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パフォーマンス管理

OKRとは?意味やメリット、導入する流れについて徹底解説

公開日:2021.1.18

    OKRとは一体何でしょう。それは、今まで行われてきた日本の目標管理とは違う新しい方法として、近年注目を浴びています。この記事ではそのOKRの基本要素からそのメリット、導入する際の注意点などを取り上げます。

    OKRとは

    まずはOKRとは何かを解説しましょう。OKRとは、ハンガリーのブダペスト出身の実業家アンドリュー・グローヴが提唱した、目標管理方法。グローヴは20代の初めにアメリカに移住し、ニューヨーク市立大学やカリフォルニア大学で化学工学を学びました。

    カリフォルニア大学で博士号を取得した後、1968年にインテル社に入社。その後インテル社の会長兼CEOに就任し、アメリカの半導体業界の発展に貢献してきた人物です。OKRはグローヴがインテル社に導入した管理方式で、Google社などでも採用されたことから、一躍注目を浴びるようになりました。

    OKRとはObjectives and Key Resultsの略語で、目標による管理という意味になります。一般的に1カ月~4半期という短い期間を目標の達成期間と定めて目標を設定し、目標に対する主要結果も3個ほど設定していくという方法です。

    意外かもしれませんが、OKRの主要結果は、容易に達成できるものであってはなりません。達成への難易度は高いものの、不可能ではない程度の目標を掲げることでチーム全体の士気を高めることが主目的のため、60~70%の達成で成功とみなせるような、難易度の高い目標を掲げるのが特徴です。

    各チームの目標は、社内全員に周知させます。そして目標を設定する段階から上司と従業員でミーティングを繰り返し、コミュニケーションを密に図ります。目標に対する主要結果の達成度は、0~100%の数値で評価。主要結果の達成度の平均値が目標全体の達成度となります。

    OKRの場合、達成度の評価は従業員個人の成績や報酬の判断材料とするのではなく、士気を高めるために使用します。そのため、達成度が低かった目標や主要結果は次の期間にフィードバックを行っていきます。

    OKRを構成している要素について

    OKRは目標(Objectives)と主要結果(Key Results)という二つの要素から成り立っています。まずはその企業全体の目標を一つ設定し、そこから導かれる主要結果を3個ほど設定。企業全体の目標と主要結果が決まったら、この目標は企業の従業員全員で共有されます。

    そして企業内の各チームも同じように、それぞれ一つの目標とそこから導き出される数個の主要結果を設定、各従業員も目標と複数の主要結果を掲げます。このようにすることによって、企業全体の目標を各チーム、各従業員の目標にリンクさせていくのです。

    このような体制をつくることによって、個人の掲げる目標が企業全体の目標に直接つながるシステムができ上がります。従業員は、自分の仕事が企業の実績に直結することを肌で感じられるでしょう。OKRは、組織全体の団結を高めると言えるかもしれません。

    OKRを導入するのはどんな企業?

    OKRはインテルを始め、Googleやメルカリなど、現代を代表する有名企業で採用されている目標管理方法。しかしOKRを取り入れようとする場合、その企業の体質によってはOKRが従業員のモチベーションを下げてしまう場合があります。

    OKRを導入するべき企業の条件としてはまず、挑戦的な目標の設定ができること。企業によっては、挑戦的な目標を設定することが個人の評価に不利益となってしまう場合があります。また、上層部からの指示を実行するだけの業務をしてきた企業では、目標の設定に慣れていない場合もあるでしょう。

    こういった保守的な企業では、単純にOKRを導入するだけでは企業全体の士気を高める結果には至らず、期待される成果を出すのは難しくなります。また、OKRを機能させるには頻繁な打ち合わせや会議などのフィードバックが必要。従業員間のコミュニケーションが上手く取れないと、OKRは正しく機能しません。

    上司と部下による目標達成のフィードバックは、週1回程度行うのが理想です。フィードバックが週1回以上行われるケースと、月1~3回程度のケースを比較すると、目標の達成度には2倍の差が出るという結果もあります。こまめにフィードバックができない労働環境ではよい結果は期待できないでしょう。

    また、OKRを効果的に導入するには、組織全体の透明性が必要になります。従業員同士やチーム全体、さらには他のチームの進捗状況を常に把握するのは意外と難しいことです。OKRを導入する際には、企業全体のOKRの進捗状況を確認できるツールを用いるとよいでしょう。OKRの確認が単なる数値のみの場合は、なかなか進捗状況の把握は難しいかもしれません。スプレッドシートやグラフなど、OKRを効果的に運営するツールが必要になります。

    導入をするメリットについて

    OKRを効果的に導入すると、どのようなメリットがあるのでしょうか。最初のメリットは企業全体が気持ちを共有しやすいことでしょう。先述のように、OKRでは企業全体の目標を決めてから、各チームの目標、属する各従業員の目標を決定していくので、目標とそこから導かれる主要結果が企業全体でリンクします。

