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「VUCA」とは?この時代の人材育成、組織づくりに求められるポイント

公開日:2022.8.2

VUCA(ブーカ)とは?

「VUCA(ブーカ)」とは、「Volatility(変動性)」、「Uncertainty(不確実性)」「Complexity(複雑性)」「Ambiguity(曖昧性)」という英単語の頭字語で、予測困難な状況を表しています。

もともとは冷戦後のアメリカで軍事用語として使われていましたが、2010年ごろから、世界各国の政治家や実業家、経済学者が集まる世界経済フォーラム(ダボス会議)などをはじめとした国際的な会議の場でも「VUCA」という言葉が用いられるようになり、ビジネス用語としても浸透しました。

その英単語が示す通り、現代はテクノロジーの進化や不安定な経済状況、大規模な自然災害、未曽有の疫病の流行など、さまざまな要素が複雑に交じり合い、互いに作用し、変化が激しくなっています。不確実で、曖昧で、不透明で、答えがない時代のように感じる方も多いでしょう。

このような時代に企業が順応し、生き残るためにはどうしたらよいのでしょうか。世界全体の動きから、企業が取り組むべき組織づくり・マネジメント・人材育成などについて考えてみましょう。

「VUCA」時代にはどのようなことが起きているのか?

「VUCA」時代、具体的には世の中にはどのようなことが起こっているのでしょうか?それぞれの4単語が示す事例を挙げてみましょう。

●Volatility(変動性)について

世の中に流通する「モノ」や「情報」はここ10年を見ても大きく変動しています。技術の進歩やイノベーションによりさまざまな市場で新規参入企業が現れ、シェアも次々入れ替わった業界があります。
たとえば、スマートフォンの普及率は2010年には4%程度でしたが、2022年には94%となっています(※)。また、スマートフォンの台頭と同時に、InstagramやTikTokなどをはじめとしたさまざまなSNSが誕生しました。一方で、ハードウェアの進化によって衰退していったSNSも存在します。このように、一度成功した企業でもポジションの維持は難しくなっており、市場の変動が続いています。

※参考:「2022年一般向けモバイル動向調査」(NTTドコモ モバイル社会研究所)

●Uncertainty(不確実性)について

日本において、「天災」は社会の不確実性を表すできごとの一つと言ってよいでしょう。突然の大型地震、台風や豪雨、猛暑など異常気象による災害は、「想定外」の被害を私たちにもたらしてきました。そして多くの場合、その影響はビジネスにも波紋を及ぼすものです。天災には予測が難しい事象も多くあり、まさに不確実で、私たちの不安を搔き立てる要因となっています。

またビジネスの面において、終身雇用や年功序列が一般的だった日本企業でも、フリーランスや成果主義などの価値観が広く浸透しました。不確実な世の中において、企業に属することだけでなく、「武器」として個人のスキルや専門性を高めていく人が増えています。

●Complexity(複雑性)について

先にも挙げた技術の革新や、経済のグローバル化などにより、世の中の動きはより一層複雑になってきています。たとえば、モノを作った分だけ売ることができた高度経済成長期の時代には、とにかく労働生産性をあげることが重視されていました。

しかし「VUCA」時代においては、「成功」のためのソリューションも複雑化しています。「これをやっておけば正解」というような単純な方法を探すことは非常に困難でしょう。

●Ambiguity(曖昧性)について

SNSが発達し、誰もが気軽に情報を受け取ったり、自分の意見を発信したりできる時代になりました。マスメディアが大衆の意見を先導していた時代から、「個」の多様な価値観が今まで以上に重要視されるようになったのです。それによって、消費者の価値観の変化は今まで以上に早くなり、曖昧なものになっています。

また、新型コロナウイルスに関連するできごとも、世界の曖昧性を助長した要因と言えるでしょう。未曽有の感染症に立ち向かうために、正解を手探りで探しながら、各機関でさまざまな対策が講じられてきました。

イベントの開催延期検討、経済への打撃、ワクチンや新薬開発をめぐる動きなど、先の見通しが立てづらいできごとが非常に多くあり、2022年の今もなおそれは続いています。まさに「曖昧性」に包まれた世の中になっています。

企業にはどのようなことが起こるのか?

