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パフォーマンス管理

ピーター・ドラッカーの「マネジメント」で「MBO」を知り、社員を育てる!

公開日:2018.12.7

    名著「マネジメント」で知られるピーター・ドラッカー。彼が提唱する「目標管理制度」=MBOという概念には、従業員のパフォーマンスを管理するうえで重要なポイントが含まれています。
    MBOをうまく活用するために、まずはそのイロハを整理していきましょう。

    今、目標管理制度=MBOが注目される理由

    10年程前に大ヒットした小説“もしドラ”(「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」)。これを機に注目され、現在もマネジメントの重要項目とされているのが、経営学者ドラッカーの「目標管理制度」=MBOです。組織貢献と自己成長の両方が達成できる「個人目標」を設定させ、その達成度で評価を行う人事制度として用いられています。
    経済の低迷に伴い、日本だけでなく世界中の企業でコストカットは必然でした。そこで、人件費は抑え、業績の良い従業員にはしっかり還元するという成果主義が主流となってきました。

    そんな仕組みづくりを行うなかで、トップリーダーたちが参考としたのが「MBO」です。
    従業員一人ひとりの目標をどのように管理し、意欲を持続させ、なおかつ会社の業績アップにつなげていくのか?その具体例を次で見ていきましょう。

    MBOの目標パターンとその運用方法

    一般的にMBOには2つの意味があります。
    一つはManagement By-Out(経営陣による買収)、もう一つは本テーマの「目標管理制度」=MBO。このMBOは、英語でManagement By Objectivesのことで、直訳すると“目標によるマネジメント”という意味です。MBOの運用にはまず、上司と部下のコミュニケーションがしっかりと取れていることが条件となります。部下は上司の合意を得て個人目標を掲げ、その後自己と上司が双方で評価をします。
    例えば、目標達成に対してA~D評価をする場合は、

    1. チームの営業力を向上する:A
    2. 1ヵ月で個人売上げ1,000万円を達成する:B
    3. 残業ゼロで、1日のノルマをクリアする:C

    といったイメージです。
    これらの個人目標と評価を上司・部下が一緒に検討しながら、適宜、助言や提言をし、A評価の多かった従業員には報酬を与えるなど考慮していきます。また経営者は、これら一人ひとりの目標と達成度を確認して、組織目標を再設定・評価できるのです。
    会社が充てたノルマを従業員が嫌々クリアするのではなく、個人で設定した目標を達成するべくモチベーションを高めていく。それがMBOの本質であり、重要ポイントです。人事評価制度としても取り入れられている場合がありますが、一方で上手に運用できないと従業員の稼働力を低減させてしまうので、注意が必要です。

    MBOのメリット・デメリットとは?

    MBOの運用で失敗しないために、メリットとデメリットを確認していきましょう。
    まず、メリットとして押さえておきたいポイントは3つ。

    1. 目標と評価が明らかなため、人事評価も容易になる
    2. 個人が目標達成のために、自ずと創意工夫ができるようになる
    3. 社員一人ひとりの成果が各々の自信になり、意欲向上につながる

    現在、約7割以上の企業が導入していると言われるMBOは、それぞれの企業で人事考課や能力開発にプラスの影響を与えています。従業員にとっては、上司と相談のうえ設定した目標を達成することは、自分の存在価値を確認できるいい機会です。企業の売上に貢献していると感じ、モチベーションアップにもつながるのです。
    一方、留意しておきたいデメリットには次のようなことが考えられます。

    1. 個人が目標を低く設定してしまう
    2. 目標意外のことは“関知せず”状態にも
    3. なかなか成果が上げられない従業員は意欲が低下する

    「評価を受け昇給を狙いたい」と、あえてハードルを低く設定しがちな従業員も出てきます。
    MBOと報酬制度が連動している企業では、目標の難易度にも目を配り、適切な指導と評価をする必要があります。また、上記と同じ理由で、評価とは無関係の業務から遠ざかろうとする従業員もいるでしょう。
    そうした場合は、デメリット1.の回避策と同じように、各企業で対策を講じているようです。
    さらに、目標設定に慣れていない・達成能力の低い従業員にとって、MBOは納得できないことも多いと感じられるようです。これらのメリット・デメリットを知ってから、導入、運営を行いましょう。

    MBOによる人事評価は日本で機能しない!?

    前述したとおり、MBOの運用には本来、上司と部下のコミュニケーションが不可欠です。しかし、日本ではこのコミュニケーションの部分が欠落しており、ただのノルマ達成目標と評価になりがちだといわれています。
    1900~2000年代にかけて導入された際、日本ではバブル経済崩壊などによる経済低迷が続き、企業も余裕がない状態であったことも一因と考えられます。これではドラッカーが提唱した目標管理ツールとしての効果はなく、ただ不満をあおるだけの制度となってしまいます。
    さらに、経営トップ陣がMBOの本質を把握しないまま導入・運営しようとしているため、うまくいかないという事態に陥るケースもあります。実際、忙しくて部下と話す時間さえ持てないという上司も多いのが現実です。しかし、MBOはコミュニケーションなくして上手に運営することは不可能です。部下から提出された書類上の目標・評価を見て判断するだけでは、MBOの運用に失敗します。
    会社全体でパフォーマンスを上げるためには、個々のモチベーションアップが欠かせません。
    MBOは、従業員が手の届きそうで届かない、少し高めの目標を設定できるよう上司が定期的に進捗を確認するなどバックアップすることも必要です。

    まとめ

    会社の業績と従業員の能力を相互的に引き上げる「目標管理制度」=MBO。これを効果的に業務の中で取り入れるためには、個人と会社の双方が客観性を守り、積極的にコミュニケーションを取るなど、この制度の弱点を乗り越える環境づくりが必須となるでしょう。

    この記事を書いた人

    HR BLOG編集部

    このブログでは、「経営者と役員とともに社会を『HAPPY』にする」 をテーマに、HR領域の情報を発信しています。

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