オンボーディング Onboarding 「新卒社員」や「中途社員」が辞めない仕組みづくり
『オンボーディング』とは、新入社員をスムーズに社内に溶け込ませ、パフォーマンスを上げさせるための一連の仕組みづくりを言います。この冊子ではHR先進国であるアメリカ企業の事例も踏まえ、人材育成のための最新のメソッドを解説。
オンボーディングの具体的な取り組み方をご紹介しています。
パフォーマンス管理
公開日:2019.5.3
ドラッカーが考えた目標管理制度は、組織貢献と自己成長の両方が達成できる個人目標を設定させ、その達成度で評価を行う人事制度として用いられています。人事評価の場面において、ノルマを目標と言い換えている場合もありますが、そもそも「ノルマ」と「目標」には、どのような違いがあるのでしょうか。
「ノルマがきつくて、目標が達成できない」という声を聞くように、ノルマと目標は似ているようで概念が異なります。
ノルマとは、ロシア語で“強制的に与えられる労働の基準量”のこと。
自ら設定する目標とは違い、人から押し付けられるものです。
営業職などでは、数字としてノルマが可視化され、それを達成できなければペナルティが課される場合もあります。
逆に達成できれば給与が増えたり役職が上がったりもしますが、未達成によるモチベーション低下を引き起こすケースのほうが多いでしょう。
一方、目標は自ら設定し、自分の存在価値を高めるためのもの。
他人に強要されるものではないため主体的に動くことができ、モチベーションも上がりやすいと言えます。
これら「ノルマ」と「目標」を正しく理解することが、マネジメントに必要となります。
仮に、個人が設定するよりも大きな目標達成が最終的に必要な場合は、成功させるまでの期間を細分化し、少しずつ達成できるよう管理してみるのも一手。
最初から高い目標を提案してしまうと、当事者は萎縮して、場合によってはやる気を失います。
そのため、従業員一人ひとりに見合った目標を最低限のノルマとして捉え、コンスタントに面談をしながら目標達成をサポートしていくことがカギとなります。
部下の能力と意欲を伸ばすには、経営者や管理職のマネジメント能力が不可欠です。
新人社員がやるよりも、自分がやったほうが早く片付くなどの理由で、人と仕事を管理する=マネジメント業務を怠る人もいます。
それでは、目先の仕事は達成できても、長期的な成果向上にはつながりません。
また、部下に一連の仕事を任せたにもかかわらず、上司が途中から細かいことに口出しして現場を混乱させるといった話も尽きません。
「根気が足りない」だとか「プロ意識がない」などという精神力で圧力をかけるのはもってのほか。
マネジメントを間違うと、有能なはずの従業員たちのモチベーションを下げ、業績悪化につながりかねません。
ある人材教育機関は、人の能力と意欲向上には、正しい評価と処遇が重要だと説明しています。
部下が積極的に働ける環境づくりのためには、やはり上司の支援が必要です。
個々の意見にしっかり耳を傾けたうえで、管理職としての一貫した意見を丁寧に伝えること。さらに、1~2カ月に1度など定期的に面談の場を設け、双方が納得できる話し合いを成立させること。
これらのコミュニケーションこそが、部下のやる気を高め、成長へと導くのです。
組織の都合であるノルマは、どんな優秀な従業員をも苦しめてしまう場合が多くあります。
劣悪な労働環境下では、達成不可能なゴールが決められ、そのプロセスまでも指定され、従業員の主体性を完全に奪うケースも。
会社としての成果を上げるためには、組織ごとの目標水準を引き上げることも大切ですが、そもそも達成できないと意味がありません。
そこで、「ノルマ管理」よりも昨今重視されているのが「目標管理」です。
目標管理は、最終的なゴールは会社の決定が反映されますが、基本的には一つひとつクリアすべき項目と手段を自分で選べることがポイント。
つまり、従業員が個々にやるべきことを定め、それを達成するため工夫して進めていけるということです。
ここで大切なのは、個人の目標が組織目標に貢献できる内容であることと、努力次第で達成可能な目標であること。
また、その目標が達成できるような環境があり、支援・指導ができる優秀な先輩や上司がいることも重要です。
目標管理という言葉から、どうしても目標を管理する制度と思われがちですが、本来、目標管理制度は組織マネジメントの概念の一つです。
目標管理制度で会社の業績と従業員のモチベーションを同時に引き上げるためにも、客観性を守る、コミュニケーションを取るなど、制度の弱点を乗り越える環境づくりを整え、ノルマ管理でなく目標管理に注力しましょう。
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