オンボーディング Onboarding 「新卒社員」や「中途社員」が辞めない仕組みづくり
『オンボーディング』とは、新入社員をスムーズに社内に溶け込ませ、パフォーマンスを上げさせるための一連の仕組みづくりを言います。この冊子ではHR先進国であるアメリカ企業の事例も踏まえ、人材育成のための最新のメソッドを解説。
オンボーディングの具体的な取り組み方をご紹介しています。
オンボーディング
公開日:2019.8.29
これまで、会社の新人教育の多くは、新入社員や中途社員に対し、一斉に座学やオリエンテーションの場を設けるものが一般的でした。その後は現場に任せ、継続的に手厚くサポートする企業のほうが少なかったのではないでしょうか。
こうした一斉型・単発型の新人教育は、職場になじめないと判断した新入社員の早期離職につながります。人手不足に悩む企業が採り入れ始めたのが、従業員エンゲージメントを向上させられる「オンボーディング」です。
オンボーディングのプロセスに沿って柔軟に対応することで、定着率の向上が期待できるほか、新入社員だけではなく、中途採用者、出向者にも適応できる施策です。この記事では、オンボーディングによるメリットや、成功させるためのコツについて紹介します。
目次
エンゲージメントを「上げる」ために何ができるか、といった方向で人事戦略を考えている会社は多いのではないでしょうか。
しかし、エンゲージメントはモチベーションと同様に主体的なものです。そのため、外部からの影響により「上げられる」ものではなく、「上がる」ものだと捉えるほうが適切だといえます。
会社側が行えることは、「エンゲージが上がるための刺激を与えること」に尽きるでしょう。そのために、どのような刺激を与えればいいのか、どのタイミングで与えればいいのかがポイントです
エンゲージが高まるとき、人は自分の意思を持った方向に歩けています。会社から指示されたから行うのではなく、自分もやりたい方向性のものだからやる。そう思えることで、エンゲージが高まるのです。
では、具体的にオンボーディングを進めるためにはどのようなプロセスをたどればよいでしょう
オンボーディングにおいて、第一印象は特に重要です。入社初日には歓迎ムードをつくり、明るくリラックスした雰囲気で新入社員を迎え入れましょう。
必要な事務処理などについて、的確に指示を与えることも忘れてはいけません。
新入社員に求められる役割、責任、成果を明確に伝えましょう。必要なツールへのアクセス方法を確認し、結果が出せる環境を整備します。
チームメンバーとなじめるよう、人間関係の構築をサポートします。キーパーソンとなる責任者を紹介し、ランチや面談などで話をする機会を設けることも重要です。
コミュニケーションをとりやすい環境をつくり、社内の雰囲気に馴染んでもらうことで、新入社員のエンゲージメントを高められるでしょう。
オンボーディングを導入することによるメリットには、以下の4つがあげられます。
1人の当たりの新規採用コストは50~60万といわれています。
また、ある調査によると、一人前に仕事ができるようになるまでに離職してしまう社員は、10~20%いることがわかっています。
オンボーディングにより、これらのコストが削減されるのは、大きな意味を持つといえるのではないでしょうか。
オンボーディングを成功させるためのコツは、以下の4つです。
・新入社員・中途社員を受け入れる環境づくり
・評価とフィードバック
・必要以上のプレッシャーを与えない
・適切な情報共有
1つ目と2つ目については、イメージがつきやすいのではないかと思います。
3つ目のプレッシャーについては、特に有名大学の卒業生といった肩書の持ち主や、何らかの国家資格を保有している新入社員に対してやってしまいがちなことではないでしょうか。
いくら経歴や肩書が立派なものであっても、入社した会社ではまだまだ新人です。その段階で過剰な期待をかけてしまうのは、必要以上のプレッシャーになってしまうでしょう。
特に、この点で注意したいのは中途社員です。新入社員とは異なり、中途社員は即戦力になることを期待される傾向にあります。特に経験者採用であればなおさらです。
プレッシャーがいい方向に作用して高パフォーマンスにつながるケースもありますが、場合によっては十分な能力を発揮できなくなるケースも起こりえます。過度な期待をかけず、本人の能力や性質も見極めた対応を心がけましょう。
就職した会社の印象は、入社後1ヶ月で決まるといわれています。ここでいい印象を抱ければ、早期離職を防げるでしょう。
特に、同時採用者が少ない中小企業や出向者、中途採用者は、社内で頼れる人が見つからなければ孤立してしまいがちです。会社側がサポート体制を整え継続的に、接していくことで定着率があがります。オンボーディングを活用し、長期的な戦力を獲得しましょう。
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