陣がうんともすんとも言わない状態でどうにもならないのであれば、まずはご自身が次に行く場所を探して、いつでも辞められるようにしてから、経営陣に正しいことをぶつけていくのがよいと思います。それでうまく行かなければ次の所に行けばよいです。
自分だけ転職してしまうと「裏切者」と思われるのでは、という懸念もあるかと思いますが、やれることはやり切ったのですからそのように罪悪感を感じることはありません。逆に、ご自身が人事の責任者としてリーダーシップを発揮し、正しいことを行って改善する準備があるにも関わらず、経営陣に受け入れられなかったことに対し、辞めていくことでメッセージを残していく、というのも正義ある行動だと思います。
「恐れ」があったら、どんな優秀なリーダーでも正しいことはできない。まずは、ご自身のことを考えて、次の行き先を見つけてから正しいことをぶつけていきましょう。やれることをやり切ったのだから罪悪感は感じなくてよし!
HRコンサルタント協会 理事。
外資系金融機関の人事部長を歴任。2013年にコカ・コーライーストジャパンの常務執行役員人事本部長に就任し、約30社の人事制度統合、企業文化改革、多大なるシナジー創出などを短期間で実現。電撃人事エグゼクティブとして名を馳せた。2017年10月にAsian Caesarsを立ち上げ、人事改革とグローバル人材育成のエキスパートとして、人事顧問サービス、エグゼクティブコーチング、講演など幅広く活躍。大手企業のリーダー達への変革指南で多忙な日々を送る。
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