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人材育成・開発・研修

「褒める」と「叱る」、部下が能力を発揮できるのはどっち?

公開日:2021.2.3

    部下を褒めて伸ばすのか、叱って伸ばすのかで悩んでいる上司、リーダーは多いのではないでしょうか。部下の才能を伸ばすために、上司がどうすればいいのかには定説があります。セオリーを知れば、今まで以上に部下を生かすことができるようになるでしょう。

    リーダーや上司が一度は必ず悩む「褒める」と「叱る」

    褒めるべきか、叱るべきかについては、数々の科学的研究によってはっきりとした答えが出ています。
    人の能力を伸ばすためには、ずばり、褒めるのが効果的です。
    褒められることによって、人はやる気を出し、挑戦的になり、粘り強さを発揮します。

    その証明としては、1925年に発達心理学者エリザベス・ハーロックが行った実験が有名です。ハーロックは子どもたちを3つのクラスに分けて、5日間に渡って計算テストを行いました。

    (1)点数に関係なくできたところを褒める「称賛クラス」
    (2)点数に関係なくできなかったところを叱る「叱責クラス」
    (3)称賛も叱責もせず何も言わない「放任クラス」

    称賛クラスは5日連続で成績アップ、叱責クラスは3日目まで成績が上がり、その後悪化、放任クラスは大きな変化がなかった、という結果が出たのです。この実験により「人は褒められた方が成長できる」という定説が広まりました。

    また、人の「やる気」は、強制、評価、報酬、懲罰などによって動機づけられる外的モチベーションと、興味、関心、達成感、満足感などによって動機づけられる内的モチベーションがあることが知られています。外的モチベーションは短期的な効果があり、内的モチベーションは持続性があるのが特徴です。

    内的モチベーションを育むには、褒めることが有効と知られています。人は褒められると「自分の行動が結果につながった」という認識を持ちます。この認識が内的モチベーションの向上を促し、夢中になった状態につながっていくのです。企業内でも「褒めること」を活用して、従業員が仕事に夢中になれる状態をつくれれば最良でしょう。また、褒めてくれた相手に何かお返しをしたいと思う「好意の返報性」という心理作用が、仕事仲間との関係をポジティブなものにしてくれます。職場においては、叱るよりも
    褒めるほうが有効なのです。



    ただ褒めるだけではダメ、やってはいけない褒め方・叱り方

    褒めてはいるけど部下が成長している気がしない…。そんなときは、上司の褒め方にも問題があるのかもしれません。効果を期待できない褒め方の例を見てみましょう。

    NG1:他人と比較して褒める
    「〇〇さんより君の方が優れている」と褒められても、素直に喜べないものです。逆に「自分も誰かと比べられているのでは?」という不信感が生まれてしまいます。

    NG2:心にもない言葉で褒める
    思ってもいないのに表面的な褒め方をしても、大抵は表情や言葉選びで相手に伝わってしまいます。「この人、本当は褒めてないな」と思われるとかえって信頼を失いかねません。

    NG3:褒めるだけで終わる
    「すごいね」「よくできたね」というシンプルな称賛は、その瞬間は喜んでもらえますが、すぐに感動が薄れてしまいます。「ここを変えるともっとよくなるよ」「次はここも頑張ってみよう」と次につながる具体的な助言ができると「この人にもっと褒められたい」という関係になっていくでしょう。

    NG4:何でも褒める
    何でも褒める上司は「この人は何もわかってない」「おだてるだけで本質が見えていない」と見透かされてしまいます。褒めれば褒めるほど信頼を失ってしまう可能性も。「褒め」と「おだて」の違いを理解していないと、この失敗に陥りがちです。

    NG5:褒める基準が自分本位
    お気に入りの人物ばかり褒める、自分に都合がいい相手だけを褒める、業務に関係のない基準で褒めるといった、自分本位な褒め方をする上司は、冷めた目で見られることは避けられません。業務に貢献した人物を公平に褒めるべきです。

