オンボーディング Onboarding 「新卒社員」や「中途社員」が辞めない仕組みづくり
『オンボーディング』とは、新入社員をスムーズに社内に溶け込ませ、パフォーマンスを上げさせるための一連の仕組みづくりを言います。この冊子ではHR先進国であるアメリカ企業の事例も踏まえ、人材育成のための最新のメソッドを解説。
オンボーディングの具体的な取り組み方をご紹介しています。
給与制度・設計
公開日:2019.11.29
昇給や昇格を握るのが「人事制度」です。なぜ会社にとって「人事制度」が重要なのか、考えてみたことはあるでしょうか。
本記事では、人事制度の内容や構築方法についてご説明します。
そもそも、人事制度が何を指すのか整理してみましょう。本来の人事制度とは、労務管理を含む人事に関わる仕組み全般を指す広義のものでした。しかし、近年では「等級制度」「評価制度」「報酬制度」に絞って「人事制度」と呼ぶことが増えています。
仕事の内容や能力のレベルなど、基準の元で段階を定め、社員の位置づけを決めるもの。人事制度全体の柱でもある。
人事考課、査定とも呼ばれる。社員の成果や能力を評価するもの。評価の結果により、報酬の金額や出世・降格が決められる。
等級や評価により、報酬の金額が決められる仕組みのこと。
人事制度を運用する際のポイントは、以下の2点です。
会社が人事評価を下す際は、基準に会社理念が反映されているのかがポイントです。会社理念には、その会社が社員に求めていることが表れているため、人事評価で見るべき基準に適しているというわけです。
なお、給与には福利厚生として各種手当も含まれています。手当にも、会社の社員に対する思いが反映されているものなのです。
人事制度は、経営資源の一つです。経営資源には「人」「モノ」「カネ」の3つがあり、人事制度は「人」に関わる組織ルールです。
「人事」とだけ聞くとポジティブな印象を抱かない人もいるかもしれませんが、企業にとって、人事制度の目的は会社の経営をよくするためだけではなく、社員にモチベーションを維持して元気に働いてもらう目的もあるのです。
人事に携わる担当者がまず理解しておきたいのは、人事制度は「部分最適」ではなく「全体最適」を目指すべきものであるということ。経営理念や戦略を全社員に浸透させる役割を担っているものが人事制度だからです。
人事制度を設計・構築する手順は以下の5ステップです。
1:経営の方向性・人材確認
人事制度は経営者の経営理念や経営戦略を社員に浸透させるためにあります。そのため、人事制度の設計を行う前に、経営の方向性と必要となる人材のイメージを経営者に確認しましょう。
経営の方向性は、経済状況や今後のビジョンによって変化します。その変化により、今必要とされる人材も異なるのです。そのため、必ず「今現在」の経営者が抱いている方向性・人材像を把握しておくことが必要だといえます。
2:等級の決定
次に決めるのは等級です。あまり少なすぎると昇格までのステップが大きくなりすぎるため、社員のモチベーション低下に繋がってしまいます。一方、多すぎても頻繁に昇格できてしまうため、喜びや達成感が小さくなってしまうということも。適切な等級数は10前後といわれているため、これを目安にしましょう。
なお、等級は職位と連動させ、「部長は5~6等級」と決めておくことも大切です。また、等級を判断する際に重要視する項目は「職務」なのか、それとも「能力」なのかといった点も決めておきましょう。
3:評価基準決定
評価の基準が曖昧では、社員もどうがんばっていいのかがわからず、いまいちモチベーションをあげることができません。「これができれば評価します」という基準を決め、社員にも明らかにすることがベストでしょう。
評価基準は、事務や営業、販売など、自社にある部署ごとに決めておくことをおすすめします。部署の仕事内容によって求められるものや出せる結果のタイプは異なるため、全部署共通にしてしまうと不満を抱かれてしまう可能性があるためです。
4:報酬基準決定
報酬・等級・役職の3項目を連動させて報酬基準を作ります。「A等級のB役職者の賃金はC万円」とはっきりさせておきましょう。
なお、基準を作る際は給与の原資にも意識を向けましょう。何度もシミュレーションを行い、慎重に決めることが大切です。
5:昇格基準・プロセス決定
基本的には、昇格は1等級ずつなされます。しかし、社員によっては突如飛躍的に能力を伸ばす人もいるでしょう。こうした社員を適切に昇格させることは、離職を防ぐために重要です。とはいえ、その場その場で飛び級昇格を行っていては、その他社員からの不満を増幅させる原因になってしまうことも。
昇格する社員、その他社員が双方納得できるよう、例外的な昇格基準やプロセスについても、あらかじめ決定し説明できるようにしておきましょう。
人事制度とは、経営者が抱いている会社ビジョンを実現させるためのツールです。制度を新たにつくる・見直す場合は、ただ変革することだけを目的とせず、意識を持って検討・構築しましょう。人事制度は、人材教育や人材開発につながる重要な施策なのです。
人事制度立ち上げ後には、定着するまでしっかりと運用を続けることが大切です。PDCAサイクルを回し、常に必要な部分を改善していくようにしましょう。
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