    こうすることによって従業員は、自らが決定した目標とその達成度がどのように企業の目標に貢献するのかイメージしやすくなります。さらに、自分の業績が企業に貢献しているという思いはモチベーションを上げ、従業員やチームの結束を強めるでしょう。

    その結果、企業のトップから各チーム、各従業員に至るまで、どの立場から見ても目標と達成度が明らかになります。企業のトップにとっては会社を運営しやすくなり、従業員にとっては仕事がしやすくなります。その企業は効果的な業績アップが望めるでしょう。

    二つ目のメリットとしてはOKR自体が人材育成のプログラムとなることです。OKRでは上司が目標を決定して管理するのではなく、各個人が自らの目標と遂行方法を考えます。その過程で社会人として自立した判断力や決定力が養われるです。

    また、OKRでは頻繁にミーティングの機会を設け、上司と部下、または従業員同士の良質なコミュニケーションを図ります。これも社会人として必要なコミュニケーション能力の育成につながるでしょう。コミュニケーションの機会が増えることで企業内は活性化します。

    さらにOKRのメリットとしてはもう一つ、仕事の優先順位の明確化があげられるでしょう。企業内では上下関係や利害関係の作用により、業務の優先順位が曖昧になることがありますが、企業全体が一つの目標に向かうことにより、従業員は目先のことに惑わされにくくなります。

    OKRと【MBO】【KPI】の違いとは

    OKRと比較されやすい目標管理方式にMBOとKPIがあります。まずMBOはManagement My Objectivesの略で、日本語に訳すと目標によるマネジメントとなります。MBOは20世紀を代表する経営学者ピーター・ドラッカーによって打ち出されたもので、ドラッカーの著書で提唱されました。1960年代頃からアメリカ企業で取り入れられ始め、今では日本でも企業の目標管理方法のスタンダードとなっています。

    一方KPIは、Key Performance Indicatorsの略。重要業績評価指標と訳されます。KPIは1992年にハーバード・ビジネス・レビュー誌で論文として初めて紹介された、比較的新しい目標管理の方法です。近年、企業の新しい経営方法として注目されています。

    OKR、MBO、KPIの違いを表にまとめると以下のようになります。

    OKRMBOKPI
    評価期間月1回~4半期に1回半年~1年に1回毎日~1年に1回
    達成度の評価方法定量的定量的・定性的・或いはその両方定量的
    目標の共有範囲企業全体各従業員と上司のみチーム内
    最終目的生産性の向上報酬の決定目標達成
    目標達成の期待水準60%~70%100%100%

    この表から分かるように、OKRは企業の生産性を上げるためのもの。MBOは各従業員の報酬決定に影響を与えるため、目標は個員とその上司の2人のみで共有。努力すれば成し遂げられるレベルの目標を掲げます。

    KPIは短いスパンで達成度の評価を行い、努力次第で達成可能な目標を設定します。

    このように、OKRはあえて達成が望めない目標を掲げることによって企業の実力アップを目指すところがMBOやKPIと異なります。

    OKRを導入する流れについて

    それでは最後に、企業でOKRを取り入れる際の流れとそのポイントについて解説します。OKRではまず企業全体の目標を設定します。目標は達成可能であるレベルよりも1段階上にして設定。従業員全体がワクワクして業務に取り組めるような目標を考えましょう。

    たとえば「業界No.1のシェアを目指す」が目標なら、「海外10カ国に支店を持つ」などの主要結果を複数設定します。主要結果は70%ほどの達成率にしておき、数値で達成度が評価できるものにすることがポイントです。

    企業全体の目標と主要結果が決まったら、各チーム、そしてそこに属する従業員が目標と主要結果を設定します。目標と主要結果は企業全体の目標とリンクするものを設定しましょう。ここでも同じように、3つほどの主要結果を設定し、70%ほどの達成を目指す目標と主要結果を選びます。

    全員の目標と主要結果が決定したら、その情報を全員で共有できるようにします。その方法はいつでも誰でも確認できる方法にすることが大切。なおかつなるべく分かりやすいフォーマットを選ばなければなりません。グラフや色分けなど、そのフォーマットは工夫をこらす必要があります。

    そしてその目標と主要結果についてミーティングを行います。ミーティングは週1回程度が理想。その際に主要結果が達成できそうか、目標の再設定は必要ないかといったトピックを話し合います。そしてお互いの業績を称え合う会を定期的に設けましょう。モチベーションのアップとチームの団結につながります。

    まとめ

    この記事では現代の目標管理の一つであるOKRについて取り上げました。OKRはインテル、Google、メルカリなどの企業で取り入れられ、現代の企業経営のスタンダードになりつつある管理方法です。しかしその効果を適確に出すためには多くのポイントがあります。

    企業でOKRを導入しようとする場合、まずはその運営方法を理解し、自社に合っているかどうか検討する必要があります。

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    この記事を書いた人

    HR BLOG編集部

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