企業においても、「VUCA」時代の影響は大小さまざまなものがあげられます。先述した高度経済成長期と現代の企業の戦略の違いもそうですが、過去に成功したやり方が通用しない複雑で曖昧な時代になっていると言えるでしょう。

ほかにも、世界を代表するリーディングカンパニーの企業寿命が短くなっているなど、市場の変動が激しくなっています。
たとえば、AmazonやAppleなど有名企業が名を連ねるアメリカの代表的な株価指数「S&P500」に組み入れられている企業でも、平均寿命が大きく変動しています。かつてそれらの企業の平均寿命は50年ほどと言われていましたが、2027年には12年ほどになるという予想さえ出ています。

また、コロナ禍により多くの企業でリモートワークが定着しました。働き方が大きく変わり、これまでの勝ちパターンや通説が通用しなくなったり、一方で新しいチャンスが生まれたりしています。不確実で曖昧な要素が増え、ある意味で常識がリセットされた今、経験や年齢などを問わず時代の変化に対応できる人材が必要です。

「VUCA」時代に必要な企業の取り組みとは?

では、「VUCA」時代に、企業はどんなことに取り組むべきでしょうか。

ビジョンを明確に

予測困難で先の見通しが立てづらい時代だからこそ、迷ったときや壁にぶつかったときに判断のよりどころとなる「ビジョン」が必要です。揺るがぬビジョンがあれば、組織としての行動に一貫性が生まれ、従業員も迷いを感じることが少なくなります。

常に仮説を持ち、万が一の事態に備える

変化の激しいVUCAの時代には、想定できる事象への備えはもちろん、「起こる確率は低いが起きた場合にリスクが大きい」と考えられる事象への備えも重要です。

たとえば、複数の事業を持ってリスクヘッジをするなどの手段があります。
これまでの経験や常識から、多くの人にとって当たり前だと捉えられていたこともラディカルに変化する可能性があります。

昨日までの成功事例が今日には通用しないかもしれません。情報収集を欠かさず、柔軟な方向転換ができるようにしておきましょう。

組織レジリエンスの強化

万が一、想定外の事象が起きた場合や組織が困難に陥った場合の回復力・復元力、つまり「組織レジリエンス」の強化も重要です。

「レジリエンス」はもともと物理学の用語として使われていた言葉で、「歪みを跳ね返す力」を意味します。たとえば、コロナ禍において多くの企業がダメージを受けるなか、新しい働き方や経営方針を打ち出して成長していった企業もあります。

このように、危機を好機とできるかどうかは企業次第です。事態にうまく対応しつつ、むしろ危機をきっかけに今まで以上に成長できるように、組織としてのレジリエンス力を強化していくことが求められるでしょう。

組織に多様性を

もし、現在の組織の状態に停滞を感じていたら、今までにない価値観を持つ人材を組織に取り込むことが必要かもしれません。組織内に多様な価値観があることで生まれるイノベーションもあるからです。

古い価値観やこれまで常識と考えられていた物事に囚われず、別の角度で組織を見つめ直してみましょう。また、「個」を重視し、従業員が今まで以上に自分の能力を発揮できるような環境づくりも重要です。

組織におけるマネジメントのポイント

「VUCA」時代の組織マネジメントには以下のようなポイントが挙げられます。

リーダー陣が「ビジョン」を体現し、メンバーを動機づける

先にも挙げた通り、見通しの立たない時代だからこそ企業の道しるべとなる「ビジョン」が大切です。そして、そのビジョンを体現できる人材が社内にいることが重要です。とはいえ、ビジョンに囚われるのではなく、ビジョンを軸に常に柔軟な方向転換ができるような企業体制にしておくことが求められます。

また、メンバーの動機付けも重要です。不明瞭な社会情勢に、「このままでいいのだろうか」という漠然とした不安を感じている社員もいるかもしれません。だからこそ、リーダー陣がビジョンを体現したうえで進むべき方向を示し、メンバーに安心感を与えて動機づける必要があります。これは従業員のエンゲージメントやパフォーマンスにも影響することです。

迅速な意思決定

激しく市場が変動する「VUCA」時代、一歩の遅れが命取りとなる可能性があります。そうならないために、組織として迅速な意思決定ができる体制である必要があります。だからこそ、リーダー陣は常に正しい情報をキャッチして未来を予測していかなければなりません。スピーディにトライアンドエラーを繰り返していける組織が理想と言えます。

情報リテラシーの強化

テクノロジーの進化やSNSの普及により、「VUCA」時代の世の中は常に情報があふれています。そのなかで必要になるのが、正しい情報を見極めていく力です。

また、誰でも情報を発信できる時代になったことで、SNSをきっかけとしたトラブルや事件も増えています。情報収集・発信の両面において、情報に踊らされることなく行動できるように学び続ける姿勢が重要です。

