オンボーディング Onboarding 「新卒社員」や「中途社員」が辞めない仕組みづくり
『オンボーディング』とは、新入社員をスムーズに社内に溶け込ませ、パフォーマンスを上げさせるための一連の仕組みづくりを言います。この冊子ではHR先進国であるアメリカ企業の事例も踏まえ、人材育成のための最新のメソッドを解説。
オンボーディングの具体的な取り組み方をご紹介しています。
人材育成・開発・研修
公開日:2019.1.25
会社がビジネスの多角化を目指す際、必要となるのが経営を担える幹部候補です。経営者が一人で全事業のリーダーシップを発揮することは物理的に困難であり、不可能といってもいいでしょう。そのため、事業ごとに経営を分担できる人材を育成する必要があります。
また、多角化された会社では、従業員のコミュニケーションが事業部ごとの縦割りのみになり、分断されがちに。こうした課題を解決するためにも、委員会制度は有効な制度なのです。
今回は、従業員全員が経営に参加するための「委員会制度」についてご紹介します。
そもそも、「委員会制度」とはどのようなものなのでしょうか。アックスコンサルティングでは、従業員みんなが楽しく働けるようにという考えの元、委員会制度を整備しています。「会社は単なる働く場ではなく、生き方の場」だと捉えているからです。
アックスコンサルティングには委員会が7つ設けられており、従業員はそのいずれかに所属しています。委員会は、従業員の成長チャンスにつながったり、事業間でのコミュニケーションを活発化させたりといった役割を担っています。仕事はもちろん、仕事外にも従業員のアイディアを活かしてもらえるのがメリットです。
一般的に、会社が設ける委員会の例としては、以下のものがあげられます。
・人材育成委員会
・経費削減委員会
・社内美化委員会
・顧客満足委員会
・ライフスタイル委員会
会社の事業内容や課題意識によって、有効な委員会は異なります。
各委員会には委員長と副委員長がいます。委員長と副委員長が中心となって定期的にミーティングを実施し、委員会の活動内容の方向性を決めていくのが、委員会制度の主な流れです。
委員会制度のメリットは、日常的にかかわりのない他部署の人と交流できること。そのうえで、互いの部署のことが理解できるため、全従業員に当事者意識が生まれることです。
どうしても事業を多角化していけばいくほど、理解できているのは自分の所属する部署の事業だけになってしまいがちです。その結果、他部署の業績や業務内容に興味関心すら抱かない状態になってしまい、縦割り式に分断されてしまう可能性があるのです。
アックスコンサルティングでは、新入社員はまず全員「新卒採用委員会」と「コミュニケーション委員会」に所属します。これらに所属することで、新入社員が会社になじみやすい環境を整えているのです。部署の垣根のほか、役職も関係なく従業員同士が仲良くなれるのがメリットの一つです。
委員会制度のデメリットは、複数の委員会に所属してしまったがために、キャパシティをオーバーしてしまうケースがあることです。引き受け癖がある従業員に多く見られるため、自分のキャパシティを従業員一人ひとりが認識したうえで所属、活動する必要があります。
ここでは、アックスコンサルティングで設けている7つの委員会のうち、3つの委員会の内容についてご紹介します。
・イベント委員会
毎週行われている「交流フライデー」を取り仕切る委員会です。内容の企画立てから社内への告知、当日の司会進行まで一通りの業務をこなしています。最近の交流フライデーでは、TED風のプレゼンテーション「アックスTED」が行われています。アックスTEDでは、乾杯のあいさつ前に自分の部署で行っていることについて発表します。さまざまな部署が互いの事業内容を共有できるのがメリットです。
・環境整備委員会
社内美化のため、オフィスやラウンジの清掃管理を担っているのが環境整備委員会です。従業員、来社されるお客様が共に気持ちよく過ごせる環境を整えています。
・研修委員会
従業員のスキルアップのため、新入社員向け、幹部向け、部署別など、多種多様な研修の企画を立てる委員会です。
このように、それぞれの部署が会社、従業員のためになる活動を積極的に行っています。
参考:従業員エンゲージメントも高まる!社内コミュニケーションを強化するユニークな施策とは?
委員会制度を設けるのであれば、ぜひ採り入れてほしいものが委員会活動を通じた表彰の場を設けることです。
よい会社づくりに自発的に関われる楽しさを感じさせるだけではなく、活動を経営陣に評価される機会を設けることで、より従業員のモチベーションの向上に役立つでしょう。
アックスコンサルティングでは、7月の社員総会の場で、全社員の投票により、もっとも活躍したと思われる委員会が選出されます。1位に選ばれた委員会のメンバーには、金一封かランチ券がプレゼントされるのが恒例です。
会社の規模が大きくなり、事業が多角化していくにつれ、従業員同士のコミュニケーションは徐々に希薄化していってしまいます。コミュニケーション不全の会社は、組織としてうまく機能せず、結果として事業に悪影響が出ることも。大企業にこそ取り組んでほしい制度です。
従業員の意識を高め、会社の組織力を強化するためにも、委員会制度は有効な制度だといえるでしょう。
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