    NG6:能力や才能のみを褒める
    「さすが能力が高いね」「才能がすごい」といった褒め言葉は悪くないように思えるかもしれません。しかし、何かを成し遂げた努力やプロセスを称賛されたほうが、褒められた側は自分を認めてもらえた気分になるものです。「毎日頑張っていたから成果が出たね」「あの企画書はよくできていたね」など、具体的な褒め方を心がけましょう。

    ダメな褒め方と同じように、ダメな叱り方もあります。自分のイライラをぶつけるかのように「ダラダラと感情的に叱る」、相手が何に取り組みどんな目標を掲げているかも知らないのに「信頼関係を築けていない状態で叱る」といったケースでは、部下は一気に「やってられない」と言う気分になってしまいます。

    また「君にちゃんと伝えたはずだ」「なぜ君はこうしてくれないんだ?」のように、すべての主語を「YOU」に絞った叱り方は、責めるニュアンスが強く、キツイ印象になりがちです。上司側が「私はちゃんと伝えたはずだ」「私はこうしてほしいと頼んだはずだよ」と、主語を「I」にすれば、少し柔らかな表現になり、相手に思いが届きやすくなります。

    ダメな褒め方、ダメな叱り方を避けるだけで、部下の能力を伸ばせる上司になれます。上記のようなテクニックを、頭に叩き込んでおきましょう。

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    褒め方を意識すれば部下の能力はさらに高まる

    ダメな褒め方、叱り方を把握した後は、効果的な褒め方も知っておきましょう。次のような褒め方をすれば、相手の能力を伸ばしながら、信頼関係も築いていけるでしょう。

    ・堂々と褒める
    褒めるときは、相手の名前を呼び、目を見て、にこやかに、飾らない言葉で堂々と褒めるのが基本。まっすぐに褒め過ぎて、相手が照れてしまう場合があるかもしれませんが、偽らざる気持ちが伝わることが何より大切です。

    ・すぐ褒める
    称賛に値する行動をした相手はすぐに褒めましょう。そうすると、部下はその行動を持続するようになり、習慣となって定着していくことが科学的研究でわかっています。

    ・肯定的な言葉を使って褒める
    「失敗しないでよかったね」とネガティブな状態を打ち消すような褒め方をするのではなく、シンプルに「成功してよかったね」と伝えたほうが、人間の脳は「褒められた」と実感できます。「失敗すると思われてたのかな」というニュアンスを相手に残さないためにも、称賛するときはポジティブな言葉を選びましょう。

    ・内面を褒める
    その人の外見、肩書、経歴などを褒めても、相手の心には残りません。それよりは「センスがいい」「努力しなければたどり着けない」など、内面を褒めたほうが信頼関係の構築につながります。

    ・間接的に褒める
    直接褒めるだけではなく、本人がいない場所でも成果を褒め、間接的に届くようにしてみましょう。「あの人があなたのことを褒めていたよ」と第三者から聞くことで、「自分のいない場所でも褒めてもらえるなんて、本当に評価してくれているんだ」と自信につながります。それと同時に、どんな行動が評価されたのかが周囲に知れ渡ることにもなるので、同じような行動をする従業員が増える可能性も期待できます。



    まとめ

    部下の能力を伸ばすには叱るよりも褒めることが有効なのは、本記事の冒頭で述べたとおりです。そのうえで、よい褒め方・悪い褒め方の例を紹介してきました。

    しかしながら褒めることも叱ることも、相手の成長を願い、フィードバックを与えるという点では本質的に同じ。褒めるのは行動を定着させるため叱るのは行動を改めさせるため、という目的の違いがあることを知っておくと、上手く使い分けられるのではないでしょうか。

    時には叱ることを有効活用する場面があるかもしれませんが、部下の才能を伸ばすためにはまず、褒めることを重視したコミュニケーションを重ねていってみてください。

    この記事を書いた人

    HR BLOG編集部

    このブログでは、「経営者と役員とともに社会を『HAPPY』にする」 をテーマに、HR領域の情報を発信しています。

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