組織における人材育成のポイント

「VUCA」時代の人材育成には以下のようなポイントが挙げられます。

「ビジョン」を体現できる自立型人材の育成

繰り返しになりますが、「VUCA」時代において企業が掲げる「ビジョン」は非常に重要な役割があります。そして、ビジョンの達成のためには、そのビジョンに向かって主体的に行動できる人材の育成が必要です。マインド研修などを通して企業のビジョンを理解してもらうとともに、ビジョンを体現しているメンバーを肯定する場などを作るとよいでしょう。

個人の価値観を表現できる心理的安全性を確保する

「VUCA」時代には、多様な価値観を埋もれさせずに認め合うことが重要です。そのためには、誰もが経験や立場に囚われず、それぞれの価値観に基づいて意見できる心理的安全性が確保された環境づくりが必要です。

情報リテラシーの強化

「組織におけるマネジメントのポイント」とも重なりますが、従業員一人ひとりの情報リテラシーも重要です。正しい情報を取捨選択できる力はもちろん、情報の変化に敏感である必要があります。

また、誰もが気軽に情報発信をできる時代だからこそ、情報漏洩などのリスクも注視しておく必要があります。
たとえば、2020年以降に入社した社員の多くはZ世代と呼ばれる世代です。彼らはSNSに高い感度を持っていますが、必ずしもリテラシーが高いというわけではありません。世代を問わず、インターネットリテラシーに関する研修などは重要性を増していくでしょう。

「VUCA」時代の個人に求められる考え方

「ジョブ」を意識する

不確定な要素が多い「VUCA」時代には、「ジョブ」を意識した働き方も重視されるようになってくるでしょう。これは企業の雇用形態に関する話ですが、これまでの日本企業の特徴である年功序列や終身雇用などを前提としたメンバーシップ型雇用から、企業が求めるスキルに対して職務遂行能力がある人材を採用する「ジョブ型」の雇用がますます広がっていくと考えられます。

たとえば、日立製作所、KDDI、富士通、資生堂、パナソニックなどの大手企業ではすでにジョブ型雇用の導入が始まっています。
ジョブ型雇用を上手く取り入れることで、今までにない価値観を持つ人材や専門性の高い人材を採用しやすくなると考えられているのです。

もちろん、日本企業が完全にジョブ型雇用に切り替わるという話ではありません。ただ「VUCA」時代において、すでに組織に所属している場合でも、自分の専門性と市場価値を高め、「自分にはこのスキルがある」と明文化できるようにしておくことは間違いなく武器になるはずです。

問題解決能力

変動や曖昧な事象が多い「VUCA」時代。たとえ専門家や経験者の見解であっても、「本当にそうなのか」を一人ひとりが考えていかなければなりません。目先の手段や成功事例に囚われず、課題の本質を見極める力が必要です。

アーキテクト思考

アーキテクト思考とは、「具体と抽象を行き来して、ゼロから全体構想を描ける力」を指します。
今までの常識や慣例がひっくり返るかもしれない時代だからこそ、世の中の流れを俯瞰し、ゼロベースで新たな構想を立てていく必要があります。こうした観点から仮説検証を繰り返していける人材は、組織の課題解決にも大きく貢献できるはずです。

※参考:細谷 功、坂田幸樹(ダイヤモンド社)「構想力が劇的に高まる アーキテクト思考――具体と抽象を行き来する問題発見・解決の新技法」(2021)

「VUCA」時代でも変わらないこと

ここまで、「VUCA」時代に対応するためのさまざまな事例と解決策を挙げてきました。

ただ、これらはあくまで手段にすぎません。企業においても個人においても最も大切なのは、変化が激しく、不確実で、複雑で、曖昧な「VUCA」時代においても変わらない本質を見抜き、臨機応変に対応していく力です。

そのうえで情報収集や人材採用、人材育成などを通して「VUCA」時代を乗り越えられる組織づくりをしていきましょう。

FAQ

「VUCA」についてのよくある質問を紹介します。

VUCAとは?
「VUCA(ブーカ)」とは、「Volatility(変動性)」、「Uncertainty(不確実性)」「Complexity(複雑性)」「Ambiguity(曖昧性)」という英単語の頭字語で、予測困難な状況を表しています。
「VUCA」時代、企業にはどのような人材が必要?
不確実で曖昧な要素が増え、ある意味で常識がリセットされた今、経験や年齢などを問わず時代の変化に対応できる人材が必要です。
「VUCA」時代、個人に求められる考え方とは?
「ジョブ」を意識したスキル形成やアーキテクト思考など、自分自身の市場価値を高めていくことがますます求められるでしょう。

この記事を書いた人

HR BLOG編集部

このブログでは、「経営者と役員とともに社会を『HAPPY』にする」 をテーマに、HR領域の情報を発信しています。

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