オンボーディング Onboarding 「新卒社員」や「中途社員」が辞めない仕組みづくり
『オンボーディング』とは、新入社員をスムーズに社内に溶け込ませ、パフォーマンスを上げさせるための一連の仕組みづくりを言います。この冊子ではHR先進国であるアメリカ企業の事例も踏まえ、人材育成のための最新のメソッドを解説。
オンボーディングの具体的な取り組み方をご紹介しています。
パフォーマンス管理
公開日:2019.7.18
働くうえで、仕事の「属人化」は避けられないものです。働き方改革が提唱され、残業の削減や業務改革が進められ、属人化によるデメリットにも注目されるようになってきました。
しかし、属人化は悪いこと、言い切れるものではありません。属人化のメリットとデメリットを理解し、よりよい環境づくりに向けてどうすればいいか探っていきましょう。
目次
「属人化」とは、ある業務を担当者だけが作業し、他の人にはその業務の詳細がわからない状態を指します。「担当者が外出しているのでわかりかねます」といった状況が発生してしまうと、属人化してしまっている証拠です。
それでは、属人化のメリットとデメリットを見てみましょう。
仕事を属人化することで、その業務の担当社員の知識やレベルは上がります。創意工夫を繰り返しスペシャリストになることで、結果的に仕事の効率が上がったり、売上アップにつながったりします。
個人の能力の向上は、会社のブランド力の向上にもなります。個人の強みは会社の強みでもあり、「あの会社には○○さんがいるのでお任せしてみよう」など、個人を通じて会社の信頼にもつながるのです。
仕事を属人化してしまうと、担当者が持っているノウハウを隠して自分のポジションを守ろうとする可能性があります。そのような環境では他の従業員は育ちません。属人化された仕事を囲い込んでいるスペシャリストだけが生き残れる会社になり、その従業員が退社してしまうと誰も引き継げない状況になってしまいます。
仕事をしているとどうしてもミスは発生してしまうもの。しかし属人化している場合は、担当者しかわからない業務が多いため、ミスの隠蔽につながる可能性があります。大きな問題になってからミスが発覚すれば、取り返しのつかない状況になってしまいます。
仕事が属人化してしまうと、担当者が急病などで休んだ場合、その業務が滞ってしまうというリスクがあります。期日が決まっている仕事であれば、仕事相手にも迷惑がかかります。また担当者しか仕事を把握できないため、周囲が手伝えず担当者だけが忙しいという状況に陥ることもあります。
属人化にはメリットもデメリットもあり、一概に悪いとは言い切れません。良い「属人化」と悪い「属人化」について具体的に見てみましょう。
良い「属人化」とは、仕事を属人化することで効果が上がる場合を指します。例えば、接客や販売などその人の個性が発揮できる仕事や、高度な技術が必要なシステム開発や設計などです。このように専門性の高い仕事や、習得するまでに時間がかかる仕事、臨機応変な対応が求められる業務などにおいては、属人化は効果を発揮するのです。
このような業務の場合であっても、属人化にはリスクが伴います。従って、業務を引き継ぐための準備を早めにしたり、引継ぎに適した人を見つけて十分な育成時間を確保したりするようにしましょう。
悪い「属人化」とは、属人化することで効率が下がったり、先方に迷惑がかかったりする場合を指します。例えば、ルーティンワークを含む事務や承認フローなど、業務手順が明確で誰がやっても支障がない業務や、各部署の連携が必要で不透明であってはいけない業務などがあげられます。
属人化を防ぐためには、マニュアルを作成し、誰が見ても業務がわかるような仕組みをつくる必要があります。それでは、マニュアルをつくるための3ステップを見ていきましょう。
まずは、属人化されている業務をすべて洗い出してみましょう。出てきた業務を「属人でないといけない業務」「マニュアル化できる業務」に仕分けます。
そして、「マニュアル化できる業務」を緊急性や重要度などの視点で並べ、優先順位の高い業務から改善点がないか振り返ってみましょう。
次に、「誰がやっても同じ成果が出る」ように、実際にマニュアルを作成してみましょう。長期スパンで考えず、1週間などの業務をマニュアル化するようにすれば、それほど難しくはありません。マニュアルのスタート地点と終了地点の状況を明確にしておくと、仕組みとして、より運用しやすいものになります。
マニュアルが完成すれば、実際に活用して検証してみましょう。仮説・実践・検証を繰り返すことで、よりよいマニュアルになっていきます。また、一度完成したマニュアルであっても、状況に応じて最適なものに改善し続けましょう。
人には個性があり、働くうえで多少の属人化は必ず発生するものです。
属人化によるメリットとデメリットを把握し、必要な場合は業務を洗い出してマニュアルを作成し、よりよい職場環境をつくりあげていきましょう。
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